【対談インタビュー】WING WORKS×DAMY、過去と今
■上の世代にも下の世代にも出せないものが出せる時期だと思っている(RYO:SUKE)
――椋さんは2017年の終盤辺りから、表現力に一層磨きが掛かったことを感じます。
椋:ありがとうございます。ボーカリストはギターやベース、ドラムといった楽器をやる人とは別に、表現力というものが大事だなと最近は思っているんです。演技とはまた違うんですけど、世界に入り込んで魅せるというか。そのことに1年前くらいにようやく気づいたというのがあって。僕は最近、舞台俳優を目指している友達とミュージカルを観にいったんですよ。それで声で人を感動させることに圧倒されて、表現力ということに関してこの人達は全員ヤバいなと思った。ちょっと一言言うだけの脇役の人とかでも、もう尋常じゃない魂がこもっているんですよ。そういう姿を見て、これはボーカリストとして活かせることだなと思って。最近は表現することはボーカリストに与えられた使命だと感じているんです。なので今の自分は表現力が課題かなと思っています。
――一方のRYO:SUKEさんも、今年の2月にセカンドアルバム『ENTITY』リリース以降、ボーカリストとしての成長が目覚ましいと感じています。
RYO:SUKE:今すごく歌うことが楽しいし、それはアルバムの内容が充実していることはもちろんですが、2017年から2018年にかけて少女-ロリヰタ-23区をやったことが大きな転機だったと思っていて。少女-ロリヰタ-23区で久しぶりにベーシストとしてステージに立つ日々をを重ねる中で、自分とステージがバチッとハマる感覚を思い出せたんです。それで、ベースはベースでこのままずっと弾いていきたいなと思ったけど、少女-ロリヰタ-23区は終わることになってしまった。その後、今週は少女-ロリヰタ-23区、今週はWING WORKSという形でボーカルとベースを行ったりきたりする時期が何ヶ月かあって、その中でボーカリストとしての自分と、べーシストとしての自分が繋がる感覚が掴めたんです。
椋:自分なりの表現の仕方を見つけたんですね。
RYO:SUKE:そう。元々俺は少女-ロリヰタ-23区の頃から作詞/作曲をしていたから当然歌詞のことを考えながらベースを弾いていたというのがあって、その結果全身で表現できていたんだと思う。その感じが歌でも以前よりできるようになってきた感覚があって。だから椋くんの言う“これが表現力か”という感覚は、今の俺はすごくよくわかるよ。
――ということは、今度の対バンはキャリアの違いはあれども、新しいステージに歩を進めた同士の顔合わせになりますね。
椋:そうですね。
RYO:SUKE:俺、WING WORKSとDAMY両方のお客さんに伝えたいことがあって。空くんがきっかけでDAMYとご縁ができて、そこからさらにメンバーみんなとの交流が生まれたことで今回の対バンもやりたいと言ってくれたし、今日の対談で椋くんとも会えてる。そうやって徐々にWING WORKSとDAMYの距離が近づいていったけど、お互いのファンの子はそれがまだわからないと思うんだよね。ただ単に一緒にライブをするんじゃなくて、親しくなったうえでの競演で、それをお互いに楽しもうとしているということを両方のファンの子に伝えたい。俺がDAMYを見て“自分の若い頃みたいだ”と思ったのと同じようなワクワク感を、DAMYはWING WORKSのファンの子たちにも与えられると思う。同時に俺はDAMYのファンの子にこれまで積み上げてきた自分のキャリアがにじみ出るからこその、説得力のあるライヴを見せられる自信がある。そういうふうにそれぞれが持ち味を出しつつ、いい形でクロスしていけるものを見れるんだよということを伝えたいよね。
――音楽性の面でもWING WORKSとDAMYは“ヘヴィ&キャッチー”というところが共通しています。
RYO:SUKE:そこは超一緒だよね。椋くんも俺もメロディーを歌いたい人じゃん?
