【対談】MASATAKA(MSTK) vs 松田樹利亜、1990年代リバイバルと真価を語る「海外には真似できない日本独自の文化」

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■もう一回やろうよ、良き1990年代を
■愛すべき“vs”は楽しいことになる

──そして今回の対談の本題へ。これまでも1990年代を振り返っていただきましたが、まさに現在、世の中的にも1990年代の音楽が再評価されています。リアルタイムで経験してきたお二人が思う90'sサウンドの魅力とは?

MASATAKA:この間、「愛してるなんて言葉より…」(1994年6月発表)をMSTKでセルフカバーして改めて気付いたんだけど、1990年代の楽曲って、よくできているんですよ。細部までクオリティが高い。樹利亜ちゃんの「だまってないで」(1993年11月)もよくできているんです。

松田:うん。音楽的にめっちゃ難しいことをしていても、そう感じさせなかったりするし。すごく計算されているプロの仕事だなと思う。

MASATAKA:だから、変に今風アレンジしようとすると、おかしなことになってしまう。結局、「愛してるなんて言葉より…」はストレートにカバーすることになったほどで。それくらい緻密に作り込まれているんですよね。


──1980年代までの邦楽は洋楽に倣っていることが多かったわけですが、1990年代から独自に進化していった。その流れでJ-POPが生まれたと思うんですね。なので、アレンジにも邦楽ならではというか、日本人ならではの緻密さがあって、そこが魅力のひとつになっていると思うんです。

松田:あと、1990年代はすごく歌が重視されていたんですよ。艶とか哀愁とか、そういうエモーションやパッションを感じ取れる歌が求められていたので。だからどんな楽曲を聴いても歌がいいんですよね。

MASATAKA:そんな中でも松田樹利亜は特にいい。

松田:いやいや(笑)。バックの演奏とか打ち込みもボーカルを立てるようにアレンジされていて、そこも計算されていたんでしょうね。それは日本ならではのもので、海外のアーティストやコンポーザー、アレンジャーに真似できない文化。J-POPというジャンルの本質は、そこにあると感じています。

MASATAKA:1990年代のJ-POPは当時、アジアでウケていたよね。アジア圏のヒットチャートでJ-POPが上位にランキングされていたことは実感してましたから。僕は90'sサウンドの魅力をリアルタイムで体感した世代なので。

松田:中国でよく海賊盤が出ていたしね。

──そしてMSTKは、ZIGGYの森重さんとの「GLORIA」コラボカバーや松田樹利亜さんとのコラボライブをはじめ、1990年代ムーブメントの再興を感じさせる活動が続いています。

MASATAKA:僕はMSTKで1990年代ムーブメントを起こそうと思っているんです。樹利亜ちゃんもそうですけど、あの頃デビューしたアーティストがたくさんいる。これは良くも悪くもですけど、「時代的に今、どうしたらいいかわからない」と言っている当時からのアーティストが多いんですよ。そういう僕もそうだった。MSTKとして手当たり次第、いろいろな楽曲を元に“プロミュージシャンがアレンジしてみた”カバー動画をやってみた結果、「やっぱり1990年代の音楽っていいよね」って改めて思ったんです。で、「もう一回やろうよ、良き1990年代を」とバンド内で盛り上がって。



──それをきっかけとして、先ほどおっしゃっていたように、藤重政孝1994年のデビュー曲「愛してるなんて言葉より…」をセルフカバーされたわけですね。

MASATAKA:まさに、このセルフカバーを皮切りとして、1990年代ムーブメントを起こしたい。さらに当時ニューヨークで撮った「愛してるなんて言葉より…」のミュージックビデオを現代に完全再現しました。

松田:あ、それ言ってたね(笑)。完成したの?

