【レポート】<氣志團万博2019>初日、放送直前に振り返る「迷ったら“前に進むこと”を選んできた」

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<氣志團万博 2019 -房総ロックンロール最高びんびん物語->が9月14日(土)および15日(日)、千葉県 袖ケ浦海浜公園にて開催された。“ありえない”を形にして8年目の夏。今年も奇跡の祭典の模様が11月16日および17日、12時間にわたってWOWOWにて独占放送される。この放送を前に、<氣志團万博 2019>初日公演の模様を振り返るレポートをお届けしたい。

◆<氣志團万博 2019>初日 画像

袖ケ浦海浜公園にて8年連続開催となる<氣志團万博 2019>には、あらゆるジャンルや幅広い層から2日間全32組のアーティストが顔を揃えた。今年も広大なフィールドに設置されたYASSAI STAGEと、会場入り口付近に設置されたMOSSAI STAGEの2ステージ交互制で進行、これは2016年より続く場内レイアウトとなる。




初日のWELCOME ACTは純烈だ。直前まで小雨が降っていた会場だが開場後に雨は止み、2日間のイベントがいよいよMOSSAI STAGEから幕を開ける。<氣志團万博>初出演となる純烈は全員が黒の特攻服。<氣志團万博>でしか見られないであろう、その姿に場内ものっけから大盛り上がり。全7曲の歌唱が開場からの時間を熱いものにした。




そして、前年に引き続いて2019年もオープニングセレモニーアクトは森山直太朗。アカペラによる「さくら」から、うっすらと太陽がのぞく青空の下で美しい歌声を響かせると、「この男に託したいと思います!」と、氣志團 團長の綾小路 翔を呼び込んだ。

いつになく真剣な面持ちで、最初に深く頭を下げた團長は、「台風15号による被害にあわれたみなさまには、心よりお見舞い申し上げます」と伝えると、「このタイミングで開催すべきか、すべきではないか。この人生でいちばん悩みました」と切り出した。結局、答えは出せず、開催の判断が正しいかもわからないが、いつも迷ったら“前に進むこと”を選んできた、進んだ先に希望があることを信じて開催を決意した、という趣旨を伝えて、開会宣言。「今日、来られなかった人にもパワーを分けてあげください」という言葉と共に、例年にない使命を帯びた<氣志團万博>が幕を開けた。




YASSAI STAGEのトップバッターは氣志團。いきなり東京スカパラダイスオーケストラのホーン隊(北原雅彦、GAMO、谷中敦、NARGO)と共に登場すると、ラモーンズのカバー「DO YOU REMEMBER ROCK 'N' ROLL RADIO?」からスタート。軽快なビートにのせて、「ロックンロール 最高!」に変えて歌われたサビに、会場から一斉にこぶしが挙がった。“果たして千葉の非常事態にライブを楽しんでいいのだろうか?”と、おそらくこの日、多くのお客さんが複雑な想いを抱えて会場に訪れていたと思う。だが、そんな迷いを少しだけ吹き飛ばしてくれるような滑り出しだ。

白鳥松竹梅のうなるベースが口火を切った「フォーサイクル」を挟み、ダンサーと、メンバーのゆるキャラを迎えた「One Night Carnival」では一大エンターテイメントを展開。「俺たちでやれることをやるのは、意味があると思っています」と、音楽の力を信じて開催へ踏み切った想いを改めて伝え、バンドの生き様を刻んだ「今日から俺たちは!!」へ。決して器用ではないかもしれないが、これが、自分たちが選んだ戦い方であるという覚悟を込めたステージだった。




MOSSAI STAGEのオープニングを飾ったのは、世界初となるマキシマム ザ ホルモンのフランチャイズ2号店として結成されたコロナナモレレモ。朝イチからMOSSAI STAGEは超満員だ。「ぶっ生き返す!!」を皮切りに、本店に委託された鉄板のライブアンセムを連発。オリジナルパートにDJを擁する編成で繰り出すポップなアレンジに、ボーカルのセキはん(ex.オメでたい頭でなにより)がシャウトと女声を一人二役で巧み操るというステージは、ホルモンだけどホルモンじゃない、なんだか不思議な感覚だ。

