【俺の楽器・私の愛機】466「このギターを市場で見かけたらすぐに保護してください。」

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【Gibson Marauder】(神奈川県 はまたろう ゆとりど真ん中)


50s 60sのヴィンテージがちやほやされる一方、「70年代のギブソン…?」というリアクションがかなり多くのギタリストの間で見られます。

Gibson黄金期を築いたテッド・マッカーティの退職、ECL傘下への加入、68年からのレスポールの再生産など激動の時代を経た後、従来のレスポール、SG、ESなどに加えて、70年代にはGibsonからいくつもの新モデルが生産されていました。

そんな時代に生み出された異彩を放つチャレンジモデル、Gibson Marauderが今回の1本です。

一部の仕様からフェンダー社をかなり意識していたことが感じられますが、「Marauder」という名前に込められた意味は、文字通り「(人気を)略奪してこい」という意味だったのか…。真相はわかりませんが、マイナーチェンジをしつつも約5年で生産終了しているところを見ると残念な結果に終わってしまったのだと思います。

特にこのピックアップが曲者で、ペケペケします。とにかくペケペケ。フロントでもセンターでもリアでも驚きのペケペケサウンド。それでもこのピックアップはビルローレンスの設計と聞いて驚いた記憶があります。曲がりなりにもレスポールシェイプのボディをしているのだからもう少し骨太なサウンドが期待されても仕方ないと思うのですが、逆によく5年も作っていたな…というレベルです。ユニコーンの「ペケペケ」をコピーするくらいしか使い道がありません。


さて、さんざんネガティブな説明をしてしまいましたが、そんなことを忘れてしまうくらい、とにかくこのギターは見た目が最高なのです。

フライングVのヘッドにレスポールのボディ、美しい流線形を描くピックガード、クリアのプラスチックケースに収められ妖しい輝きを放つ2基の特徴的なピックアップ... 。

私は派手に歪ませたり、速弾きをしたりといったギタリストではなく、ギターのことは「6弦で構成された短音も和音もいけるオシレータ」くらいに思っているで、見た目が最高だったら音は別に何でもいいのです。

見た目といえば、通常このモデルはトラスロッドカバーの印字はシンプルに「Marauder」の文字が入っているだけなのですが、私の個体にはアールデコ調の装飾が加えられています。このちょっとした違いの背景はわかりませんが、とにかくこの点もお気に入りポイント。なぜなら音は二の次だからです。


中古市場でみかけるものは、MarauderをMarauderたらしめるこの特徴的なピックガードの一部が欠けてしまっていたりもするのも多いのですが、このギターはそんなこともなく非常に美品で、ナットを除いてほぼ全てがフルオリジナルで現存してくれていたところを運よく入手しました。Marauderの発売は75年なのですが、パーツのシリアルが74年生産という表記のため、もしかしてこれは貴重な1stロットなのではないかと思うと余計に愛おしく感じます。

Gibsonオーナーの中でもあまり知られていないこのギターですが、著名な音楽家で誰がこのギターを使っているのかというと、筆頭にあがるのはKISSです。

しかし、それが何を意味しているのかというと…そう、Marauderはツアーの度に燃やされたり壊されたり…KISSの派手なパフォーマンスとろくでもない観客のハイテンションのせいでMarauderは幾度となくとんでもない目に遭ってきました。ポールスタンレー許すまじ…あまりのKISSの憎さに、今ではデーモン閣下の白塗りを見ただけでも胃のむかつきを覚えるようになりました。(その昔、私がVANSとKISSのコラボスニーカーを履いてバンドをやっていた過去はここでは不問とします)。

先述の通り、このモデルの生産は短命だった為(とある資料によると、このナチュラルカラーだけでも生産数は約4700本程度の模様)、KISSがライブをすればするほど、貴重なMarauderたちは地上から消えていくのです。

2018年、KISSが「今回のワールドツアーを終えたら活動休止する」との発表を行いましたが、COVID19によりツアーは現在延期中。

「あのツアーが再開されたらまたMarauderたちが燃やされてしまうのかな…」と思うと、現存する全てのMarauderは今のうちに私が買い占めて、保護猫カフェならぬ保護Marauderカフェでも経営したほうがいいかもしれない…という気になってきました。それくらい、私はこのギターを気に入っています。それでは皆様、保護Marauderカフェ実現の為の出資をお待ちしております。



   ◆   ◆   ◆

おー、マローダー。カーバスよりまともな珍品きたー。そのトラスロッドカバーは初めてみました。なんだろ、そのデザイン。全然違うのにふとREOスピードワゴンのロゴを思い出したのは時代がかぶっているからでしょうか。マローダーってギブソンが産んだ不思議ちゃんだと思っているのですが、一番の違和感はフロントPUの位置。なんでそんなに下げたんでしょうね。何らかの戦略か手が滑ったかのどちらかなのでしょう。ホントは「ピックガードのデザインを優先したら下がっちゃった説」に一票です。ペケペケ。(JMN統括編集長 烏丸)

★皆さんの楽器を紹介させてください

「俺の楽器・私の愛機」コーナーでは、皆さんご自慢の楽器を募集しています。BARKS楽器人編集部までガンガンお寄せください。編集部のコメントとともにご紹介させていただきますので、以下の要素をお待ちしております。

(1)投稿タイトル
 (例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
 (例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
 (例)トラヴィス・ビーン TB-1000
 (例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
 (例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
 (例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
 ※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
(5)写真
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