【インタビュー前編】マイケル・シェンカー・フェスト「クラウス・マイネやフィル・モグともできたら最高だろ?」
マイケル・シェンカー・フェストのアルバム『レザレクション』が2018年2月28日に、世界に先駆けて日本先行発売される。
◆マイケル・シェンカー映像&画像
ハード・ロック界に君臨するギター・ヒーローとして1970年代から活動してきたマイケル・シェンカーが行動を共にしたゲイリー・バーデン、グラハム・ボネット、ロビン・マッコーリーという歴代のシンガー達とステージで再合体を果たす<マイケル・シェンカー・フェスト>は、2016年にスタートし同年8月には日本公演が行われ、翌2017年には<ラウド・パーク17>のヘッドライナーとして出演を果たした。
だが、フェスト=祭りはそこでは終わらない。マイケルはさらに自ら率いるテンプル・オブ・ロックのドゥギー・ホワイトを加えて、シンガー4人体制で新作アルバム『レザレクション』を完成させたのである。
「2019年の終わりまでツアーが続くんだ」とマイケルは語る。元気いっぱいの彼に、旧友たちとの饗宴、そしてマイケル自身の復活=レザレクションについて訊いてみた。全2回のインタビュー記事、まず前編ではアルバムを中心に語ってもらった。
──マイケル・シェンカー・フェストとしてのライヴは世界各地でセンセーションを呼んでいますね。
マイケル・シェンカー:元々マイケル・シェンカー・フェストはライヴ・プロジェクトとして始まったんだ。俺はもう50年近くやってきたし、マイケル・シェンカーのファンが好きな曲を、オリジナル・バージョンで歌ったシンガー達と一緒にやりたかった。それでゲイリー・バーデン、グラハム・ボネット、ロビン・マッコーリーに声をかけてみた。いずれも1980年にマイケル・シェンカー・グループやマッコーリー・シェンカー・グループでやってきた仲間だし、今でも元気でやっている。彼らに声をかけたら、みんなOKだと即答してくれた。まるで俺が声をかけるのを待っていたようだった。そうして2016年の<スウェーデン・ロック・フェスティバル>からマイケル・シェンカー・フェストを始めたんだ。もし誰かに断られたら?...とは考えなかった。もし3人揃わなくても2人が揃えば楽しいショーになっただろうし、もうひとつのバンド、テンプル・オブ・ロックのドゥギー・ホワイトだっている。シンガーが足りないということはあり得ないからね。
──ライヴ映像作品『ライヴ2016/東京国際フォーラム・ホールA』はどのような作品ですか?
マイケル・シェンカー:俺が初めて日本をツアーしたとき、日本武道館でライヴ・アルバム『飛翔伝説/MSG武道館ライヴ』(1981)を録音したんだ。このアルバムはすごく気に入っているし、バンドに新しいメンバーが入ると必ず聴かせるようにしている。コージー・パウエルやクリス・グレン、ポール・レイモンドがいた、スーパーグループ時代のマイケル・シェンカー・グループだよ。ただ残念なのは、当時はまだライヴ映像作品が盛んではなく、武道館のショーを撮影できなかったことだった。そして2016年、マイケル・シェンカー・フェストは特別なラインアップだし、スマホやYouTubeではなく、フルスケールの映像作品を撮っておきたかったんだ。もう何十年も音楽をやってきて、同じラインアップが永遠に続かないということはわかっているからね。それにスケジュールなどの都合で、マイケル・シェンカー・フェストを開催できない国だってある。だから映像作品を作っておこうと思った。このBlu-ray/DVDが良いものになることは、ライヴ会場に入る前に確信したよ。東京国際フォーラムの外観を見て、なんて美しい会場だ!と感銘を受けたんだ。
──マイケル・シェンカー・フェストのツアーが大成功を収めているのに飽き足らず、新作スタジオ・アルバム『レザレクション』を作ることにしたのは何故ですか?
マイケル・シェンカー:ライヴでマイケル・シェンカー・フェストをやって、それをさらに前進させるにはどうしたらいいか?と考えたんだ。そしてパッとひらめいた。マイケル・シェンカー・フェストをスタジオでやろうってね。瞬時に頭の中でイメージが膨らんでいったよ。スタジオに大きなテーブルを置いて、ワインやビールがあって、晩餐会みたいなイメージだった。そこにシンガー達やテッド・マッケンナ(Dr)、クリス・グレン(B)、スティーヴ・マン(G、Key)が集まるというコンセプトだよ。そうしてアルバム用の曲を書いていった。そしてある程度書きためたところで、どの曲をどのシンガーに歌ってもらうか割り振っていったんだ。
──アルバム『レザレクション』の音楽性はどのようなものでしょうか?
