【速レポ】<中津川ソーラー>Anly、歌とアコギで起こす革命
開演前から多くの熱心なファンがステージ前に陣取り、その様子に“次は誰なのか”と通りすぎようとする人たちの足も止めさせるなど、注目されるREASSUREステージ。登場したのは、表情にまだ幼さも残る22歳の女性アーティストのAnlyだった。
◆Anly 画像
椅子に座り、アコギを弾きながらAnlyが歌い始めたのは英詞。突き抜けるパワーと美しさを兼ね備えた歌声は、ステージ前にさらに多くのオーディエンスを集めた。そしてギターフレーズと歌が絡み合いながら展開したとき、その曲の正体が露わになった。Queenの「Bohemian Rhapsody」である。誰もが知る有名曲だから、どうしたってオリジナル負けしそうなもの。それなのにAnlyはその歌声で自分の歌として響かせる。Queenを若かりし頃にリアルタイムで聴いていたであろうオジサン世代のオーディエンスも引き込まれていく。さっきまで座っていたが、曲の展開と同時に、まるで覚醒されたように立ち上がり歓声を上げハンドクラップも鳴らす。
「ロックしに来ました。よろしくです」と短い挨拶に続けて、Anlyが披露するのはGuns N' Rosesの「Welcome To The Jungle」だった。シャウトも決めて、激しくアコギをかき鳴らすAnly。その姿とプレイに、今度はロック兄ちゃん世代もわしづかみにされていく。Anlyが歌とアコギで起こす革命がそこにあった。
またAnlyといえば、エド・シーランに影響されたというループペダルを使ったプレイだろう。3曲目から続くオリジナル曲でそれが発揮されていく。全ての音をその場で重ねながら、ペダルを踏みながらコントロールして、まるで“一人バンド”状態だ。そして前向きなメッセージの込められた歌は、ロックもポップスもラップ要素も飲み込んだものである。歌声や表現力も含めてオンリー・ワンという形容がぴったりだが、ここは彼女の作品名を借りて“Anly One”と言うべきだろう。
今回の出演前から、下北沢のライブハウス「風知空知」での番組収録を通して佐藤タイジとの交流があったというAnly。彼と話しているなかで「タイジさんの音楽への情熱、世界への愛とかすごく感じて、メロディが浮かんできたんです。そのときに作った歌を、やっとここで歌えるのは嬉しいです」と「Not Alone」を披露。気持ちの奥底まで響くAnlyの歌は、幸せな思いでも満たしていく。
ラストは再びオーディエンスが起こすハンドクラップをパーカッション代わりにしながら「We'll Never Die」。いつの間にかオーディエンスの数もライブ直前の何倍にも膨れ上がり、ハンドクラップの音もでかい。それ以上に力強さを放つのは、Anlyの歌と、誰かのために生き続けようという歌に込めたメッセージ。素晴らしいシンガーであり、ステージだった。
取材・文◎長谷川幸信
撮影◎高橋良平
【Anly セットリスト】
02. Welcome To The Jungle
03. FIRE
04. Not Alone
05. We’ll Never Die
■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>
9月29日(日) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
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