【インタビュー】ASKA、自分のスタイルを“ありったけ”積み上げたバンドツアーと、散文詩集

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昨年<billboard classics ASKA PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2018-THE PRIDE->で5年ぶりに全国ツアーを開催。現在はバンドを従えたスタイルで<ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA -40年のありったけ->を全国で開催中のASKAが、3月22日に『ASKA書きおろし詩集』(双葉社刊)を発売した。歌の歌詞とはまた違う散文詩を、彼はなぜ書くようになったのか。その辺りも含めて、現在行なっているツアーについてASKAに聞いた。

◆ASKA 画像

■前回のツアーは、機会を与えて頂いたことへの感謝
■今回は自分のスタイルを思い切り積み上げたような感じです。


──先に、昨年末まで行っていた再始動コンサートとなったツアー<billboard classics ASKA PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2018-THE PRIDE->をどんな気持ちで終えられたのか。そこからお話を聞かせてもらえますか?

ASKA:まず最初にいわなきゃいけないのは、ツアーの本番ちょっと前に体調を崩して。崩しても、初日だけはなんとかうまくいったんですね。その翌々日ぐらいに高熱が出まして。それをおして歌ったがために、初日以外はせっかく楽しみに待っててくれたお客さんには失礼な喉の状態で12月23日まで行なってしまったんですよ。そんななかで、今回は映像の収録を初日に入れてたんです。普通、初日に収録はないでしょ?

──だいたいツアー最終日ですもんね。

ASKA:だけど、このときは初日に入れてたからライブDVDが出せたんです。

──奇跡だ(微笑)。

ASKA:そう。こんなラッキーなことはないよね。

──ASKAさんとして、ちょっと悔しさが残るツアーでもあった、と。

ASKA:悔しさの前に申し訳なさのほうですね。せっかく待っててくれたお客さんに対して。でも、ツアーが終わって1カ月後にいまやってるツアー(<ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA-40年のありったけ->)が始まったので、よかったですよ。いま、前回の印象を塗り替えられているので。ここで時間が空いてしまうと、あのまんまの印象が残ってしまうのでね。


──ということは、現在開催中のツアーは好調ということでよろしいですか?

ASKA:みなさんに大喜びして頂いてるツアーになってるんじゃないかなと思います。熱気溢れるライブになってますね。とにかく、オーディエンスが熱い。ステージ上もそうなので、一気に昇りつめるような時間になってます。

──前回のツアーを経ての今回なので、ステージに立つASKAさんの気持ちにも変化があったんじゃないでしょうか?

ASKA:前回のツアーは、ああいう機会を与えて頂いたことへの感謝でステージに立っていました。今回はね、通常どおり。これまでの自分のスタイルを経験により、思い切り積み上げたような感じです。お客さんのボルテージがステージ上と同じようにあがってくれていますので、毎回、やりきった感がしています。

──ツアー初日には、飛び入りで玉置浩二さんが登場されたそうですね。

ASKA:あれはね、ツアー前日に玉置から「お前明日初日だな」って連絡がきたんですよ。で、「俺は行かなくていいのか? なにもしなくていいのか?」なんてジョークがありましたので、「もうステージ上げてしまおう」と、その電話の段階で思っていました。玉置にしてみれば、「ジョークを本気にするなよ」って思ったでしょうね。いいんです。お互い、ステージに立つ者として、お客さんに喜んでもらえることの喜びを知っていますから。なんのネタもない友人同士の会話をして、2人で作った曲の歌詞を思い出しながら、さわりを歌ったりしましたね。早く、世の中にリリースしたいと思っています。

──今回はツアー中にセットリストを変えられたとか。

ASKA:ええ。初日のステージをやったとき、だいたい予想していた流れにはなってはいたんですけど、こういう空気になるところはこうしなきゃいけないんじゃないかと思ったところがあったんですね。それで、曲の入れ替えをしまして。3公演目からセットリストを変えました。

──客層の変化は感じてらっしゃいますか?

