【インタビュー】CORONA、傾奇者が音楽シーンに叩きつける挑戦状…1st EP『イチコロ』
■言い続けるしかないですね、「俺が先輩や」と(笑)。
──ガブリスタジオ、TOASTING JAM RECORDSリリース、CORONAのファーストEP『イチコロ』。あらためて、自分にとってどんな作品ですか。
CORONA:これは挑戦状です。今までの自分を進化させて出した1枚で、今までの積み重ねがどこまで通用するか?という意味での挑戦でもありますし、このご時世に「CORONA」という名前でやっているということも、挑戦だと思いますし。
──この名前は、必ず突っ込まれるでしょうね。
CORONA:8,9年前に始めた時から「CORONA」やったんですよ。だから言い続けるしかないですね、「俺が先輩や」と(笑)。
──きっかけは?
CORONA:ディージェイネームを作る時に、三文字がいいなと思って探していて、友達に相談したんですよ。僕、野球もやってましたし、よくしゃべるタイプやったので、暑苦しい男やとよく言われていたんですけど、ここ(あご)にホクロがあって、「おしゃべりボクロ」と言われていて。で、その友達が「太陽にもホクロあるで」と言い出して、「黒点をコロナと言うんやで」って。「おまえも黒点あるしコロナでええやん」と言って、CORONAになったんですけど、のちのち調べたら黒点がコロナじゃなくて、太陽の外層大気のガスやったんですよ(笑)。友達が間違っていたんですけど、それも最近になって知ったんですよ。去年新型コロナが流行りだした時に、調べてみて、「黒点じゃないんや」と(笑)。だから、勘違いからCORONAになりました。
──でもその友達、ネーミングのセンスはあったと思いますよ。間違いとはいえ。
CORONA:今となってはありがたいです。でもまさかその友達も、8年後にこんなことになるとは思ってなかったでしょうね。僕も「新型コロナ」という名前を聞いた時には、けっこうビビりました。もうこの作品を作り始めていたので、「みんなに協力してもらって作ったEPを、名前のせいで聴いてもらわれへんかったらどうしよう」と思ったんですけど、みんなは明るく「行けるやろ!」って、むしろ「これで行かへんかったらあかんぞ」ぐらいの勢いで言ってもらえて、自信持って行けましたね。それもスタジオメンバーの支えのおかげです。たぶん僕一人やったら、名前変えてました。変えずに良かったです。
──どういうアーティストなのか、一発でわかるEPだと思います。お世辞じゃなくてスキルがあるし、超早口も、シング(歌)も、ヒップホップ的なラップもあるし、リズムの乗り方がすごく多彩。自分のスタイルの売りって、どういうところだと思いますか。
CORONA:リズムに対するアプローチもそうなんですけど、売りとしては「僕しかできない言い回し」が一番かなと思います。あとは「音のはめ方」ですね。たぶんかなり独特で、レゲエレゲエしてないというか、特に今回のアルバムに関しては、自分の好みのリズムアプローチをしてますね。
──すごくフレキシブルですよね。そのへんで影響を受けた人って、いるんですか。
CORONA:始めた頃は、「一人でFIRE BALLをやりたい」みたいな気持ちがあったんですよ。「4人を全部一人でやるぜ」みたいな感じで歌いだして、そこから得意なことを追求していって、今この形になったのかな?と思います。シングとかもやって、いろいろ探りながら、自分のやりたいことを全部やりたいと思っていたので、独特なリズムアプローチなんかな?と思ってます。
──確かに、このEPの中には10人ぐらいのCORONAがいるかもしれない。
CORONA:ぐらいの気持ちでやってますね(笑)。
──あと、言葉遊びのリリックも多いけど、自伝ぽい要素もかなりありますね。「殴り描き~intro~」で、大阪の南河内出身、元・高校球児、二十歳からマイクを握ったことをまず紹介して。一番自伝的かな?と思うのが7曲目の「UPLOAD」で、地元のカラオケ屋も出てくるし、《大卒就職活動シカトして》とか、さっきの話に通じるところもあるし。
CORONA:「UPLOAD」は本当に思うままに、振り返りながら書いた曲ですね。たとえば《クラブ行く前クローズ読んで》とか、僕が通ってた頃は本当に怖い人ばっかりで、行ったら必ず殴られて帰ってくるぐらいの感じやったんで、ヤンキー漫画読んで気分高めて行かへんかったら、乗り越えられへんなと(笑)。『クローズ』読んで、「よっしゃ、やったんで!」と思って、行って、「ヘタクソ!」って言われてマイクでバコーン!って殴られる(笑)。よくありましたね。
