ローランド新製品発表会、完全ワイヤレスのギターアンプやハイレゾ・オーディオ・レコーダーが登場
ローランドが新製品発表会を開催、完全ワイヤレスのギターアンプ「KATANA-AIR」やフロアタイプのマルチエフェクト「GT-1000」、スタイリッシュなハイレゾ・オーディオ・レコーダー「R-07」、アコースティック・ドラムのセットにカンタンに組み込んでサウンドのバリエーションを広げられるハイブリッド・ドラム製品など数多くの新機種をお披露目した。
今回紹介されたのは、1月にラスベガスで開催されたConsumer Electronics Show(CES)、アナハイムで開催されたWinter NAMM Showで発表された新製品。「Music Connects」をテーマに、世界中の人たちとクリエイティブにつながることで「ワクワクするライフスタイル」を実現する製品が勢揃い。BOSSブランドからはギターアンプやエフェクター、Rolandブランドからは電子ドラム関連製品、オーディオ・レコーダー、スマートフォン用アプリ、電子ピアノの新機種などが登場した。価格はいずれもオープンプライスで、以下に示す価格はすべて市場想定価格(税込)となっている。
■完全ワイヤレス・ギター・アンプ「KATANA-AIR」
まずBOSSからは、本格的なチューブサウンドとレスポンス、多彩な内蔵エフェクトで好評のギターアンプKATANAシリーズの新機種2モデルが登場。一つ目は、ケーブルをいっさい接続することなく本格的なサウンドで演奏が楽しめる、世界初の“完全ワイヤレス・ギターアンプ”、「KATANA-AIR」だ。
▲「KATANA-AIR」は、トップパネル右にあるドックにワイヤレス・トランスミッターに挿すだけで充電が可能。持ち運びに便利なハンドルも備える。
「KATANA-AIR」ギターアンプ本体とワイヤレス・トランスミッターの2つで構成。ギターの接続はBOSSが開発した最新のワイヤレス技術により、超低レイテンシー&高音質を実現、心地よいフィーリングで演奏が楽しめる。付属のワイヤレス・トランスミッターは、さまざまな形状のギターに取り付けが可能。アンプ本体のドックに挿すだけで充電、最大12時間も使用できる。また、アンプ本体も電源アダプタの使用だけでなく、電池駆動にも対応する。
▲左がトランスミッターを装着した状態。右はドックのコネクタ部。トランスミッターには状態を示すLEDも備えている。
さらにすごいのはここから。一定時間演奏していないと自動的にバッテリー消費を抑えるスタンバイモードに移行。再度演奏したくなったら、ギターを手に取るだけでトランスミッターのセンサーが動作を感知、即座に接続を再開。スイッチ操作を行うことなく、思い立ったらすぐに演奏が楽しめるのだ。
▲左はギターにトランスミッターを装着した状態。タブレットとともに、リビングでくつろぎながら楽しめるアイテムであることが実感できる展示も。
KATANAシリーズならではの5種類のアンプ・タイプ、「KATANA-AIR」のステレオ・スピーカーに最適化されたモジュレーションやディレイをはじめとする50種以上のエフェクトを用意。iOS/Android対応の専用アプリを使えば、音色の編集・管理をワイヤレスで行えるのもポイント。アプリ内からプロのギタリストが作成した音色を無料でダウンロードすることもできる。また、Bluetooth接続でスマホ内の音楽を再生することもできるので、気軽にリスニングやセッションがすべてワイヤレスで楽しめる。4月発売予定で、価格は43,000円前後。
■プロフェッショナル向けKATANAアンプ「KATANA-Artist」
▲「KATANA-Artist」は、クランク・アップしたアンプ・サウンドの迫力とダイナミック・レスポンスを小音量でも得られるPOWER CONTROL機能も搭載、専用ツマミも用意する。