MCでは、賛否があった<氣志團万博>開催に触れて、「目の前のこの景色をどんどん広げることが俺の役割だと思ってる」と、セキはん。「麺カタこってりー!」の掛け声で突入した「恋のメガラバ」まで、容赦ないハイテンションで、初日MOSSAI STAGEトップバッターの大役を全うした。




30周年を迎えるスカパラは<氣志團万博>常連アーティストのひとつ。ステージ前に放映される紹介VTRでは恒例の“スカパラとコラボしたいネタ”が團長から語られ、「この話、何回目ですかね?」と谷中が応えるというシーンもテッパンの爆笑ネタとなった感がある。時おり小雨がパラつくこともあった袖ケ浦海浜公園上空には青空が広がり、陽射しも強まった午後12時30分。SEに乗ってYASSAI STAGEに登場した9人のメンバーは「TOKYOスカで踊る準備はいいか?!」という谷中の第一声を合図に「Are You Ready to Ska?」へ。続く「スキャラバン」では突き上げるようなスカビートが客席のモンキーダンスをいざなった。

「束の間の音楽の幸せを力一杯届けにきたよ。正直、無理してきてくれた人もいると思う。みんなのために命がけで演奏します。僕らに出来ることは音楽しかない」──谷中敦

スネアビートに乗せてピアノフレーズが奏でられると客席が一際湧いたのは、「Paradise Has No Border」だ。キメのフレーズでは弦楽器隊と管楽器隊の6人が一体化したポーズで客席を沸かし、同曲の中盤で登場した綾小路 翔と早乙女 光がキメフレーズに「コラボしたいよ マジでしたいよ」と歌詞を当てはめて会場の爆笑をさらう。そして、「この曲を披露するのは初」と告げられてスタートした「砂の丘」は千葉ロッテマリーンズのチャンステーマだ。同曲では、綾小路 翔が愛器ジャズマスターを抱えてイントロテーマやギターソロを演奏、加藤のバッキングギターを従えるという贅沢なツインギターに加え、早乙女 光がハープソロを披露するなど、演奏面でも楽しませてくれた。茂木と沖がリードボーカルを務める「メモリーバンド」を皮切りにスタートした後半は、「Glorious」「ペドラーズ」と畳みかけて灼熱のステージを見事に燃え上がらせた。




紹介VTRで團長から「ロックの極道」と語られたROTTENGRAFFTYは、<氣志團万博>初登場。「結成20年目で初めて本当の姿をみせます」とVTRで意気込んだ彼らだが、その登場SEに「仁義なき戦い」をセレクトしたあたりに“東の氣志團”に対する“西のROTTENGRAFFTY”の臨戦態勢を感じさせるというもの。しかも同SEをバックにMOSSAI STAGEに登場したメンバーは、5人が5色の光沢スーツ姿で、とりわけNOBUYAとHIROSHIは反社的メイクでキメている。

オープニングナンバーは代表曲「響く都」だ。サビの一部を“響く都 響く房総”に替え、そのコール&レスポンスに被災した千葉への想いが込められているように熱い。「前向きな力を届けに来たぞ!」というN∀OKIの言葉はあまりにも真っ直ぐ房総の空へ響いた。2曲目の「夏休み」ではNOBUYAが角材を手にする場面も。これは、紹介VTRで團長から「“機材車が盗難にあった”という10-FEET TAKUMAからの連絡を受けたNOBUYAが、速攻で角材を持って駆け付けたそうです。彼は本物」と明かされた逸話を、そのまま再現したものだろう。

しかし、彼らの凄味は自身が発するサウンドとアティチュードにこそある。以降も、「D.A.N.C.E.」「零戦SOUNDSYSTEM」「THIS WORLD」といった攻撃的チューンが連発されて圧巻。ステージから飛び降りて客席に飛び込んだNOBUYAのアグレッシヴなアクションもROTTENGRAFFTY本来の姿だ。ラストナンバーの「金色グラフティー」を前に、「ダイヴしたことないやつ、ここまで来い! オレんとこ来ないか?」と叫んだN∀OKI。この言葉が場内に笑顔の輪を広げるなど、さすがのフェス巧者ぶりを徹頭徹尾発揮したROTTENGRAFFTYだった。……しかし、最後の一打が振り下ろされた後に、警笛が鳴り響き、警察官姿の綾小路 翔と早乙女 光が「確保!」という言葉を発してステージへ。「反社なの? それとも吉本新喜劇なの?」とHIROSHI(Dr)のメイクをイジリ、ステージ袖にいたマキシマム ザ ホルモンの上ちゃんをも巻き込んで、“東西ヤンキー対決”が終了した。




