【連載】Vol.114「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」

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ピーター・グリーン フリートウッド・マック初期の素晴らしき楽曲を祝うスペシャル・コンサート!ミック・フリードウッドが多くのビッグ・アーティストと共演!


Pic.by Ross Halfin


▲「Mick Fleetwood & Friends Celebrate The Music of Peter Green And The Early Years of Fleetwood Mac」(BMG Rights Management/UK) 提供:ワーナーミュージック・ジャパン

初期のフリートウッド・マックはブルース・バンドだった。大好きだった、アルバムのライナーを書いたこともある……。そんなFMのメンバーでそれ以前のジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ時代から大好きだったピーター・グリーン。1971年のファースト・ソロ『The End Of The Game』でもライナーを書いた。


▲LP『The End Of The Game』 from Mike's Collection


▲LP『The End Of The Game』ライナーノーツ  from Mike's Collection

ライナーといえばサンタナで大ヒットした「ブラック・マジック・ウーマン」の日本盤シングルも1970年12月に僕がこんなふうに書いている。“オリジナルはフリートウッド・マックが『イングリッシュ・ローズ』の中で取り上げていたもので、つい最近フリートウッド・マックを脱退したピーター・グリーンの作品”。ピーター・グリーンは昨年7月25日逝去、享年73。その5ヶ月前の2月25日ロンドン/ザ・パラデュアムでピーター・グリーンとフリートウッド・マックの初期の楽曲を祝うスペシャル・コンサートをミック・フリードウッドが多くのミュージック・パルに声をかけ開催した。このほどその模様がここにファンの前に登場した。


Pic.by Ross Halfin

この日ジョインしたミュージシャンは(abc順に…)ニール・フィン、ノエル・ギャラガー、ビリー・ギボンズ(大好きZZトップ!ストーンズ1973年ハワイ公演で前座。素晴らしかった、ということで直ぐに日本でも彼らのLPをリリースしてもらった、勿論ライナーはMike)


▲ビリー・ギボンズ Pic.by Ross Halfin

デイヴィッド・ギルモア、カーク・ハメット、ジョン・メイオール、クリスティン・マクヴィー(大々好き、チッキン・シャックのライナーも書いたナァ~)


▲クリスティン・パーフェクト Pic.by Ross Halfin

ジェレミー・スペンサー、ザック・スターキー、ピート・タウンゼント、スティーヴン・タイラー、そして僕の大仲良しビル・ワイマン。


▲ジェレミー・スペンサー Pic.by Ross Halfin


▲ミック・フリードウッド Pic.by Ross Halfin

ハウス・バンドはミック・フリードウッドを中心にデイヴ・ブロンズ、ジョニー・ラング、アンディ・フェアウェザー=ロウ(彼ともいろんな話しをしたことがある、とっても良い人!)、リッキー・ピーターソン、リック・ヴィトー。


▲ピート・タウンゼント(左)とアンディ・フェアウェザー=ロウ Pic.by Ross Halfin

エグゼクティブ・サウンド・プロデューサーはレジェンド、グリン・ジョンズである。

ベイシックは二枚組CDで収録曲は……。
【CD 1】
1.Rolling Man
2.Homework
3.Doctor Brown(feat.Billy Gibbons)
4.All Your Love(feat.John Mayall)


▲ジョン・メイオール Pic.by Ross Halfin

5.Rattlesnake Shake(feat.Billy Gibbons & Steven Tyler)


▲スティーヴン・タイラー Pic.by Ross Halfin

6.Stop Messin' Round(feat.Christine McVie)
7.Looking for Somebody(feat.Christine McVie)
8.Sandy Mary
9.Love That Burns
10.The World Keep Turning(feat.Noel Gallagher)
11.Like Crying(feat.Noel Gallagher)


▲ノエル・ギャラガー Pic.by Ross Halfin

12.No Place to Go
13.Station Man(feat.Pete Townshend)
【CD 2】
1.Man Of The World(feat.Neil Finn)


▲二ール・フィン Pic.by Ross Halfin

2.Oh Well(Pt.1)(feat.Billy Gibbons & Steven Tyler)
3.Oh Well(Pt.2)(feat.David Gilmour)


