【インタビュー】Lenny code fiction、ポジティブで勇敢なメッセージをアッパーなサウンドに乗せた4thシングル「Make my story」

■このシングルで今までなかった部分が出せた
■新しく武器になるものを探して日々やって行きたい

――歌詞はすごくメッセージ性があります。意味を伝えるために歌い方で気を付けたことはありますか。

片桐：AメロBメロとサビでは声の質感を変えています。力強い歌い方でサウンドに乗せたかったので、Aメロの攻めた部分ではそれを意識して歌ってます。

――自分の声が街中で流れてるのを想像したときに、どんな場所が浮かんでるんですか？

片桐：「すき家」や「なか卯」とか。

一同：ははははは(笑)。

ソラ：なんかわかるわ～、それ。

KANDAI：ファミマとかね。誰でも行くようなところ。

片桐：そうそう(笑)。田舎育ちなので、渋谷の街中とかじゃなくて、牛丼屋さんや居酒屋で流れているのを想像しますね。まあ、全然楽器の細かい音は聴こえないんですけどね(笑)。

ソラ：僕は若いロックバンドにコピーしてほしいと思っているので、楽器の細かいところまで聴く人たちに届いてほしいな。なんとなく牛丼屋さんで聴いて好きになる人、ギターキッズ、これを聴いてバンドを始めたくなる人とか、色んな層に届いてほしいと思いますね。



――牛丼屋に行くバンドキッズもいますしね(笑)。

片桐：俺がそうでした(笑)。それこそ、このバンドを結成したきっかけも牛丼屋だったから。かつての自分たちのような体験をしてほしいなって。

kazu：アニメの曲なので、アニメから入ってきてこの曲を聴いて、バンドを始めようかなって思っている中高生に聴いてほしいですね。僕も、ASIAN KUNG-FU GENERATIONさんのアニメの主題歌を聴いてバンドの音楽に入っていったので、同じようにアニメから曲を知って僕らがきっかけでバンドを始めてくれたら嬉しいです。

KANDAI：カラオケでも歌いやすいと思いますし、本当に色んなところで曲が流れて、それこそ牛丼屋さんで聴いてもいいので、たくさんの人に聴いてほしいです。

ソラ：牛丼屋さんがキーワード(笑)。

――カップリングの「影になる」は、より歌を前に出した感じの曲ですね。どんなイメージで作った曲ですか。

片桐：この曲はもともとストックにあって、いつかシングル曲として出したいと思っていた曲です。歌詞については書き方を変えているんです。前までは、風景や情景などの2Dの世界をそのまま歌詞に落とし込むような感じだったんですが、今はストーリーや奥行きのある世界、誰かを思ってみたりとか、もっと立体的に風景より先の形も見えるような歌詞の書き方を始めたので、それが初めて形にできたと思います。

――アレンジ面では、「Make my story」より抑え気味にしようという意図があったんですか。

kazu：メロディと歌詞を重視するっていう作り方ですね。色んなものを引いた結果がこの音になったと思います。

――シンプルとはいえ、ドラムのフィルは派手ですよね。

KANDAI：そうですね。あんまり難しいことをやっているつもりはないんですけど、最後の方は結果的にどんどんダイナミックなフィルになりました。


――ギターソロはエモくてすごく気持ちよさそうです。

ソラ：これは、とにかく女々しくしたくなくて、ペンタトニック・スケールを使って、キャッチーでありつつ、ちょっとブルースロックの要素も入れて弾きました。

――片桐さんはソロを弾いたりしないんですか。

片桐：ないですね。たまにイントロを弾く程度で。曲を作る範囲のギターが弾ければ十分というか。自分は曲を作りたくてギターを弾き出したので。ギター・ヴォーカルになりたいっていうよりは、最初は「音圧を高くするために、俺もギター弾かなアカンよな？」っていうくらいの感じでギター・ヴォーカルを始めたので。

ソラ：でもやっぱり、コードを弾いてくれないと、僕も上物に集中できないので、そこは助かっています。

――3曲目の「Wonder」についても教えてください。

片桐：この曲は、ラブソングで男女二人の物語なんですけど、その二人が出会ってから別れるまでのストーリーが既に出来上がっていて、それを8分割にして1曲ずつにしていくという作業をしています。そのストーリーの第2話がこの曲なんです。だから、作るのは別に困難ではなくて。その他の3話目が既にセカンドシングルに入っていたり、6話目が実は1stシングルに入っていたりしているんです。曲ごとにストーリーの伏線をずっと張っていて。

