【短期連載 #1】杉本善徳 [Waive]、新曲「BRiNG ME TO LiFE」制作秘話
どうも、杉本善徳です。初めての方は、はじめまして。これまでの特集と少し趣きを変えまして、今回から数度に渡り、私がコラム執筆をすることになりました。お付き合いいただけますと幸いです。
◆Waive 画像
さて……とは言え、何を書きましょうかね。まずは、直近のWaiveの話からにしましょうか。
2月9日の柏PALOOZA公演を皮切りに、全国ツアー<Wave to Waive>を敢行するのですが、それに先駆けて、この年末年始は新曲の作成をしておりました。新曲のタイトルは「BRiNG ME TO LiFE」。Waiveの系譜にありながらも、今までに無かったような……そんな1曲です。こちらの曲は、上記ツアーの各会場にて販売されるパンフレットにCDとして付属されることになりました(※詳細はオフィシャルサイトまで)。そして、カップリング収録曲は「バニラ」を再録したものになります。
▲音源マスター
4月30日、平成最後の日におこなうZepp Tokyo単独公演に、ご入場くださる皆さんへのプレゼントである新録「Dear」も、合わせてマスタリングいたしました。どれも良い作品に仕上がったと思います。是非、聴いていただきたい。
そもそも新曲を作るべきなのかどうか、というところからWaiveにとっては悩ましいところもありまして、何せ“解散中”という、ややこしいというか、謎のキャッチコピーと共にあるバンドですので、軽く「新曲でーす!」なんて言っちゃっていいの!?というのと、真逆で軽いほうがいいのでは!?みたいなのがあり、とやかく言ってるうちに形になってしまったという感じではあります。
こんなところにサラッと書いてしまっていいことなのかわかりませんが、私、只今、精神面に抱えている問題がありまして、楽曲の制作期間が、まさにそれの絶頂期だったんです。作詞をするときも作曲をするときも、編曲のときもディレクションのときも、なんなら自分のギターを録っているときも、とにかく言葉にするのが難しい次元での葛藤がありました。自分の中で、“正と負”なのか“陰と陽”なのか何なのか、具体的にはわかりませんが2つの人格が戦っているような感じです。
負の自分が、何回も何回も「しんどいね、やめようよ」「別に新曲が必須なバンドじゃないんでしょ?」と言ってくるんです。
よくマンガやアニメで見るような、可愛い天使と悪魔がフラットに戦っている感じとは全然違っていて、もっとこう……なんて言うのかな。自分の頭か心の中にある黒い隙間みたいなところに引きずり落とされていくような、そんな感じ。そういった状況下での制作だったので、なかなか大変でした。正直なところ、完成まで持っていけると思っていなかった(笑)。この特集のパーソナルインタビューの内容とかもそうですが、完全に自分の中で複数の思考が戦ってますもんね……。
そんな中、楽曲のデモを作り、一応それをフルコーラスにしたものの、いまいち全貌は想像つきにくいだろうな〜という状態で、リズムRECに突入しました。ときは、クリスマスイヴ。サポートドラムの(山内)康雄なんて、小さいお子さんもいる中で、よくそんな日にRECに付き合ってくれたな、と。エンジニアの太田サンなども然りだけど、かなり急で、かつどうなるのか不明な中、ありがたいことです。この日は、康雄のドラムと、(高井)淳のベース録りのみを終わらせた感じでした。
▲レコーディングスタジオ (リズムセクション)
そこからしばらくは作業の場を移し、自分のプライベートスタジオにてギターとシンセRECを。当初は、ここでシンセアレンジ〜プログラミングまでを自分で担当するつもりでいたのだけれど、これまたすごいタイミングで、メインで使用している録音ソフトのトラブルが発生してしまい、まさかの作業できない状態に。そんなのも加わった様々な理由から、とてもじゃないけれど全部を担えないなぁ……ということで、これまた急な依頼でシンセに関しては、小池(敦)サンに依頼。快く引き受けてくださり、ディレクションから何から何まですべての作業をメールで行ったにも関わらず、素敵に作成していただきました。
そして孤独に自分のギターをREC。これに当たって、今まで制作では使用していなかった別のソフトの使い方を1から学ぶことになり、結構大変。更には機材を大幅にリニューアルしたところだったのもあって、本当にわからないことだらけという状態で作業を重ねることになってしまい、なんとか録り終えたときには、まさに満身創痍といった感じでした。
▲杉本善徳プライベートスタジオ
それからしばらくして、貮方(孝司)のギターRECをせねば〜という時期になったものの、同時に作詞もしないとダメということがあったのと、作詞を始めるとこれまた自分の中でのアレとコレがソレして大変だったりがあり、ひとまず作詞と仮歌の録音を優先させてもらい、それを完成させて田澤(孝介)クンと共有し、ボーカルRECの際に、貮方ギターのRECもするように変更してもらいました。
そして迎えたボーカルREC。いざ歌い始めてもらうと、なんとなく思っていたものとイメージが合わない部分が出てきてしまい、その場で若干のメロディの変更と、歌い方の変更をお願いすることに。具体的には新曲「BRiNG ME TO LiFE」の最初のメロディと、サビにいく直前のメロディ。最初のメロディは音程自体を変更し、サビ前はムチャクチャ高音なので最初はファルセットだったのだけど、もっと強さというか痛さのようなものが欲しいので、無理してでも地声で歌ってもらうことにして、普通の男性じゃ出ないでしょ感すごいものに(笑)。完全に田澤クンの声の高さに救われたというか、そこに依存しきった箇所になりました。
