「親が楽しんでいる姿を見るのが、子どもの幸せ」“こどもフジロック”の核心
■ みんなが楽しめる場を提供することがフェスティバルの仕事
石飛:あと大事なのは“人”ですよね。見守る環境…というと誤解されるところですが、実は舞台裏の演出者がいっぱい配置されていて、うちのスタッフ「プレーリーダー」はあの森の中で、遊びの発展を見守っていくようなイメージで居るだけで、子どもの遊びを直接誘導したりすることはしないんです。そうすることで、子ども同士の関わりが生まれたり、…自然という不便の中だからこそ、助け合う手を差し伸べてくれた、という現象が子ども同士でも起こるようになっていくわけです。
ドラミ:この前のフジロックでも、遊具に登れない息子が「登りたい、ママー」って言うわけですよ。「どうしようかな」と思っていたら、小学2年生の子が来て「自分で登れないところは登っちゃだめなんだよ」って真っ当に言うんです。「自分で登れないんだから降りられないでしょ?」って、当たり前のことを教えてくれる。息子は「そっか」と納得して、そこで私は「大きくなったらお兄ちゃんみたいに登れるようになるから頑張ろう」「いっぱい食べて大きくなろう」と言うと、「大きくなる!」と応える。フジロックが終わったあとも「大きくなったら、大きくなったら」って(笑)、大きくなればできるようになるということがわかったようなんですね。私が「危ないんだから登っちゃだめ」と言うのと、子どもの視点で「登れないんだから登っちゃだめ」と言われるのは、全く違うんです。物の言い方や捉え方をすごく反省したし勉強になりました。私にとって一番の衝撃は小学2年生の言葉だったんです。
──あるいは安易に手を差し伸ばしてしまいそう。
ドラミ:そう、登らせるのは簡単なんですよ。プレイパークって「見守る」スタンスなので、親も試されているんです。「危ないから登っちゃだめ」って言うのは簡単だけど、それをぐっとこらえて見守るのは、「うぐぐぅ…」ってこっちが鍛えられる感じ。でもそれができたとき、親も嬉しいんです。
石飛:子どもには子どもの社会があるし、大人には大人の社会があり、そしてそれはどこかで必ず常に連鎖しているわけです。そういう連鎖が、また新しい化学反応を起こすような場にしたい。普段できない不便な体験をしたり自然の中にいることで、いろんな視線も変わると思うんですね。これもフジロック・マジックなのかもしれない。それもひっくるめて子どもを取り巻く3世代環境を作っていきたいなと思うんです。
ドラミ:そうですね。鼻垂らしながら走ってる的な。
石飛:保育の世界では、子どもの群れが大事といわれています。それは学年別というような横の軸じゃなくて、縦横無尽な群れ。現代は“孤”の時代ですから、子育ては“孤育て”、子どもも“孤ども”になりがち。だからせめてこういう場で、大自然の中で共通の音楽で感じられるバイブスみたいなことを、子どもたち同士もキッズランドで感じてほしい。できれば仲良くなってほしい。普段できない体験を通じて、みんながありのままに気づくわけでしょ? それはもう親も子もみんな共通ですよ。
ドラミ:花火や、虫とか川とかも初めて見たと思います。
石飛:新しい発見も、さっき話してたような突発的な事件も含めて、「起こるまで待ってみたら?」ってね。
ドラミ:それで見えてきたものもたくさんあって、すごく変わりました。私は育児に対して気が楽になったんです。見守る勇気によって、子どもはいろんなチャレンジと出会うことができる。子どもの無意識な行動を見守るのは時に心臓が潰れそうになるけど。
石飛:子ども用のリストバンドも作っていますから、ぜひフジロックで会いましょう。
ドラミ:ああいうの、子どもが喜ぶんですよね。
取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也
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