▲デイヴィッド・ギルモア Pic.by Ross Halfin

4.Need Your Love so Bad
5.Black Magic Woman
6.The Sky Is Crying(feat.Jeremy Spencer)
7.I Can't Hold Out(feat.Jeremy Spencer)
8.The Green Manalishi(With The Two Prong Crown)
(feat.Billy Gibbons & Kirk Hammett)


▲カーク・ハメット Pic.by Ross Halfin

9.Albatross(feat.David Gilmour)
10.Shake Your Money Maker

ストーンズ・フリークとしてはミスター・ビル・ワイマン/BS参加楽曲CD2-(6)(7)(10)についてちょっと触れておこう。この3曲は何もエルモア・ジェイムズの名作だ。


▲ビル・ワイマン Pic.by Ross Halfin

CD2-(6) Bill Wyman=BS
Jeremy Spencer=VOC GTR
Andy Fairweather-Low =GTR
Rick Vito=GTR


▲リック・ヴィトー Pic.by Ross Halfin

CD2-(7) Bill Wyman=BS
Mick Fleetwood=DS
Jeremy Spencer=VOC GTR and
Andy Fairweather-Low=GTR
Rick Vito=GTR
CD2-(10)Bill Wyman=BS
Mick Fleetwood=DS
Andy Fairweather-Low=GTR VOC
Rick Vito=GTR
John Mayall =HMC
Billy Gibbons=GTR
Kirk Hammett=GTR
Steven Tyler=BVOC HMC PER
Pete Townshend=GTR
Zak Starkey=DS
Rickey Petersen=KBD
Dave Bronze=BS
Christine McVie=KBD
Jonny Lang=GTR
Neil Finn=GTR VOC


▲ザック・スターキー Pic.by Ross Halfin


▲リッキー・ピーターソン Pic.by Ross Halfin


▲デイヴ・ブロンズ Pic.by Ross Halfin


▲ジョニー・ラング Pic.by Ross Halfin


▲Pic.by Ross Halfin

この作品集は2CDデジパックの他“デジタル・ダウンロード“、”ゲートフォールド・アナログ4枚LP”、”2CD/Blu-Ray”そしてデラックス・ボックス“4LP/2CD/Blue-Ray”が登場する。


▲提供:ワーナーミュージック・ジャパン

【近田春夫スペシャル・インタビュー PT3】
近田春夫スペシャル・インタビューfeat『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』第三回!スタート!!


▲from Mike's Library

近田:そうそう言い忘れてたけど1960年代後半は英国ロック、米国R&Bに加えアメリカン・ロックもガンガン楽しんでた。ポール・リヴィア&ザ・レイダーズ、「Good Thing」は本当に新しい音だと思ったよ!あとゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズとモンキーズ。ミッチ・ライダー&デトロイト・ホイールズにも夢中になったよ。「I Never Had It」大好きだった。ラスカルズも最高だよ。フェリックス・キャヴァリエのハモンド、影響受けてたもん。「People Got Be Free 」のレスリーの使い方とか!
Mike:「自由への讃歌」だね。後年僕はゲイリーやフェリックスには会うことが出来ていろんな話しをした。


▲近田春夫は多くのミュージシャンとのツーショットを何故か残していない そこでここではフェリックス・キャヴァリエ&Mike2016年記念撮影ヴァージョン

ところで、昨年コロナで死去したアラン・メリル、悲しかった……。
近田:もう1年だ……改めて言うけど僕はアランには音楽的に大きな影響を受けた。子供の頃からどうして外国曲のような作品が作れないんだろうと思い続けてきたけどアランと知り合ってから彼が曲作りするのを横で見ていていろいろ学んだ。普通はメロディーとコードだけど、アランは先ずリフ、それに対してのカウンターがあってメロディーなんだ。僕はこれだ!と気がついた、教えられたんだ。そしてアランは変拍子を入れる、これは彼独特の手法。彼の大ヒット作品、アランのグループであるアローズ、そしてジョーン・ジェット&ブラックハーツで超有名になった「I Love Rock'n Roll」でも4/4だけど3/4のところがあったりする。


