【インタビュー】Mary's Blood、初のカバー盤『Re>Animator』完成「コスプレと近しいところがある」
■Twitterであそこまで仰っていただけると
■思ってもみなかったんで、良かったなあって
──リスペクトや思い入れを大事にしながら選ばれた11曲。それを自分たちなりの形にしようという時、いちばんこだわりたかったのはどんな部分でしょうか? もちろんそれは、曲によってだいぶ違ってくるはずですが。
EYE:いっぱいあり過ぎて、どこから喋ったらいいのかわからなくなるくらいですね(笑)。
SAKI:個人的なところで言うと、やっぱり4曲目にはかなり思い入れが……。
──聖飢魔IIのカヴァーですね。しかも原曲とは違った組曲仕立てになっています。
SAKI:そうなんです。聖飢魔IIのデビュー・アルバムに入ってる曲を持ってきて、イントロダクションに付けていて。アレンジに関しても、この曲については打ち込みとかも全部自分でやりながら作っていって。やっぱりもう、アーティストがアーティストなんで。
▲SAKI (G) |
SAKI:いやー、ホント嬉しいです(笑)。聖飢魔IIに関しては、カヴァーをやる際には作曲家ご本人の……まあ悪魔なんで本人という言い方はおかしいかもしれないですけど(笑)、その方自身の許可が必要ということだったので、まずデモをお送りしてあったんですね。その際にも一度、やりとりをさせていただいてたんですけど、なんか……Twitterであそこまで仰っていただけるなんて思ってもみなかったんで、良かったなあ、と。
(注:ダミアン浜田陛下は去る8月2日、自身のTwitter上から「相当な時間をかけたと思われる練りに練ったアレンジとなっており、メンバーのテクニックも含めて見事と言うほかない。聖飢魔II愛に満ち溢れた作品に仕上がっている。また、聖飢魔II信者であれば、冒頭以外にも思わずニヤリとする演出があり、必聴だ!」という賞賛の言葉を発信している)
──大っぴらに賞賛してもらえるって嬉しいことですよね。
SAKI:いやいや、ホントにありがたいです。昔の聖飢魔IIの曲のバッキング・パターンをちょっと持ってきてたりとか、結構そういうこともやっていて。自分でもかなりこだわったつもりだったので、それが伝わったことも嬉しかったです。
──要するに、単なるカヴァーではなく、敬意を込めたトリビュートでもあるわけですよね?
SAKI:そうですね。それは全曲について言えることだと思います。変な話、カヴァーだからってむちゃくちゃやる人もいるじゃないですか。原曲がよくわからないような感じにしてしまったりとか。それもそれで面白いのかもしれないですけど、やっぱりどの曲についても、オリジナルのアーティストの方に対してかならずリスペクトをもって演奏したいなと思ったので。ギタリストとしての立場で言えば、「甲賀忍法帖」とか「Forever Love」は、ギター・ソロもオリジナルをそのまま踏襲してやりたいなと思ってましたし。というのも、元々のフレーズも好きなので、それを変えたくはなかったから。ただ、「甲賀忍法帖」についてはオリジナルよりもテンポが10くらい上がってるんで、そうなってくるとあのソロは結構しんどいな、というのはありましたけど(笑)。
MARI:こだわりたかった部分というのは、結局のところどの曲にもあって。というのも、カヴァー・アルバムを作ること自体が初めてなんですね。だからまず原曲を改めて聴き直して、構成とか、細かいけども目立つ要素──たとえばここでこんなキメが入るとか、そういうことも含めて一回全部チェックし直しながらドラムの譜面を起こして、さらにもう一回、自分たちとしてはこうしようという二枚目の譜面を書いて。それを比較検討しながら、このキメは絶対活かそうとか思ったところには丸印を付けてみたり。そういう作業はやりました。やっぱり原曲の良さとか、この曲のこの箇所でお客さんはこんな反応をするはずだ、みたいな部分については絶対変えずにそのまま残したかったし。ただ、やっぱりメタル・バンドとしてカヴァーする、Mary’s Bloodらしくやるという意味では、新たにツーバスを踏むところを加えてみたりとか、敢えてフィルインをたくさん増やしてみたりとか。そういうことはすごく意識しましたね、全曲について。ここは絶対残しておきたいという要素はそのままにしておいて、あとはそれぞれライヴ感みたいなもの、原曲をやってるオリジナルのバンドがライヴでこの曲をやってたらきっとこんな感じだろうっていうのを、それこそライヴの映像とかも見たりしながら考えてみたり。そこで、自分がお客さんだったとしたらこんなふうに感じてただろうと思える部分については絶対残そうと思ったし。そうやっていろいろと考えながら……。
▲MARI (Dr) |
MARI:いや、実際そうだったかもしれないですね。なにしろ自分たちのオリジナルを作る時と比べると、作業がもう一個増えることにもなるので。やっぱり自分たちが好きで選んだ曲だからこそ原曲の良さは大事にしたいというのが強かったし、そこで改めてオリジナルを分析し直したようなところはありました。
──とても丁寧で素晴らしいと思います。そうして改めて分析してみたことで、“この曲って実はこんな一面もあったのか”みたいな発見というのもあったんじゃないですか?
