【インタビュー】村田隆行、楽器ブランド立ち上げ「ベース本来の“鳴り”をローコストで伝えるということ」
■Mulatto Bassの演奏性には自信があります
■弾いたらみんなビックリするんじゃないかな
──コントロールノブが5個ありますが、その役割は?
村田:各ピックアップのボリューム(×2)と、トレブル、ミドル、ベースです。僕個人はぶっちゃけ、ミドルはいらないんですよ(笑)。電気回路は増やせば増やすほど音が悪くなるじゃないですか。だから出来る限りシンプルにしたかったんですけど、僕が監修したアクティヴサーキットを作ったときに、ミドルがあるタイプとないタイプを試してみたら全く音質に差がなかったんですね。だったら、ミドルコントロールが好きなベーシストも多いだろうから、付けておいたほうが喜ばれるだろうし、ミドルを少し絞るとさらにジャズベースみたいなタイトな音になる。逆に、それこそ0.5くらい上げるとプレベっぽいヤンチャな音になります(笑)。
──それは試し甲斐がありますね。ちなみにバランサーではなく、各ボリュームのノブにしたのは?
村田:バランサーも抵抗をかますので、やっぱり歪むんですよ。なので、それぞれのピックアップを独立して調整できる2ボリュームにしました。バランサーのほうが使いやすいという人がいるのもわかるんですけど、それよりも音質を優先して。
▲MUSICMAN StingRay Bass
村田が昨年2020年に入手した1979年製。アーニーボールに売却される前の3点止めネックジョイントを採用したモデルだ。村田曰く、「僕は1970年代のプレアーニー期のスティングレイが大好きで、これは3本目です。当時のスティングレイは、ネックがダメになるんですよね。2本目のスティングレイも音は最高だったけど、ネックが調整不能になってしまったので手放して。この3本目は音も状態も素晴らしいし、この時代のスティングレイは薄いネックなんですが、これは厚みがあるタイプ。もう即購入しました」。スティングレイのパワフルかつ粘りのあるトーンを活かして、よりファンキーな楽曲やロックチューンで使用することが多いそうだ。
──嬉しいポイントだと思います。さらに、ヘヴィデューティーなブリッジが搭載されていることも見逃せません。
村田:TAURAMの社長は、アジア工場やパーツなどの流通網をたくさん持っている人なんです。僕がこだわったのはニッケルのブリッジにしたいということ。ブラスが苦手というか、ヴィンテージベースのようなサウンドにしたいならニッケルなんですよね。あとは、見た目がカッコいいブリッジを搭載したいというリクエストを出したら、その社長が数あるブリッジの中から厳選してくれました。
──細部を見ていくと、ヴィンテージとコンテンポラリーの良いところを融合させたといえますね。特に驚いたのが価格です。写真とスペックを見た限りでは、25万円くらいするのかなと思ったのですが、税込で9万9千円。10万円を切ってるんですね。
村田:10万円以下という価格にもすごくこだわりました。ヴィンテージとかハイスペックな楽器を知り尽くしている人は、安物を一発で見抜けるじゃないですか。たとえば、パーツ類の質感、カラーリングの風合い、ピックガードを止めるネジの種類や位置など、細かい要素にならではのものがいろいろある。実際の価格よりも品質が高いと感じてもらえたのだとしたら、それらに対するこだわりがかなり効いているんだと思います。それに、今日持ってきたのは白いモデルなんですけど、フラットなホワイトではなくてオフホワイトなんですね。僕はイングヴェイ・マルムスティーンが大好きなので、彼の1972年製のDUCK(フェンダーストラトキャスター)みたいな黄色がかったヴィンテージホワイトにしたかったんですけど、リッチー・ブラックモアみたいなホワイトが仕上がってきたんです。ところがそれが実にいい色だったので、そのまま採用しました(笑)。
──落ち着いた色味も魅力的です。Mulatto Bassは上位機種に肩を並べるクオリティーですので、個人的にはぜひベーシストのみなさんに実物を弾いてほしいと思います。
村田:弾いたらみんなビックリするんじゃないかなぁと。お茶の水の楽器店に仲良くしている方がいるんですが「こんなベース作ったんですよ」って、営業する気なんかはもちろんなくて弾いてもらったんですね。そうしたら、「これ、うち独占で販売させてもらえません?」と言ってもらえたんです。楽器販売のプロがうなるくらいですから、楽器の演奏性には自信があります。