▲from Mike's Collection


▲from Mike's Collection

“リフ&変拍子”これでカッコイイ楽曲が出来るんだと閃いたんだ。それからはアランの曲作り、これが僕の作曲のベーシック、基本になってるんだ。あとエドガー・ウィンター・グループのダン・ハートマンだね。ディスコ・シーンで大人気「Instant Replay」はじめ多くの名曲を送り出してる。ロックンロールだけど途中で転調するなどとても複雑な展開をする楽曲作ったり。アランとダンはどことなく共通するところがある。僕みたいなキーボード奏者はギタリストと違ってロジカルに曲を作るのさ。
一昨年アラン・メリルは肺炎を患った。そんなこともあってコロナに負けてしまった。アランとは1972年にゴジラというバンドを結成したけど、ライヴを何回かしただけだった。一応レコーディングもしたんだけど……。その後、アランはウォッカ・コリンズ。俺は内田裕也&1815 Rock'n'Roll Bandに参加。このバンドはクリエイションの竹田和夫、大沢博美…も在籍していた。これも直ぐ終っちゃったんだ。

M:そして1974年にハルヲフォンを本格的にスタートさせる。僕とは朋友だったドン勝本の全国ディスコ協会の大推薦バンド!
近田:すっごくファンキーなバンドだった。女の子キャロン・ホーガンがヴォーカル。デビュー・シングルが「FUNKYダッコNo1」なのだ。ステージはまさにメイク・イット・ファンキー、JB楽曲、そしてリン・コリンズ。


▲from Mike's Collection

M :ジェームス・ブラウン来日公演でのリンの ステージは大拍手だった。彼女にはインタビューもしたヨ。
近田:あとアレサ・フランクリンの 「Rock Steady」もレパートリーだった。ハルヲフォンはハコバンもやっててオーディションではスリーチアーズ・アンド・コングラッツレイションズとよく一緒になった。
M:宮本典子、MUGEN時代からよく知っている。そして時々今でも電話し合ってるグッチ裕三。スリーチアーズには故ウガンダも在籍していた。彼のお店、六本木のアナバーではよく呑んだ。そして近田選手の演奏ぶりを僕は後楽園球場で味わった、World Rock Festival EASTLANDに出演。
近田:ジェフ・ベック、ニューヨーク・ドールズ、フェリックス・パッパラルディ・ウィズ・ジョー、カルメン・マキ&OZ、クリエイション、四人囃子、イエロー、コスモス・ファクトリー……もちろんプロデューサーの内田裕也もパフォーマンス。僕はマウンテンで知られるフェリックスを中心にしてのワールド・ロック・フェスティバル・バンドの 一員としてステージに立った。メンバーはジョー山中/VOC、フェリックス・パッパラルディ/VOC&BS、竹田和夫 /GTR、樋口晶之/DS、ウィリアム・リー・レイバック/DS、そして僕がキーボード。
M:やっぱり僕はマウンテンのライナーを書いたこともあって「Nantucket Sleighride」が印象深い。


▲Pic.by K.Sato

近田:そんなWorld Rock Festival Bandのライヴをステージ横で観てたのがニューヨーク・ドールズ。そこで同じ歳だったギターのシルヴェイン・シルヴェインとは仲良くなって、NYDのメンバーに誘われた。デヴィッド・ヨハンセンからも是非!と言われた。でもハルヲフォンやってたからNOって返事した。海外進出のチャンスだったかもしれないけど、僕は意外と真面目でちゃんとしてるんですよ。約束や締切は必ず守る、人を騙したりは絶対しない。
M:僕はジェームス藤木と仲良しなんだけど近田選手はクールスとも交流があった。


▲提供:シンコーミュージック・エンタテインメント この中の第4章で近田春夫は証言している

近田:クールスとはスタート前から知り合いだった。ムラこと村山一海とヒロシこと舘ひろしが原宿にあったアパレル・ブランドのGRASSで働いてる頃から僕は友達だった。彼等から今度バンド始めるので手伝って欲しいと言われた。メンバーにはジェームスがいた。
M:そういえば(僕がプロ・デビューさせたんだけど)四人囃子/岡井大二の兄、岡井嗣明らと1965年に僕はローリング・ストーンズFCを設立したんだけど、彼が始めたスナフキン・カンパニーにハルヲフォンは所属してたの思い出す。
近田:その通り。四人囃子の関係から浦和ロックンロール・センターとも付き合うがあり安全バンドとも仲がよかった。(つづく)

