【今さら聞けない楽器のア・ソ・コ】お題「複音ハーモニカ」
“楽器”と一口に言っても、多種多様さまざまな部品から構成されているのはご存知の通り。え、そんなの当たり前じゃない?的なものから、和楽器のマニアなところまで、今さら人には聞けない“楽器のア・ソ・コ”、ご紹介します。第30回のお題は「複音ハーモニカ」です。
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1つの音に対して2つのリードを持つハーモニカで、トレモロ・ハーモニカとも呼ばれる。構造的には、上下2段に穴が並んでおり、各穴に対して1つのリードを持つ。上下ともに同じ音だが、リードの調律をわずかにずらしてあり、それを同時に吹く(もしくは吸う)ことによって微妙なビブラートが生まれ、豊かな音色を奏でる。
基本的には1つの音階だけを吹くように作られいているため、曲のキーに合わせて、それに対応するハーモニカに持ち替える必要がある。
現在では、穴が1列のみのシングル・ハーモニカが主流だが、ハーモニカが日本に初めて輸入された明治中期から大正、昭和初期までは複音ハーモニカが主流で、多くのハーモニカバンドが活躍した。戦後、音楽教育にハーモニカが活用され、教育用のシングル・ハーモニカが多く作られたことで、ハーモニカといえばシングル・ハーモニカを連想する人が多くなったと言われている。
文:竹内伸一
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