【インタビュー】HAWAIIAN6、2年半ぶり新作完成「楽曲や歌がみんなの楽しみになってくれたらいい」
■ピックの持ち方を考え直すというような
■基本的なことから課題に取り組んだ
──それぞれのアイデアを入れやすい作り方でもありますよね?
HATANO:そう。迷っている時間もなかったんですけどね(笑)。そうしてみるしかない、というか。曲の全貌はレコーディング直前まで、正直見えづらかった。歌詞を乗せた段階での練習は、ほぼできなかったので。“ラララ〜”という仮歌状態で、イメージを決めていくしかないっていう。でも良くも悪くも、バンドを長くやっていると、なんとなく乗り越えられちゃう部分があるんですよ(笑)。それでなんとか形になりましたね。でも、これに慣れちゃいけない。各々が課題にしていることもあるんですよ、例えば歌い方であったり演奏の仕方であったり。欲を言えば、そこをもっと詰めたかった。
──もっと具体的に、その課題というのを教えてもらえますか?
HATANO:20数年間このバンドをやってますけど、当然いいところもありつつ、ここから先続けていくには今の自分では通用しないことも見えてて。それが見えたとき、なにが足りなくて、どういう練習すればいいのかも分かった。それをポジティヴにやれるようになったし、ハマることも含めて楽しいんですよ(笑)。できないかもしれないけど、“目標はここにあるんだ”って向かうことが。だから、やりがいがすごくある。
▲GURE (B, Cho) |
HATANO:今一番、バンドが楽しいですよ。ドラムを叩いてて、やりがいもある。こんなにやりがいのある日が来るとは、逆に思ってもいなかった。
──物足りないと思っていると、吸収力も旺盛になりますよね?
HATANO:そうですね。メンバーと一緒に演奏してると、他の楽器の音に対してもすごく考えるようになるし。他のメンバーからの意見に対しても、“ドラムに対してこういう見方もあったのか”と思えるようになっている。そこからヒントをもらえるようにも。
GURE:HATANOさんからも言われていたことですけど、自分の課題は歌い方。正解が分からないままでやっていたので、最初は闇雲みたいな感じもあったんです。でも、やっていくなかで自分の欲求やアイデアが出てきたり、他の意見も吸収したりっていうことを心がけていますね。ベースの弾き方は、ピックの持ち方から考え直すというような基本的なことから。
HATANO:一緒に練習しているとおもしろいですよ。GUREの場合、コーラスを歌うにもクセがあって、踵を上げてクビが前に出ちゃう。俺は歌のプロじゃないけど、「踵を床に付けて歌ってみたらどうなんだ?」って。それだけで声の質感が変わったり、クビの置き方を変えるだけでも違う。レコーディングのときにアンドリュー (エンジニア)の意見も聞いて、それを実際の歌録りに反映させたり。
──今までの経験で自然に蓄積されたものを敢えて一度壊して、もっといいものを探すような?
HATANO:そうですね。いいところと同時に、悪いクセが付いちゃうこともあるじゃないですか。それをお互いに修正しながら、今できるベストを探す。
YUTA:自分の課題も歌でしたね。歌がもう、どうしようもなくなって。そこから曲作りも手に付かなくなったり。歌の悪いクセみたいなところで固まっちゃってた状態だったから、新たにどうやっていこうかなとゼロから考え直していって。
▲YUTA (Vo, G) |
HATANO:とっくの昔にその時期は来ていたんですよ。ただ、見ないようにしていたというか、見るゆとりもなかった。でも、やっていく上で、絶対に見なきゃいけないところだったし、それにようやく気づけた(苦笑)。そこからは何をやるのもおもしろいですよ、自分への悔しさはハンパないですけどね。“すげー練習してきたのにできなかった”とか。でも、それだけ悔しがれるのはいいことというか、やったヤツしか悔しがれない。しっかりと向き合えているんだなと思って。
──その悔しさは、言い方を変えると、伸びしろですからね。
HATANO:そうそう。努力してないヤツは悔しさを感じないんですよ。“今、まだ悔しがれるとは、いいじゃん!”と(笑)。
──曲作りからレコーディングまで、ずっともがいていたんですね。でも仕上がった作品は、大変さがにじみ出たものではなくて、バシッとハジけている。歌詞の中身も含め、外にパワーが向かっている。以前は混沌としたムードもアレンジで大切にしていたけど、今回の『The Brightness In Rebirth』は、ハッピーなほうへ導くサウンドが貫かれている。
YUTA:あっ、そうですか(笑)。個人的にもいろいろとシンプルにしたいと思っていたので。それで言葉を選ばなくなった瞬間もあったから、すごくストレートになったのかなと。今回、ギターのレコーディングも本数をあまり重ねなかったんですよ。そうしたら、音もソリッドでクッキリする感じになったり、そういういろんなことが作用した結果かな。
HATANO:わりと素直に出てきたものを、どれだけいいふうに録れるか、それは考えましたね。例えば、ひとつフレーズを増やすと、その前後のバランスも考えなきゃいけなくなる。自分なりのドラムの定義があるんですけど、楽器は歌の邪魔になっちゃいけないんですよ。音数を増やすってことは、歌とのバランスも考えなきゃいけないということで、それが合っていないと気持ち悪くなってくる。だったら確実に合う音数に設定して、そこでどれだけのグルーヴを出せるか。それが今やることだなって、変な話、開き直っちゃいました。だからやっていることはすごくシンプル。
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