<B.P.M.Syndicate
presented Haruo Chikada & ageHa>



近田春夫の音楽活動50周年を記念してのダンス・パ ーティー・イベント“B.P.M.Syndicate”が開催される
*会場
ageHa @USEN STUDIOCOAST
136-0082 東京都江東区新木場2-2-10
電話:03-5534-2525
*日程・時間
2021年9月11日 Open/Start 23:00 - Close 6:00
*チケット料金
当日 - 4500円
前売 - 第一弾前売5月中旬販売開始予定
*出演者
LIVE :小泉今日子 高木完 藤原ヒロシ LUNASUN(近田春夫&OMB) YOU THE ROCK★
DJ :石野卓球 TSUYOSHI SUZUKI
MC :ブライアン・バートン・ルイス



*主催:ageHa & 近田春夫事務所
https://www.bpmsyndicate.com/

【アルバム紹介】
☆『ニック・ロウ&ロス・ストレイトジャケッツ/ライヴ・アット・ハウ・リヴァー・ボールルーム』(MSI/MSIG1443/4)


▲提供:MSI

日本贔屓のニック・ロウから心温まるプレゼント!2019年4月に米ノースカロライナ州サクサパパウでの配信ライヴを完全収録した二枚組。のっけからノリの良い「ソー・イット・ゴーズ」でスタート、ニック・ファンには堪らないナンバーが続く。この日のライヴは彼のバンド、ロス・ストレイトジャケッツを率いてのフルバンドだ!ここ最近ニックはソロで来日しアコギ一本で歌い上げるスタイルだが、やはり彼の本領はバンド・スタイルだね。日本でお馴染みとなった「トキオ・ベイ」「ラブ・スタビレーション」を含み、彼の往年のヒット曲「ブレイキング・グラス」「ハーフ・ア・ボーイ・アンド・ハーフ・ア・マン」「恋するふたり」「ピース、ラヴ・アンド・アンダースタンディング」そして弾き語りで「アリソン」で終わるステージはニック・ファンで良かったと安心の一作だ。これに僕のニックへのインタビューを読みながら聴いていただければ嬉しい、このコラムのVol.44。
https://www.barks.jp/news/?id=1000155297
コロナ禍が明けニックの来日を祈る。

☆『ASSEMBLY/Joe Strummer」(BMG Rights Management/UK)


▲提供:ワーナーミュージック・ジャパン

突然ジョーの未発表曲を含むコンピレーション・アルバムが蘇ったDark Horse Recordsから届いた。Dark Horse Recordsと言えば故ジョージ・ハリスンが1974年に設立したレーベルで長らく休眠していたが、ジョージの息子ダニーとマネージャーのデイヴィッド・ゾンシャインによって再スタート。元クラッシュのジョー・ストラマーのソロ作(ザ・メスカレロスとの作品含む)、ラヴィ・シャンカールの作品、アティチュードなどがデジタル・プラットフォームで今年1月にリリースされた。「アセンブリー」のマスタリング・エンジニアはここ最近すっかり有名になったポール・ヒックス(ホリーズのトニー・ヒックスの息子。ホリーズ初来日、木崎義二さんに連れて行ってもらった)が担当し、とても音のバランスがよくジョーの心の叫びがリアルに聴ける。さて楽曲はクラッシュ時代の名曲「アイ・フォート・ザ・ロウ」「しくじるなよ、ルーディ」がライヴ収録され、往年のあの勢いとジョーの渋い声がマッチして興奮を抑えきれない(2001年11月24日ロンドン/ブリクストン・アカデミー収録。BAでストーンズを楽しんだことがある)。アルバム最後にクラッシュ時代の未発表曲「ジャンコ・パートナー」のアコースティック・ヴァージョンが収録されている。クラッシュ・ファンにはこのアルバム発売が待ちきれなかったのか、発売1週間後には店頭から一時消えるという信じがたいことが起こった。ジョーの30年の新しいアーカイブを紹介してくれたダニー&デイヴィッドに感謝だ。

