【対談】Psycho le Cému × MUCC、「ふたりが出る台本を書いていいの?」
■絶対に超えられない壁があるなと思う
■だったら、こっちから出ていかないと
──MUCCはジャンルやスタイルなど関係なく、いろんなフェスにも乗り込んで行きますよね。
逹瑯:うん。やってみねぇとわかんないことって、いっぱいあるじゃないですか。食ってみないとわかんないってのと同じように。それでやってみてわかったこともあるんですよ。フェスとか、いろんなジャンルと対バンすることに、数字的に意味があるのか?と。自分たちのほうに来てくれるお客さんということでは、すごく明確にプラスの数字は出てないと思っているんですよね。一番高いハードルが、俺はチケット代だと思っているんで。
──価格差ですか?
逹瑯:そう。ロックバンド界隈と、ヴィジュアル系を比べると、チケット代が全然違う。1.5倍、下手したら2倍ぐらいヴィジュアル系は高い。でもフェスっていう文化は、1万円で1日中楽しめるでしょ。好きなバンドのステージを40分とか1時間ぐらい観れちゃう。それが朝から晩まで。これで1万円は安いでしょ。ワンマンとかも3〜4千円。そういうロックバンドを楽しんでいる人たちが、7千円のチケット代を払ってヴィジュアル系のライヴに来るかと言われたら、来ないですよ。絶対に超えられない壁があるなと思うんです。だったら、こっちから出ていかないとね。うちらがやってきたことが通用するのかしないのかって物差しにはなるじゃないですか。
▲逹瑯 [Vo / MUCC] |
逹瑯:最初は物差しでやってたけど、今となっては、その場が楽しいから出る。うちらが楽しみたいからフェスに出るし、お客さんも楽しんで観てくれるし。もう、それだけでいいんじゃないかなって気がしますよ。お客さんをこっちに持って帰ってこようじゃなくてね。実際に来てくれたら、それはラッキーで、とても素敵なこと。だけど、全部持って帰るぞって息巻いてもしょうがない。背伸びせずに、自分たちのやっていることを楽しんで、お客さんにも楽しみを届けて。そういうスタンスにもなってきたんで、今はすごくフラットにやれているかなって気がする。
seek:それを俺はずっと傍から見てたので。MUCCが時間を掛けて作っていったなと思うし、そういう土壌をMUCCが作ったからこそ、最近ではlynch.とかもフェスに出て、ロックバンドのシーンのなかにMUCCやlynch.とかの層も根付いていってるように見えてる。やってみて方向転換を考えた瞬間もあったのかもしれないけど、ずっとやり続けてきたから、今はそういうシーンのなかでMUCCは横のつながりもできてきていると思う。すべて時間の掛かることだし、それをやってきたMUCCはすごいなと思う。
YUKKE:続けてたら、そういうフェスに来ているお客さんにも、徐々に認知されてきたのかなって実感も出てきて。「蘭鋳」のことを、「MUCCって、しゃがんでからジャンプする曲あるよね」ってぐらいで知ってる人もいるだろうし(笑)。そのへんは続けてきたからだなってところかな。さっきの言い方じゃないけど、やっぱギラギラしてる気持ちもちょっとはありますよ。だけど、その場をすごく楽しんで、一年に1回会うフェスのお客さんとライヴを楽しんでいる感じがある。
seek:ああ、そっか。だけど、20年前のMUCCから考えたら、やっぱすごいことですよ。移動のフェリーのなかでキャッキャッと遊んでいた、あのMUCCが。
YUKKE:フェリーのなかでは、もう走らないよ(笑)。
seek:走らないんですか?
逹瑯:いや、ヘタしたら走るかもしれない、今も(笑)。ツアー中、ホテルから出たとき、50メートル先をYUKKEが歩いてるのを見たら、やっぱ走るもん(笑)。音を立てずに走って、近づいてワーッて驚かしたくなるもん(笑)。
seek:うちもメンバーでよく飯を食いに行くとかあって、仲いいと言われるけど、MUCCもそのへんは異常やなと思うね。
▲DAISHI [Vo / Psycho le Cému] |
逹瑯:仕事もないのに待ち合わせして、どこ行くんすか(笑)?
seek:誕生日会(笑)。
DAISHI:メンバーだけでバーベキューもするし、カラオケ大会もするし。
逹瑯:カラオケって(笑)。
DAISHI:個室を借り切って、ご飯や料理も並べてあって。
逹瑯:なにそれ(笑)。
DAISHI:なぜか年に1回、そんなのをしようって。
逹瑯:いや、絶対に行きたくないし(笑)。
DAISHI:メンバーじゃないから、逹瑯は来れへんし(笑)。絶対に呼ばへんし(笑)。
逹瑯:いや〜、すごいな、その集まり。EX THEATHRE ROPPONGIの後の打ち上げは、カラオケ大会に決まったな(笑)。
DAISHI:やっぱり活動休止というやつがなかったら、多分、できない空気なんやろうな。
seek:僕らはいろいろあってからの復活だから、つながりの深さがあるんやろうなって。
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