【対談】フルカワユタカ×ハヤシヒロユキ[POLYSICS]、コラボ曲に類似/相違点くっきり「なんで仲がいいって思われることを頑なに拒むの?」
■“音色を選ぶ行為”が目的になっちゃうけど
■“音を作る行為”に時間を掛けたい
──そうした縁もあって生まれた「インサイドアウトとアップサイドダウン」は、フルカワさんのファンが聴いて楽しめるのはもちろんのこと、POLYSICSファンにとっても、新鮮に楽しめる曲に仕上がりましたね。
ハヤシ:うん、本当にそう思う。POLYSICSのファンにも、ぜひ聴いてほしいなぁ。
▲フルカワユタカ |
ハヤシ:これは僕がリリースに関係なく、作業の合間にちょっとずつリミックスしていったの。それを「リミックスしちゃった」って送ったら、気に入ってくれて。
フルカワ:原曲より、ちょっとBPMが上がって、ハードになっていて。原曲を超えるリミックスってあるじゃないですか。その手法です(笑)。
ハヤシ:あはは。シングルよりもハードシンセをたくさん使ったんだよね。リズムはローランドTR-8を使って。最初は、キックだけを差し替えようかと思ったんだけど、久々にTR-8を鳴らしてみたら音がすごくよくて、結局、すべて差し替えて。自分的にも楽しいリミックスだった。
フルカワ:途中のカオスっぷりも、すごくいいよね。
ハヤシ:あそこは、ドイプファーっていうメーカーのアナログシーケンサーを使って。
──シンセサウンドの話をすると、フルカワさんもドーパン時代の楽曲ではシンセを多用していましたが、フルカワさんが作るシンセサウンドって、とてもデジタルな印象があって、片やハヤシさんが鳴らすシンセサウンドは、アナログ感が強いですよね。だから「インサイドアウトとアップサイドダウン」のように、アナログのシンセサウンドにフルカワさんの歌が乗る曲というテイストは、とても新鮮で。
フルカワ:確かに、僕には出てこない音色というか、シンセの使い方ですよね。シンセは結局、ソフトを使ったんでしたっけ?
ハヤシ:いや、モーグMinimoog Voyagerだったり、ほとんどハードウェアの実機で差し替えた。音を重ねたりする部分で、少しだけソフトシンセも使ったけど。
フルカワ:そこはやっぱり、“シンセが好きで使っている人”の音作りですよ。ドーパン時代の僕は、シンセを入れることが目的になっていて、だから何を入れたらいいか分からなくなってたし。
ハヤシ:ああ、分かる。ソフトシンセって、ものすごい数の音色リストがバババっと表示されるじゃない? そこはね、僕がソフトシンセを苦手に感じるところで。要は、“音色を選ぶ行為”が目的になってしまうんだよね。その選ぶ時間が、すごくもったいなくて。だけどハードウェアのシンセだと、“音を作る行為”に時間を使えるし、そこで多少のズレから生まれた音がカッコいいとかって、結構よくあるんだよ。特にアナログシンセだと、間違ってツマミを動かしちゃったら、それがカッコいい音になったり。だから僕は、そっちの方に時間をかけたいんだよね。もちろん、ソフトシンセの自由度の高さだったり、ソフトでしか出せない音というものもあるから、両方の“いいとこどり”が一番なんだけど、音色名がずらっと並んだリストを見ると、「ここから選ぶのかぁ」って、ちょっとゲンナリしちゃう。それで結局、ハードの実機を使っちゃうんだよね。
▲フルカワユタカ×ハヤシヒロユキ[POLYSICS] |
ハヤシ:言うことないですよ。音もいいし、いろんなスケールも知ってるし。あと、弦のゲージが太いってところがいいなと思った。すごく太いのを使ってるんだよね。
フルカワ:アーニーボールの紫色(Power Slinky 11-48)。太いほうが、弾いていて楽しいというか。細いほうが弾きやすいですけど、「ちゃんと弾かないと鳴らない」っていうほうが好きなんですよ。
ハヤシ:あんな太い弦であれだけ弾きまくるんだから、本当に上手いんだなって、今回、改めて思いました。
フルカワ:でも、ハヤシくんが使ってるハンドメイドのアンプ (AKIMA&NEOS)も、中域がすごく特長的だよね。サビのリードはハヤシくんが弾いているんだけど、あれは他の人じゃ出せない中域。あとね、新曲の話からは逸れるけど、この前、POLYSICSのライブを観にいって、ハヤシくんのギターとフミちゃんのベース、このマッチングがPOLYSICSなんだって、すごく思った。フミちゃんのベースも、すごいよね。
ハヤシ:フミもアンプ直結で、チューナー以外、間に何も入れてないから。
フルカワ:じゃあ、フミちゃんのディストーションはアンプで作ってるの?