【BOOK紹介】
☆気がつけばビートルズ・藤本国彦(産業編集センター)


▲ from Mike's Library

ビートルズ研究家として知られる藤本国彦の新作である。“私の旅ブックス”シリーズからの一冊で、勿論ビートルズ旅行がフィーチャーされているけど藤本の中学一年生から始まりる“B4人生トリップ”がここにぎっしり詰め込まれているのが本書の大きな魅力だ。
目次を見ると……
Disc1 ビートルズとの旅の始まり
Disc2 ポール・マッカートニーの幻の日本公演とジョン・レノンの死
Disc3 初の海外旅行はロンドン&リヴァプール
Disc4 初のニューヨーク旅行
Disc5 ラスヴェガスで観たビートルズ×シルク・ドゥ・ソレイユ『LOVE』
Disc6 リヴァプールで観たポール・マッカートニー
Disc7 ビートルズ「冥土の土産」ツアー
となっている。Discと記されているだけで音楽ファンは浮き浮きしてしまう。トラヴェル・スナップを鏤めながら(そこにはポール・マッカートニーのNY公演会場ショット等も登場)一気に僕らをジョン/ポール/ジョージ&リンゴの 世界へと誘う。さすがCDジャーナル元編集長、見事なタッチで読者をストーンドさせてしまうのだ。ビートルズ大好き人間は勿論ローリング・ストーンズやディープ・パープルらのロック・フリーク、音楽ファンそして旅行愛好者にも大推薦の実に楽しいROCK BOOKだ。藤本ちゃん、早くカリーバー/ヘンドリクスにご一緒したいね、勿論お題はB4、RSそして大相撲!僕も“気がついたらストーンズ”書こうかな……笑。

☆フリー&バッド・カンパニー大全(シンコーミュージック・エンタテインメント)


▲ 提供:シンコーミュージック・エンタテインメント

ローリング・ストーンズになりたかった!僕は1971年初来日したフリーのポール・ロジャースからこの一言を直接聞いた。神田共立講堂でのステージには度肝を抜かれた。まさにオールライト・ナウだった。本書はそんなフリーとバッド・カンパニー(彼らのたった一度の1975年日本武道館ライヴも大拍手だった)の足跡をMUSIC LIFE誌掲載のインタビューやコンサート・レビュー、そして来日時の貴重な写真の数々に加え、マニアックなレコード紹介もしっかり掲載されているまさに“大全”だ。1970年代を20代ですごした僕らにとっては懐かしもあり未だエキサイトさせられる内容だ。フリー初来日歓迎の宴ショットではメンバーのほか当時のフリー発売元の日本フォノグラムの 木津精一氏や渡辺忠孝氏(故・筒美京平氏の弟)の姿が見えたりとお二人と懇意にしていただけにとても嬉しくなったりも……。ともあれブルージーでロックなサウンドを得意としていた気骨ある二バンドの魅力が1970年代前半のあの混沌とした時代をダイレクトに感じさせながら迫ってくる一冊だ。

【エルヴィス魂を継ぐ西島幸宏!】

エルヴィス ・プレスリー楽曲は1950年代後半のロカビリー・ブーム時代から現在まで数多くのアーティストによって歌われてきている。最初はカヴァーという形が多かったがその後エルヴィスにいかに自信を似せ仕草からステージ・アクションまでそっくりにパフォーマンスする今でいうインパーソネーターが登場してきた。エルヴィス死後はアメリカを中心にエルヴィスそっくりさんが続々と登場。ラスヴェガスを中心にエルヴィス・インパーソネーターは完全にビジネスとして成立している。また日本でも1980年代からエルヴィスを演じる多くのザ・キング大好き歌手が日本の音楽界に登場してきた。僕は1985年以来僕は
長きに亘ってエルヴィス ・プレスリー生誕祭の司会を務め、コンテストやメイン・アクトで多くのパフォーマーたちを紹介させて頂いた。そんな中でエルヴィス魂を響かせながらオリジナリティあふれるグルーヴで歌い上げる伊藤聖史とロニー数に僕はとても大きな魅力感じていた。二人とも今頃はロッケンロール天国で憧れのエルヴィスと大セッションしていることだろう。エルヴィス生誕祭では毎年湯川れい子さんともご一緒させて頂いたが、つい先ごろれい子先生から1枚のCDが郵送されてきた。それが『JAPANESE ELVIS ~魂を継ぐ者~/西島幸宏』だ。