マイケル・シェンカー:マイケル・シェンカー・ミュージックだよ。俺にはそれしかできない。もう17歳からずっとやってきたんだ。このアルバムではそれぞれの曲で複数のシンガーをフィーチュアしたかった。「ウォリアー」「ザ・ラスト・サパー」ではゲイリー、グラハム、ロビン、ドゥギーの4人が歌っている。誰か1人がリード・ヴォーカルでも、他の誰かがバック・ヴォーカルを歌っていたりして、曲に新たなテキスチャーをもたらしたんだ。
──4人いずれも強烈な個性を持つリード・ヴォーカリストですから、バランスを取るのが大変なのでは?
マイケル・シェンカー:俺は彼らと過去にアルバムをレコーディングした経験があるし、どんな曲が向いているかだいたいわかっていた。さらに共同プロデューサーのマイケル・フォスは1980年代のマイケル・シェンカー・グループのファンだったから、オリジナル・シンガー達と俺のケミストリーを理解している。だから俺とマイケルの2人で「この曲で歌ったら良いと思う」と提案していったんだ。シンガー達はみんな熱意を持っていたし、多大な貢献をしてくれたよ。4人のあいだにライバル意識やエゴの問題はなかった。みんな仲良くやっていたよ。
──2018年3月から『レザレクション』にともなう<マイケル・シェンカー・フェスト・ツアー>が北米からスタートしますが、どのようなツアーになるでしょうか。
マイケル・シェンカー:4人もシンガーがいるし、世界中のファンが聴きたいポピュラーな曲、ちょっとしたサプライズも入れたいから、2時間半のショーになる。すごくエキサイティングなものになるよ。世界中からオファーがあって、2019年いっぱいまでスケジュールがぎっしりだ。2016年と2017年に日本で<マイケル・シェンカー・フェスト>を観た人だったら、さらにスケールを増したライヴだと気付くだろう。
──4人のシンガーをフィーチュアしたフェスト=祭りが終わった後、1人だけになってしまうと物足りなさを感じてしまう可能性もあるのでは?
マイケル・シェンカー:うん、国境を問わず、ファンというのはいつだってハングリーだからね。今回のツアーでマイケル・シェンカー・フェストが終わるとは限らないよ。もっとシンガーを増やしても面白いんじゃないかな?2018年はちょうどUFOの『UFOライヴ』(1978)の40周年なんだ。あらゆる雑誌やメディアで“ロック史上最高のライヴ・アルバム”と呼ばれている作品だし、UFOのシンガーだったフィル・モグと何か一緒にやれたらいいと考えている。それと2019年は俺とクラウス・マイネ(スコーピオンズ)が初めて一緒にやってから50周年になる。彼らを加えた6人のシンガーと“アルティメット・マイケル・シェンカー・フェスト”をやったら最高だろ?
──フィルやクラウスとは連絡を取り合っているのですか?
マイケル・シェンカー:クラウスとはしばらくご無沙汰だけど、電話番号が変わっていなければ大丈夫だと思うよ。フィルはご近所様なんだ。俺はイギリスのブライトンに住んでいるけど、数年前にフィルと出くわした。UFOのベーシストだったピート・ウェイや亡くなったゲイリー・ムーアもブライトン在住だったんだ。クラウスもフィルも、正式なオファーを出したわけではないんだ。具体的な話は何もないから、過剰な期待はしないで欲しいけど、実現したら最高だろ?実現しなくてもダメで元々だし、他に楽しいことを探すよ。俺はずっとそうしてきた。運命に導かれながら、毎日の今日を生きてきたんだ。
取材・文:山崎智之
マイケル・シェンカー・フェスト『レザレクション』
500セット数量限定CD+ボーナスDVD+Tシャツ 6,500円+税
CD+ボーナスDVD 4,000円+税
CD 2,500円+税
<マイケル・シェンカー・フェスト日本公演>
8月29日(水)大阪 ZEPP NAMBA
8月30日(木)名古屋 ZEPP NAGOYA
9月2日(日)札幌 ZEPP SAPPORO
9月4日(火)仙台 PIT
9月5日(水)東京国際フォーラムホールA
[問]東京音協 https://goo.gl/rix6b5
◆マイケル・シェンカー・フェスト『レザレクション』レーベルページ
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