【インタビュー】DAIGO、TAKURO作詞作曲の15周年記念シングルに「自分の発想にない楽曲」
■40歳になった今だからこそ表現できる
■この曲を20代で歌うのはムリだと思う
──そして、今作を聴いてさらに驚く人が多いのではないかと思うのが、「今夜、ノスタルジアで」です。
DAIGO:ええ。「真夏の残響」が形になった時、「もう1曲できたから」ってTAKUROさんが送ってくださったんですよ。
──最初は1曲の予定だったんですか?
DAIGO:もちろん。1曲でもありがたすぎると思っていたのに。
──イントロからムーディーなサックスが入っていて、これまでのDAIGOさんにもBREAKERZにもなかった挑戦のナンバーですね。
DAIGO:ちょっとブルージーな感じですよね。2曲とも自分の発想にない楽曲だし、「今夜、ノスタルジアで」は、“DAIGOくん、こういう世界も表現してみたらいいんじゃないかな”っていうメッセージをTAKUROさんからいただいたような気がしました。40歳になった今だからこそ表現できる楽曲なのかなと。この曲を20代で歌うのはムリだと思うんですよね。
──重ねてきた人生経験があるからこそ歌える曲?
DAIGO:今だから歌える曲だと思いましたし、TAKUROさんもそういう想いで作ってくださったんだろうなって。この曲の歌詞じゃないけど、僕と同世代の友達にも転職する人がいたり、みんな葛藤の中で生きている。ある意味、難しい年代だと思うんです。昔はやる気もあったし、希望を持って頑張っていたけれど、いつのまにか自分のポジションや能力に限界を感じるようになったり、昔、思い描いていた通りに生きることができていなかったり。かといって100%あきらめることもできない。そういう想いを吐き出したのがこの曲だと思いました。
──男の哀愁が漂っていますから。
DAIGO:そうですね。ある意味、男たちの歌みたいな。
──今の年齢だからこそ、沁みてくる歌詞もありましたか?
DAIGO:沁みますよね。“強気だったお前をこの夜に探している”とか、友人や自分自身に重ねてみたり。TAKUROさんに“DAIGO、こういう歌詞もアリだと思うよ”って幅を広げていただいた感覚があります。
▲「真夏の残響/今夜、ノスタルジアで」初回盤B |
DAIGO:この曲は仮歌で丁寧に歌いすぎてしまって、Aメロの部分はTAKUROさんから「もうちょっと、やさぐれた雰囲気出せるかな」ってリクエストをいただいたんです。それを意識しつつ、わざとらしくならないようにっていうバランスが難しかったですね。「DAIGO、男らしい映画見たほうがいいよ」って言われたんですけど、HISASHIさんが「DAIGOくんが歌うんだから、大丈夫なんじゃないかな?」と返してくれたので、「じゃあ、見なくていいや」って(笑)。そういうやりとりの中に居られたのも貴重な体験でしたし、TAKUROさんもHISASHIさんもまず、歌ありきでギターのフレーズを入れてくれて。
──確かにDAIGOさんの歌が渋くなりすぎてないのがいい。
DAIGO:そうですね。先輩がたくさんいらっしゃる中、デビュー15年ですけど、まだまだ若造という感覚でいるので、いいバランスの歌に落ち着いたんじゃないかと思います。
──ブルースまでいかないロックテイストがある楽曲ですよね。
DAIGO:確かにそうかもしれないですね。「真夏の残響」もフォークっぽいんですけどロックな仕上がりになっているのが凄いなと思いました。完成した後、TAKUROさんが「歌詞も伝わってくるし、手応え感じてるよ」って言ってくださったり、HISASHIさんも「いい出来になったね」ってメッセージを送ってくださったので、ちゃんと曲を完成させることができたんだなって。
──「今夜、ノスタルジアで」のミュージックビデオは下北沢で撮影していて。
DAIGO:そうですね。僕が育った街です。
──インディーズ時代は下北沢のライブハウスにも出演していましたもんね。
DAIGO:ええ。曲の主人公はうだつが上がらないサラリーマンみたいな設定ですけど、ミュージックビデオは40歳になっても夢をあきらめきれない路上ミュージシャンという設定です。TAKUROさん演じる先輩ギタリストにサポートしてもらって、誰も立ち止まらない中、路上で歌っているという。葛藤があるけど理解者もいて、励まされながら、あきらめずに歌い続ける男の様を表現したかったんです。
──ライブのチラシを配っているシーンも出てきます。
DAIGO:はい。昔やっていたようなことを。
──そこは当時のリアルなんですね。
DAIGO:ええ。昔は今みたいに規制がなかったので、いろいろな会場で配りまくっていたんです。その頃の原点に戻った感覚で、改めて40歳のスタートを切る。そんな映像になったと思います。
──聴いてくれる人がいなくて先輩ギタリストに慰められるように肩を叩かれるんだけど、ひとりの女のコがチラシを見て心動かされるシーンもありますよね。
DAIGO:聴いていた女のコがいて、誰か1人の心には響いてた、みたいな。小さな希望かもしれないけれど、あきらめないでやり続けることによって誰かの心に届く可能性はあるっていう終わり方にしたかったんです。TAKUROさんは最初、ミュージックビデオに出演する予定はなかったんですけど、コンセプトだったり想いを伝えたら、「DAIGOくんにそう言われたら出るしかないよ」って言ってくださって、感謝しかないですね。
──ルーツになった場所で、こういう映像を撮りたいというヴィジョンがあったんですね。
DAIGO:人生のほとんどを下北沢で過ごしてきたので、そこで撮ることに大きな意味があったんです。
──ただ、よく撮影できましたよね。DAIGOさんとTAKUROさんが街にいたら、ギャラリーが集まってきて大変だったんじゃないんですか?
DAIGO:いや、意外とみんな素通りしていくんですよ。TAKUROさんも「DAIGOくん、俺たちもまだまだだな」っておっしゃってました(笑)。
──ははははは。
DAIGO:もちろんスタッフさんに誘導していただいて、撮影が出来たんですけどね。
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