▲提供:大濠企画

僕は西島幸宏の存在は知っていたけどステージは未体験のまま。何の情報のないままこのCDを聴いたところ、彼のエルヴィス愛と実にエモーショナルに歌い上げる表現力をフューチャーしての7トラックスがいっぺんに好きになってしまった。日本語で歌う西島のエルヴィス楽曲はまさに60年近くアメリカン・ミュージックに親しんでいる輩にとって懐かしく親しみ易かったりもする。何度も何度も聴き込むうちに、西島の洗練されながらもエルヴィス同様に自らの
音楽のルーツをしっかり根ざしていることを僕は感じたのだった。これは機会を見つけて彼のステージを味わいたい!と思っている。
『JAPANESE ELVIS ~魂を継ぐ者~』
(1)好きにならずにいられない
(2)Burning Love
(3)Just Pretend 訳詞はれい子先生
(4)この胸のときめきを
(5)恋の大穴
(6)My Way
The Wonder Of You~奇跡の女性(ひと)~ 訳詞はれい子先生

ここで西島幸宏からのメッセージをご紹介しよう。


▲提供:大濠企画

「ファースト・アルバム『JAPANESE ELVIS ~魂を継ぐ者~』をリリースしました。全てエルヴィス・プレスリー楽曲。湯川れい子先生に2曲日本語訳詞をプロデュース頂きました。エルヴィスは人種間・音楽間のジャンルの垣根を壊しながら、歴史や伝統を重んじ、古き良き音楽を若い世代に語り継いだ“温故知新”の精神で、音楽活動に“明日への願いと、祈り”を込め、後世へと繋いだ、まさに“人類愛への貢献”という天命を全うされたアーティストなのです」。

それではこのコーナー最後は湯川れい子さんに締めくくって貰いましょう。


▲れい子先生カード from Mike's Collection

「私はそっくりさんとか、インパーソネーターと言うのが苦手です。苦手というのを通り越して、嫌いと言った方が早いかもしれません。

なぜなら、エルヴィスもマイケルも、その本人の魅力や意味するものがあまりにも大きいので、憧れる気持ちは理解できるものの、それを仕事として選ばれてしまうと、もはやどうにも評価出来ないからです。

それなのにここ10年近くも私は毎年のように、エルヴィスの故郷メンフィスのグレースランドで行われるエルヴィス・トリビュート・コンサートに、日本からの代表として“日本のエルヴィス・プレスリー”を選出して送り出して来ました。それは私たちが、エルヴィスの命日の8月16日を中心として行われるエルヴィス・メモリアル・ウイークの度に、レストラン/石水や旅行会社/セキスイ・トラベルなどを手広く手がけておいでのジミー石井さんにお世話になって来たからです。そのジミーさんが、エルヴィス・プレスリー・エンタープライズからエルヴィスのトリビュート・コンサートに日本からも歌っている人を送ってほしいと言われて、ずいぶんお金もかかるのに、日本人でエルヴィスが好きな人たちの励みにもなるからと、参加を決意されたからでした。それ以来毎年、日本でのコンテストで代表を選んでメンフィスに送り込んで来たのでした。福岡を中心に歌って来た西島幸宏さんが、日本のコンテストで代表に選ばれて、メンフィスで行われるエルヴィス・トリビュート・アーテイスト世界大会に出場したのが2016年。この時は2メートルを超えるようなアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアからの代表たちを相手に頑張って予選を通過し本舞台を踏んでいます。そして再度2018年にこの時の経験を生かして日本代表の座を獲得。そしてメンフィスに乗り込んだのでした。この時も見事に予選を通過はしたものの残念ながら世界の壁は厚く、大きな賞にまでは手が届いていません。

