【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第10回ゲスト:NOBUYA [ROTTENGRAFFTY]
■俺が中学生だったらASHのファンになると思う
■自分がガキの頃に目指していた像に近いから
NOBUYA: ASHの生のライブはまだ観てないけど、ミュージックビデオとか新曲とか、実はチェックしててね。観たり聴いたりして思うのが、メロディも歌詞も、ボーカルスタイルとしても、ダサいことは一切やらないという表現方法だよね? それって俺がガキの頃に憧れていたボーカリスト像と一緒で。
ASH:えーっ!
NOBUYA:いや、ほんとに。マジで羨ましいよ。俺が中学生だったら、ASHのファンになると思う。自分がガキの頃に目指していた像に近いからね、今、ASHがやっていることって。
ASH:メチャメチャ嬉しいです。
NOBUYA:でも、一番苦労するタイプのポジションだと思う。“ダサいところがひとつもない”って表現方法にしんどくなると、ダサいところを取り入れたり、おもしろいところを取り入れたりして、ちょっと逃げたりする。結果、それでキャラが崩壊して、つぶれていく人が多いから。でも、ASHが今やっているポジションを貫いたら、メチャメチャすごいと思うよ。
▲ASH DA HERO |
NOBUYA:それが全開に出てると思うよ。曲にもミュージックビデオにも。
ASH:前にNOBUYA君から「理解してもらうまでに時間が掛かるタイプ」って言われたように、本当にそうかもしれないので、励みになるし、頑張れそうです(笑)。
──写真撮影中にも悩み事を聞いてもらってましたね(笑)。
ASH:そうなんですよ。
NOBUYA:音楽好きの中で、バンドが好きで、さらに尖ったものが好きな人……っていう時点で、だいぶ狭まるわけで。その中でも一番カッコいいものを追い求め続けてる人って、ふるいに掛けたらごく少数。その全員にASHの音楽を届ける作業って、本当に大変だと思う。でもその人達って、ファンになってくれたら絶対に離れないから。今、ASHはその作業の途中段階だと思う。そいつらに、“自分がカッコいいと思う音楽をどう伝えるか”。傍からASHを見てて、それが一番重要じゃないかなと俺は思ってるけどね。
ASH:まさにそうなんです。撮影中に、“本質とは別の音楽シーンに括られてしまうときがあることへの違和感”についても話したじゃないですか。でも、ROTTENGRAFFTYをみてるとパンク/ハードコア系のイベントに出演すれば、ヴィジュアル系と対バンもする。ジャンルの垣根を軽々と越えられるところもROTTENGRAFFTYのすごさで、そんなバンド他にはなかなかいないんですよね。
NOBUYA:ヴィジュアル系にもMUCCとかlynch.とかカッコいいバンドがいっぱいいるしね。でもASHは、HYDE(ASH所属事務所VAMPROSEの先輩)さんのファンには刺さらないと思ってたほうがいいよ。HYDEさんファンはHYDEさんの世界観が好きな人が多いと思っていて。ASHは、“マジでカッコいい、ASH”って思ってるヤツを刺しにいったほうがいい。ごめん、生意気言って(笑)。
ASH:自分ではなかなか言い出しにくいことを、NOBUYA君が代弁してくれた感じで、今、すごく酒が飲みたくなってきた(笑)。いろいろと考えることはよくあるんです、正直。現実問題、もっと多くの人に知ってもらわなければ、音楽活動を続けられなくなるってことがあるじゃないですか。いつまでも夢や理想だけ語っていても……という話は当たり前に出てくる。貫くべきか、合わせるべきか、その間を取るか、その葛藤や揺らぎはいつもあって。でも今年に入ってから、“新生ASH DA HERO”を掲げて、ギヤを入れて、振り切ってるんですね。NOBUYA君が言ってくれたようなことをやっている最中でもある。そのモードを貫いて、突き抜けていこうと思ってます。
▲NOBUYA [ROTTENGRAFFTY] |
NOBUYA:違いますね。撮影中にASHにも言ったんですけど、僕たちも今の立ち位置というか、“ROTTENGRAFFTYはこのあたりにいるよね”ってロックキッズや音楽業界から思われているようなポジションに、正直、納得できてなくて。まだまだ全然チャレンジャーだし、チャレンジで終わってしまうとしても、それがやめられないバンドなんですよ。“このコロナ禍になって何ができる?”って考えて、アコースティックに辿り着いたんですけど、まず一番不安に思ったのが、ヤンチャなROTTENGRAFFTY好きな人がどういう反応するか。でも、いい作品を作っていいライブをすれば、今までのファンも絶対に納得してくれる自信はあったから。すぐに離れるようなファンが僕らに付いているわけじゃないと思っているし。そして作ったアルバムやアコースティックツアーに、ちゃんと応えててくれた僕らのファンって、すごく素敵だなと思ったし。もう22年やっているバンドですけど、「初めてROTTENGRAFFTYを知りました」って声も、今回のアコースティックアルバムで届いてきているんです。正直、最初は怖さもありましたけど、自分たちが判断してチャレンジしたことは間違っていなかったし、バンドとしてそこにチャレンジしたことはすごくカッコいいと俺は思った。
ASH:素晴らしいですよ、アコースティックアルバム『Goodbye to Romance』。Zepp Tokyo公演も観に行かせてもらって、『Goodbye to Romance』の世界観を肌で堪能させてもらいました。言葉が適切か分からないけど、いい意味でアコースティックじゃないんですよ。ROTTENGRAFFTYがラウドやヘヴィというアーマーを脱ぎ捨てて、曲の一番ネイキッドな部分というか、曲の素の部分に触れられるアルバムを作ったら、やっぱりロックだった。それに、アコースティックライブでは“そういえばこの曲のBメロって、めっちゃいいメロディだったんだよな”って再認識もしたし。ラウドやヘヴィな熱いROTTENGRAFFTYを体感してきた人ほど、ROTTENGRAFFTYの楽曲に内包されているメロディや質の高さに改めて気づいたと思うんです。
NOBUYA:すごく嬉しい。ありがとう。
ASH:ライブ直後、NOBUYA君に「ヤバい!」ってLINEしたぐらい(笑)。素直にそう思いましたから。
NOBUYA:『Goodbye to Romance』とミュージックビデオをASHに送ったら、感想を返してくれたんだけど、俺の中では“いや、ライブのほうがもっとヤベえぞ”と思ってたんだよね。ライブを観に来てくれるっていうから、「ライブのほうが超ヤバかった」とASHに言わせてやろうと思って、俺はライブやってたぐらいで(笑)。
ASH:あのアルバムは、あくまでもアコースティックライブへのガイダンスだったんだなってことに、ライブを観て初めて気づかされたというか。“ああ、このアルバムはライブへの招待状だったのね”って、真髄がライブにあることを思い知らされました。ROTTENGRAFFTYは時代がコロナ禍であろうが、アコースティックだろうが、ライブバンドであることに変わりない。ライブ現場で全部を証明するんだってことを、まざまざとZepp Tokyo公演で見せつけられて。帰りはメッチャ悔しかったんですよ。“クッソー!”みたいな(笑)。でも、自分自身に気合いも入りました。ROTTENGRAFFTYのアコースティックライブは定期的に観たいっす。
NOBUYA:ああ、ライブ後の挨拶で、そう言ってくれたよね。ありがたい。
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