バックチェリー、待望の来日公演迫る
10月に入っても各地で夏のような気候が続いているが、そんな暑さをさらに長引かせそうな、熱い来日公演がこの先にもたくさん控えている。そのなかで今回紹介したいのは、10月15日に東京、16日に大阪での公演を控えているバックチェリーだ。
“ならず者バンド”などと称されるバックチェリーが、刺青をステージ衣装とするカリスマ的フロントマン、ジョシュ・トッドを中心に結成されたのは1995年のこと。度重なるメンバー・チェンジのみならず一度は解散も経ている彼らだが、現在はジョシュとギタリストのスティーヴィー・Dを軸とするラインナップに落ち着いており、ジョシュ自身もバンドが過去最高にタイトな状態にあることを認めている。
“C”で始まる危ないモノが大好きだと連呼する歌詞も物議を呼んだデビュー・ヒット、“リット・アップ”を含むこのバンドのデビュー・アルバム『バックチェリー』が世に出たのは、1999年のこと。すなわち今年は彼らにとってデビュー20周年のアニヴァーサリー・イヤーにあたるわけだが、それ以上に重要なのは、今年の3月にリリースされた約3年半ぶりの新作アルバム『ウォーペイント』が、“らしさ”と“新しさ”の両方を兼ね備えた刺激的作品だという事実だろう。ナイン・インチ・ネイルズの“ヘッド・ライク・ア・ホール”の大胆なカヴァーがこのアルバムに収録されている事実も象徴しているように、バックチェリーのロックンロールは、クラシックで王道的であると同時に、常に型破りな一面を持ち合わせている。ジョシュ・トッド自身も「ルールのないところ」がバックチェリーらしさだと語り、次のように発言している。
「それこそが、俺がバックチェリーを聴く時に自分自身に問うことなんだ。十代の俺はこれを聴いて太鼓判を押すだろうか? もし答えがイエスだったら、俺はその曲を出して誇りに思うことができる。そんな最高レベルで競っていきたいんだ。安定性を保ちつつ、なおかつみんなを興奮させ、喜ばせる。それができた時にこそ、素晴らしいことが起こるんだ。今回のアルバムではそれができたと感じているよ」
彼らはそんな自信作『ウォーペイント』を携えながらのツアーをこの春からずっと続けており、オーストラリア・ツアーを経ての来日となる今回は、まさに脂の乗ったライヴ・パフォーマンスを味わわせてくれるに違いない。ちなみに最近のセットリストを調べてみると、前述の“リット・アップ”や“クレイジー・ビッチ”といった代表曲の数々はもちろんのこと、“ヘッド・ライク・ア・ホール”のみならず、ケニー・ロギンズによる映画『フットルース』の主題歌のカヴァーまで披露されていたりもする。もちろん日本公演ならではのスペシャルな選曲がなされる可能性もあるはずだし、オープニング・アクトとして彼らと共に日本上陸を果たす注目株、ジャレッド・ジェイムズ・ニコルズのパフォーマンスも見逃せない。すでに東京公演のVIPアップグレード・チケットはソールドアウトになっているが、この機会に、この屈強でしなやかな現在進行形バンドの“今”を目撃しておきたいところだ。
増田勇一
BUCKCHERRY JAPAN TOUR 2019
10月15日(火)東京・恵比寿リキッドルーム
10月16日(水)大阪・umeda TRAD
https://www.hipjpn.co.jp/archives/54123
◆BUCKCHERRYオフィシャルサイト