MASATAKA:ニューヨークではなくて渋谷で撮影したんだけど、それがすごく面白いんですよ。面白いというのはおチャラけているということじゃなくて、本気で完全再現したんです。綿密にロケハンして似た場所を選んで、カメラアングルから何からオリジナルをなぞって。サウンドはアレンジを加えたけど、ミュージックビデオは完全再現。“当時の自分を再現してみたシリーズ”みたいなものができたら、これは今後流行るかもしれない。もちろん、ただの懐古主義ではないし、自分が素直にカッコいいなと思えることをやっているつもり。

──もうひとつ、1990年代は煌びやかでゴージャスだったりしても、柔らかさがありました。それはコロナ禍で疲弊している今のリスナーが求めているものに、フィットするんじゃないかと感じます。

MASATAKA:あとは、僕らは今の若い世代の人達から、“なんだ!? このオジサンは?”という目で見られると思うんですよ。

松田:“このオバチャンなんだろう? いい歳してミニスカート穿いて”みたいなね(笑)。

MASATAKA:でも、それでいい。楽しいことをやって生きている姿を見せたいから。僕には子供がいるんですけど、息子と娘から「楽しそうに生きてるね、お父さん。あっ、そのまま死んじゃったね」って思われるような人生を送りたいんです。笑いを含みつつ、余裕を持ちつつ、迷っている子に“こうだ!”と言い切れるキャラでありたい。そういうポジションで歌っていきたいと思っています。


──お二人が作る音楽に快活さや華やかさがあるのは、しっかりとした意志を持たれているからこそでしょうね。そして、2月7日に渋谷WOMBで、お二人が共演されるライブ<対バンしてみたvol.1 MSTK vs 松田樹利亜>が行われます。

松田:まー君とは20数年来の友達なのに、今まで一緒に仕事をしたことはなかったんですよ。だから、それが嬉しいというのが、まずはありますね。

MASATAKA:生の松田樹利亜と一緒というのは初めてに近いので、渋谷WOMBのライブは本当に楽しみにしています。“vs”と銘打っていますけど、愛すべき“vs”だし、どっちのバンドも面白いメンバーが揃っているので、すごく楽しいことになると思う。今度の対バンライブでは1990年代の松田樹利亜の名曲カバーセッションも決まってますし。

松田:まー君も過去曲をやるのかなと思ったら、「全くやらない」と言うんですよ、私はセットリストに入れたのに(笑)。実は私、1990年代のものを避けていた時期もあるんですけど、今は全然平気。そういう自分を見てもらおうと思ったんです。だから、渋谷WOMBは、今の自分をフラットに表現したステージになります。激しい曲もメロディアスな曲もあれば、昔の曲もやる。それをライブに来てくださった方に楽しんでもらえるといいなと思っています。

MASATAKA:僕らを応援してくれている方はもちろん、少しでも興味を持たれた方は、ぜひ会場に足を運んでほしいです。

取材・文◎村上孝之
撮影◎野村雄治


■<『対バンしてみたvol.1』MSTK vs 松田樹利亜>

2022年2月7日(月) 東京・渋谷WOMB
open18:00 / start19:00
出演:MSTK/松田樹利亜 (原田喧太[G]、 Ju-ken[B]、CHARGEEEEEE...[Dr])
▼会場チケット
前売:4,500円 / 当日:5,000円
※入場時にドリンク代600円別途必要
※入場はチケット番号順に入場
※入場者特典:来場者全員に『ステージパス風ステッカー』をプレゼント(日付、会場、松田樹利亜とMSTKロゴが入った限定特別パスステッカー)
一般発売:2022/1/15(土)AM10:00〜
https://eplus.jp/sf/detail/3562140001-P0030001
(問)株式会社ファンタジア 078-242-8617


■リアルタイム生配信<『対バンしてみたvol.1』MSTK vs 松田樹利亜>

配信スタート:2022年2月7日(月) 19:00〜
アーカイブ:2/14(月)23:59まで
▼配信チケット
2,500円
https://free-planet.zaiko.io/e/mstk-tokyo2



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