【対談】MSTK × LINDBERG、'90年代サウンドの魅力とライブ共演を語る「そこに中毒性がある」
MASATAKAこと藤重政孝率いるバンドMSTKが6月17日、東京・渋谷WOMBにて<藤重政孝デビュー28周年&MSTK結成2周年記念ワンマンライブ>を開催する。そのタイトル通り、藤重政孝のデビューシングル「愛してるなんて言葉より…」(1994年6月発表)から28年、加えて、バンドMSTK結成2周年を記念して開催されるワンマンには、スペシャルゲストにLINDBERGの渡瀬マキ(Vo)と平川達也(G)が参加することも明らかとなっている。
◆MSTK × LINDBERG 画像
MSTKは現在、“90年代ムーブメント復興”をコンセプトに、藤重政孝と同世代や先輩アーティストとのコラボやカバー企画を展開中だ。これまで、ZIGGYの「GLORIA」カバーで森重樹一とコラボしたほか、朋友である松田樹利亜とは<対バンしてみた vol.1>や<対バンツアーしてみた vol.1>を実施するなど、熱を帯びる'90年代リバイバルを加速させている。一方のLINDBERGは4月、<デビュー33th Anniversary LIVE「Everything’s gonna be alright」>を大成功に収めたばかり。止まることなく5月には<LINDBERG EXTRA FLIGHT Vol.2「Billboard Live Tour」>を実施するなど、精力的な活動を展開している。
先ごろ実施した藤重政孝×松田樹利亜対談に続くLINDBERGとの'90年代ムーブメント復興対談では、両者の馴れ初めやお互いの印象、バンド継続の秘訣、'90年代エピソードやその音楽的魅力についてじっくり語り合ってもらった。なお、<藤重政孝デビュー28周年&MSTK結成2周年記念ワンマンライブ>当日には、それぞれの代表曲のセッションも予定しているとのことだ。
◆ ◆ ◆
■お会いした回数は少ないけど親しい
■一方的に僕が大好きだから(笑)
──MASATAKAさんとLINDBERGのお二方は、いつ頃からのお知り合いですか?
MASATAKA:僕は、テレビの音楽番組とかでずっと観させてもらっていましたから、自分のデビュー前から一方的に知ってましたね。それにね、僕はボイストレーニングを受けていた時期がありまして。そのレッスンスタジオにはトレーニングを受けている方々の名前が道場の名札掛けのように掲示されていたんですけど、その上のほうに“渡瀬マキ”とあった。つまり、渡瀬さんは僕の先輩なんです。
渡瀬:私が高校生のときに通っていたボーカルスクールが名古屋にあって、藤重君もそこに通っていたんですよね。そのことは今日知ったんですけど(笑)。
▲MASATAKA(Vo)
──おふたりとも名古屋出身でした?
MASATAKA:出身は山口なんですけど、大阪→名古屋→東京と徐々に上京していく過程ですね。
渡瀬:私は三重出身なんですけど、高校2年生の時に名古屋の音楽スクールのオーディションに合格したんです。
MASATAKA: レッスンに行く度に“渡瀬さんの名前がある! すげー!”って、名札を拝んでいましたから。僕のデビュー後、共通の知人を介して同じステージに立たせてもらう機会があり、そこで初めてご挨拶させていただいたんです。1990年代後半ですよね。
渡瀬:あのときが一番最初やったっけ?
MASATAKA:そうです。
渡瀬:街中で偶然会ったのが二回目やったん?
MASATAKA:そう、街中というか住宅街でバッタリ(笑)。2000年代でしたっけ?
