【レポート+インタビュー】MSTK™、正体を現した初ライブに大人の遊びとサプライズ「改めてバンドって最高」

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2020年9月13日19時。MSTK™は配信という形で初ライブの幕を開けた。

◆MSTK™ 画像

“こんな無責任な間違いだらけの世の中に、あえて思い切り間違えてみる。もっと自由でがむしゃらな、ミステイク”──というコンセプトを掲げ、今年6月に、「LIGHTS」「Prize」「Seven Reasons, Why」という3曲同時配信リリース、それを自らの活動の皮切りとした。そして、2020年の9月13日に、ライブという形で、この日を待ち望んでくれていた多くの観客の前に姿を現わすはずだったのだ。が、世界中の誰もが予測しなかったコロナという疫病の蔓延により、その“本気の大人遊び計画”は、予定通りに運ばなくなってしまったのである。しかし、彼らはお披露目の日であったこの日、配信という形で初ライブを行うことを決めたのだ。

ライブ当日、彼らのプロジェクトに賛同し、集まった多くのCREWたちが“始まりの時”を目の前に神経を集中させていた。リーダーAZのクリエイター仲間が集まった現場とあって、“新人バンド”とは思えない程洗練された現場だ。


▲MASATAKA(Vo)

19時ちょうど。最先端の技術を駆使して創られたVJがブルーのライトに包まれたステージをクールに演出し、“MSTK™”のロゴがヴィジョンに映し出されると、ステージにスタンバイしていたAZ(G)、JIN(G)、O.N.Z.B(B)、Nosuke(Dr)によって1曲目に用意された「Under the Gate」が放たれた。初ライブにしていきなりの新曲投下とは、随分と強気である。しかし、光に満ちたその楽曲の壮大さは、ここから始まっていくプロジェクトを物語るかのように、そこに在るべき姿として見事にハマっていた。

そこへ、フロアからMASATAKA(Vo)がステージへと駆け上がり、中央に身を置いた。ピースは揃った。MASATAKAは、それぞれのメンバーとアイコンタクトを交わし、メンバーの放つ音像の上に唄を乗せた。深みのある歌声は、聴く人を選ばない説得力を感じさせる唯一無二の武器。デビュー25年を積み重ねて来たその歌声は、さすがというべき年輪を感じさせる厚みだ。力強く大きな振りを魅せながら煌びやかなギターで上手を彩るリーダーのAZ。美しいライトハンドフレーズを響かせるJIN。妖しい出立ちと奇妙な仕草からは想像の付かない超絶なプレイを見せ付けるO.N.Z.B。初々しくもタイトなリズムでサウンドを引っ張るNosuke。MASATAKAの歌声を押し上げながらも、大きく包み込むかのようなメンバーが生み出すサウンド感は絶妙な相性だ。そして、この日改めて感じさせられたのは、彼らの持つ個性の広さだった。


▲AZ(G)


▲JIN(G)

“僕たちは歩んできた道を 果てしなく続くこの道を 胸を張り、真正面からブツかって 汗を流してそれでいいんだ”

経験を積んで来た彼らが届けるからこそ、説得力が宿る「Prize」は、どこか懐かしさを感じる柔らかな歌モノ。バンドは若者だけの文化ではないと感じさせる奥行きは、この先もMSTK™というバンドの軸となっていくであろうことを感じさせられた。凛とした佇まいでまっすぐ届けるMASATAKAの歌うバラードは、あたたかく、優しい。

挟み込まれたMCではメンバー紹介も行われたのだが、寸分の狂いもない演奏面とは打って変わって、MASATAKAの振りに対し、全くキャラ設定が固まっておらず、素顔の人の良さがだだ漏れ状態であった自由なスタイルも、逆に“本気の大人遊び計画”の余裕であることを伺わせた瞬間でもあった。キメキメの演奏力と自由度の高いMC。惜しみなく素顔をさらけ出せるのも大人ならではの余裕だ。ここではAZが自らの携帯で視聴者のコメントを拾い、直に質問に答えるという一幕も見られた。コロナの影響で、今やエンタテイメントの軸となりつつある新たなライブスタイル。生配信ならではの醍醐味を感じさせた場面でもあった。

後半戦の1曲目として届けられた「LIGHTS」は、MSTK™が持つ柔らかな個性とは対極にあると言ってもいいハードなロックナンバーだった。MSTK™の処女作であるというこの曲は、往年のハードロックを彷彿させる最高作と言っても過言ではない。この楽曲が処女作とは、さすが“本気の大人遊び計画”である。始まりの衝動が詰め込まれていると感じた同曲では、キャラの定まらない素顔のMCとは異なり、それぞれが個性を爆発させたパフォーマンスを観ることができたのも、とても印象的だった。


▲O.N.Z.B(B)


▲Nosuke(Dr)

この日は無料配信ライブということもあり、5曲という短いライブであったが、MSTK™というバンドが発信していきたいと願うテーマをしっかりと伝えることのできた時間になったと感じた。人間が過去に犯してきた罪や、世界で起こっている事件や災害などの時事ネタと世界を結ぶ広い空が映し出されたVJと、歌詞に込められたメッセージとがリンクし、より深く胸を打ったラスト曲「Seven Reasons, Why」は、無意識に涙が込み上げて来たほどの感動をくれた。

“確かなものなど この世界にはない それは君も知ってるはずさ この長い道のりの先に 何が待っているのか”

最後に彼らが送ったメッセージは、立ちはだかる大きな壁の前で立ち止まっている人達に勇気を与え、“まだ見ぬ未来をともに歩こう”という、未来へと続く約束の提示であった気がしてならない。

と、カッコ良く閉めたいところだが、最後にO.N.Z.Bがアップになり、お面を取るというサプライズが! お面を取るとそこには佐々木健介が!……いやいや、腕の太さが全然違うでしょ!というツッコミなど、SNSでのコメントは感動の締め括りの余韻をバッサリと断ち切られた状況ながらも、最後に笑顔になれるオチが待っていたことに対する喜びのコメントがいつまでも絶えることはなかった。

   ◆   ◆   ◆

次ページに、終演直後の楽屋でメンバー全員に訊いた初ライブの感想をお届けしたい。なお、BARKSでは後日改めて、謎多きバンドのパーソナルに迫るインタビューを公開する予定だ。

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