ハヤシ:そう。アンプのゲインで。あとはピッキングだよね。だから、僕がフミのベースを弾いても、あんな音は出ないんだよ。
フルカワ:そうなんだ。ものすごく力を入れて弾いているわけじゃないのに、ベースラインがしっかり見えて、しかも下の帯域がちゃんと出てるっていう。どうやったらあんな音が鳴らせるのか、すごく不思議。でも、女の子のベースって、いい音を出す人が多いよね。音が太い。男のベースとは違うよね。
ハヤシ:なんだか、お互いのバンドを褒め合って、気持悪くなってきた(笑)。
フルカワ:いいじゃない、前半にあれだけディスりあったんだからさ(笑)。でも本当に、これからもハヤシくんとは、また何か上手く出来たら面白いだろうなって思っています。もちろん、まーちゃんや勇太とも、またやりたいとは思ってるんですけど、ハヤシくんと一緒にやった手法なら、もしかしたら一週間で10曲くらい作れるんじゃないかって思っていて。そういう意味では、一番可能性を感じているし、そもそも僕自身が、決まったものを作っていくよりセッションがすごく好きだから、またそれを楽しみたいっていう気持ちはあります。ギターソロでも、曲作りに関しても、出会い頭で生み出していくのが好きなんですよ。
ハヤシ:遊んでるみたいな感覚でセッションして、それが曲に出来たらいいよね。「これをちゃんと曲にしないといけない」というよりは、お互いにノリでアイデアを出し合って、どうなるか分からない感じで作っていくのが楽しかったね。
──そんなコラボが再び実現するかもしれない2019年のそれぞれの抱負を、最後に聞かせてください。
ハヤシ:POLYSICSは、何かしら新しい音源を作りたいと思ってるし、これまで通り、ライブもたくさんやりたいですね。
フルカワ:僕は、ツアーをやって、ソロアルバムを作ります。で、ハヤシくんが最初に手を加えてくれた曲を、絶対にソロアルバムに入れますよ。ただ、そのままやるとなると、ハヤシくんにまた協力してもらわないといけないし、でも原曲を別な形に仕上げてしまったら意味がないし。あれ、すごくいいんだよなぁ……だからハヤシくん、また相談させてください(笑)。
取材・文◎布施雄一郎
撮影◎梶原靖夫
■両A面コラボシングル「クジャクとドラゴン / インサイドアウトとアップサイドダウン」
2018年12月5日(水)発売
NIW143 1,852円+税
01. クジャクとドラゴン feat. 安野勇太(HAWAIIAN6)
02. インサイドアウトとアップサイドダウン feat. ハヤシヒロユキ(POLYSICS)
▼Bonus track
03. too young to die
04. LOVERS SOCA
05. 僕はこう語った
06. DAMN DAMN
07. Lost & Found
08. Me, Dogs And Mother Mary
09. セレナーデ
10. すばらしい日々
11. lime light
12. next to you
13. シューティングゲーム
14. ドナルドとウォルター
※9/26@下北沢440 アコースティックライブ音源
※ボーナストラックはデジタルリリースなし。CDのみ収録
■<フルカワユタカ ワンマンツアー「ロックスターとエレキギター」>
1月26日(土) 千葉LOOK
2月03日(日) 神奈川・横浜BAYSIS
2月09日(土) 静岡UMBER
2月10日(日) 京都MOJO
2月11日(月・祝) 岡山・ペパーランド
2月23日(土) 埼玉・西川口ハーツ
3月01日(金) 福岡・Queblick
3月03日(日) 北海道・札幌COLONY
3月09日(土) 宮城・SPACE ZERO
3月10日(日) 福島・郡山PEAK ACTION
3月22日(金) 石川・金沢vanvanV4
4月13日(土) 大阪・梅田シャングリラ
4月14日(日) 愛知・APOLLO BASE
4月21日(日) 東京・WWW
▼チケット
¥3,990(税込) オールスタンディング/整理番号付
※3歳以上、チケット必要
※各公演ごとに、ドリンク代別途必要
一般発売日 12月8日(土)
■<シングルリリース記念特別企画「ユウタとユタカ」(acoustic LIVE)>
2019年1月30日(水) 名古屋・Live & Lounge Vio
OPEN 18:30 / START 19:00 (両日共)
出演:フルカワユタカ / 安野勇太(HAWAIIAN6)
▼チケット
前売3,500円(全自由・整理番号付 / ドリンク代別)
一般発売:2018年12月29日(土)10:00~
■<フルカワユタカ × 須藤寿 生誕祭 III>
OPEN18:30 / START19:30
▼出演者
フルカワユタカ / 須藤寿 (髭)
▼チケット
前売3,500円 (全自由・整理番号付 / ドリンク代別)
一般発売:2018年12月20日(木)
■ライブイベント<y's presents「貴ちゃんナイト vol.11」>
開場17:30 / 開演18:00
▼出演者
フルカワユタカ
百々和宏 (MO’SOME TONEBENDER)
渡會将士 (brainchild’s / FoZZtone)
MC:中村貴子
▼チケット
¥3,800 (ドリンク代別)※スタンディング
e+ (イープラス) http://eplus.jp/takanight/
(問)下北沢 CLUB251 03-5481-4141
※当日の入場は整理番号順となります。
関連サイト
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