浴衣姿で姿を現した初登場のPUFFYは、惜しげもなくヒット曲を連発する圧巻のパフォーマンス。房総の海辺を臨むYASSAI STAGEにぴったりの「海へと」にはじまり、「愛のしるし」「マイストーリー」などが、新井弘毅(G / THE KEBABS)やオカモトコウキ(G / OKAMOTO'S)ら辣腕のサポートメンバーを迎えた骨太のバンドサウンドに昇華され、亜美&由美のハーモニーがポップなメロディをなぞる。

「知ってる曲があれば一緒に歌ってくれたら、周りの大人たちの好感度が上がるから」(由美)、「来年も出たいからね」(亜美)と緩いトークを挟んだが、“知ってる曲があれば”という表現はあまりにも謙虚。「サーキットの娘 万博ver.」「渚にまつわるエトセトラ」「アジアの純真」に至るまで、誰もが知る名曲ばかりのステージに、デビューから23年、時代を超えて愛される続けるポップアイコンの凄みを見た。




「こんなに愛のあるフェスは出会ったことがない」──セントチヒロ・チッチが<氣志團万博>への想いを寄せたBiSHは、一発目の「BiSH-星が瞬く夜に-」から、内なる狂気を爆発させるようなエッジの効いたダンスでMOSSAI STAGEのお客さんを巻き込んでいく。ふだんはメンバー全員、デザインが統一された衣装で登場する彼女たちだが、この日はハシヤスメ・アツコが氣志團のグッズを着用して登場するという気合いの入りっぷり。

“ウォーウォー”という雄々しいシンガロングと共に駆け抜けた「GiANT KiLLERS」から、ポップなメロディにのせて“晴れた明日”を願うラストナンバー「beautifulさ」まで。生きづらさと戦い、他人が押し付ける“当たり前”に中指を立てながら夢を追う、熱きパンクスピリッツを二度目の<氣志團万博>に刻んだ。




サイレンが鳴り響いたステージ上に、楽器隊のSHOW-HATE、SIN、GODRiが姿を現すと開放弦を叩き付けるようにはじいた。この轟音をバックにMAHが「オレたちにしか満たせないものを満たしに来たぜ!」と第一声。SiMの登場だ。巨大LED画面にSHOW-HATEによるタッピングフレーズが大写しにされ、オープニングナンバー「Faster Than The Clock」へ。開始早々、客席エリアにサークルモッシュが出現した。続く「DiAMOND」はヘヴィサウンドがエグい。チューニングを極限までドロップさせたサウンドが身体を痺れさせるような音圧となって襲いかかってくるなど、“死夢”名義も含めて5年連続出演となる彼らのステージは、いい意味でいつもの大胆さを感じさせるものだ。

「5年連続5回目。なんの縁もゆかりもなかった房総半島だけど、<氣志團万博>があったから千葉が大切な場所のひとつになった。この日を氣志團にささげるって決めてた。忘れろ!歌え!忘れろ!」──MAH

出演バンドにとっては、会場を温めることが責務のひとつでもあるが、この日の彼らは確実にそれ以上の役割を果たしていた。「Blah Blah Blah」「GUNSHOTS」といったライブに欠かせぬナンバーで濃厚で狂暴な空気を描き、「The Sound Of Breath」をしっとりと聴かせる。変化に富んだ演奏メニューで音楽的多様性と、どんな楽曲であろうとあくまで“SiM流”であることを<氣志團万博>に印象付けるあたりは、さすがのフェス巧者。さらには、「<DEAD POP FES>に来年は氣志團に出てもらいたい」と熱いメッセージを贈るなど、サウンドとスピリットでオーディエンスをひとつに。「今日、やれてよかった」と最大の敬意を告げて、YASSAI STAGEの4番手を全うした。




