【ライブレポート】<千歌繚乱vol.15>、ヴィジュアル系である理由

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BARKS主催ヴィジュアル系ライブイベント<千歌繚乱>の第15回目の公演が、4月2日に渋谷REXにて開催された。

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今回出演したのはAIOLIN、SARIGIA、JILUKA、MIZTAVLA、MISERIAの5バンド。いずれのバンドも衝動的で心を揺さぶる楽曲、麗しい見た目、激しいライブなど“ヴィジュアル系ならでは”のステージを繰り広げた。どっぷりとヴィジュアル系の魅力に浸れる一夜となったこの公演の模様を、当日の写真とともにレポートする。


イベントの幕開けは、MISERIAのステージから。一曲目に演奏された「慟哭」は、重いリズムに刹那的なピアノの旋律がのる楽曲。MISERIAは社会やヴィジュアル系という音楽シーンの在り方が間違っていると感じ、その間違いを正していきたいという思いを音楽にぶつけているのだが、そのコンセプトを体現するかのように英斗(Vo)はお立ち台に跪き、心の底からの叫びをシャウト。

「いつだって望んでいた夢の世界はひどく残酷で子ども騙しのようだったんだ」という台詞から始まる「子ドモ騙シ」ではダークな世界観がより強調され、フロアにはヘッドバンキングの嵐が起きる。「ここには希望がない」「世界に惑わされるな、騙されるな」など、MISERIAの思いが凝縮されているような楽曲だ。シャウトが多用されるAメロ、Bメロを経て一気に開けるサビというヴィジュアル系の王道を行く楽曲スタイル、そしてクリアな英斗のボーカルが耳に心地よい。

「MAD BRAIN」「Grief Cry」も同様。ファンもメンバーの煽りにあわせてジャンプしたり頭を振ったりしつつも、英斗の叫びをしっかり受け止めている様子。盛り上がり重視とも言われる昨今のバンドシーンだが、MISERIAは真っ直ぐに自分たちのメッセージを伝えてくるバンドだと感じる。

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ダークな雰囲気をそのまま自分のモノにするように、退廃的で美しいSEとともにステージに現れたのはSARIGIAのメンバー。暗転したステージに「俺に頭を捧げろ」というアスカ(Vo)の声が響き、まずは「RUIN」を投下。激しくダークな楽曲なのだが、美しい旋律のサビが胸を打つ。

照明がレーザーのように派手に変わったと思ったところで、繰り出された「Mercy Rain」ではフロアの雰囲気がガラリと変わる。デジタルサウンドを効果的に使った今ドキのヴィジュアル系サウンドだ。「狂艶」ではタイトル通りアダルティで艶やかにキメ、「RED SORROW」ではメンバー全員で一斉に頭を振って激しく、と目まぐるしく自身の持つ多様性を魅せつけてくる。

ヴィジュアル系は楽曲だけでなくメイク、衣装、振り付け、煽りなど多種のツールを使ってバンドの世界観を表現出来るのが魅力だが、SARIGIAのステージは各メンバーの派手なパフォーマンスも相まって目が離せない。ヘッドバンキング&逆ダイブのループが起きるラスト「Envies-13」まで、まったく飽きさせないライブだった。

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場内暗転ののち、幕が開いたステージに立っていたのはソロでヴァイオリンを弾くAIOLINのヒカリト(Vo&Gt&Vn&Pf)。その優雅な調べに、一瞬ここが渋谷REXというライブ会場であることを忘れてしまう。そのひと続きの流れでヒカリトは「Stardust Crystal」のヴァイオリンソロを奏で始め、他のメンバーのバンド演奏が加わったところで今度はヴァイオリンをマイクに持ち変え、今度は声で会場を魅了する。複雑なフレーズのギターソロも彼が。なんと多才なのか。

ヴィジュアル系バンドに生のヴァイオリンの音を加えるという斬新なスタイルのAIOLIN。だが彼らはヴァイオリンはあくまで「曲を聴いてもらうためのひとつのフックでしかない」のだという。その自信の通り、どの楽曲もメロディがとても美しく聴き入ってしまう。「From Here」の曲中にはヒカリトが「オンリーワンの歌聞かせてやるよ!」とも。

切ない物語に思わず胸がきゅっとなる「Tear In The Rain」、「さよなら愛した人」という歌詞が泣ける「Remember The Name」のほか、イベントライブの25分間という短い時間にバラード曲「Faded」を聴かせてくれたのも特筆すべき点だろう。暗黙のルールや予定調和の盛り上がりなどとは無縁。ラストにヒカリトが宣言したとおり「革命的ヴァイオリニズム」、彼らにしかできないステージだった。

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