ASKA:本当にね、今、もう僕が語らなくても、ライブに来られた方々が発信してくれていますが、どの会場でも男性が増えましたね。そのうち、男だけのコンサートをやる日が来るかもしれません。それをやってるアーティスト、いますよね。自分はそんな機会はきっとないんだろうなと思ってましたが、ここに来て、むしろ「やらなきゃ」と思い始めてます。

──それがここにきて。

ASKA:これだけ男女比率に変化があるとね。

──そして、福岡からは“もぐもぐタイム”なるものが始まったそうですが。これはなんなんですか?(微笑)

ASKA:これね、観に来た人たちがそう呼ぶようになったので、僕の方が、その言葉に「相乗り」しました(笑)。毎ステージ後、「今日のもぐもぐタイムは〇〇だった!」と、来られた方々がつぶやくんですよ。「今日のコンサートの感想の方が先だろ?」と、突っ込みながら、僕も楽しんでいます。僕は今年になって2月の福岡公演まで、まだ、神社に行ってなかったんですよ。その福岡での午前中に太宰府天満宮に行って参拝して来ました。それが僕にとっての初詣だったんですよ。やはり、気持ちが落ち着きますね。その帰りに、梅ヶ枝餅のお店に1人で入って。梅ヶ枝餅を食べたわけです。これが、人生で2回目の一人食事だったんですよ。

──ええーっ(笑)。

ASKA:僕はね、レストランやお食事屋さんに一人で食事をしに入ることができなかったんです。誰か人が一緒にいないと入れなかったんですね。でも、先日香港で一人食事デビューをしまして。ホテル前の「つけ麺屋」に初めて一人で入りました。前日に1万人以上のお客さんの前でパフォーマンスした人物が、翌日、数人のお客さんに混じって緊張してるわけです。

──わはははっ(笑)。緊張のあまり。

ASKA:もうね、つけ麺早く出てこいって。さっさと食べて一刻でも早くその場を去りたかった。そうやって、初めてのお使いじゃないけど、初めての一人食事をなんとか終えて。人生2回目となった太宰府の梅ヶ枝餅を食べてる時に、ふと思いました。今回のツアーでは、ライブ中にミーティングと称して、僕らはステージ上で円陣なり、その間、お客さんには「俺たちミーティングしてるので、トイレ行っといで」と。

──今回のツアーから?

ASKA:ええ。それは、billboardのツアーは2部制にしてたでしょ? その間の20分間の休憩時間に。皆、お客さんたちがトイレに行ってたという話を聞きましたので。しかしう、今回の通常ライブでは、1部、2部に分けるつもりはない。しかし、そのような時間を設けることで、演出になるんじゃないかと。見事、ハマりましたね。逆手に取った演出です。

──素晴らしいアイデアじゃないですか!

ASKA:それで、福岡のときに、参拝後に立ち寄った「梅ヶ枝餅屋」さんで、「今日のミーティングで、これを出してみよう」と、思い、それを実行したのがキッカケになりました。そのミーティングの時間が“もぐもぐタイム”といわれるようになったんです。

──そうでしたか。

ASKA:いまは1つだけルールを決めてまして。お金を払って買ってこないことにしてるんです。それで、ステージ上でもぐもぐタイムになると「今日は〇〇さんのタイアップがつきました」といって食べて、感想を述べて。コンサート中に生CMをお届けしてるんです。

──面白い! いいこと考えましたね。

ASKA:ミュージシャン仲間からも「あんなの初めて観た」っていわれてます(笑)。

──それは、いまも継続中なんですか?

ASKA:ええ。各地でタイアップもついて。

──いくらタイアップがついても、ASKAさんの場合はステージで食べた後に歌わなきゃいけない訳ですから。喉にくっつくものはちょっとな、みたいなのは。

ASKA:なーんにも気にしてない。


──そうして、こちらのツアーの追加公演として日本武道館を含めた3公演が発表されました。ASKAさんは武道館には思い入れは?

ASKA:大好きですね。武道館ってね、みんな同じこというけど、一直線上に伸びたお客さんではなくて、あのぐるりとお客さんに囲まれてる感じがいいんですよ。どこを向いてもお客さんというなかでのパフォーマンスは、ボルテージが上がります。いまは建築法が厳しくなったから、あの傾斜、あの座席数のホールは作っちゃいけないんですよね。でも、その武道館もまもなく改修工事が始まるんですよね。

──その前に追加公演を武道館でやれるとか、奇跡みたいですよね。

ASKA:そうなんですよ。数件、使用希望があった中で、たまたまクジ運がよく、僕がやれることになりました。

──ああー。やはりASKAさんは、なにかもってらっしゃいますよね。ラッキーを引き当てる強運を。

ASKA:いやいや。それでも凋落はあるよね。僕は破天荒な人生だから、そのなかで目立つ部分だけ見るとラッキーなことが多いように見えるんだけど。

──その分、凶も引き当ててるってことですか?

ASKA:凶もある。でも凶を引き当ててもそれを補う、塗り替えることが次に起こるから。本当に“運”だけで生きてるんですよ。運だけで生きてると自覚してるんだから、この運だけはこの先も続いて欲しいなと思いますけどね。

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