【インタビュー】SHANK、新作EPとライブ映像作品に“本質と実験”「進化してる部分がないと意味がない」

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■実験的にやってみたら
■面白いハマり方をした曲が多い

──そして、「Japanese Cherry」は色気のあるロックチューンです。

松崎:オレらも歳をとったんですよね、たぶん(笑)。

庵原:相川七瀬みたいなリフというか、ちょっと昔っぽい感じですよね。最初は、もっと遅い曲だったんですよ。言ってみれば、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドとか横浜銀倍みたいな感じ。ただ、曲としては面白いからメロディーをつけてみて、プリプロのときに思いっきりテンポを上げたんです。

松崎:もともと、BPMが90ぐらいだったんですけど、あんまり良くなかったんで、BPM180にしたんですよ(笑)。

▲庵原将平(Vo, B)

──いきなり倍ですか(笑)。

松崎:そうしたら、「あっ、いいじゃん!」って。

庵原:この曲もそうですけど、実験的にやってみたら面白いハマり方をした曲が多いですね、今回。

松崎:EPの中では、この曲ってフック要素じゃないですか。「Bright Side」や「Classic」みたいなオレらっぽい曲の中に、それとはちょっと違う形であるっていう。

庵原:オレらっぽい曲だけが羅列されてしまうと、1曲1曲の純度が低くなるというか。

──潰し合ったり、引き立て合わなくなったり。

庵原:そうなんですよ。5曲だからこそ、絶対に潰し合わない形にしたかったし。

松崎:そこはやっぱり意識してて。こういう曲がないと、聴かせたい曲も聴かせられない。とはいえ、こういう曲のほうが、最終的にはライヴでハマったりもするんですけどね。

▲SHANK

──「Japanese Cherry」でも歌詞の最初にありますけど、パンクバンドって“raido”って単語が好きですよね。

庵原:あぁ、好きっすね。“radio”とか“loud”とか韻を踏みやすくて、耳に入りやすいんですよ。『WANDERSOUL』を作ったときに調べたりもしたんですけど、中学校レベルで出てくるような英単語はすごく意識してますね。例えば、The Beatlesとか聴いてたら、英語なのに、何だか歌詞として耳に入ってくるじゃないですか。

──たしかに、そういう部分はありますね。ただ、70年代や80年代ならわかるんですけど、令和の時代になっても“radio”が好きだなと思ったりもして。

松崎:意外と聴くんですよ、“radio”。車とか乗ってたら。

庵原:オレもめっちゃ聴きますよ。

松崎:へんにCDをずっと聴いてるより、いろんな音楽が自分に入ってくるし。

庵原:聴く分にはすごくいいです。ただ、自分でやるとなると……。

──その話はやめましょう(笑)。

松崎:はははは。でも、そう考えたら、「Japanese Cherry」っていぶし銀ですよね。フレーズもそうだし、ギターソロもわざとああいうニュアンスにしてるし。

庵原:歌詞もそっちに寄せましたね。

──アグレッシヴな歌詞ですよね、この曲は。

庵原:「Japanese Cherry」を日本語訳したら桜じゃないですか。日本の曲で桜を連想させると、哀愁のある感じになると思うんですけど、その逆をいきたかったというか。どんなバラードがくるかと思いきや、相川七瀬が飛び込んでくる、っていう(笑)。

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──先ほど、松崎さんがSHANKらしいと話されてた「Classic」。

松崎:全部リフから作ったんですけど、この曲は1コードのリフをやりたかったんで、そこから派生していったんです。リフからの流れを崩さないようにっていうことだけを意識して作りました。メロディーも考えたんですけど、将平が作ったメロディーのほうが遥かに良かったんで、「じゃあ、そっちでいきましょう」と(笑)。全体像としては、将平が書いたメロディーと歌詞、オレが作ったトラックということで言えば、いちばん最近のSHANKっぽいバランスなのがこの曲だと思います。

──絶妙な軽さがあって、作品全体を豊かにさせる曲だなと思います。

庵原:こういうサイズの作品だからこそ、際立つ感じはありますよね。

松崎:全体を通して聴くと、この曲がいちばん耳に残るし。作ってるときは“よくやってる感じかな”ぐらいの印象だったんですけど、改めていい曲だなと感じてます。それと、作品としてのまとまりを考えたら、この曲で終わりなんですよ。

──ということは、最後を締めくくる「Slip and Slide」はどういう存在なんですか?

松崎:何だか余興感があるじゃないですか、「Slip and Slide」って(笑)。これを最後にしたのは、あえてキレイにまとまらないようにしたかったからです。

──「Slip and Slide」は吐き捨てるようなニュアンスで歌っていき、サビではグッと張り上げてて。あのコントラストが気持ちよかったです。

庵原:オレの頭の中ではこういう完成図があったんですけど、レコーディングしてるときは「これでいくの!?」みたいになってて(笑)。

松崎:ブースで聴いてたときは、ボソボソと歌ってるから、エンジニアさんと顔を見合わせて「大丈夫っすか、これ!?」となりました(笑)。

──はははは。歌詞も結構攻めてますよね。犯罪者を救うというか、受け止めるような感じがあって。

庵原:そういうニュアンスですね(笑)。あと、サビはシンガロングするみたいな王道的なものもあんまりなかったんですよ。図らずとも、そういう要素が増えたかなと思いますね。

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