【インタビュー】ヒステリックパニック「短距離だったら絶対誰にも負けねぇ。それは間違いない」
■後ろが“天国ゾーン”で、暴れたい人は前の方の“地獄ゾーン”へどうぞ
■そのほうが暴れたい人と静かに観たい人の両方が得をするから
――キャラクターの濃いメンバーが揃っていて、楽曲はアッパーで、3人のボーカリストが交互に歌ったりするということで、楽しいライブなのは間違いないですね。
とも:楽しいことには自信があります。ただ、激しいライブに免疫がない人はハードコア・モッシュとか、サークル・モッシュとかでも何事だと思う気がするんですよ。なので、今回のツアーから明確にそれを分けることにして、“天国ゾーン”と“地獄ゾーン”というのを作りました。後ろが“天国ゾーン”で、暴れたい人は前の方の地獄へどうぞと(笑)。そのほうが暴れたい人と静かに観たい人の両方が得をするから。今回試験的にやってみたんですけど、好評なので、しばらく続けていきたいなと思っています。
おかっち:そういう配慮もしているので、どんな人でもヒステリックパニックのライブは楽しんでもらえると思います。
――お客さんを大事にしていることが分かります。ツアーに関するあれこれもお聞きしたいのですが、今回のツアーで強く印象に残った出来事などはありましたか?
とも:ちょっとピンポイントの話になりますけど、ツアーが始まってから3~4本目がKNOCK OUT MONKEYさんと一緒の長野だったんですね。僕は土地土地によって、お客さんのカラーや特徴というのがあるなと思っていて。長野は3年ぶりだったんですけど、僕の中で結構シャイなイメージがあったんですよ。一回火が点くとすごく盛り上がるし、毎回来てくれる人もいっぱいいるけど、ライブの最初のうちは様子を見ているようなイメージだった。でも、今回長野に行ったらKNOCK OUT MONKEYさんの1曲目からダイバーが出るくらい盛り上がったんです(笑)。
おかっち:そう、あれは凄かった(笑)。
とも:“長野どうした!?”みたいな(笑)。僕はステージ袖から見ていたんですけど、自分が思っていた印象とは違う、良い方向のベクトルでお客さんが盛り上がっていて、それがすごく嬉しかった。客席にはヒステリックパニックのお客さんとKNOCK OUT MONKEYのお客さんの両方がいたと思うけど、1曲目からもう一体感が生まれていたし、ダイバーもみんなでちゃんと前に運ぼうという感じがあって。久々に行った土地で、そういう光景が見れたのが本当に嬉しかったです。
おかっち:僕は、個人的にツアーの初日が一番印象に残っています。今回のツアーは、僕の出番が多いんですよ。音楽的なことではなくて、ベース以外の出番が多い(笑)。今回は自分達のツアーだし、お客さんにより楽しんでもらいたいというのがバンドの総意としてあったんですね。だから、特にワンマンがそうですけど、曲ばっかりやってもつまらないし、かといってMCを何回も入れるのも違うんじゃないかという話になって。で、今までの自分達のツアーでは、アンコールで僕が物販の案内をしていたんですよ。アンコールで呼ばれて、「いやぁ~」とか言いながら案内をするという流れがあったんですけど、今回からそれを本編に組み込んでいこうということになったんです。もう一種のエンタメとして物販案内をしてしまえと(笑)。
とも:BGMもつけて、テレビショッピングみたいにしようっていう(笑)。
おかっち:そう(笑)。まずそれがあったし、もう一つ「全日本ぬるぬる音頭」という曲の中間にコール&レスポンスがありますよね。
――ありますね。しかも、結構ヤバいのが(笑)。
おかっち:あのヤバいヤツ、音源では僕が言っているんです。
――えっ、そうなんですか?
おかっち:はい(笑)。そういう特殊な時になると、僕の出番になるんです(笑)。それで、ライブでやる時も、おかっちが生でやれよと言われて。しかも、普通にやるのはもったいないから、コール&レスポンスの前に一回ステージからハケて、TENGAの着ぐるみに着替えてやろうということになったんです(笑)。TENGAの恰好で、あのヤバいフレーズを言うという(笑)。
――思い切り下ネタじゃないですか(笑)。
おかっち:そう(笑)。その2つがあったから、ツアーの初日は変な緊張感があって(笑)。お客さんはどんな反応を示すだろうなと思って、ライブが始まるまで気が気じゃなかったです。音楽面ではないところで緊張しているという(笑)。
――それは、ツラい(笑)。でも、ライブを重ねるうちに、こなれましたか?