「美声国宝直太朗ママ」とは、紹介VTRでの團長の言葉だ。「涙そうそう」の美声がMOSSAI STAGEに響き渡り、姿を現した森山良子の髪型はリーゼント風。<氣志團万博>初登場ながら、国宝級の歌声とシャレの効いたスタイルでオーディエンスの心をあっという間に掴んでしまった。続くMCでの團長のお株を奪う「オーライ!オムライス!」のコール&レスポンスでキッシーズが沸騰。しかもそれがヴィブラートをふんだんに含んだ伸びやかボイスなのだから、さすがのひと言である。

そのMCでは森山良子のいとこ、ムッシュかまやつに扮した團長が「<氣志團万博>初登場おめでとう!」とシャンパンをプレゼントして、乾杯。そのままグラスを手にした森山良子がヴェルディ・オペラ『椿姫』より「乾杯の歌」を歌うという粋な演出も。さらには「聖者の行進」の曲中に森山直太朗が登場。ディキシーランド・ジャズ・スタイルのバンドサウンドもさることながら、スキャットを織り交ぜながらの2人のボーカルには圧倒的なものがあった。

「母子ともによろしくお願いします」との挨拶を残してステージを去った森山直太朗。ラストナンバーは森山良子の弾き語りによる「さとうきび畑」だ。“ざわわ”の歌声に身を委ねるように客席エリアが静まり、その音色に神経を研ぎ澄ませるような16時前のMOSSAI STAGE。豪華共演と感動的な歌に酔いしれた全4曲約30分だった。




2000年から大阪の“万博”記念公園で野外ライブ<ヤッサ>を開催しているウルフルズは、“元祖万博ウルフルズ #ヤッサ”名義で初参戦。トータス松本(Vo)の豪快な歌声が響きわたった「バンザイ~好きでよかった~」から、お客さんの心をガシッと鷲掴みにする。

かつて氣志團のメンバーがミュージックビデオに出演した「事件だッ!」から、梅田や心斎橋という地名を散りばめ、関西弁全開で歌うファンキーな「大阪ストラット」へ。あえてヒット曲を連発するのではなく、氣志團への想い、“地元=大阪”を背負うセットリストを用意する筋の通し方に、結成30年を迎えたライブバンドの気骨が滲む。

ラストは、氣志團のメンバーを呼び込んだ「ガッツだぜ!」。倒れたトータスを、会場の“ガッツだぜ”コールで復活させる寸劇を挟んで、フィナーレ。難しいことは何ひとつない。底抜けにパワフルな歌の力で、こんなにも心のつっかえが取れるような音楽を届けられるロックバンドはウルフルズだけだろう。




猪狩秀平 (G, Vo)の「<氣志團万博>初登場! 大阪のHEY-SMITHです」という挨拶からスタートしたステージは、徹頭徹尾パワーに溢れるものだった。猪狩が着用したTシャツは<TRIPLE AXE>のもの。これはcoldrain × HEY-SMITH × SiMによる合同企画イベントで、<氣志團万博>初日には3バンドが集結。この夏の各地フェスでは<TRIPLE AXE>名義での3バンド合同ステージもあったが、この日はそれぞれのステージが1日で楽しめるとあって、MOSSAI STAGEにはモッシュ上等のファンの熱気がのっけから凄まじい。

「Endless Sorrow」「Dandadan」とスカビートやホーンの煌びやかさが散りばめられた骨太のロックサウンドを連発、楽器隊のソロ回しが秀逸な「Radio」でオーディエンスの熱が加速したところで、猪狩がこう語りかけた。「とにかく開催されてよかったな! 俺たちも自粛とか性に合ってないから。精一杯元気を溜めて帰ってくれよな。そしてその元気を千葉県の困ってるやつらに分けてやってくれ!」──これには場内に拍手と大歓声がこだました。

後半は、「夏の終わりかけって感じがするな。もしかしたら、今年野外で歌うのは最後かもしれない」と夏ソング「Summer Breeze」へ。そして、ライブに欠かせぬ「We sing our song」、高速2ビートアレンジが施されたカバー「I Will Follow Him」、大きなサークルモッシュが出現した「Come back my dog」と畳みかけて、真夏のようなステージの幕を閉じた。




“歌って踊る日本人──歴代最強”という紹介VTRに導かれて、YASSAI STAGEに登場したのはDA PUMPだ。オープニングナンバーは2018年を駆け抜けた代表曲「U.S.A.」。初っ端からの惜しげもない大ヒット曲の披露にフィールドが沸いた。<氣志團万博>は世代もジャンルもさまざまなアーティストが集結するだけに客層も多様。しかし、DA PUMPのステージは誰もが歌を口ずさみステップする間口の広さが圧巻だ。

