【コラム】Da-iCEがEP『REVERSi』に込めた意味とは?

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2月16日、Da-iCEが、CONCEPT EP『REVERSi』をリリースした。2021年末に『第63回 輝く!日本レコード大賞』を受賞し、より多くの注目を集めている今、同作は彼らのクオリティの高さをより幅広い層へ見せつけるきっかけとなるだろう。

◆全曲視聴ティザー映像 ほか

Da-iCEの楽曲を振り返ってみると「この楽曲ではこういうことを表現したい」と狙いが明確かつ、メッセージ性が強いものが少なくない。今回リリースされる『REVERSi』も然りだ。タイトル通りの“REVERSi”がコンセプトとして謳われており、収録曲はもちろん全3形態のあらゆる場面で「白黒つける」というメッセージが発信されている。“REVERSi”という単語には「困難な状況からの一発逆転」といった意味もあり、結成から10年間コツコツ実直に活動を重ね、レコード大賞受賞という逆転劇を見せた彼らの現状にピッタリなタイトルと言えそうだ。



さらにそれだけではなく、「白黒つける」というメッセージも様々な角度から解釈することもできる。例えば、「周りに流されることなく自分たちらしさを示していく」というハングリー精神を感じるグループスタイルを改めて提示する、という意味での「白黒つける」にも受け取れるだろう。「CITRUS」がヒットしたことで、一般的にはバラードのイメージが強いかもしれないが、Da-iCEはこれまでジャンルレスな音楽を示してきた。それができるのは多ジャンルの音楽を表現できるだけのスキルがあってこそ。しかも、予定調和ではなく信念を貫き通す芯の強さも兼ね備えている。この多面性はDa-iCEらしさの一つであり、『REVERSi』で楽しめる彼らの姿でもある。そこで、同作の収録曲に込められているDa-iCEらしさを考えてみたい。


まず、『REVERSi』の始まりとも言える「Kartell」。同曲が配信リリースされたのは2021年8月9日。ちょうど「CITRUS」が盛り上がりを見せていた頃だ。「Kartell」は「結果で捻じ伏せろ」というキャッチコピーが付いており、「長いモノに巻かれ思考停止に陥っていることへ警鐘を鳴らし、流れを淀ますモノに対する痛烈な批判を込めた宣戦布告とも取れる攻撃的な一面と、これまで積み上げてきた全てのことを信じ、希望に変えて突き進めというメッセージを込めた歌詞、そして、その世界観に呼応するように、激しく攻撃的でありながら、どこか心を奮わせるトラック」というコンセプト文が添えられている。「CITRUS」の盛り上がりに反して、思い通りの活動をすることが難しかった彼らの悔しさが反映されているのだろうか。世の中に対するアンチテーゼと「ここで終わるわけにはいかない」というハングリーさを示した楽曲と言えそうである。



そして12月17日に先行配信された「Promise」。同曲は映画『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』の主題歌で、サビの“I wanna be your hero”など作品にフィットした表現も多く含まれているが、歌詞を見るとそれ以外の意味も感じられる。例えば、“小さな手のひらじゃ 溢れてしまうなら 何もかもを引き換えにしてもいい”、“失ったとしても それは犠牲なんかじゃない 交わした約束を果たすよ”の部分は強烈なラブソングのようにも、Da-iCEの覚悟のようにも、ファンへの宣言のようにも聴こえてくる。その他の部分にも友人、恋人、家族など大切な人へのメッセージと思えるワードが点在する。聴く人によって自分なりの解釈ができるのも、Da-iCEの楽曲の面白みだろう。



2022年1発目、1月5日に先行配信されたのはアニメ『オリエント』のオープニングテーマ「Break out」。同曲もタイアップ曲のため作品の世界観に寄り添ってはいるが、Da-iCEから世の中に対するメッセージのようにも聴こる。「Kartell」と近いメッセージだろうか。夢を語る難しさを歌っているが、“常識はただの固定概念 想定外がつきもの”、“多数決で正義が決まるなら 僕らは悪かも”という歌詞などはDa-iCEの思いを示しているようにも感じられる。周りに流されずに自分たちらしさを示し続けるという、潔いかっこよさを味わえる楽曲になっているのではないだろうか。

その「Break out」の配信からすぐ、1月17日に先行配信されたのはテレビ東京系ドラマ『ユーチューバーに娘はやらん!』の主題歌「SWITCH」だ。同曲はラテン調のメロディが印象的なダンサブルポップナンバー。ちょうど配信リリースされる少し前、オリコンの『YouTubeチャートTOP100』9位に「CITRUS」が大きく順位を上げてランクインしたニュースがあった。レコード大賞受賞が要因と分析されていたが、あえて注目を集めていた「CITRUS」とは真逆の「SWITCH」をぶつけてくるあたりが、駆け引き上手のDa-iCEらしい。その勢いを活かすかのように、2月1日には「Clap and Clap」を先行配信。爽やかなポップロック調で、再び彼らの多様性を見せつけた。