「KATANA-Artist」は、多彩なアンプ・モデルとエフェクトを搭載したKATANAシリーズのフラッグシップモデル。KATANAアンプの基本性能に加え、スピーカーとキャビネットをグレードアップ、中身も特別なチューニングを施し、全体を一新、よりいっそうサウンドに磨きをかけたプロフェッショナルのための100Wコンボアンプだ。スピーカーは1960年代のブリティッシュ・スタック・アンプに搭載され、名器として名高い25Wのビンテージ・スピーカーからインスピレーションを受けて開発された12インチ・カスタム・WAZAスピーカーを搭載。本体キャビネットはロックサウンドに最適なセミ・クローズド・バック構造に加え、剛性の高い設計でタイトかつ太くてヌケのよいサウンドを実現している。
搭載されるアンプ・タイプは、WAZAスピーカーや新設計キャビネットに合わせて専用のチューニングを施した。究極のロックサウンドというBROWNから、CLEAN、CRUNCH、LEAD、そしてエレアコのサウンドをナチュラルに再生するACOUSTICを用意。BOSSエフェクトは3種類まで同時使用が可能。専用ソフトウェア「BOSS TONE STUDIO」を使用すれば58種類からエフェクトを選択でき、緻密なエディットやループ/直列・並列の接続方法の設定も可能になる。アンプとエフェクトの設定は8つまで保存可能だ。
▲「KATANA-AIR」のギターサウンドを聴かせてくれたのは本田毅。PERSONZのギタリストとしてメジャー・デビューし、その後は氷室京介、安室奈美恵、INORAN、清木場俊介など多数のアーティストのプロデュース、レコーディングやライブのギタリストとして活動。現在はソロ・プロジェクトEffectric Guitarを始動し、活躍の幅を拡げている。
機能説明に続いて登場したのは本田毅。迫力のロック・サウンドで多彩なプレイを披露し、その魅力を語った。「すごく引き締まったサウンドだなっていう印象で素晴らしいと思います。僕はKATANA-HEADも使ってるんですけど、その時から操作性がすごい直感的、シンプルでわかりやすい。」「さらにエフェクトがバージョンアップしているので、レコーディングもライブもこれ1台で全部、っていう感じのすごいアンプだと思います。」
「KATANA-Artist」は2月10日発売予定、価格は74,000円前後。
■LOOP STATIONシリーズ累計100万台セールス突破記念 2018年限定モデル
▲ブラック塗装の限定モデル「RC-1-BK」はオリジナルの「RC-1」(右)ととも展示。
ルーパーの代名詞的モデルLOOP STATIONシリーズから、シリーズ累計100万台セールス突破を記念した「RC-1-BK」が登場。13,000円前後で、2月10日に発売される。
機能はそのままに外観をブラック塗装で仕上げ、文字をLOOP STATIONシリーズのイメージカラーでもあるレッドであしらった特別カラーモデルで、2018年限定での発売となる。また、あわせてRCシリーズの歴史とともに「RC-1-BK」や現行ラインナップの情報を掲載した特設ページがオープンしている。
■最先端のテクノロジーを結集したエフェクターのフラッグシップ「GT-1000」
▲10のスイッチとペダル、大型ディスプレイと6つのつまみを備えた「GT-10000」。外部スイッチやエクスプレッション・ペダルの増設ももちろんサポート。
「GT-1000」は、フロア型ギター・アンプ/エフェクト・ユニットの最高峰モデル。最先端のDSPテクノロジーと長年のエフェクト/アンプ開発で培ったBOSSの知識と経験をスリムなボディに結集。心臓部には独自の最先端技術AIRDから誕生したアンプ・セクションを搭載。チューブ・アンプ特有のサウンドとレスポンスを生み出す、アンプの各パーツやプリアンプ、パワーアンプ、キャビネット、スピーカーといった各セクションの複雑な相互作用による動作を、再生システムを持たないフロア型でも実現。どのような接続方法でもリアルで音楽的なレスポンスとサウンドが得られる。
▲スイッチそれぞれにフルカラーのLEDを配置。点灯カラーは好みに合わせて変更でき、複雑な機能割当を色で識別することが可能になっている。
エフェクトにはXシリーズで使われているMDP技術や、「DD-500 Delay」「MD-500 Modulation」「RV-500 Reverb」にも採用されている高度なアルゴリズムによる最新のBOSSエフェクトも多数搭載。それらを高度なルーティングやアサイン/コントロール機能で自在に使用可能だ。