ISSAとKIMIの掛け合いラップがスリリングな「ごきげんだぜっ!~Nothing But Something~」、「知ってる人も知らない人も歌ってください」というISSAのMCに導かれたバラードチューン「if…」は夕陽に照らされてドラマティックなシーンを描いた。どちらも1990年代後半から2000年代前半のシングル曲ながら、オーディエンスの歌声が途絶えないあたりに、キャッチーな名曲の本質が宿る。

もちろん、「Do it ! 宙にジャンプ」をはじめ、バイーンダンスやレインボーダンスなどのダンスレクチャーの後に披露された「P.A.R.T.Y.~ユニバース・フェスティバル~」といった最新曲で会場を熱狂させた彼らは、ラストに再び「U.S.A.」ロングバージョンを披露。センターステージで6人が高々と挙げた手に万雷の拍手が降り注ぎ、YASSAI STAGEの6番手を見事に締めくくった。




少しずつ陽が落ちてきたMOSSAI STAGE。初登場となるKing Gnuがサウンドチェックで「Tokyo Rendez-Vous」を演奏し始めると、本番前にもかかわらず、すでに会場には大勢のお客さんが詰めかけていた。

本番は「Slumberland」からキックオフ。新井和輝(B)と勢喜遊(Dr)が繰り出す強靭でキレ味鋭いグルーヴとハイセンスなサウンドプロダクション、拡声器で歪ませた常田大希(Vo / G)のざらついたボーカルがダークで華やかな狂騒を描き出す。そんな常田とは対照的な声色を持つ井口理(Vo / Key)のファルセットに、バンドの演奏が少しずつ重なり、熱を帯びていく「白日」へ。繊細で荒々しく、最先端でありながら、どこか懐かしい哀愁もある。そんな美しい矛盾を抱えたKing Gnuのオルタナティヴなロックナンバーが会場に大きなシンガロングを巻き起こす光景は圧巻だ。

躍動するビートにのせて、“この時代に飛び乗って” “命揺らせ”と歌う生命力あふれる最新ナンバー「飛空艇」には、いま大きな追い風が受けるバンドの状況ともリンクしていた。




「音楽に感情全部ぶつけて、やつ当たりしちゃっていいから」──真っ直ぐに客席エリアを見据えるKj (Vo)の熱い言葉から幕を開けたDragon Ash。彼らもまた<氣志團万博>には欠かせないバンドの1組だろう。細やかで軽快なビートが炸裂する「AMBITIOUS」を手始めに、全身の血を湧き立たせるような激情のミクスチャーロックが客席エリアを一気にぶち上げていく。

交錯する楽器の1音1音が闘争心をかきたてるような新曲「Fly Over」を挟むと、「Jump」の途中、YASSAI STAGEに広がる雄大な光景を眺めながら、Kjが「万博、やってよかったよねえ!?」と叫んだ。多くは語らずとも、言葉はそれだけで十分だった。

終盤は、Kjが上裸になり、「百合の咲く場所で」と「Fantasista」という会場を丸ごと抱きしめるようなパフォーマンスで終演。正解も不正解もない選択肢に直面したとき、“あなたが選んだ道はきっと正しい”と、Dragon Ashはいつも私たちを導いてくれる。




MOSSAI STAGEの初日トリは3回目の出演となるcoldrainだ。「全員、手を挙げろ!」──気合十分で乗り込んできたMasato(Vo)の声を合図に、ライブは「ENVY」でスタート。獰猛なバンドサウンドを援護射撃にシャウトからハイトーンへと変幻自在に声色を変えるMasatoの熱いパフォーマンスが容赦なくフィールドをもみくちゃにする。

これまでの<氣志團万博>では「激しいバンドと思われたかったために封印していた」という荘厳で美しい「COEXIST」も解禁。今や海外のフェスでもヘッドライナーを務め、国内外問わずラウドシーンでその名を轟かせるバンドの本気を全開放する。

終盤、「REVOLUTION」でウォールオブデスを巻き起こすと、Masatoは「もう、このステージには出ません!」と宣言。「次回こそYASSAI STAGEに立つバンドになる」と退路を断ち、バンドの成長を<氣志團万博>に誓った。




