【インタビュー】deadman、15年ぶり新曲含むリテイクベスト完成「嘘があれば20年前の曲は歌えない」

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■新曲を皮切りに新しいものを
■作りたいなとは思っています

──そして新曲「鐘は鳴る」も収録されました。この曲はいつ頃作ったものですか?

aie:制作のいちばん最後のほうだったんですけど、その頃にはTokiくんもなんでもいける状態になっていて。時間は掛かったけどdeadmanが元に戻ったなという感じで。最後のレコーディングの2週間くらい前に作ったのかな。

眞呼:なかなか集まる時間がなかったというのもあるんですけどね(笑)。昔はわりと曲の制作に時間を掛けていたんですけど、今回はぎゅっとタイトな感じでしたから。

aie:コロナ禍でリリース日程も決めていなかったので、最初はわりとだらだらとレコーディングしてたんですよ。でも、そろそろ完成だなっていう流れから、ぽんぽんとリリース日とかが決まって締め切りが見えて。“ちょっと待て、時間なくない?”っていうので、最後の最後くらいで一気に新曲をやった気がしますね。

──コンポーザーのaieさんとしては、今、deadmanの新曲を書くにあたってどう向かっていったのでしょう。

aie:“いい曲はやめよう”と思ってましたね。お客さんが泣いちゃうような曲っていうのは違うと思うので。アルバムの8曲目っぽい感じというか、“deadmanっぽいわー”っていう曲を狙ったというか。ずっとシングルのB面っぽいものがカッコいいと思ってきた人生だったので。

眞呼:もともとメジャーを経験していないので、そもそも“シングル”というのがわからないんですよ。

──deadmanはこれまでシングルを何作かリリースしていますよね(笑)?

aie:それが全部、B面曲3曲入りみたいな感じなんですよね(笑)。まぁ僕はLUNA SEAもBUCK-TICKも“シングルのB面がカッコいい”と思ってきたので。

眞呼:そうそうそう。本当にそれです。

──それは、オルタナティヴなバンドスタイルや、これまでにない音楽、ひねくれた視点など、そういったルーツにも起因しているんですかね。

aie:なんだろうな。メンバー以外が自分たちの音楽に口出ししてくるような状況にいたことがなかったので。なんとなく、“この時期にシングルを出しましょう”となったら、そのとき出来ていた新曲がシングルになっちゃう。あまり考えてないというか(笑)。なんなら僕たちの気持ちの上では全曲シングルでもいいし。たまたまその時のいちばん新しい曲を“じゃあ、これをシングルにしますよ”っていう流れが多いかな。

──改めてこのメンバーで新曲を作っていく過程はどうでしたか?

aie:スタジオで合わせてゾクッとしましたね、“カッコいいじゃん”って。懐かしかったし、その場でリズム隊がアレンジを作っていく感じとかもよかったですね。

──すごくエッジの効いたサウンドになりました。

aie:deadmanでやってこなかったビートにもなっていますし、それでもわりと馴染むという。それにレコーディングしながら、cali≠gariと回ったツアーで一緒に曲(「死刑台のエレベーター」)を作ったので。そこを一回挟んだのもデカかったかもしれないです。


──ちなみにcali≠gariとのツアーのサポートドラマーは叶亜樹良(氣志團サポート)さんでした。これまでのライヴやツアーでは、晁直さんやLottoさんなど様々なサポートドラマーを迎えましたが、ドラマーとともにグルーヴが変わったり、曲に変化が生まれたり、という面白さもありますか?

aie:人によってグルーヴが違うのは面白いですよね。“deadmanだからこういう風にしてください”とは言わずに、亜樹良さんなら亜樹良さんの好きに叩いてもらったり、LottoくんはLottoくんの好きにやってもらって、それを楽しむというか。みんな違うから面白い。まぁそれは、僕とベースのkazu (gibkiy gibkiy gibkiy / the god and death stars)くんの演奏が上手いからできる技ですけどね。ドラマーが替わっても全然合わせられるので(笑)。

眞呼:はははは。

──そういったライヴからヒントを得て、今回のリテイクのアレンジや、新曲制作につながることもあったのでしょうか?

aie:それはないかな。今はやっぱり、過去を再現しているというほうが近いので。あえてガラッとアレンジを変えたり、“今の時代に合わせるならこういうアレンジがいい”とかはやらないようにしています。好きなミュージシャンがリテイクとかでアレンジを変えちゃってがっかり、ということを僕自身も体験しているから。過去のものは過去のものだし、お客さんがイメージを持っている曲はできるだけそのままにして、その中で自分でなんとなくやりたいことが見つかったら、それが新しい曲になっていくんじゃないかな。今は僕らも、当時のものを再現していることを楽しんでいる感じですかね。

──新曲「鐘は鳴る」が収録されたことでファンの方も希望を持つと思うんです、deadmanのこの先について。今作以降についての活動はどのように考えていますか?

aie:もうやめることが、やめになったので。北海道から九州まで15本くらいのツアーができるような状況になることを夢見つつ、今は過去を振り返っている状態ですけど、新曲を皮切りに新しいものを作りたいなとは思っていますね。酒の席ではありつつ、「その場合、晁直とkazu君、手伝ってくれる?」って聞いたら、「やります」と言ってくれたので。「じゃあ、昔ながらのバンドっぽいやり方で作ろうか」っていう。たぶん今は、lynch.もそういう作り方をしてないだろうし、そういう面では晁直も面白いだろうと思うので。ロックバンドっぽい作り方で、新しいdeadmanの新曲ができるといいな、ということは考えています。