これまでにない超高速パッチ切り替えも特徴の一つ。パッチ切替時にディレイやリバーブの残響音が途切れないキャリーオーバー機能も搭載する。さらにBluetooth機能搭載で、iOS/Android対応のエディター・アプリからワイヤレスで音色を編集・管理でき、内蔵ルーパーの操作も行える。
デモ演奏には再び本田毅が登場し、シャープでソリッドなトーンから幻想的でエフェクティブなサウンドまで幅広く実演した。「圧倒的にスペックアップしてるのかな。すべてのアンプとかエフェクトのクオリティが高いなっていう気がします。なんと言ってもパッチチェンジのスピードがすごく速くて。けっこうエフェクターをいっぱい積んでるんですよ。それでもなんのストレスも感じない。」「筐体がすごい小さくて軽いので、ギタリストにとって運ぶのに非常にありがたいと思います。欲しいです!」と笑顔でコメントを締めた。発売は4月予定、価格は108,000円前後。
■安心・カンタン・高音質のハイレゾ・オーディオ・レコーダー「R-07」
▲レッド、ブラック、ホワイトの3カラーから選べる「R-07」。丸みを帯びたかわいらしいデザインが印象的。バックライト付きのグラフィカルなディスプレイのメニューは安心の日本語表示。
ローランドからはハイレゾ・オーディオ・レコーダー「R-07」が登場。スマホよりも確実・高音質・手軽に録音が可能、しかも150gの軽量・コンパクト。それでいて最大24bit/96kHzでの録音が可能だ。メディアはSDHCカードを使用(最大32GB)、単三型乾電池2本で最長15時間の連続動作が可能だ。
マイクは本体内部に配置。音響特性に配慮したボディのデザインと最適なマイクの配置で臨場感を余すことなく収録。マイク部に突起がないので、設置や収納で気を遣う必要がないのもうれしいところだ。
▲内蔵マイクのほか、MIC/AUX INによる外部入力もサポート(左)。外部マイクはステレオ・ミニでプラグイン・パワー対応。テーブルに置くとマイクがわずかに上を向いているがわかる(右)。
録音の失敗を防ぐ機能も用意。録りたい音をあらかじめ「R-07」に聴かせるだけで最適な録音レベルを自動的に設定する「リハーサル機能」や、万が一のレベルオーバーに備え、レベルの違うデータを同時に録音することでを防ぐ「デュアル・レベル・レコーディング機能」などを備える。
また、専用アプリによるスマホからのリモート操作にも対応。Bluetoothの双方向通信を利用して、バッテリー残量、メモリー残量、録音レベルなども確認可能。多用な録音状況に対応するシーン機能で、最適な設定がカンタンに行える。自分で設定したシーンを登録することも可能だ。
カラーはブラック、レッド、ホワイトの3色をラインナップ。発売は3月下旬、価格は25,000円前後。
■マルチ画面の音楽ビデオがカンタンに作成できるアプリ「4XCAMERA」
▲iPhone/iPadに加えシンセサイザーJD-Xiとともに展示されていたiOSアプリ「4XCAMERA」。
「4XCAMERA」(フォーエックスカメラ)は、iPhone/iPadだけで画面分割した演奏動画がカンタンに作成できるスマホアプリ。スマホ用ミキサー「GO:MIXER」に続く、音楽ビデオをカンタンに制作するためのアイテムだ。
一人で複数の楽器を演奏して多重録画したり、遠く離れたバンド仲間同士で演奏動画を撮って合成し、マルチ画面の演奏動画を作成することができる。画面レイアウトはフリー版では2パターンだが、アップグレード版(アプリ内課金480円)では、10パターンが使用可能。撮影後に各動画の音量レベルや画角の編集が行えるので、複数のテイクをあらかじめ撮っておき、撮影後によいテイクのみ編集するといったこともできる。
▲撮影後にそれぞれの動画の音量を調節(左)したり、ピンチ操作でズームアップして画角を変える(右)ことも可能。画面はフリー版でも楽しめる2分割の例。
■コンパクトなデジタル・グランドピアノ「GP609」と「KIYOLA」新色
デジタルピアノの新機種は2モデルが登場。一つめの「GP609」は、優雅なグランドピアノのキャビネットにローランドの最新技術を搭載したデジタル・グランドピアノ。美しく堂々とした存在感を持ちながらも、設置が難しいスペースにも収まる奥行き150cmのコンパクトサイズ。移動もしやすく、調律や定期的なメンテナンスも不要だ。