▲AGUILAR Tone Hammer 500
ソリッドステートのプリアンプとクラスDパワーアンプの組み合わせにより、軽量コンパクトながら500Wの出力を誇る。村田曰く、「この大きさでしっかりとコシのある音がするんですよ。コンパクトなアンプはボリュームを上げるとリミッターがかかったり、遠鳴りしたりすることが多いんですね。僕は古いアンプを使ってきた世代なのでアンプにはコシがほしい。それがアギュラーはちゃんとあるんです。D.Iアウトもすごく良くて、信頼するエンジニアさんをはじめ、音響のプロが“このD.Iアウトは使える”と言っているんです。アギュラーはキャビネットもすごく上質です」とのこと。
▲MODERN PIRATES製オリジナルストラップ
村田のために制作されたオリジナルストラップ。ホワイトのストラップはクロコダイル加工が施されたレザーにスタッズとスワロフスキーがあしらわれたもの。一方のブラックはスカルドットパーツやスタッズが醸し出すクールなイメージが魅力的だ。異なるテイストながら共にゴージャスで、ステージ映えは抜群。装飾類はもちろん、レザーにも最上級のマテリアルを使用していることから肩に馴染みがよく、疲れにくいという。村田曰く「2016年に作ってもらいました。装飾がきれいなMODERN PIRATES Vintage Design 004をベースにして、僕が以前からイメージしていたストラップを具現化してくださったんです」とのことだ。
──発売が待ち遠しいですね。いつ頃のリリース予定ですか?
村田:本当はすでに発売中の予定だったんですけど、コロナの影響で遅れています。TAURAM製ベースはベトナム工場で作っていて、最後のサンプルがパッキングされてナンバーまで出ている状態なんです。ところが、コロナの感染拡大を受けて、国から工場閉鎖命令が出てしまったそうで。ベトナム工場は、目指すクオリティーを担保できるので、変更したくないんです。それに、ベトナムから製品が日本に到着したら、検品のみならず、一度全部バラして日本のスタッフが組み込みや最終的な調整をして仕上げます。つまり、“Crafted In Japan”ということですね。そこまで手間をかけて9万9千円ですから、我ながら、すごいことをしていると思います。儲けはないです(笑)。
──こういうプレイヤーにお薦め、というのはありますか?
村田:さっきも話したように、本体の鳴りがすごいので、これからベースを始める人とか、最初にすごく安いベースを買って、2本目はどうしようかなと思っている人とか、若い世代にお薦めしたいです。スペック的には21フレットだったり、アクティヴサーキットだったり、現代ベースに求められるものはある程度装備されているので、コンテンポラリーなスタイルのベーシストにもぜひ弾いてほしい。それに、カスタムベースが流行った1980年代に青春期を過ごした人達にもチェックしてほしい。“こういう改造、考えたことあるな”っていう仕様を活かしているので、面白さを感じてもらえると思います。
──つまり全世代ですね。
村田:はい(笑)。“高い楽器=良い音がする”のは事実だし、そこを基準にして楽器をチョイスすることも間違いではない。だけど、高級志向の一点だけに価値観が縛られていない人には絶対驚いてもらえる自信があるんです。だから、すべてのベーシストに一度手に取ってもらいたいですね。
取材・文◎村上孝之
撮影◎佐藤哲郎
撮影協力◎Mzes Tokyo
■TAURAM Mulatto Bass
Neck & Fingerboard:Maple (21F)
Pickups:Original PU
Preamp:Original Preamp (3BandEQ)
Control:Volume(×2), Bass, Middle, Treble, Active/Passive SW
価格:99,000円
※市販品にはAsh body & Maple Fingerboardに加え、Alder body & Rose Fingerboardが用意される予定。
■1st Solo Album『THE SMILING MUSIC』
MZJZ-00002 ¥3,300 (税込)
Mzes Recordz ※国内盤CD
▼収録曲
01. PUNKADEMIC
宮崎隆睦(Sax) / 是永巧一(G) / 白井アキト(Key) / 坂東慧(Dr) / 村田隆行(B, G, Syn, Prog)
02. Taj Mahal’s Lunar Eclipse