歌RECの休憩時間を使って、コーラスRECを。このタイミングで淳にもスタジオに来てもらい、メンバー全員で合唱。これは曲を聴いてもらえば、「この部分のことか」と一聴でわかっていただけるところかと。
▲レコーディングスタジオ (ヴォーカル&ギターセクション)
そのままの勢いでコーラス録りを終えて、今度は貮方のギターREC。かなりどうでもいい話をすると、貮方のコートの下の服装が上下ともにやけに白いというかクリーム色というかベージュというか……とにかく似た色調で、Waiveのマネジメント会社でもあるモンスターズの上村社長が「ラクダみてぇだな」って言ってたのが、この日のハイライト。
ギターRECを終え、歌RECの続きをし、田澤クンを車に乗せて帰路につきました。
▲メモ等
その後は、また孤独に各種データのクリーニング作業をプライベートスタジオにて。このときまだメインの音楽ソフトが使えないままだったので、またしても1からお勉強を……。これまた誰かに外注しないとダメなのでは……と何度か思ったのだけれど、何とかこなしてミックスダウンへ。ミックスダウンの作業は、再びリズムRECを担当してくださった太田サンとのやり取りだったのだけれど、Waiveの作品で言えば、2001年の「Sotto…」のときからのお付き合いというのもあって、流石にイメージの合致が早く、かなり無茶なスケジュールでお願いしたにも関わらず、巻きで終えることができました。
そして翌々日にマスタリング。これまたWaiveの音源ではお馴染みと言っても過言ではない、Sony Music Studios Tokyoの阿部サンにお願いを。久々にソニーのスタジオに入り、阿部サンに会うなり「なんか痩せた?」と言われたわけですが……おそらくこの時期ピークに痩せておりました。阿部サンに前回お会いしたときと比べると……10〜11キロぐらい痩せていたのでは。これまた流石のスピードで作業が進んでいくので、調子に乗っていろんなリクエストなんぞをしつつ、いよいよ完成へ。いつもなら、こんなに時間をかけて作れば余裕さえあるはずなのに、いろいろあってメチャクチャ大変かつギリギリになってしまいました。
▲マスタリングスタジオ
けれど、作品の良し悪しは、最終的には聴き手が決めるものだと思うのでここでは述べませんが(康雄は、メチャクチャ感動してくれたらしく、メールくれた)、少なくとも、これまでの人生で一番大変なレコーディングになり、おそらく一生忘れることのない楽曲制作になったんじゃないかな、と思っています。そして、1人じゃ絶対に完成させられないものをメンバーや、周りの皆さんとチームになって作り上げた事実も、忘れないでしょう。
この作品は今の僕にとって、これまた変な表現をしますが……“好きだけど嫌いな曲”として凄くグラグラと揺れる存在です。だって、本当に大変で、しんどかったんだもの(笑)。ツアーを経てなのか、何なのかわからないけれど、過ぎ行くときの中で、いつか“好きだけど嫌い!”と笑いながら言える日が来ればいいなと思っています。
2月9日から始まる全国ツアー。すでに売り切れてしまった会場が複数あり、感謝と同時に申し訳なさも感じていますが、なぜか後半の東名阪が売れ残っているので……大阪出身/東京在住のWaiveとしては、とっても切ない気持ちだったりしつつも、今からでも参加できる公演があるぞ!と前向きにアピールしておきますので(笑)、ぜひ、この新曲含めた至極のメロディー(あえて自分で言うスタイル)を聴きにきてください。そこそこアツくて楽しいライブしますよ、Waive。
■CD付<TOUR 2019 Wave to Waive>パンフレット
▲パンフレット画像
▲CDジャケット画像
価格:¥5,000
仕様:A4 / オールカラー全32ページ
※各メンバー インタビュー掲載 / シングルCD付属
▼CD収録曲
M-1. BRiNG ME TO LiFE
M-2. バニラ(2019再録ver.)
■<Waive TOUR「Wave to Waive」>
2月09日(土) 柏PALOOZA
Open16:30 / Start17:00
2月11日(月・祝) HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
Open16:30 / Start17:00
3月17日(日) 仙台HooK
Open16:30 / Start17:00
3月23日(土) 福岡DRUM SON
Open16:30 / Start17:00
3月24日(日) KYOTO MUSE
Open16:30 / Start17:00
4月06日(土) 大阪BIGCAT
Open16:15 / Start17:00
4月07日(日) 名古屋Electric Lady Land
Open16:15 / Start17:00
▼チケット
¥6,500 (税別・ドリンク代別)
一般発売:2018/12/22(土)~
(問)Zeppライブ 03-5575-5170
■<Waive GIG「サヨナラ?」愛しい平成よ>
Open17:15 / Start18:00
▼チケット
前売料金:1Fスタンディング ¥6,500(税込・Drink代別)
※入場者全員に新録「Dear」のCD音源をプレゼント
一般発売:10/27(土)10:00〜
(問)DISK GARAGE 050-5533-0888
■<決戦!! wyse vs Waive>
開場16:45 / 開演17:30
出演 wyse, Waive
▼チケット
前売:スタンディング ¥6,000(税込・ドリンク代別)
一般発売:1/26(土)~
(問)Zeppライブ:03-5575-5170
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