▲「GP609」は黒塗鏡面艶出し塗装仕上げと白塗鏡面艶出し塗装仕上げ
自宅で演奏を楽しみたい人はもちろん、公共の場にも導入しやすい点もアピール。ホテルのラウンジや屋外テラスのあるレストラン、結婚式場をはじめとしたチャーチ、学校などの教育現場や音楽ホールなど、さまざまなシーンに活用できる。「スーパーナチュラル・ピアノ・モデリング音源」、ハイブリッド構造の「PHA-50鍵盤」、7つのスピーカーによるマルチ・スピーカー・システムを採用。Bluetooth機能も搭載し、スマホからのオーディオ再生も可能なので、BGMやリスニング用のピアノとしても活用可能。スマホアプリ「Piano Partner 2」を使用すれば、300曲以上の内蔵曲を遠隔操作で再生することも可能だ。
カラーは定番の黒塗鏡面艶出し塗装仕上げと、小さめのグランドピアノで人気の高い白塗鏡面艶出し塗装仕上げの2種をラインナップ。2月24日発売予定で、価格は黒が980,000円前後、白が1,030,000円前後。
▲「KIYOLA」の新色、無彩色のシアーブラックはさまざまなインテリアと組み合わせられる。
カリモク家具とローランドのコラボレーション・モデル「KIYOLA」には、新色シアーブラックが登場(発売中)。天然木オーク材ならではの素材感、自然な木目を生かした透明感のある黒が特徴で、カリモク家具でも人気のカラーを採用。カリモク家具の座り心地研究から生まれた専用ピアノ椅子の座面には、レザーの質感を持つ上質なブラックカラーの張地を使用している。
■楽しくプログラミング学習ができる「GO:KEYS ScratchX Exrension」
▲GO:KEYSとパソコンがあれば無料で楽しめる「GO:KEYS ScratchX Exrension」。
エントリー・キーボード「GO:KEYS」対応の「GO:KEYS ScratchX Exrension」は、楽しくプログラミングが学べるソフトウェア。
マサチューセッツ工科大学(MIT)により開発されたプログラミング言語「Scratch」は、視覚的にわかりやすくプログラミング学習ができるツールとして、世界中で多くの子供達に使われている。これを活用し、「GO:KYES」を使って音楽を交え楽しく学べるようにしたのが「GO:KEYS ScratchX Exrension」だ。「GO:KYES」内蔵のループ音源を使ってBGMを作成したり、鍵盤を押してアニメーションを動かしたりといったことが可能。インタラクティブ・ストーリーやアニメーション、さらにゲームを作ることもできる。
▲展示エリアでは、鍵盤を使って画面上のキャラクターを動かしたり、GO:KEYS内蔵のループ音源を抜き差しして楽曲を構築するシーケンサー的な使い方も紹介。画面は左の女の子が音楽に合わせて踊るプログラムを作成中。さまざまな機能を持ったブロックを並べていくことでプログラミングするScratchのカンタンさはそのままに、音楽の楽しさが加わっている。インタラクティブに展開するような複雑な構成の曲を作ることも可能だ。
ウェブブラウザGoogle Chrome上で動作し、MIDIのコントロールにはJavaScriptによるWeb MIDI APIが使われている。ソース・プログラムはGitHubに公開されているので、知識があれば「GO:KEYS」以外のMIDIデバイスを使用できるように改造することも可能だという。
■ゲーム感覚でドラム練習ができるアプリ「Melodics for V-Drums」
▲V-DrumsとパソコンをUSBケーブルでつないで楽しめる「Melodics for V-Drums」。曲に合わせてドラム・サウンドが変わるのもポイント。V-Drumsのモデルによってはオーディオケーブルの接続も必要になる。右下のモニターは新製品の「PM-100」。
「Melodics for V-Drums」は、V-Drumsをつないでゲーム感覚でドラムの練習が楽しめるパソコン用ソフトウェア。ニュージーランドに本社を置くMelodics社とローランドが提携し開発、V-Drumsユーザーを対象に配信が開始されている。
▲曲に合わせて画面が左へ流れていき、四角が中央を通過するところでタイミングよくドラムを叩く。
