【対談】感覚ピエロ 滝口大樹 × イラストレーター 深井涼介、初コラボがアパレルで実現「出力すべきフラストレーションを共有した」

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■着心地がいい。僕は関西人なので
■“良いものを安く”なんです(笑)

──滝口さんが今回のコラボで意識したところは?

滝口:カットソーはシルクスクリーン、Tシャツが昇華転写、パーカーはインクジェットと、プリント方法を変えています。あとは単純に着やすいですね。そもそもCICL.に関しては年齢を気にせず着られますし、Canaan自体がレディースからユニセックスなんですよ。僕が服を着る時、“メンズだとサイズがデカいな”って感じることが多くて、結局レディースでパンツとかを見繕ったりすることもあったので。ただ、レディースだと肩幅がしんどいので、メンズも着れるレディースだったり、Canaanはあえてメンズって打ち出さずにレディースに寄せていこうと思いましたね。とにかく自分が気に入るものを作りたかった。深井さんが、アパレル用のTシャツに線画を書き下ろしたのは今回が初めてなんですよね?

深井:はい。今回はいつものイラストとはテイストが異なるものを作りたかったんですが、「これでは深井さんじゃない」と言われないように、いつもの感じを残しつつ、モード系を意識しました。

滝口:「モードっぽくするために、カットソーは線画でいこう」って、描いたものを送ってもらいましたよね。

深井:いつもの線画だと主張が弱いので、“線画で見せるための勢いと太さも必要だな”と思って、それ用の書き下ろしを最初に送ったんです。だけど、イメージ以上の仕上がりでした。自分で“こんなの描けるんだ!?”って思ったくらい(笑)。


▲滝口大樹 (感覚ピエロ / B)

──8月7日から9日間、渋谷PARCO 3Fのポップアップにて店頭先行販売が実施されるそうですが、ぜひ店頭で実際に服を手に取って見ていただきたいですね。

深井:渋谷PARCOにふらっと来た人が、初めてこのコラボ服の存在を知るっていう感じでもいいと思っているんです。そういう人たちも思わず足を止めるような絵が描きたいというのはありましたね。

滝口:お互いに新しいところを狙った感じはあるよね。ぶっちゃけ僕はCanaanについて“感覚ピエロの滝口がやってるブランド”っていう押し出しをしたくなくて。普通に服屋さんで“これ、いいな”って買ってくれた人が、後でCanaanを調べたら「感覚ピエロの人がやってるブランドなんや!?」って気付いてくれるような感じでいいんですよ。

深井:僕もまったくそうで。ファンの人に買ってもらえることもありがたいし、僕のことを知らない人も「これ買ったんだけど、いいよ!」と思ってくれたら、いいですよね。

滝口:だから、このコラボ服をきっかけに、感覚ピエロや深井涼介を知ってくれたらうれしい。そもそも僕は、カットソーに深井さんのイラストが載ったことだけでうれしいので。

──ちなみに、お2人のイチ推しアイテムは?

深井:カットソーかな。まさに今日着ているカットソーはブランドオリジナルのもので。

滝口:僕もカットソーかな。ブラックと、オートミールって僕が呼んでるカラーがあるんだけど、上質な生地を安く仕入れられたので着心地がいいんです。僕は関西人なので、“良いものを安く”なんですよ(笑)。

深井:オタク向け商品でTシャツを出すっていうと、既製品にプリントしますってなるんです。だけど今回、最初にカットソーのサンプルもらった時、布地の質感がすごくよくて、“これは着心地がいいし、耐久性もすごく高いな”と。これにプリントするんか!?ってなったくらいで、生地を手にしたときに単純にいいものを作りたくなりましたよね。

滝口:ひとりでも多くの人に知ってほしいので、僕は週末、渋谷PARCOの店頭に立とうと思ってます。CICL.やCanaanは通常、ECサイトでの販売なので、実物を手に取って触れる機会があまりないですし。

深井:コロナ禍だから「来て!」とは言いにくいんですけど、印刷の質も触って確かめてほしいですね。僕のイラストが渋谷PARCOに並ぶのはなかなかない体験だし、渋谷PARCOに行ったことがないファンの人にとっては、新しい服と出会うことでファッション感覚が変わる、そういう機会になるかもしれない。今回のコラボで服に興味持ってくれる人がひとりでも増えてくれたら、それだけで価値のあることだと思っています。

滝口:もともと渋谷PARCOでは“展示会”を予定してたので、「これ欲しい!今欲しい!」と思ってもその場で購入することができなかったんですけど、僕が駄々をこねて店頭先行販売ができるようにしてもらったんです。買ってもらえる自信もありましたから。


▲深井涼介

──在宅時間が増えて服を買わなくなった人も多いようですけど、こういった機会に新しい服を買えば気分転換できそうですね。

滝口:そう、僕も2年くらい服を買ってない! そういう点では、これ1枚着てれば大丈夫なアイテムを作りました(一同笑)。

──深井さん今回のコラボを経て、今後どんな製作を行っていく予定ですか?

深井:このコロナ禍で、受注したイラストを納品するっていう方向にシフトしたんですけど、今回のコラボで自分の創作意欲が増したんです。ですから、個人創作をして…あとは、うち(『ARMS NOTE』)のfigma(アクションフィギュア) 図書委員長さんが発売されましたので、ご購入いただけますと幸いです(笑)。

──では最後に、ブランドCICL.はこれからどのような展開を?

滝口:今後もたくさん作るので、楽しみにしていてください。第二弾は七癖みりさんとのコラボが決まっていますし、以降も一緒に作品作りができそうなイラストレーターの方を紹介してもらったり、“この人に頼みたい”って僕が思った人にガツガツとオファーしていこうと思ってます。もちろんイラストを変えるだけじゃなくて、“何する? どうしたい?”ってコラボならではの新しい製作を一緒に進めていきたいですね。“服、作りませんか?”なんだけど、“一緒に作品作りしませんか?”というニュアンスのほうが強いんです。音楽や衣類はアウトプットであり、イラストはキャンバスとかSNSの中に留まってなくてよいものだと思うから。だから、今後もいい化学変化が起きそうです。

深井:……えっ、僕、最後に化学変化って言おうとしてたんですよ。

滝口:締めのコメントを取ったみたいなカタチになって、すみません(笑)!

取材・文◎後藤千尋
撮影◎田端大貴 (かわどう)

■新ブランド“CICL.”第一弾ゲストイラストレーター:深井涼介


▲CI-21-02 TEE
価格:¥7,480 (税込)
素材:100%-POLYESTER
寸法:着丈74 / 身幅57 / 肩幅51 / 袖丈22
※昇華転写プリント


▲CI-21-01 LONG SLIT TEE
collar:IVORY
価格:¥14,850 (税込)
素材:50%-TENCEL / 35%-NYLON / 15%-WOOL
寸法:着丈81 / 身幅52 / 袖丈21 / スリット丈29.5
※シルクスクリーンプリント


▲CICL. CI-21-01 LONG SLIT TEE
collar:BLACK
価格:¥14,850 (税込)
素材:50%-TENCEL / 35%-NYLON / 15%-WOOL
寸法:着丈81 / 身幅52 / 袖丈21 / スリット丈29.5
※シルクスクリーンプリント


▲CI-21-03 PARKA
collar:BLACK
価格:¥12,100 (税込)
素材:100%-COTTON
寸法:着丈76 / 身幅63 / 肩幅55 / 袖丈62
※4色分解でプリント



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