椋:そう。僕はメロディーを歌うのが大好きで、メロディーがない曲はあまり好きじゃない。僕の中には“メロディーがいいものが正義だ”みたいな感覚がずっとあって。僕はヴィジュアル系以外にも好きなジャンルが結構あるけど、メロディーがいいものが基本的に好きなんですよ。だから音楽を聴き始めた頃はラウドなものとか、ヘヴィなものはちょっと苦手な節があった。そういうものが初めて好きになれたのが、ヴィジュアル系だったんです。
RYO:SUKE:これもすごく椋くんに聞きたかったんだけど、ヴィジュアル系シーンではいわゆる「黒系」が主流だった時代もあって、DAMYはそういう時代のネクスト世代なわけだけど、今のヴィジュアル系の“黒ラウド”にはどんな印象を持っている?
椋:そういうバンドさんも好きですけど、あまりそういうところには憧れないというか。音楽に惹かれる要素というのは憧れと尊敬、それに共感というのがあると思うんですよ。僕の中で共感できる人というと、Plastic Treeの有村竜太朗さんとか、蜉蝣の大祐さん、MUCCの達瑯さんとかで、憧れでいうとT.M.RevolutionさんとかGACKTさんなんですよ。彼らの歌に憧れているんです。歌の上手さとか声とか。でも今の僕は憧れよりも共感のほうに重きを置いている部分があって。そのうえで今のヴィジュアル系シーンを見ると、歌唱力を重視している人が多い気がする。僕は昔のPlastic Treeとか蜉蝣、初期のMUCC、MERRYといったバンドが好きで、彼らは音源でもきれいに歌うだけじゃないですよね。語りとか言葉の羅列とかもあったりするし。それだけの思いが詰まったものを作品にしていいというところで、ヴィジュアル系はすげぇなと思う。でも今はそういうバンドはいないじゃないですか。だから自分はそれをやりたいんです。
RYO:SUKE:椋くんの世代でそういう感覚を持っている人だというのは超嬉しいよ。
椋:僕は歌詞に出てくる安易な“病んでる”とか“リスカ”とか、大嫌いなんです。“絶対お前そんなことしたしたことないだろう”と思ってしまう。超偏見だけど“ああ死にたい…”とか書いているヤツの横に絶対女が寝ているだろうと思うんですよ。したことないことを歌うなよ、言うなよ、書くなよと思うけど、そういうヤツらが増えてきて、音楽がファッションになってしまったことを感じている。その結果リスナーの心に刺さらなくなったから、ヴィジュアル系のお客さんは減ってしまったんじゃないかなと思っているんです。僕の根の深い闇の部分を理解してくれるのがヴィジュアル系のはずだったのに、いつしかそうではなくなってしまった。そういう状況を、打ち砕きたいという思いがあるんです。
――ぜひ、そうあってほしいです。お二人の競演の場となる<機密の花園>では、それぞれどんなライブをしたいと思っていますか?
椋:ライブに関しては……ちょっと表現が難しいけど、僕はお客さんの口の中に手を突っ込んで、嫌なものを全部引きずり出したいと思っているんです。それでお客さんにスッキリして帰ってもらいたい。なので今度の<機密の花園>でも、そういうライブをします。あとは、DAMYはRYO:SUKEさんもおっしゃってくださったように、今のヴィジュアル系っぽくないところが個性だと思うんですよ。WING WORKSのファンの皆さんに“あっ、こういうの懐かしいな”みたいなところを感じてもらえると嬉しいというのはありますね。それに、会場にいる全員にとってわかりやすいものを提示するということが、僕のバンド人生において一番大事にしていることなんです。僕は、小難しいフリとかは嫌いなんですよ。だから、DAMYのファンしかわからないものは恐らく皆無のはずなので、楽しんでもらえると思います。
RYO:SUKE:DAMYのライブは本当に魅力的だよね。今回の<機密の花園>にDAMYがいるのは俺の中ですごく意味があって。出演者の中でDAMYは唯一後輩の世代なんです。<機密の花園>は、元々は自分の先輩アーティストを呼ぶツーマンシリーズにしたいと思ってスタートしたんだけど、それはこれから自分がさらに成長する上での学びを俺よりも長く音楽活動をしていて、いい時代も悪い時代も知っている人から得たかったからというのがあって。でもだからこそ、今の時代をリアルタイムで突き進んできた世代であるDAMYとも対バンして、そこからしか得られないものを得たいともと同時に思うようになって。それは今の俺のリアルなんです。いわゆるレジェンドと呼ばれている先輩バンドも、厳しい時期を経て今もう1回花開いた人達が本当に多い。今の自分はまさにその狭間にいて、だからこそ誰よりもがんばらないといけないし、それは同時に上の世代にも下の世代にも出せないものが出せる時期だと思っている。そういうところでDAMYのファンの人達に“続けてきた男はカッコいい”ということを提示したい。そしてそれは若い世代のバンドのファンなら誰でもいいということではなくて、俺が心から素敵だと思ったDAMYのファンの子達にこそ今の自分を見て欲しいし、俺のファンの子にも若さ溢れるDAMYのライブを見て欲しい。こんなレアなツーマンはなかなかないと思うから、是非足を運んで欲しいですね。