“果たしてどんなステージになるのか?”という期待感のなか、YASSAY STAGEの初日トリを飾る木梨憲武の出番がやってきた。矢野顕子ならぬ“矢のり顕子”、森山良子ならぬ“のり山良子”に扮して、それぞれピアノとアコースティックギターを弾き語りながら、「ラーメンたべたい」「涙そうそう」を届けて笑いを起こすと、いよいよここからが本番。100人のダンサーを引き連れて華やかなオリジナルナンバー「Laughing days」の後、なんと、ヒロミとカンニング竹山を迎えて、アリスのカバー「チャンピオン」を披露。たった1曲のために、TVでお馴染みの売れっ子ふたりが千葉まで駆け付けるなんて贅沢すぎるサプライズだ。

「57歳、ジジイ、やるだけやってみます!」と宣言してから突入した新曲「GG STAND UP!!」では、その演奏中に、スクリーンでユニバーサルミュージックからソロデビューすることを発表。デビュー作に収録されるだろう新曲「I LOVE YOUだもんで。」は、妻・安田成美へ捧げるラブソングで、歌詞に綴られる夫・木梨憲武の情けなくも微笑ましいエピソードに会場の笑いは絶えなかった。

盛りだくさんのステージの最後は、團長を呼び込んで、とんねるずの「一番偉い人へ」を歌うと、氣志團、PUFFYをはじめ、2日目に出演予定のマキシマム ザ ホルモンのナヲや、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔も乱入し、「One Night Carnival」で大団円。毎年、多くのレジェント級アーティストが出演してきた<氣志團万博>に、また新たな歴史を刻んだ瞬間だった。

取材・文◎秦理絵/梶原靖夫 (BARKS)
撮影◎青木カズロー/上山陽介/釘野孝宏/中野修也

◆<氣志團万博 2019>2日目レポートへ

■<氣志團万博 2019 -房総ロックンロール最高びんびん物語->初日
2019年9月14日(土)@千葉県 袖ケ浦海浜公園セットリスト

【純烈】(WELCOME ACT) ※MOSSAI STAGE
01. 星降る街角
02. ラブユー東京
03. そして神戸
04. 小樽のひとよ
05. わたし祈ってます
06. 純烈のハッピーバースデー
07. 逢わずに愛して
【森山直太朗】(OPENING CEREMONY ACT) ※YASSAI STAGE
01. さくら
〜開会宣言〜
【氣志團】※YASSAI STAGE
01. DO YOU REMEMBER ROCK'N'ROLL RADIO?
02. Let's Dance
03. フォーサイクル
04. One Night Carnival
05. バームクーヘン
06. 今日から俺たちは!!
07. 鉄のハート
【コロナナモレモモ】※MOSSAI STAGE
※非公開
【東京スカパラダイスオーケストラ】※YASSAI STAGE
01. Are You Ready to Ska?
02. スキャラバン
03. DOWN BEAT STOMP
04. Paradise Has No Border
05. 砂の丘
06. メモリー・バンド
07. Glorious
08. ペドラーズ
【ROTTENGRAFFTY】※MOSSAI STAGE
01. 響く都
02. 夏休み
03. D.A.N.C.E.
04. 零戦SOUNDSYSTEM
05. THIS WORLD
06. 金色グラフティー
【PUFFY】※YASSAI STAGE
01. 海へと
02. 愛のしるし
03. マイストーリー
04. これが私の生きる道
05. 誰かが
06. サーキットの娘 万博ver.
07. 渚にまつわるエトセトラ
08. アジアの純真
【BiSH】※MOSSAI STAGE
01. BiSH-星が瞬く夜に-
02. DiSTANCE
03. GiANT KiLLERS
04. NON TiE-UP
05. プロミスザスター
06. beautifulさ
【SiM】※YASSAI STAGE
01. Faster Than The Clock
02. DiAMOND
03. Blah Blah Blah
04. GUNSHOTS
05. The Sound Of Breath
06. KiLLiNG ME
07. f.a.i.t.h
【森山良子】※MOSSAI STAGE
01. 涙そうそう
02. 乾杯の歌
03. 聖者の行進
04. さとうきび畑
【元祖万博ウルフルズ #ヤッサ】※YASSAI STAGE
01. バンザイ~好きでよかった~
02. 事件だッ!
03. センチメンタルフィーバー~あなたが好きだから~
04. 大阪ストラット
05. 笑えれば
06. ガッツだぜ!!
【HEY-SMITH】※MOSSAI STAGE
01. Endless Sorrow
02. Dandadan
03. Radio
04. 2nd Youth
05. Don't Worry My Friend
06. Like A Gentleman
07. Summer Breeze
08. We sing our song
09. I Will Follow Him
10. Come back my dog
【DA PUMP】※YASSAI STAGE
01. U.S.A.
02. ごきげんだぜっ!~Nothing But Something~
03. if…
04. Do it! 宙にジャンプ
05. P.A.R.T.Y.~ユニバース・フェスティバル~
06. We can't stop the music
07. U.S.A.ロングバージョン
【King Gnu】※MOSSAI STAGE
01. Slumberland
02. Sorrows
03. Vinyl
04. 白日
05. 飛行艇
06. Flash!!!
【Dragon Ash】※YASSAI STAGE
01. AMBITIOUS
02. Mix it Up
03. ROCKET DIVE
04. Fly Over
05. Jump
06. 百合の咲く場所で
07. Fantasista
【coldrain】※MOSSAI STAGE
01. ENVY
02. FEED THE FIRE
03. COEXIST
04. F.T.T.T
05. 24-7
06. REVOLUTION
07. THE REVELATION
【木梨憲武】※YASSAI STAGE
01. ラーメンたべたい~さとうきび畑の唄~涙そうそう
02. Laughing days
03. YOUNG MAN (Y.M.C.A.)
04. チャンピオン
05. GG STAND UP!!
06. I LOVE YOUだもんで。
07. 一番偉い人へ
08. One Night Carnival