──そんな風景と熱い気持ちが見える。いいリリックだと思います。
CORONA:そう言ってもらえるとうれしいです。僕ら世代はたぶん、経験してる人は多いと思いますね。でもあれがあったおかげで、負けん気に火がついて、ずっと途絶えてないなと思います。「見返したろ」っていう気持ちは、すごいエンジンになるんで、そのおかげで突っ走ってきたと思いますね。
──《ワンルーム隣は生活保護/いつ抜け出せるこんな所》というリリックも、すごいリアリティとパワーを感じる。
CORONA:今もそこに住んでます。面白い人たちなんですよ、近所の人たち。でも早く抜け出したいです(笑)。
──あと、最後の8曲目に入ってる「夢見心地 feat.BLACKLIN」。とびきりメロディアスで、メッセージ性が強くて、最高の歌ものじゃないですか。
CORONA:うれしいです。これはBLACKLINと二人で考えました。「俺ら、ずっと夢を見てるやんな。夢を追いかけるのを忘れた人たちにも、俺らの今の感じを伝えることで、ちょっとでも思い出してもらえたら」という思いで書きましたね。BLACKLINと歌ってるというのもあって、もう何回かライブで披露させてもらってるんですけど、めちゃめちゃ気持ちいいですね。
──《仕事が遊びで遊びが仕事》っていうリリックは、実際そう思いますか。
CORONA:そう思いますね。「遊び」と言うと軽く見られるかな?と思ったんですけど、でも「仕事が遊びで遊びが仕事」、ほんまにそのままやなと思ったんですよ。真剣に遊んでるし、という意味も込めて、「これを絶対仕事に変えていきたい」という気持ちがあるんで、書かせてもらいました。「伝われ!」と思ってます。
──このファーストEPに収められた歌たち。どういう人たちに響くとうれしいですか。
CORONA:全部の曲が、全部の世代に響くように書いていたんですよ。僕は後輩にはいつも「自分を信じて、やりたいことをまっすぐやるべきやで」と言ってるんで、後輩たちに背中を見せたい気持ちもありますし、先輩には「俺はこうなんです」というものを見せれるような、しっかり芯の通った作品になったと思うし、同世代には「お前も頑張ってるけど俺も頑張ってるぜ」というところを見せたい気持ちもありますし、全世代に向けた気持ちがこもってますね。その上で、世代ごとにメッセージが違うというか、受け取り方が変わってくるやろなと思ってます。先輩に対しては「見返したい」という気持ちが強くて、「ITADAKI」とかは先輩に向けて歌ったりしてますね。ずっと「ヘタクソ」と言われ続けてきたので、「見返してやるぜ!」という気持ちが強いです。
──とはいえ、基本はピースな人だと思いますね。リリックを全部聴いて、伝わってくるヴァイブスは。
CORONA:どんだけ楽しんでもらえるか?だと思ってます。今回のEP丸ごと全部、ライブで歌っててすごく気持ちいいんですよ。イケイケも随所にあって、乗ってもらえる曲もあるし、そこは自信があります。音源で聴いて、ライブで体感した時に変化を見せれると思うんで、早くライブ始まってほしいなと思います。
──コロナが収まらないと、CORONAが外に出られない。
CORONA:そうなんですよ(笑)。コロナ対CORONAです。これからもずーっと闘っていこうと思います。
──この作品が、たくさんの人に届きますように。最後に、かなえたい近未来の夢は何ですか。
CORONA:ほんまに近いところで言うと、スタジオのみんなで全国回りたいです。来年にはまた新しいアルバムを作って、その時のコロナの状況にもよりますけど、ガブリスタジオワンマンをやって、広めていきたいと思います。これを全国区にしていかないと、と思ってます。それが目標です。
取材・文◎宮本英夫
▲1st EP『イチコロ』
配信URL一覧:https://linkco.re/cY6bvtzq
Tracklist:
01.殴り書き ~intro~
02.ITADAKI (Another MIX)
03.UNIQUE & COOL
04.PROTAGONIST (Another MIX)
05.焼き鳥前田 (feat. 一杯ブラザーズ)
06.アホボケカスナスボケナスタワケ
07.UPLOAD
08.夢見心地 (feat. BLACKLIN)
▲1st EP「イチコロ」
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