もちろん、先行配信されていない楽曲にもコンセプトは色濃く表れている。例えば、メンバーの大野雄大が作詞を手掛けている「ホンネはJoke」。グルーヴィーな楽曲と大野らしい歌詞が絶妙にマッチしており、思わず頬が緩んでしまうような1曲だ。歌詞をよく見ると、照れくささ故なのか、おどけながら本音を隠している主人公が浮かび上がってくる。一見クールっぽく見えるが中身は少年のようなそのストーリーも、ある種の二面性である。

そして、androp・内澤崇仁提供曲の「Sweet Day」と、佐藤千亜妃提供曲の「NIGHT OWL」。楽曲の雰囲気や歌詞を鑑みると、「Sweet Day」が昼、「NIGHT OWL」夜という位置づけなのだろうか。甘くシンプルかつストレートな世界観の「Sweet Day」、どこか深い影と色気を感じる「NIGHT OWL」によってDa-iCEの二面性が引き出されていると言えそうだ。



そして2月7日に配信された、リード曲「DOSE」。ミュージックビデオの概要欄を見ると「DOSE =“どうせ”という諦めや悲観的な感情を揶揄しながら、OverDOSE = “ヤリ過ぎる”というもう一つの意味に『REVERSi』に込めた““白黒つける””というDa-iCEの意志をのせた1曲」という文章がある。まさにその通りで、「どうせ」というネガティブなワードを使っているがそれを挑戦的に笑い飛ばすかのような歌詞と組み合わせることで、ハングリー精神が表現されている。

さらにDa-iCEの置かれている状況を理解しているファンから見れば「ヤリ過ぎ」なほどまでにストレートかつ潔く「白黒つける」という自分たちのスタンスを明らかにしているようにも聴こえてくる。また、同曲がリード曲にある事自体がコンセプトにフィットしている。「DOSE」はダンス&ボーカルグループと聞いて多くの人が想像するタイプの楽曲。「CITRUS」で知名度を上げた彼らはあえて、バラードではなくダンス&ボーカルグループの典型的な楽曲を打ち出したのだ。それは、一枚岩ではないDa-iCEらしさと言えるのではないだろうか。



……と、各曲を分析してみたが、これが正解というわけではない。いかようにも解釈できるのがDa-iCEの楽曲であり、多面性を持ったDa-iCEらしさなのである。ちなみに、DVD盤に収録されている「2021年 年末密着『ダイスの夜明け』」、Blu-ray盤に収録されている「Da-iCE TV REVERSi特別企画『逆境を味方につけろ!形勢逆転カードゲーム』」も要チェックだ。

「最近Da-iCEが気になり始めた」という人にとっても彼らの魅力、そして同作のコンセプト、Da-iCEの持つ多様性を存分に味うことができる。さらにシリアル特典の「『un-Plugged』Live Video」には代表曲の一つ「CITRUS」も収録。Da-iCEの魅力を再確認するも良し、新たに沼にハマるも良し、楽曲を自分なりに考察してみるのも良し。『REVERSi』は、何度でも楽しめる名作と言えるのではないだろうか。

文◎高橋梓

CONCEPT EP『REVERSi』

2022年2月16日(水)リリース

[CD+DVD(スマプラ対応)]
AVCD-96893/B ¥5,000(税込) ¥4,545(税抜) ※初回生産限定盤

[CD+Blu-ray Disc(スマプラ対応)]
AVCD-96894/B ¥5,000(税込) ¥4,545(税抜) ※初回生産限定盤

[CD ONLY(スマプラ対応)]
AVCD-96895 ¥2,800(税込) ¥2,545(税抜)

■収録内容
[CD]
01.DOSE / 作詞曲:工藤大輝、花村想太
02.Clap and Clap / 作詞曲:花村想太
03.SWITCH(ドラマ「ユーチューバーに娘はやらん!」オープニング主題歌) / 作詞:工藤大輝
04.Break out(アニメ「オリエント」オープニング主題歌) / 作詞曲:花村想太
05.Sweet Day / 作詞曲:内澤崇仁(androp)
06.NIGHT OWL / 作詞曲:佐藤千亜妃
07.ホンネはJoke / 作詞:大野雄大
08.Promise(映画「仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ」主題歌) / 作詞曲:花村想太
09.Kartell / 作詞曲:工藤大輝
全9曲収録

[DVD]※AVCD-96893/Bのみ
・Da-iCE From Novelbright Presents「KICK THE AGE TOUR」2021.10.27公演
・年末密着「ダイスの夜明け」

[Blu-ray Disc]※AVCD-96894/Bのみ
・Da-iCE From Novelbright Presents「KICK THE AGE TOUR」2021.10.27公演
・Da-iCE TV「REVERSi 特別企画~逆境を味方につけろ!形勢逆転カードゲーム~」

全形態共通
・シリアル特典「un-plugged live」
※【CD ONLY】形態は初回仕様のみの封入となります。

◆Da-iCE オフィシャルサイト
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