【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>Ken Yokoyama、「サタニック、歌ってるの聞こえてるよ」
Hi-STANDARDの活動に集中していた2017年を経て、2018年、いよいよKen Yokoyamaが活発化。そしてリリースされた最新音源は、難波章浩によるNAMBA69とのスプリットCD『Ken Yokoyama VS NAMBA69』だった。これは、ハイスタファンはもとよりメロディックファンにとっても嬉しいサプライズだ。ただし、同スプリットはHi-STANDARDでの邂逅が生んだ記念碑的作品ではない。タイトルが示す“VS”──あくまで互いのバンドマン、ミュージシャンとしての意地と誇りとリスペクトをかけた作品であり、バンドの状態の良さや、前向きな姿勢がなくては成り立たないスプリットでもあるといえるだろう。それゆえ、Ken Yokoyamaの今への期待値は大きく、この会場を埋め尽くしたのはKen Yokoyamaが鳴らすサウンドへの高揚感と飢餓感だった。
◆Ken Yokoyama 画像
「ようこそ、サタニックへ。おしっ! KEN BANDです」と横山が挨拶し、ゆっくりとコードをかき鳴らす。すでにピンときている観客が大きく手を叩き歓声をあげるなか、「このコードは、なんズラか?」と問いかけ、メロディを口ずさんだ。追いかけるように観客のシンガロングがクレシェンドして、「I Won’t Turn Off My Radio」でライブがスタート。ダイヴの波が次々に押し寄せて、ステージ前方は凄まじい勢いで密度を増す。シンガロングもどんどん大きくなって、まるでクライマックスを迎えたような状態だ。
そしてシンガロングと歓声が混じった残響のなか、「食らってくれ、“Punk Rock Dream”!」とさらに強力な1曲をフロアに投下すると、観客は頭から大合唱。「サタニック、歌ってるの聞こえてるよ」と横山は嬉しそうにフロアを眺めると同時に、ぎゅうぎゅう詰めのステージ前の観客を気づかうシーンも見受けられて温かい。
「マイク、そっちに預けるから」と、自らのマイクをフロアに投げ入れ、ステージ上のスタンドマイクもフロアに傾けながらプレイした「Believer」は、まさにKEN BANDと観客との真っ向勝負にして、両者の信頼関係の成せるシンガロング。フロアの声を引き出すのは、アグレッシヴなバンド・アンサンブルであり、お互いのプレイを味わい尽くすような4人の演奏があまりにも印象的だ。
「Cherry Blossoms」、そして「We Are Fuckin’ One」で、日の丸を背負ってプレイしたKen Yokoyamaが語ったのは、震災以降、やっぱりこの国旗が好きだということ。国とか、そういう問題ではない。自分が生まれた土地だからこそのこだわりであり、客席に外国の人がいれば、自分の国の国旗を振ってくれという。「ギョッとする人もいるかもしれない。でも俺は、こうして日の丸を背負ってライブをするんだ」と。「何か、考えるきっかけになれば」と。これまでもこうした場面はあったが、この日はとても真摯に素直に、そしてパンクロックを歌う人間として曲がりない姿勢と湧き出る思いを、音でも態度でもフロアにぶつけていたように思えてならなかった。いちフロントマンとしてというよりも、もっと本人の生々しい声で話していたようだったとでも言おうか。「Ricky Punks III」、「Let The Beat Carry On」へと続いたこのブロックはとくに、前半のパワフルさとは異なる大きな感情のうねりがあって、観客はその波に飲まれていた。
「あと1曲、新曲やって帰る」と披露したのは、最近のツアーでも演奏しているという未音源化曲「Helpless Romantic」だ。通常ならば、会場全体が知っているであろうキラーチューンで締めくくるのが定石かもしれない。しかし、「テッパンの曲じゃない、こういう終わり方もいい」と語られた同エンディングナンバーは、Ken Yokoyamaが前を見続けて先へ先へ進んでいる証であり、未来へつながる1曲だった。サビのフレーズを観客に覚えさせてから、力強くSATAN STAGEに響かせて、全9曲のステージが終了した。猛烈に熱い会場だったが、それ以上にガツンとコブシを食らったようなライブだった。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎岸田哲平/瀧本 JON… 行秀
【Ken Yokoyamaセットリスト】
02.Punk Rock Dream
03.Maybe Maybe
04.Believer
05.Cherry Blossoms
06.We Are Fuckin' One
07.Ricky Punks III
08.Let The Beat Carry On
09.Helpless Romantic(新曲)
■<SATANIC CARNIVAL'18>
6月17日(日) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
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