【インタビュー】SARD UNDERGROUND、ZARD制作陣と作り上げた初のオリジナルアルバム「挑戦さえすれば新発見や出会いがある」
SARD UNDERGROUNDが9月1日(水)、アルバム『オレンジ色に乾杯』をリリースする。アルバムとしては『ZARD tribute II』以来、約11ヵ月ぶり。しかしながら今作はトリビュートアルバムではなく、ZARD制作陣と作り上げた自身初のオリジナルアルバムとなるもの。また、5月には赤坂美羽(G)が体調不良を理由に脱退するなど、バンドとしての危機を乗り越えてリリースされる作品だ。新境地にして、新たなる決意を胸に未来へ歩き出した3人の想いが込められたボーナストラックを含む全11曲が届けられる。
◆SARD UNDERGROUND 画像 / 動画
神野友亜(Vo)の作詞という、強力な魔法の杖を手に入れたSARD UNDERGROUNDが、新しい物語の扉を開く時が来た。初のオリジナルアルバム『オレンジ色に乾杯』は、アニメ『スナとマヌ』主題歌「ブラックコーヒー」などオリジナル曲をはじめ、ZARDの坂井泉水による未公開詞に曲を付けた「少しづつ 少しづつ」(アニメ『名探偵コナン』エンディングテーマ))や「これからの君に乾杯」のほか、坂井泉水の最後の未公開詞となる新曲「恋はいつもドラマティック」などを収録。坂井泉水の未公開詞3曲を除く8曲の作詞を神野友亜が担当したほか、ZARD作品で知られる大野愛果や徳永暁人などが作曲陣に名を連ねた。2019年にZARDのトリビュートバンドとして結成され、今年からメンバー脱退を経て3人編成となり、着実に変化と成長を遂げてきた3人の本音をじっくりと聞いてみた。
◆ ◆ ◆
■不安もちょっとあったんですけど
■自信を持って聴いていただきたい
──『オレンジ色に乾杯』は、初のオリジナルアルバムということもあって、すごく初々しくて、素敵なアルバムだと思います。メンバーそれぞれ、どんな手応えがありますか?
杉岡:せつない曲や、ポップで明るい曲や、いろいろな表情が見られるアルバムだなと思っています。
──まさにそうですね。そうそう、あとでみなさんにお気に入りソングを聞くので、今のうちに考えておいてもらえると。
杉岡:もうあるので、大丈夫です(笑)。
──よかった(笑)。では坂本さん。
坂本:坂井泉水さんの未公開詞の曲もあって、私たちのオリジナルの曲もあって、本当に魅力がいっぱい詰まったアルバムだと思うので。たくさんの人に聴いてもらいたいです。
▲神野友亜(Vo)
──神野さんは?
神野:坂井さんの未公開詞を含めて、新しい曲が8曲入っていて、制作はすごく楽しかったです。最初にアルバムを作ることになった時は、オリジナルに踏み込む不安もちょっとあったんですけど、制作を終えると、みなさんに自信を持って聴いていただきたいと思える曲がたくさんできたなと思っているので、すごくうれしいです。早く聴いていただきたいです。
──坂井泉水さんの最後の未公開詞による新曲は、「夏の恋はいつもドラマティック」。この歌詞は、どんな気持ちで歌いましたか。
神野:この歌詞は、主人公の優しさがすごく伝わってくるので、歌っていてすごく優しい気持ちになりました。また新しい坂井泉水さんの歌詞に出会えたことに喜びを感じながら、本当にいろんな感情を込めて、あとは坂井泉水さんの力強くも優しい歌声に寄せられるように、いろんなことを考えながら歌いました。
──確かに、曲調は明るいけれど、いろんな感情のグラデーションが入っている感じがします。
神野:歌詞はすごくせつないんですけど、曲が明るいので、坂井泉水さん特有の、相手を応援する感じの曲になっていると思います。
杉岡:「夏の恋はいつもドラマティック」は、すごく強気な女の子が、素直に自分を全部さらけ出している曲だなと思います。坂井泉水さんの歌詞は、優しく寄り添ってくれるものが多いと思うんですけど、一度聴いたら頭から離れないというのが、さすが坂井さんだなと感じました。
坂本:聴いていてすごく優しい、あたたかい気持ちになりました。それと、曲全体がライブ感のあるサウンドで、より歌詞がストレートに響いてくるなと思いました。
──アルバムの中でもとても大事な1曲になっていると思います。そして神野さん。今回、書き下ろしの歌詞がたくさんありますけど、普段から作詞ノートとか、作っているんですか。
神野:はい。短い詞をいっぱいためたファイルがあります。
──どういう時に、言葉を思いついたりします?