ソフトウェアはWindowsとMac対応で、無料でダウンロード可能。さまざまなジャンルの練習曲を40曲用意する。画面の表示に合わせて演奏することで、タイミングのずれを視覚的に確認。演奏終了後には得点と評価が表示され、上達度を確認できる。有料会員登録すれば練習曲が毎週追加され、合計100以上の曲で飽きることなく練習を続けることができる。
■V-Drums専用モニタースピーカー「PM-100」「PM-200」
▲ドラマーがモニターしやすいよう傾いた形状の「PM-100」(左)と「PM-200」(右)。
PMシリーズのニューモデル「PM-100」「PM-200」は、V-Drumsや電子パーカッションに最適化された専用設計のパーソナル・モニター。フルレンジ・カスタム・スピーカーと剛性の高いキャビネット構造を採用することで、V-Drumsのダイナミクスの広いサウンドを最大限に引き出してくれる。
「PM-100」は80W出力・25cmウーファー+5cmツイーター、「PM-200」は180W出力・30cmウーファー+ホーン・ツイーターを搭載。いずれもドラマーがモニターしやすいスラント形状を採用。持ち運びに便利なバーハンドルも備える。また、V-Drums専用入力を含め2系統の入力端子(標準、ステレオ・ミニ)を搭載。独立して音量調整が行えるほか、2バンド・イコライザーで音質調整も可能だ。PM-200にはステージで役立つダイレクト・アウト端子(XLR)も装備する。
■スネアやタムに電子音を手軽に追加できるドラム・トリガー「RT-MicS」
近年、アーティストのライブでアコースティック・ドラムとエレクトロニック・ドラムを融合させた「ハイブリッド・ドラム」が導入されるケースが増えている。「ハイブリッド・ドラム」では、アコースティック・ドラム本来のサウンドを生かしながら、ドラムの音を増強したり、電子ならではのサウンドを加えることができる。バンド・サウンドに埋もれない明瞭なサウンドを鳴らしたり、楽曲の中で必要なエレクトロニック・サウンドや、楽曲のイメージに合わせたサンプルを鳴らすなど、パフォーマンスの可能性を大きく拡げることができるのが、「ハイブリッド・ドラム」の特徴だ。
▲円形の部分がボタンになっており、プッシュするとサウンドが切り替わる。
こうした「ハイブリッド・ドラム」を手軽に楽しめるよう登場したのが、音源モジュールとマイクを一体型にしたコンパクトなドラム・トリガー「RT-MicS」。複雑なセッティングは不要。スネアやタムに取り付けるだけでカンタンに「ハイブリッド・ドラム」が実現できる。
音源部には実用的な8種類の音色をプリロード。アコースティック・スネアの音を増強する音色やハンド・クラップ、スネアに小口径のシンバルを乗せて叩いたような効果が得られるサウンドなどを用意。パソコンとUSB経由で接続し、専用ソフトを使ってオリジナル音色(WAVファイル)に入れ替えることも可能だ。
▲横から見た状態。側面には出力端子やボリュームが備えられている。
コンパクトな本体には、スネアやタムの生音を拾うためのコンデンサー・マイクを内蔵。本体のマイク・アウトプット端子の先にリバーブやディレイなどのエフェクターを接続すれば、従来はPA側でコントロールが必要だった音作りを、自分の手元で行えるのもメリットだ。このほか、マイク音と内蔵音色の音量を独立して調整できるミキサー機能も搭載。内蔵マイク音を出力する端子と、電子音のみの出力または内蔵マイク音+電子音のミックス出力をスイッチで切り替えられるMIX/ELEC PUTPUT端子の2系統の出力端子を装備。電池駆動にも対応する。発売は5月下旬予定で価格は26,000円前後。
■ハイブリッド・ドラム専用音源モジュール「TM-6 PRO」
ハイブリッド・ドラムを手軽に楽しめる「RT-MicS」に対し、さらに進んだ表現を可能にするのが、ハイブリッド・ドラム専用音源モジュール「TM-6 PRO」。発売は4月下旬、価格は92,000円前後。
▲エディット用の3つのツマミの周りにはLEDを搭載、ひと目で状態が把握できる。下の丸い6つのボタンを叩いて音を出すことも可能。音色エディット中はスティックを持つことなく、本体だけで調整ができるのが便利。