寺地美穂(Fl, Sax) / 村田千紘(Tp) / マサ小浜(G) / 白井アキト(Key) / 川口千里(Dr) / 村田隆行(B, G, Syn, Prog)
03. Fun Day
宮崎隆睦(Sax) / マサ小浜(G) / Nobu-K(Key) / 村田隆行(B, Prog)
04. Play Alone
村田隆行(B)
05. Life Goes on
牧山純子(Vn) / 梁邦彦(Pf) / 宮崎裕介(Syn, Strings Arrangement) / Makoto Izumitani (Dr) / 村田隆行(B, G, Syn)
06. Roots & The Style
是永巧一(G) / 白井アキト(Key) / Makoto Izumitani (Dr) / 村田隆行(B, Prog)
07. Lion & Cats -TM’s Jam-
TM Stevens (B) / 日野“JINO”賢二(B) / 村田隆行(B, Prog)
08. I’ll be Here
白井アキト(Key) / 村田隆行(B, G, Prog)
09. Interlude (Life Goes On)
梁邦彦(Pf)
10. HOME BASS
鳴瀬喜博(B) / IKUO(B) / 大高清美(Org) / 坂東慧(Dr) / 村田隆行(B, G, Prog)
http://www.inpartmaint.com/site/32338/
■The Choppers Revolution<秋の夜長のベースナイト 3人はいつも元気です。~結成10周年目前LIVE~>
・1st Stage:open14:00 / start15:00
・2nd Stage:open17:00 / start18:00
▼チケット
Service Area : ¥6,500
Casual Area : ¥6,500
▼ミュージシャン
鳴瀬喜博 (B)
IKUO (B)
村田隆行 (B)
川口千里 (Dr)
白井アキト (Key)
■I.T.R fnat, 山崎慶<Bass Life Goes On〜帰ってきた秋のパン祭り〜>
open17:45 / start18:30
▼チケット
前売4,500円 当日5,000円
※2ドリンク別途要
※予約順指定席(椅子のみでテーブルはございません)
※当日フードの提供はございません
10月28日(木) 東京汐留ブルームード
open17:30 / start18:30
▼チケット
前売4,500円 当日5,000円
※整理番号順に整列していただいてからご入場いただく関係上、当日は開場時間の15分前にお集まりいただきます様お願い致します。開場前にいらっしゃらなかったお客様につきましては整理番号通りのご入場はできません。あらかじめご了承ください。
※全席自由席となっております。
※ご購入いただいたチケットのキャンセルは可能ですが、公演自体が延期または中止となった場合のみ返金可能となりその他の場合は返金不可となっております。あらかじめご了承ください。
▼ミュージシャン
IKUO (B, Vo)
村田隆行 (B, Vo)
山崎慶 (Dr)
白井アキト (Key)
■The Choppers Revolution<ツインドラム・スペシャル 〜アンコールライブ in 横浜>
・1st Stage:open14:00 / start15:00
・2nd Stage:open17:00 / start18:00
▼チケット
Service Area : ¥6,500
Casual Area : ¥6,500
▼ミュージシャン
鳴瀬喜博 (B)
IKUO (B)
村田隆行 (B)
坂東慧 (Dr)
川口千里 (Dr)
白井アキト (Key)
■The Choppers Revolution<Bass Day Special Month チョパレボ & Bass Friends>
・1st Stage:open14:30 / start15:30
・2nd Stage:open18:00 / start19:00
▼チケット
Service Area : ¥6,500
Casual Area : ¥6,000
▼ミュージシャン
鳴瀬喜博
IKUO
村田隆行
●Support musician
川口千里(drs)
長﨑祥子(key)
and ゲストベーシスト多数
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