【コラム】“発見しかない”楽器店オリジナル動画に注目 〜BARKS編集部の「おうち時間」Vol.028
本日5月4日も、MUCCがメンバー各々のリモート演奏による「自己嫌惡」「ニルヴァーナ」動画を公開するなど、自宅やプライベートスタジオからのアーティスト発信動画が“おうち時間を”楽しませてくれている。ライヴさながらにMCやシンガロングシーンが盛り込まれたMUCCの動画は、身体も心も熱く迸らせんばかりの仕上がりだ。
◆「おうち時間」動画
海外ではメタリカがメンバー個々の家からのリモート演奏による「Blackened」動画を公開、“#stayhome”のもとにそれぞれの手法で非常事態を乗り越えるためのコンテンツを音楽ファンに提供してくれる動きは、全世界的な広がり。YouTubeをはじめとする動画コンテンツの賑わいが、新型コロナウイルスの憂鬱を蹴散らしてくれる。
アーティストによるこれら動画はもとより、今、熱いのが楽器店発信による動画やコラムだ。全国店舗展開するBIGBOSSのオフィシャルYouTubeチャンネル『BIGBOSS TV』では先ごろ、“ギターメンテナンス”企画として前後編約16分にわたり“フロイドローズ弦交換”動画を公開。弦振動の大敵となる“ねじれ”対策術など、細かなレクチャーはプロも初心者も必見で、「この“おうち時間”にギターのメンテナンスを」と考えている全ギタリストに嬉しい仕上がり。
このほか、レッスン動画やHOW TO動画を高頻度でアップしている楽器店が目白押しとなっている。
なかでも、注目したい楽器店がESP Guitar Workshopだ。これまでも新製品試奏動画などがオフィシャルTwitterやオフィシャルYouTubeチャンネル上で公開されていたが、そもそもこの楽器店、店構えや店員さんのクオリティがトップランク。たとえば、有名CMの舞台に起用されたことでも知られている。それがセキスイハウスのテレビCM「この日を忘れない」篇である。
OKAMOTO'Sのハマ・オカモトが楽器店店員役を務めた同CMは、憧れの“ベース”を手に入れる少女との心温まるやり取りをフィーチャーしたもの。その撮影場所として、幾つもの楽器店をロケハンしたCM監督が、“スタイリッシュでウッディな店内”“商品ディスプレイの精巧さ”“人柄や温かみが感じられる空間”などの面から、ESP Guitar Workshopを選出したという。つまりは、大企業による全国テレビCMのイメージにベストマッチした極上の楽器店と言い換えることもできるだろう。
ESP Guitar Workshopの先代店長である川又氏は、知る人ぞ知るFreaks Marketの立ち上げ店長でもあり、GMP GUITARやJames Trussartをはじめとするツウ好みの品揃えで、お茶の水楽器店街に新風を吹き込んだ人物だ。コアでマニアックながら、初心者にも優しい店づくりが多くの楽器ファンの共感を得て、日本一の楽器店街にFreaks Marketという唯一無二の存在感を確立した。その川又氏の新たなチャレンジがESP Guitar Workshopであり、現在は大熊新店長を支える一方でESPの新製品開発に携わるなど、店づくりに楽器開発にとアクティヴ。
▲ESP Guitar Workshop
前述したESP Guitar Workshopが発信する動画だが、30000円弱のギターが驚きのサウンドクオリティで演奏されるなど、いわゆる楽器店員さんがちょっと音を出してみました的なものとは一線を画して凄まじい。それもそのはず、スタッフのひとりであるGIN氏は、浜田麻里や葛城ユキバンドのギターを務めたプロギタリストであり、自身のバンドTrash Gangでメジャーデビューも果たしている。
ちなみに、EPSミュージアムに所蔵されている3本の1959年製ギブソンレスポールを試奏するという贅沢極まりない動画の弾き手を務めたのもGIN氏。モノホンの'59年レスポールサウンドが確かな技量によって鳴らされる至高サウンドをぜひチェックいただきたい。上記と併せれば、数万円のエントリーモデルと数千万円のヴィンテージギターによる“格付けチェック”感覚が味わえるかも (先に記したようにどちらも素晴らしい音色という驚きも)。
さらに、ESP Guitar Workshopが誇るリペアスタッフが豪華。リペアマンが常勤する楽器店というだけで充分スペシャルだが、スタッフのひとり林氏は、数々の大御所ギタリストからの信頼が厚く、かのCharとのコラボレーションでも知られるクラフトマンでもある。同氏はコラムを開設、豊富な経験や知識に裏付けられたタメになる連載レポートを公開しているので、こちらもぜひ。また、丹羽氏はカート・コバーン関連BOOK等の取材に多々応じるなど、ジャガー/ジャズマスターのメンテナンスやカスタマイズにおいて右に出る者がいないと言われるほどの逸材……といった具合にスター揃い。
これらスタッフはじめ、ベースのスペシャリストやエフェクターのスペシャリストなど、4階建てのESP Guitar Workshopは充実の品揃えと、親しみやすい店員さんが楽器ファンの心とサウンドを満たしてくれる。現在の状況下では、新型コロナウイルス感染症への感染拡散防止対策として営業時間を短縮、“3密”とならぬよう万全の態勢が取られているほか、8,000円(税別)以上の買い物であれば送料無料となるなどオンラインショップにも力を注ぐことで、プレイヤーをサポートしている。
なお、今回はESP Guitar Workshopにスポットを当てたが、全国にある数多の楽器店ひとつひとつが、それぞれナイスな店員さんや輝かしいストーリーを持つことに間違いはない。今は楽器店が発信する動画やSNSを楽しみに“おうち時間”を過ごしつつ、非常事態宣言が解除される状況になることを心待ちにしたい。
構成・文◎梶原靖夫 (BARKS)
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