【初参加レポ】<朝霧Jam>は、寝食とライブが融合する音楽ファンのホーム
今年は天候もよかったが、ライブのブッキングも“神年”と謳われていた。メインステージはトップバッターから、1966年〜2000年までジェイムズ・ブラウンのバックシンガーを務めたマーサ・ハイと、日本を代表するファンクバンドであるオーサカ=モノレールのコラボという景気がよすぎる超ファンキーなステージで、子供もおじさまも踊り出す始末。この居心地のいい環境で、世界レベルの音楽が体験できるという唯一無二の多幸感が一気に広がった。ビールが進まない理由もどこにもない。
このRAINBOW STAGEでは、今年は新作『14ステップス・トゥ・ハーレム』もリリースしているガーランド・ジェフリーズが歌ったヴェルヴェッツのカバーや「Hail Hail Rock 'N' Roll」の力強さに圧倒され、SMASHの代表・日高氏をステージに上げ感謝を述べるスペシャルなひと幕もあった。その直後にはウィルコ・ジョンソンが登場するという、目まぐるしいほどのロックの宴だ。だが、もう一方のステージではクラブミュージックの楽園が広がっていたのである。朝霧Jamの“ジャム”は、ジャンルを超えたラインナップを指す。いい意味でのごった煮、いい音楽ならなんでもありということだろうが、2017年度はその振り幅と深度が際立っていた。
気づけばもうすっかり日が落ちていた頃、UKクラブシーンの注目デュオであるバイセップは、クラシカルなハウス〜テクノ〜エレクトロを軸としながらモダンなセンスが光るナンバーで小雨の中でも爽快に踊らせてくれたし、続くマウント・キンビーは、“ダブ・ステップの最右翼”という事前の肩書から飛躍し、ディープかつ肉感的な音像を奏でてくれた。今、観ておいて絶対によかったアクトが連続したが、それに続くアクトがカール・クレイグなのだから朝霧は凄まじい! そばにいたお客さんが「なんだか不気味な空間だなぁ」と言ったのも無理はないほど(笑)、スピリチュアルな異空間からスタート。オーケストラと共演しテクノ〜エレクトロの再構築を図ったプロジェクトのスタジオ盤『VERSUS』がリリースされたばかりの彼とあって、以降はジャンルを横断する非常に創造性溢れるステージだった。夜空から注ぐ月明かりもこの日のMOONSHINE STAGEのトリを魅惑的に演出していた。
▲BICEP
▲MOUNT KIMBIE
▲CARL CRAIG
その頃メインステージでは、ポップでスイートなベルセバのバンドサウンドに包まれていた。月も、思春期の真夜中に自室の窓から見上げたそれのように映るから不思議だ。リスナーに寄り添ってきたベルセバの歌が目の前で鳴っている喜び……そして、最新曲「We Were Beautiful」などからは、力強くビートを刻むようになった近年の彼らの響きをダイレクトに受けることもできた。
▲BELLE AND SEBASTIAN
夜になると一気に寒くなり、たぶん20年ぶりくらいに囲ったキャンプファイヤーで身体を温めてから寝床につく。輪に少し近寄ると、そばに座っていた人がさりげなく下がって輪の軌道を広げてくれたのも嬉しかった。
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