HARCO、ラストライブがサプライズづくしで閉幕。来春ベストアルバムも

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HARCOが、2018年春に自身2枚目となるベストアルバムをリリースすることが発表されている。

◆<CHRISTMAS STARSHIP 2017>画像

2017年をもって“HARCO”名義での20年におよぶ音楽活動に終止符を打ち、年明けからは本名の青木慶則名義で活動を開始することを発表しているHARCO。今回のベストアルバムは、2007年発表の『KI・CO・E・RU?』から2017年の『あらたな方角へ』まで、後期10年の作品からの楽曲を収めたものになるという。DVD付きの初回限定盤も予定されており、こちらには2017年12月24日に東京・吉祥寺スターパインズカフェで行われたHARCO名義でのラストライブ<HARCO BAND presents -CHRISTMAS STARSHIP 2017->の模様を収録予定とのことだ。

以下、20年の歩みの集大成を見せた<CHRISTMAS STARSHIP 2017>のオフィシャルレポートをお届けする。

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20周年イヤーの最後を飾り、HARCO名義では正真正銘のラストライブとなった<HARCO BAND presents -CHRISTMAS STARSHIP2017->が、12月24日、東京・吉祥寺のSTAR PINE'S CAFEで行われた。5年続くX'masイブの恒例企画、毎度乗り物にちなんだテーマがあり、今回設定したのは“宇宙船”だ。HARCOは宇宙飛行士のヘルメットで登場、乗組員は石本大介(G)、伊藤健太(B)、榊原大祐(Dr)、シーナアキコ(Marimba,Pf)、Adi Nada(Cho)の5人。前半から、ごく初期のナンバー「ワークショップ」「香港スタア」や、最新アルバム収録「ロングウェイホーム」「あらたな方角へ」などが交互に披露され、これがいつもとは違う特別な夜であることを実感する。



芸達者揃いのHARCO BAND。榊原大祐がスティックやブラシを持ち替え、伊藤健太もエレキ&ウッド・ベース、シンセ・ベースを巧みに弾き分ける。おもにピアノを弾きながら歌うHARCOの代わりに、シーナアキコがピアノに移ることも出来るので、HARCOとAdi Nadaがステージ最前に立ち、「口笛は春の雨」「I don't like」をハンド・マイクでのびのびと歌うことも可能に。でも、一番の芸達者はHARCO自身だろう。ソロ・コーナーの「文房具の音」「バッティングセンター」では、セロ・テープを引っ張る音や新聞紙を丸めた音などをその場でサンプリング、実験音楽とポップスの融合のような世界を表現する。さらにドラム、マリンバ、ギターと、担当楽器を次々に変えながら自作品を熱唱、八面六臂の活躍を見せた。

「僕のワガママを聞いてもらっていいですか?」──HARCO

ライブ中盤で突然、HARCOが大きな花束を手にした。HARCOとしてソロになる以前のバンド時代から24年間、共に歩み、来年から別々の道を進むことになるマネージャーに、24種類の花で飾った花束を贈ったのだ。メンバーも、どのスタッフも知らなかったサプライズ。そしてそれは同時に、この日のハイライトの幕開けでもあった。ノンストップでHARCO屈指のキラーチューンたちが駆け巡り始める。ファン投票で常に上位の「1分の1の地図」に始まり、石本大介の七色のギターが宇宙空間へと誘った「Night Hike」、HARCOとシーナアキコの連弾マリンバが2000年のメジャーデビュー曲「巻き戻す時間」を完全再現し、切ないメロディとファンキーなグルーヴが絡み合う「winter sports rainbow」にも会場から「ワッ!!」と歓声が上がる。


“僕は知ってるよ/2017年/頑張ってた君のこと/おつかれさまと言いたいから/君のために歌おう”……。本編最後の「世界でいちばん頑張ってる君に」では、こんな替え歌が差し込まれて、会場全体が癒しに包まれる。さらにアンコール。ナット・キング・コールのカヴァー「ザ・クリスマス・ソング」の後、HARCOからもう一度、次はバンドメンバーに感謝の花束を。このサプライズづくしに、「ひとりひとり、1曲1曲のすべてに、“ありがとう”の気持ちしかない」というHARCOの想いが溢れていた。

ところがアンコールのラスト「愛されたいから」に、どんでん返しが待っていた。会場との大合唱が最高潮に達した瞬間、バンドの演奏がぐちゃぐちゃに。「なに? ……なに!?」と動揺するHARCOに、最後はバンドメンバーから、デビュー20周年を祝う花束とお手製の金メダルが贈られる。

「正直、この先やっていけるか、不安が99.99%だったけど、今この瞬間にグッと減って、0.00001%になった気がします。大丈夫だ、きっと。ありがとう!!」──HARCO

前代未聞のサプライズ返しに、誇らしげにこう言い放った。これがHARCOとしての20年間の答えなのだろう。そう。“愛されたいから”と歌ってきたHARCOは、確実に愛されていたのだ。スタッフ、メンバー、そしてなによりリスナーから。

Text by 柳村睦子
Photos by 祖父江綾子

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■<HARCO BAND presents -CHRISTMAS STARSHIP 2017->セットリスト

2017年12月24日(日)吉祥寺STAR PINE'S CAFE
1. 宇宙旅行
2. ワークショップ
3. ロングウェイホーム
4. 香港スタア
5. 夜の海とアンクレット
6. あらたな方角へ
7. 口笛は春の雨
8. I don't like
9. 文房具の音
10. バッティングセンター
11. ペンを置いたって
12. やさしくなれずに
13. 星に耳を澄ませば
14. シリーズ最終回
15. 1分の1の地図
16. お引越し
17. Night Hike
18. ゴマサバと夕顔と空心菜
19. 巻き戻す時間
20. winter sports rainbow
21. 世界でいちばん頑張ってる君に

En1. The Christmas Song(カバー曲)
En2. アパート
En3. 愛されたいから

En4. 閉店時間

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