■<氣志團万博2019 -房総ロックンロール最高びんびん物語->

9月14日(土) 千葉県・袖ケ浦海浜公園
9月15日(日) 千葉県・袖ケ浦海浜公園
開場9:00 / 開演10:30 / 20:40終演予定

▼初日 14日出演者 ※50音順
元祖万博ウルフルズ #ヤッサ / 氣志團 / 木梨憲武 / King Gnu / coldrain / コロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店) / SiM / 純烈(WELCOME ACT) / DA PUMP / 東京スカパラダイスオーケストラ / Dragon Ash / PUFFY / BiSH / HEY-SMITH / 森山直太朗(OPENING CEREMONY ACT) / 森山良子 / ROTTENGRAFFTY
▼2日目 15日出演者 ※50音順
稲垣吾郎・草なぎ剛・香取慎吾 / 打首獄門同好会 / ACE OF SPADES / 大島渚 / 氣志團 / ゴールデンボンバー / C&K / 私立恵比寿中学 / SUPER BEAVER / 田原俊彦 / t-Ace / DJダイノジ(WELCOME DJ) / 10-FEET / マキシマム ザ ホルモン / マキタスポーツ(OPENING CEREMONY ACT) / ももいろクローバーZ / ヤバイTシャツ屋さん

■WOWOW番組『氣志團万博2019 ~房総ロックンロール最高びんびん物語~』

▼初日 前編
11月16日(土)午後4:00~ [WOWOWプライム]
※森山直太朗、氣志團、東京スカパラダイスオーケストラ、ROTTENGRAFFTY、PUFFY、BiSH、SiM、純烈
▼初日 後編
11月16日(土)よる7:00~ [WOWOWプライム]
※森山良子、元祖万博ウルフルズ #ヤッサ、HEY-SMITH、DA PUMP、King Gnu、Dragon Ash、coldrain、木梨憲武
▼二日目 前編
11月17日(日)午後4:00~ [WOWOWプライム]
※マキタスポーツ、ゴールデンボンバー、打首獄門同好会、ももいろクローバーZ、C&K、10-FEET、私立恵比寿中学、ACE OF SPADES、DJダイノジ
▼二日目 後編
11月17日(日)よる7:00~ [WOWOWプライム]
※t-Ace、大島渚、田原俊彦、SUPER BEAVER、稲垣吾郎・草彅剛・香取慎吾、ヤバイTシャツ屋さん、氣志團

※放送楽曲は番組サイトでご確認ください
※マキシマム ザ ホルモン、コロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店)の放送予定はございません。

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