神野:ふとした瞬間に、何気ない景色を見て出てきた感情や、思ったことを、しょーもなくてもいいから全部書こうという感じです(笑)。
──あはは。しょーもなくてもいいから(笑)。
神野:どうでもいいなという文章でもいいから、とりあえず書こうというふうにしています。それも、ちょっと置き換えるだけで、すごくいい言葉になったりするので。
──そこ、掘り下げてみたいんですけど、たとえばアルバム1曲目「オレンジ色」は、どういうイメージの言葉から書き始めたんですか?
神野:「オレンジ色」は、メロディを聴きながら、出てきた言葉を書いていきました。最初が“急ぎすぎているくらいの日々が私には居心地が良くて 恋なんて興味がないよ”という歌詞なんですけど、私の心情もけっこう入れていて…。
──そうなんですか? ヤバイじゃないですか(笑)。
神野:いえ、そういうことだけではないんです(笑)。日常で、“私、興味がないから”みたいな感じで、やらずに終わることってあるじゃないですか。そういうことがすごくもったいないなと感じた時に、この歌詞を書こうと思ったんですね。挑戦さえすれば、新しい発見や新しい出会いがたくさんあるので、“興味がないよ”から始まってますけど、最終的に主人公は恋をして、いい人に出会っているので、そういうものをテーマに置きながら作詞をしました。
▲杉岡泉美(B)
──ちなみに今回、歌詞を書きあげるのに一番苦労した曲って、どれだったりします?
神野:「イチゴジャム」です。「イチゴジャム」は本当に、一番長い期間をかけた気がします。もともと「ブラックコーヒー」と同じぐらいの時期に制作を始めていたんですけど、何回も歌詞がやり直しになって、時間がかかりました。
──それは今思うと、何が難しかったんだろう。
神野:曲調は明るいんですけど、私は最初に、せつない言葉をはめたんですよ。そうしたら「このはめ方は合っていないんじゃないか」と長戸(大幸)プロデューサーにご指摘いただいて。けっこう考えて、“どうしたらいいのかな?”と詰まってしまった時に、さっきお話した一行詞とか二行詞とかを書きためていたファイルを持って長戸さんにもう一回お話に行って。その時に、「この一行、いいんじゃない?」という言葉を選んでくださったんですけど、それが“君に作ったイチゴジャム 甘さは控えめが心地いい”だったんです。「これはいい歌詞だから、“イチゴジャム”というタイトルで書いてきて」と言われて、そこから考えていきました。
──それは、ナイスアドバイス。
神野:はい。「イチゴジャム」というタイトルだったら、せつない感情を入れてもちょうど良くなるから、さすがだなと思いました。
──すごく面白いエピソード。毎回勉強ですね。
神野:勉強です(笑)。
▲坂本ひろ美(Key)
──たとえば、神野さんがそうやって歌詞に苦戦している時って、メンバーはどんなふうに見守っているんだろう。
坂本:書いているところは見ていなくて知らないので、いつも通り近くにいるという感じですね。会った時はいつも通り接するという感じです。
──神野さん、顔に出さないタイプなのかな。考え事をしていたとしても。
坂本:元気な時と、疲れている時の違いはわかります(笑)。でもあんまり見せないというか、いつも通りの友亜ちゃんでいてくれるので。
神野:それは、いつも通りに迎えてくれるから。
──いい関係です。あらためて、今回から3人編成になって、バランスって変わりました?
神野:変わらないですね。最初はどうなるんだろう?という感じで、驚きと悲しみでいっぱいいっぱいになっていたんですけど、いざ3人で会ってみると本当に変わらないです。安心して、前を向けました。
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