【ライヴレポート】wyse、<Tree -Wish->ファイナルで「復活してからの目標だった」
ファン投票によるリテイクアルバム『TREE-Wish-』を引っさげての東名阪ツアー<Opening of the 20th year Special Live wyse Live Tour 2018「Tree -Wish-」>のファイナル公演が6月2日、TSUTAYA O-EASTで開催された。
◆wyse 画像
過去曲のリテイクを収録した『TREE』シリーズはこれまでに各メンバーがセレクトした4枚がリリースされているが、ファンによるセレクト曲(順位はオフィシャルホームページで公開)とメンバーのセレクト曲を融合した『TREE-Wish-』はその最終章となる作品だ。
ステージ背後のLEDビジョンに映像が映し出され、青いミラーボールの光がキラキラと反射するステージにメンバーが登場。ライヴは月森とTAKUMAのダブルボーカルが冴える代表曲「chain」で幕を開け、続けて投票で4位に輝き、熱量を増した「wade」を投下。アプローチは変化してもwyseの魅力は、互いの呼吸が命のビートと色褪せないメロディラインだ。ポップなメロディを活かす月森の甘く伸びやかなボーカルとベースを弾き倒しながら熱いボーカルでメッセージを伝えるTAKUMA。ロック色の強いエッジーなギターを弾くMORIとハードロック色が強くメロディアスなギターソロを得意とするHIRO。4人4様の個性が混ざり合うさまは、まさにオリジナルブレンド。wyseにしか醸し出せない空気感がアッという間にO-EASTを満たしていった。
『TREE-Wish-』収録曲が中心のライヴかと思いきや、この日の彼らは最新曲「Break Off」や懐かしい曲「言葉を失くした僕と空を見上げる君」などwyseの19年のヒストリーを感じさせる楽曲たちを、今の4人の息吹を感じさせるアレンジで披露、アンコールを含め何と全29曲の熱演が届けられた。
冬の街並みを描いた「float」、洗練されたアプローチによる「3years later I…」の後のMCでTAKUMAが伝えたのは、アルバムが“自分たちだけではできない”気づきのある作品になったこと。
「今回のライヴで感じたことは、絶対に変えちゃいけないものは変えちゃいけない。同時に変化は成長だと思いました。次の曲のように、どんな時も好きな色に塗り替えていける僕たちじゃないといけない。そんなふうに思いました」。その後に届けられたのは温かさと深みを増した彩り豊かなナンバー「Colors」だった。
サポートドラマーとキーボーディストを含むメンバー紹介では、月森の天然ぶりがいつものようにTAKUMAにいじられたり、MORIが急に話し始めて、TAKUMAに「“しゃべって”なんて言ってへん」と突っ込まれたり、HIROが「健康第1」と脈絡のない言葉を発したりと、月日が流れても変わることのない4人の自由なやりとりにフロアもほっこり。
が、集大成的な意味合いも感じさせるセットリストのせいか、いつも以上に過去を振り返ったMCのせいか、ライヴが後半に向かうにつれてwyseの未来が気になったのも、このツアーファイナルだった。例えば月森は名曲「Friend」を歌う前にこんな言葉を届けた。
「20周年に向けて頑張っているところですが、wyseはみんなも知っての通り、19年間、順風満帆だったわけではなく、むちゃくちゃいろんなことがありました。メンバー、ファンのみなさん、スタッフも関係者もそうでしょうけど、出会いや別れ、再会があったからこそ、素晴らしい景色が見られたり、ドキドキする未来につながっていくと僕らは思っています。今の僕らは良いことも悪いことも大切に抱えながら、これからを進んでいきたいと思います」──月森
そしてTAKUMAは「この日のライヴが復活してからの1つの目標だった」と明かし、解散前のライヴと似た心境になっていると伝えた。
「今日がゴールではあります。ただネガティブな想いではなく“どうすればwyseがもっと良くなるのか、どうすればもっと多くの人に聴いてもらえるのか”と日々考えています。間違うこともあるでしょうけど、間違ってもいいと思っています。進まなきゃわからないから。でも、1つ言えるのは、届けるものには完璧に自分たちの想いを100%込めようと思っています」─TAKUMA
こう感謝の言葉を述べ、本編最後の曲にセレクトされたのはリクエスト投票1位に輝いてアップデートされたナンバー「あの日の白い鳥」。LEDビジョンには青空が映し出され、wyseのライヴは笑顔が集まる場所だということを改めて感じさせるエンディングだった。
そして、本編が解散前と再始動後を1本の線で繋いだフルコースメニューだとしたら、熱い声に応えてのアンコールは未来に続く道が途切れることはないと提示してくれるかのような、はじけっぷり。全員がボーカルをとり、お互いを早口で紹介するwyseのライヴには欠かせなかった他己紹介ナンバー「RESET」で盛り上がり、TAKUMAは「新曲を作っている」と報告。カラフルな最新ポップチューン「キミグラデーション」に続いて、「この幸せな空間にふさわしい、いちばん幸せな曲を届けます」という月森の言葉とともに贈られたのは“どんな未来でも きっと大丈夫”と歌う「Glorious Story」。再びミラーボールの光が場内を照らし、フロアのみんなが歌う声が場内を満たしていった。
メンバーがステージからはけても呼ぶ声は鳴り止まず、再々度メンバーが登場。TAKUMAがマイクスタンドを最前線の位置に持っていき、ダブルアンコールはHIROとMORIがポジションをチェンジ、月森はフロアに降りてMORIのソロを盛り上げ、シンガロングに耳を傾けるジェスチャーをした「I Believe」。さらには、まさかのトリプルアンコールも実現し、TAKUMAが「オマエら、呼べば出てくると思ってるだろ? やろっか?」と笑顔を見せると大歓声。ラストはこのツアーで回を追うごとにテンポが早くなっていったという超絶アグレッシブな「Plastic Monkey」で締めくくられた。
今後のスケジュールが告知されることはなかったが、過去・現在・未来を身を持って提示した充実のアクト。ライヴ終演後には、wyseの次の動きを知りたいという声が多数、寄せられたという。
取材・文◎山本弘子
■東名阪TOUR<Opening of the 20th year Special Live wyse Live Tour 2018「Tree -Wish-」>ファイナル 6月02日(土)@TSUTAYA O-EASTセットリスト
02. wade
03. Feeling
04. I'm a dreamer
05. Heart
06. Break Off
07. Blue Lady
08. float
09. 3years later,I...
10. Colors
11.19 回目の夏に僕に見えたものと 見えなくなったもの
12. It's not like me It's not like you
13.言葉を失した僕と空を見上げる君
14. Scribble of child
15. MORAL
16. やってらんねぇ
17. J.E.T
18. Miss t×××
19. 終わらない夜のマーメイド
20. L.A.S.P.U.P.
21. Friend
22. Sweet rain
23. 無色の雪
24. あの日の白い鳥
encore
25. RESET
26. キミグラデーション
27. Glorious Story
28.I believe
29.超Plastic Monkey
■<土屋アンナ × wyse「Miracle Tube」>
OPEN18:20 / START19:00
▼チケット
前売4,800円/当日5,300円
一般販売:4/15(日)~
■<Earliest Memories2018>
OPEN15:00 / START16:00
▼出演
wyse
JURASSIC
LAID
杉本善徳
L'luvia with shuji (Janne Da Arc)
▼チケット
前売5,000円 当日5,500円
一般発売:5月26日(土)10:00~
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