──とても前向きな感じですね。

aie:暗いですからね、世の中が。ちょっとはよくしていかないと。


──バンドを再開しながらも、コロナ禍でライヴができない状況もありました。そこで痛感する“ライヴ”というものの良さ、面白味や、大事だったものが浮き彫りになった感覚はありましたか?

aie:これだけ長いことやっていても、初めての経験がすごく多いですね。お客さんとのディスタンスだったり、声を出してはダメだったり、換気タイムが必要だったり。まだまだこんな壁があったかと思いましたし。一旦調子に乗ったけど、まだ全然ダメでしたっていう感じもありました。ただ、それも楽しく考えながら。

眞呼:楽しいね。

aie:コロナ禍の最初の頃はお客さんも、“この時代にライヴを楽しんでいいんだろうか?”って半信半疑で参加していたと思うんです。そういった緊張感もだんだん和らいできて、最近はステージの温度にちゃんと反応できてる。こうして徐々に徐々に元に戻っていって、コロナ前に予定していたライヴを全部やりたいと思っています。それだけ時間がかかるということは、もしかしたらアルバム1枚分くらいの新曲が出来ているかもしれないし。“コロナのせいにしながらも前向きになったおかげで、新譜が出来ました”みたいなのでいいかなって思いますね。

──今回のリテイクアルバムのタイトル『I am here』には、そういった思いも込められていそうですね。

aie:『deadman Super Best』とかでもよかったんですけどね、別にタイトルは。

──そのタイトルはガラじゃない気がしますけど(笑)。

aie:ははは。特にこだわりもなく、お客さんがちょっとでも喜んでくれれば。未来が匂う匂わないは置いといて、なんとなく我々は一区切りついたというか。今回のリリースツアーは名古屋、東京、大阪の3本ですけど、本当はもっと回りたかったんですよ。ただ、世の中的にライヴが復活してきて、なかなか会場が空いていない、ということもあって。

──多くのバンドやアーティストがライヴを再開しているので、そういう状況にもなってきているんですね。

aie:なので、先々のスケジュールを組んでいかないといけないということもあって、今回のツアー中に打ち合わせをしながら、2023年、2024年のことも考えられればと思っています。

──ますます<deadman 2022 tour「毒と薬と炉の鼠」>が楽しみです。

aie:2021年12月4日に新宿ロフトでdeadmanとthe god and death starsと、眞呼さんの新しいプロジェクトLOA-ROARの3バンドでライヴ<DAVID SKULL NO RECORDS 20th anniversary 『-GOD MAN-』>を実施したんですけど、アンコールだけKazuyaくんとTokiくんが入って、当時のdeadmanのメンバーでやったんです。同窓会みたいな感じで楽しかったんですけど、それをやったことでふたりが調子に乗り始めていて。「いつでも出るよ」みたいな感じになっているので(笑)。

眞呼:ははは。逆に一応できたものの、緊張に押し潰されそうで“もうやりたいくない”ってなってた可能性もあったわけじゃないですか。そういう感じではなく、ふたりが「やれる」「やりたい」と感じてくれたのがよかったと思いますね。

取材・文◎吉羽さおり

■リテイクベストアルバム 『I am here』

2022年1月15日(土)CDリリース
2022年1月21日(金)配信スタート

【一般流通盤】DCCA-92  3,850円(税込)
01. 向日葵
02. quo vadis
03. 溺れる魚
04. monster tree
05. ドリスからの手紙
06. 体温
07. 受刑者の日記
08. re:make
09. 蟻塚
10. 鐘は鳴る(新曲)

▼『I am here -DISC 2-』
【会場通販限定盤】DCCA-93 2,700円(税込)
01. 盲目の羽と星を手に
02. kafka
03. 桜と雨
04. bodybag No.
05. 701126
※MAVERICK STOREにて通販決定
https://www.maverick-stores.com/deadman/

■『I am here』発売記念インストアイベント

日程:2022年2月5日(土)19:00~ ※集合時間 18:30
場所:タワーレコード新宿店 9Fイベントスペース
内容:私物サイン会
対象店舗&お問合せ先:タワーレコード新宿店 03-5360-7811
対象商品:2022年1月15日(土)発売「I am here」(品番:DCCA-92)
参加方法:ご予約者優先で、deadman「I am here」(DCCA-92)を1枚ご購入の方に先着で、『私物サイン会参加券』を1枚配布致します。複数枚ご購入のお客様には、同数の『私物サイン会参加券』をお渡し致します。
http://deadman.jp

■<deadman 2022 tour「毒と薬と炉の鼠」>

1月22日(土) 名古屋 CLUB QUATTRO
2月06日(日) 渋谷 CLUB QUATTRO
2月11日(金/祝) 梅田 CLUB QUATTRO
▼チケット
前売:¥7,000 (税込)
※座席指定/入場時ドリンク代別途必要/スマチケのみ(分配可)/各公演1人2枚まで/同行者登録有り
一般発売日:2021/12/11(土)
https://eplus.jp/deadman/
※未就学児入場不可・営利目的の転売禁止



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