でもこのような機会から、私は何度も西島さんの歌を聞く機会に恵まれ、その前向きな姿勢や性格、エルヴィスへの想いなどを受け止めて来ました。そして何よりも私が好感を持ったのは、彼が決してエルヴィスのそっくりさんではないということなのです。レパートリーがエルヴィスの他にも、アイルランド民謡やカンツオーネ、日本の歌謡曲や抒情歌と言うことだけではなく、「僕はエルヴィスの真似をしたい訳ではありません。その魂と求道精神そのものを愛して、引き継いでゆけたらと思うのです」と言う、ひたむきで真面目な性格と、歌手としての声の魅力や性格の明るさに、まだまだ開花していない未来を感じるからなのです。

日本の音楽界には、アイドルや歌謡界の優れた歌手はいても、なかなか歌の魅力を世界的なレベルで、ポップに楽しませてくれる大人のエンターテイナーはいません。私は、西島幸宏さんのある種、くそ真面目とも言える清潔感にも、そんな大人のエンターテイナーとしての可能性を感じているのですが、どうでしょうか?確かに入り口はエルヴィス・プレスリーですけれど、きっと同じ同性の男の人たちからも、好感を持って聞いて頂けるのではないか……、と、考えています」。

【イベントinfo 】
☆湯川れい子 洋楽裏話 千夜十夜 with Mike Koshitani
“第三夜 歴史上最も偉大なる歌手TOP 3 アレサ・フランクリン レイ・チャールズ エルヴィス・プレスリー“



日本のポピュラー・ミュージック・シーンをリードして60年。数多くの洋楽アーティストと交流を重ねてきた湯川れい子さん。所属していた日本のレコード会社の社長も会ったことのないアーティストも何人か…。そんな湯川さんの長い歴史の中でも、これだけは話しておきたいという秘話を、今だから仲の良い友人やゲストを交えて、あんな話、こんな話、涙が止まらない思い出の数々などを貴重な音源や映像を交えながのトーク・セッションです。
第三夜はアレサ・フランクリンを中心に、ローリング・ストーン誌の歴史上最も偉大な歌手トップ3に焦点をあてます。
1位 アレサ・フランクリン、
2位 レイ・チャールズ
3位 エルヴィス・プレスリー
ゲストは中野利樹さん、アメリカでローリング・ストーン誌やクリーム紙などに寄稿。アレサ・フランクリンはじめキース・リチャーズ、マイケル・ジャクソン、ニール・ヤング、プリンス、スティング、ボノら多くのミュージシャンにインタビューしたのです。アレサについて中野さんがドラマティックに語ります。



そしてレイ・チャールズ、エルヴィス ・プレスリーの想い出やエピソードを湯川さんがご披露!そして日本にソウル・ミュージックを定着させた故・桜井ユタカ氏の愛弟子Mike Koshitaniもアレサやレイについて蘊蓄を…、Mikeは“ワークス・オブ・エルヴィス“の著書、れい子先生とザ・キングのオン・ステージを三度も体験しています。



こんな三人のトーク・セッション大いに盛り上がりそう、皆さん是非ともジョイン!!
アルコールのいける人はお好きなお酒を手に。飲めない人はソフトドリンクで。お食事もありますヨ。そうそう「今のうちに聞いておかないと、損するよ!!」とれい子さんが言っていま~す。
◆ナビゲーター:湯川れい子 @yukawareiko
Mike Koshitani https://www.barks.jp/keywords/mikes_boogie_station.html
◆ゲスト:中野利樹 https://twitter.com/toshnakano
◆日時:2021年6月27日日曜
OPEN 13:00
START 13:30
◆入場料:予約¥3000(+お飲み物¥600 アルコールもご用意してあります)
▲お食事もございます
◆予約サイト
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/177956
◆お問い合わせ:LOFT9 Shibuya
TEL:03-5784-1239(12:00-22:00)
http://www.loft-prj.co.jp/loft9/

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