取材・文◎村上孝之
<WING WORKS 2nd Album「ENTITY」リリース記念 2MAN LIVEシリーズ『機密の花園 with DAMY』>
OPEN 18:30 / START 19:00
[出演]
WING WORKS / DAMY
WING-MEN(LIVE MENBERS)
G.鈴木俊彦
G.Daichi(ex.NOCTURNAL BLOODLUST)
B.YUCHI
Dr.匠
Mp.ryu(Lavitte)
[チケット]
発売中
イープラス
https://eplus.jp/sf/detail/2792660001-P0030001P021001?P1=0175
[企画制作]
G2TD records
[問]
四谷LOTUS:03-5315-4781
<WING WORKS 2nd Album「ENTITY」リリース記念 2MAN LIVEシリーズ『機密の花園』>
OPEN 18:30 / START 19:00
前売り 4,000円 / 当日 4,500円(D別)※全日程共通
[チケット]
1~2月公演:発売中
3月公演:2019年1月26日(土)12:00発売開始
WING WORKS 2nd Full Album『ENTITY』全国流通盤
WGWK-10011 / ¥3,000(税込)
【二枚組】
[DISC1]
01.-W・W-Ⅱ [SE]
02.アヌンナキ
03.Welcome to TRICK DEATH LAND
04.SiLiConE
05.未完成サファイア
06.Burn your soul
07.INFERNO
08.El_Dorado?
09.ACID CASTLE [album edition]
10.Amadeus
11.Flower World.
12.ニライカナイ
[Disc2]
01.VAD†MAN
02.不死鳥-FENNIX-
03.FIXXTION BOY
04.メトロア3.0
05.RAVVE OF MY TRINITY
06.IKAROS
・GUEST ATRISTS
GAKU(FEST VAINQUEUR)/ Cazqui(ex.NOCTURNAL BLOODLUST)/奏 /椎名未緒(ユナイト/APPLIQUE)/ 鈴木俊彦 / Daisuke(SEVER BLACK PARANOIA)/ Daichi(ex.NOCTURNAL BLOODLUST)/ 村田祐一 / YUCHI(sukekiyo)/ YOW-ROW(GARI)/ 猟平(ex-CLØWD)※五十音順
発売元:G2TD records
販売元:ONG DISTRIBUTION
<WING WORKS 2nd Album「ENTITY」発売記念ONEMAN『天空庭園エンティティ』>
OPEN 17:00 / START 17:30
前売り 4,300円 / 当日 4,800円(D別)
[チケット]
2019年1月12日(土)10:00発売開始
<DAMY LAST ONEMAN TOUR「 この場所で僕らは消える。」>
2019年4月21日(日) 心斎橋 FAN-J
2019年5/6(祝/月) 渋谷TSUTAYA O-WEST
この記事の関連情報
WING WORKS、ワンマンライブ開催に向けてクラウドファンディング実施中
WING WORKS、最新ライブ映像フル公開
【ライブレポート】<千歌繚乱 1st LIVE TOUR ~錦秋の候~>東京公演、、音楽に真摯に向き合う7バンド
【photo-gallery 第三弾】<千歌繚乱 1st LIVE TOUR 〜錦秋の候〜>大阪公演
【photo-gallery 第二弾】<千歌繚乱 1st LIVE TOUR 〜錦秋の候〜>名古屋公演
10月22日、BARKS主催V系ライブイベント<千歌繚乱 1st LIVE TOUR 〜錦秋の候〜>東京公演開催
【photo-gallery 第一弾】<千歌繚乱 1st LIVE TOUR 〜錦秋の候〜>名古屋公演
【インタビュー】defspiral、10周年はこれまでやってきたことの1つの完成形に
【インタビュー】AXESSORYのリアルとファンタジー