あらかじめ500種ものワンショット・サンプルをプリロード。エレクトロニック・ミュージックに対応できるサウンドに加え、ドラム音の増強に役立つ音や高品位なアコースティック・ドラムのサウンドなど、今の音楽シーンに対応できるサウンドを網羅。V-Drumsゆずりの豊かな表現力を備えた音色も268種内蔵する。本体のハイハット・コントロール端子にハイハット・コントロール・ペダルFDシリーズを接続すれば、オープン/クローズの叩き分けも可能。即戦力となるドラム・キットは80種を用意。ユーザー作成のキットを含め100種を保存可能だ。
▲入出力はリアパネルに集約(左)。6つのトリガー入力に加え、ハイハット・コントロール、フットスイッチ端子を用意。出力には4つのダイレクトアウトもある。SDカードスロットはUSBコネクタ、MIDI OUTとともに左サイドに配置(右)。
自分で用意したWAVファイルをSDカード経由で取り込める機能も搭載。取り込んだサウンドはピッチ変更などのエディットができるほか、音色を重ねて鳴らすレイヤー機能を使用したり、叩く強さで鳴らすサンプルを切り替えるなど、アイディア次第でさまざまなパフォーマンスが楽しめる。サンプルは本体パネルの3つのツマミで即座にエディット可能。切り替えスイッチで6つのパラメーターを直感的に操作できる。リアパネルには6つのトリガー・インプット端子を装備。Y字ケーブルを使用すれば、最大12個までのパッドやドラム・トリガーが接続可能だ。
SDカード内のワンショット・サンプルの利用には本体メモリーへのロードが必要だが、WAV/MP3ファイルは直接再生に対応。曲に合わせて作成したクリックのWAVファイルを曲データと一緒にSDカードに保存すれば、「TM-6 PRO」本体だけで同期させることも可能だ。ソングとクリックの音量を独立して調整できるツマミも装備するので、別途ミキサーを用意する必要はない。本体側面のUSB端子を使えば、USBケーブル1本で8chオーディオ/MIDI入出力が可能。トリガーMIDIコンバーターとしても機能する。
▲カシオペアを経て現在はTRIXのリーダーを務める熊谷徳明が演奏を披露。
デモ演奏にはドラマーの熊谷徳明が登場。アコースティック・ドラムに「TM-6 PRO」や各種トリガーを組み込んだセットで演奏を披露した。「サンプルネタを駆使した音楽が非常に多い現状の音楽の中ではマスト」という「TM-6 PRO」を中心としてシステム使用されたのは、「ドラムの感触に似ていて演奏しやすい」というキック・トリガー・ペダル「KT-10」、キットのスネアとは違った音を出すサブ・スネアとして「PD-128」、「コンパクトでどこにでも置ける」というバー・トリガー「BT-1」、音色をチェンジするためのの小型パッド「PD-8」など。さらにアコースティック・ドラムのスネア、キックにもトリガーを装着。豊富なサンプルやトリガーで増強されたドラム・サウンドを駆使し、ハイブリッド・ドラムならではの幅広い表現力を味わわせてくれた。
▲アコースティック・ドラムに「TM-6 PRO」を中心に各種トリガーを組み合わせたセット例。写真左下がサブ・スネアとして使うトリガー・パッド。スネア、タムにもトリガーが付けられている。
▲各トリガーのアップ。写真上がタムのトリガーとバー・トリガー、左下がスネア、右下がキック。これらで「TM-6 PRO」の音源をトリガーする。
▲こちらはアコースティック・ドラムを使わず、トリガー・パッドとペダルを中心にしたミニマムなドラム・キット。手持ちのパーツを活用してさまざまな組み合わせが可能だ。
▲発表会の展示エリアにはアーティスト使用モデルなどが展示されていた。こちらはアーティストのサイン入りの大量のBOSSコンパクト・ペダル。
▲UNICORNのABEDONのギターとエフェクター・ボードの展示。エフェクトのスイッチングにはBOSS「ES-8」(右)が使われている。
▲こちらは氣志團のサポート・ドラマー叶亜樹良のハイブリッド・ドラム・セット。アコースティックのキットにV-Drumsのパッドやトリガーが組み合わせられている。
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