平川:マキちゃんと2人で歩いていたら、「あっ、藤重君だ!」っていう。
渡瀬:懐かしい(笑)。でも実は、実際に会ったことって、その二回くらいなんですよ。ただ、回数は少ないけど、一回一回がすごく濃いというか。藤重君は少年のように無邪気な感じなので、ギューッと心に入ってくるから印象が強いんですよね。
MASATAKA:たしかにお会いした回数は少ないですけど、すごく親しいんです、僕の中では。一方的に僕が大好きだからなんですけど(笑)。
渡瀬:それは私たちも一緒だよ。LINDBERGの33周年ライブ(<33th Anniversary LIVE “Everything's gonna be alright”>2022.4.25@恵比寿LIQUIDROOM)に藤重君が来てくださったんですけど、そのときは、もう100回くらい会っているような感じで、すごく話が弾みましたし。だけど、その夜、「あれ? 藤重君と私たちって、どうやって知り合ったんやっけ?」みたいな(笑)。
平川:2人で一生懸命記憶を辿って(笑)。
▲平川達也(G)
──会った回数だけでは計り知れない縁の深さがあるんでしょうね。では、MSTKのお二人はLINDBERGにどんな印象を持たれていますか?
AZ:僕が友達とバンドを始めた中学生の頃、LINDBERGさんは新曲をリリースすると『COUNT DOWN TV』とかの音楽番組に必ず出演されていたんですよ。そこで知って、好きになって、深く聴くようになりました。“(平川)達也さんのギターフレーズはキャッチーで耳に残るな。すごいなー”と当時から思ってました。なので、今日はもう感動しかないんです。ご本人を前に嬉しさで震えています(笑)。
MASATAKA:ずっとお聞きしたいと思っていたんですけど、LINDBERGが曲を作るときは、オケとメロディーのどっちが先なんですか?
平川:オケが先だね。
MASATAKA:そうなんですね。AZ が言ったように、LINDBERGの曲はギターリフが印象に残るから、曲作りは達也さんのギターフレーズからなのかな?と思ってたんです。
平川:僕のギターは、キャッチーなリフやフレーズを重視しているんですよ。ギターソロも楽曲の一部みたいに捉えていて。当時からテクニックよりも、そういうことを考えていたから、印象に残るギターが多いんだと思う。
AZ:印象に残るギターフレーズって、テクニックを詰め込んだソロを弾くよりも難しいですよね。
平川:まぁ、もともとそんなに難しいことはできないので(笑)。でもさ、たとえばライブとかで、音源と違うソロを弾くとファンの人が少しガッカリすることがあるじゃない?
MASATAKA:すごくわかります。
AZ:ギタリストには、ライブでアドリブをかましたいタイプと、音源を再現するタイプがいますよね。僕は後者のほうがお客さんに楽しんでもらえるんじゃないかなと思いますけど。
平川:うん。ただね、そこにも葛藤があるんだよ。“ミュージシャンとして、今日はいつもと違うアドリブソロを弾いてやろうかな”という気持ちになることもあるからさ。でも、聴きに来てくれる方々は音源と同じソロを聴きたいだろうしね。そういう自問自答の時期を経て、今は音源を再現するのが正しい選択だと思っていて。お客さんの空気もキターッ!ていう感じになるからね。
MASATAKA:そういう葛藤はボーカリストにもありますね。その場のフィーリングでメロディーを変えるときがあるんですけど、そうするとお客さんは戸惑うみたいなんですよ。なので僕も、やっぱり変えないほうがいいんだろうなというところに落ち着きました。マキさんはどうです?
渡瀬:私は音源と同じメロディーを歌うことしかできないから(笑)。“今日は違うフェイクを入れて歌おう”とか思っても出来ひんもんで、いつでも忠実に歌うしかないんさ。
MASATAKA:逆にそっちのほうが難しいですから。
渡瀬:そうかな……ただね、メロディーは変えないけど、“溜めて歌ってしまう問題”というのがあって(笑)。
平川:ははは! 大御所の方々というか、キャリアを重ねていくと、年々溜めて歌うようになるよね。
渡瀬:そうならないように気をつけなきゃいけないと思っている(笑)。
MASATAKA:自分もです(笑)。……すみません。LINDBERGの印象の話から、すっかり逸れてしまいました(笑)。
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