――スターウォーズ形式で？

片桐：そうです(笑)。最後に8曲が揃ったときにわかるという。歌詞もほとんどつながっていて、「あの伏線がここで回収されるのか」っていうのも今後出てきます。その2話目が「Wonder」です。

――そういう伏線を張って作ってるというのは、発表されていることなんですか？

片桐：いま発表しました。今まで隠してたんですけど、全然みんな気が付かないので(笑)。こっちも気付いてほしいから、ちょっとずつヒントを出していこうかなって。今回の歌詞で“苦手な事が寒さだとか”というところがあるんですけど、それを「オリオン」（2ndシングル収録曲）で言っていたり、「Wonder」には色んな曲の歌詞が混ざっています。それは既にライヴでやっている曲や、この先出すであろう曲に繋がっているんです。

――シングルは今作で4枚目となりますが、こうなるとアルバムに期待がかかりますが、現時点ではどうなんですか？

片桐：もうメンバー内では、入れたい曲は決まっています。それをどうやってアレンジするかっていう段階に入ってますね。後はいつ出すとか、細かい話し合いをしています。もう、準備はほとんどできているというか。今ある選抜メンバーで、良い感じでスタメンを組めそうな感じです。


――「Make my story」の“こんなにたくさんの人生がある中で正解を見つけた”という歌詞がとても印象に残りました。歌詞を自分に置き換えて「自分にとって人生の正解ってなんだろう？」って考える方もいると思います。みなさんの正解とは、バンドマンとして生きていくことだと思うんですけど、どうしてバンドマンになる人生を選んだんですか？それぞれ教えてください。

片桐：まず、バンドをやろうと思ったのは、L'Arc-en-Cielさんを聴いて「かっけえ!!」って思ったことが始まりで。「どうせ生きていくんだったら、すごくカッコイイ奴になりたい」って、その瞬間に思って、そこからですね。その記憶がいまだに残っています。そういう憧れから始めて、歌ってみようと思ってカラオケに行ったら「お前、歌手になったらいいやん」って友だちに言われたのがバンドマンになったきっかけです。それでそのまま今に至ります。

ソラ：自分もL'Arc-en-Cielのkenさんのギターソロを聴いて高校の軽音楽部でバンドを始めたんです。でも、最初は普通に就職する気で大学にも行きました。ただ、周りの環境を見ていて、「このままじゃつまらない人間になってしまう」と思って、バンドをやりたい気持ちが再熱して。初期衝動でプロを目指したというよりは、「やるからにはちゃんとやりたい、失敗できない」という気持でここまで来ました。

kazu：僕は楽器を始めたのは中1なんですけど、4年間ずっと家でしか弾いていなかったんです。高校2年のとき、初めて文化祭でバンドをやって、友だちがみんなで盛り上がってくれて気持よく演奏できて、「バンドってこんなに楽しいんだ」って4年越しに気が付いて、そこから受験勉強をせずにずっとバンドをやってきて今がある感じです。ステージに上がってそれが忘れられなかった、というのが一番の動機です。

KANDAI：小さい頃からピアノとかヴァイオリンとか、吹奏楽をやっていて音楽には触れていたんですけど、実家が医者なので後を継ぐものだと思っていたんです。でもバンドをやるようになって、反動で中学の頃はあんまり良い子ではなくて、しょっちゅう怒られていて。でも人前で学園祭でバンドを組んで演奏したときに、何百人という生徒たちがほぼ全員笑顔になってくれて。そのときに、この段階で自分が音楽をやることで誰かが笑顔になってくれるなら、プロになってもっと多くの人に聴いてもらえたら、これは人の命まで救うことができるんじゃないかと思いました。自分もライヴを観て救われてきた身なので。中学くらいからこの道で行くって決めて、プロを目指して上京して今に至ります。

――これからのLenny code fictionはどんな活動をしていきたいですか。

片桐：今回の4枚目のシングルで、新しい引き出しというか、今までなかった部分が出せたっていう感覚がみんなあると思います。この曲が出来たことで、曲の幅や活動範囲が広がる可能性を感じているので、そこに今年、来年と挑戦して、もっと上の段階を目指して、新しく武器になるものを探して日々やって行きたいです。

取材・文●岡本貴之



◆インタビュー（１）へ戻る