MARI:そうですね。ただ、むしろもっと単純に……。たとえばX JAPANは自分にとって音楽を始めるうえでのルーツといえる存在で、今回カヴァーさせていただいた「Forever Love」は当然これまでにも何度となく聴いてきたわけですけど、“ああ、こんなにも美しいメロディの曲だったのか”というのを改めて感じさせられたり。リズム面でも、ハイハットがすごく細かくいろいろ入ってたりするんですね。バラードなので、X JAPANの激しい部分とはまた違う繊細な部分もあるし、そのハイハットにしてもただ単純に多く刻まれてるわけじゃなく、オーケストレーションの裏で、いろいろとマイナスしながらバランスがとられてる部分があったり……。
──足し算ばかりじゃなく引き算の要素もあり、バンド的なプレイというよりもオーケストラの一員としてのドラムみたいな部分があるというか。
MARI:そうなんですよ。改めて分析してみてそういう部分はすごく新鮮だったというか、発見でしたね。
──RIOさんは、今回の作業を通じてのこだわりとか再発見という部分ではどうでしたか?
RIO:なんかもうみんなが言ってしまったことを私が改めて復唱するような形にはなるんですけど(笑)、ホントにアニメも好きですし、バンドも大好きですし、やっぱり全曲にリスペクトがあるんですよね。ただ、それをカヴァーするうえでいちばん思ったのは、コピー・バンドになっては駄目だなっていうところで。そこはすごく意識しましたね。ベースのフレーズについては、実は結構いろいろ変えてしまってはいるんです。でも全曲そうしたわけではなくて、たとえば「Forever Love」については変えてなくて。
──コピーになってはいけないようにも思うけども、“変えましたよ!”というわざとらしい感じにもなりたくないわけですよね。
RIO:そうそう! なんか“変えました!”みたいなことはしたくなかったので。ただ、同時にコピー・バンドみたいにならないように。あとはやっぱり、原曲のバンドのファンの方とか、アニメのファンの方、あと私たちのファンの方も、すべて……喜んでくださるものにしたかった。 それは意識しましたし、私のなかでは大前提にありましたね。フレーズ作りとかでも、まあ今回、たとえば「IN VOKE」とかだったら、これは『機動戦士ガンダムSEED』の曲なんですけど、ガンダムって地上も海も行けるうえに空も飛べるじゃないですか。そこでなんか、宇宙感というか浮遊感みたいなものを出したいなと思ったり。アニメの背景というほど大袈裟なものじゃないんですけど、たとえばそのオープニング・テーマとかを思い浮かべながらフレーズとかを作ってたところはありますね。物語や、主人公のキャラクターも踏まえながら。
──コピー・バンドにはなりたくないし、同時に凄腕スタジオ・ミュージシャンのようにやりたいわけでもない。そこで自分自身も含めた誰もが納得できるような形を探そうとした、ということなんですね?
RIO:そういうことなんですよ。まとまった! ありがとうございます(笑)。
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