おかっち:こなれました。良いことなのか、悪いことなのか分からないけど(笑)。
▲とも
――そういう趣向も自己満足ではなく、お客さんに喜んでもらいたくてやっていることですから良いと思います。続いて、ミュージシャンはツアー先で“ホテルにこもる派”と“積極的に出かける派”にわりと分かれるようですが、お二人はどうでしょう?
とも:どうだろう? おかっちは結構1人でプラプラするよね?
おかっち:うん。僕は1人でプラプラするタイプです。地方に行くと、ライブハウスの近くに商店街があることが多いですよね。僕は古着とかが好きなので商店街を覗きに行って、路地裏とかで古着屋を見つけると入ってみて、気に入ったのがあったら買ったりします。でも、青森に行った時は、みんなで飲みに行ったよね?
とも:行ったね、珍しく(笑)。
――皆さん、あまり飲まれないんですか?
おかっち:飲まないです。僕は結構飲むのが好きなので、ホテルに行ってもずっと1人で飲んでいたりしますけど。
――“1人飲みOK”な人なんですね(笑)。
おかっち:はい。前のツアーで福岡に前乗りで行った時もホテルに着いてから暇だったので、夜にラーメンを食べにいこうと思って、1人で出かけていって。ラーメンを頼むと同時に瓶ビール…みたいな(笑)。
とも:キテるなぁ(笑)。僕はわりとホテルに、こもっているほうですね。部屋で1人でYouTubeを見たりしていることが多いです。
――ボーカリストは体調に気を遣って、あまり外に出ないようにしている人が多いみたいですね。
とも:いや、体調は全く気にしてないです(笑)。
おかっち:ハハハッ! じゃあ、単なる引きこもり?
とも:そう(笑)。僕は地元にいる時のオフ日とかも、あまり出かけないんですよ。基本的にインドア派です。ケータイとWi-Fiがあれば生きていける(笑)。ただ、ツアー先で、みんなで観光をしに行くこととかはあって。そういう時はマネージャーも含めて全員で観光地に行って、飯を食って…みたいな。そういえば、一昨年のツアーで初めて九州を廻ったんですけど、宮崎県に前乗りした時にモアイ像を見にいきました。
――えっ? 宮崎県にモアイ像が、あるんですか?
とも:あるんです。しかも、イースター島公認の像が。海岸沿いにちょっと小高い丘みたいなのがあって、登っていくとバカデカいモアイが5体いた。みんなでモアイを見て、アー写っぽい写真を撮って、チキン南蛮を食べて、ホテルに行くという(笑)。それは、ツアー先の良い思い出になっています。
おかっち:あの時は、すごく楽しかった。あと、某県でライブハウスに会場入りしたら、なぜかエロ本が置いてあって(笑)。
とも:あった、熟女モンのヤツ(笑)。それをみんなで見て、ああだこうだ言い合うという(笑)。そういうことは普段はないから、楽しかったです。
▲おかっち
――ツアーに出ると一緒にいる時間が長いので、チーム感がより強くなりますよね。日本の各地を廻られていますが、特に思い入れの強い場所などはありますか?
おかっち:僕は、盛岡ですね。今年の3月に初めて行って、今回のツアーにも組み込まれていたんですけど、お客さんのノリが結構好きなんですよ。街の雰囲気も好きだし、2回とも同じライブハウスで、楽屋とかの居心地もすごく良かったし。盛岡はこれからも定期的に行きたいですね。
とも:おかっちが北を言ったから南を言うわけじゃないけど、僕は九州が好きです。九州の人達の人柄が好きなんですよ。人情味が篤いというか、昔から来てくれるお客さんが多いイメージがある。バンドというのは何度かライブに来ても離れていってしまう子がいたりしますよね。でも、福岡はずっと来てくれている子が多いし、福岡に行った時に連絡をくれる知り合いも多くて。九州の人が好きだし、福岡の街も好きです。それに、九州はちょっと名古屋に近いものを感じるところがあるんですよ。グルメとかの味が濃かったり、方言がちょっと独特だったりして、エッセンスが濃いところが名古屋に似ている気がする。そういうところでシンパシーを感じることもあって、個人的にいつも九州に行くのは楽しみです。それに、今年の11月にようやく福岡で初ワンマンができるという嬉しさもあります。
おかっち:九州も良いよね。僕らはまだ行ったことのない地方が沢山あるので、ツアーでいろんなところに行って、好きな場所が増えると良いなと思います。
とも:それは、超楽しみだよね。
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