【連載】Vol.027「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」

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ローリング・ストーンズを支えた最高のロックンロール・サックス奏者 ボビー・キーズのDVD『“6人目のストーンズ”と呼ばれた男 ~ ボビー・キーズ・ストーリー』が登場!平成29年度MBS最優秀外国音楽ビデオ(DVD/BRD)賞!!


世界最強ロックンロール・バンド、ローリング・ストーンズ欧州ツアー/No Filterが間もなく始まろうとしている。いつもツアー直前になるとブライアン・ジョーンズ、スチューことイアン・スチュワート、ビリー・プレストン、ニッキー・ホプキンス、チュッチュ・マギー、マックことイアン・マクレガン…ら亡くなったメンバーやサポート・ミュージシャン、スタッフらのことを思い出す。特にここ1~2年の公演前はボビー・キーズの様々な思い出が甦ってくる。

キース・リチャーズと生年月日が全く同じ1943年12月18日生まれのボビー・キーズ、71歳の誕生日寸前の2014年12月2日この世を去った…。多くのストーンズ・ファンが涙した。

ボビー・キーズの名前は1970年前後、ストーンズもしくはジョー・コッカーの作品で初めて知った。時系列的に言うと、69年12月にキングレコードの視聴室で手にしたストーンズのアルバム『LET IT BLEED』が最初のように思うのだか、定かではない。同アルバム収録「Live With Me」でのサックスがボビーだ。71年シングル「ブラウン・シュガー」のライナーを担当し彼の名を強烈に意識。そしてアルバム『Sticky Fingers』だ。73年1月にハワイでストーンズ初体験。湯川れい子さんにTIXを手配していただき2日で3回のコンサート、OAはZZトップ。ミック・ジャガー/キース・リチャーズ/チャーリー・ワッツ/ビル・ワイマン/ミック・テイラーをサポートしたのがイアン・スチュワート、ニッキー・ホプキンス、ジム・プライス、そしてボビー・キーズだったのだ。

ボビーは70年代に入ってストーンズのレコーディング&ツアーほか多くのアーティストをサポート。ジョン・レノンはじめリンゴ・スター、デラニー&ボニー、エリック・クラプトン、ゲイリー・ライト、ニルソン、カーリー・サイモン、B.B.キング、バーブラ・ストライザンド……多くのアーティストの作品にその名がクレジットされている。ストーンズのツアーやレコーディングの間にいろいろな事件があって出たり入ったりしていた。


▲コンサート・プログラム「EUROPIAN TOUR ‘82」から

長いキャリアの中でソ72年の『ボビー・キーズ』が唯一のソロ・アルバム。参加ミュージシャンが凄い。ただ、彼は長い音楽人生で完全にSIDEMENに徹していたのだった。


そんなボビーの演奏を88年12月、久々に味わった。ボストン/オーフューム・シアターでのキース・リチャーズ&X-ペンシヴ・ワイノウズのライヴ。89年からのスティール・ホイールズUSツアーでストーンズに完全カムバック。ワシントンDC、クリーブランド、ニューヨークでその雄姿に見惚れた。

90年にストーンズ初来日。


▲コンサート・プログラム「STEEL WHEELS/TOKYO 1990」から

その際、Tokyo FMのRS特別番組&Stone People用にミックはじめストーンズのメンバー4人(チャーリー・ワッツはジャズ誌のスイングジャーナルのみの取材だった)、バック・ミュージシャン全員にインタビューした。ボビー・キーズとゆっくり話すのはその時が初めてだったけど、意気投合(ふたりともお酒大好き)。


そのインタビューからの抜粋。
*73年以来の2度目の来日。
*ジョン・レノンがロンドンのエスコートに住んでいる頃、時々彼から電話がかかってきて、クッキー(ウフフ)持って遊びに来いって言うんだ。クッキー持って行くと、サックスは…、もう一度戻ってサックス持参。よく一緒にセッションした。
*ファースト・アルバム、LPで持ってないんだ。テープしかない(譲って欲しいと言われたが丁重にお断りさせていただいた)。
*ストーンズのツアーが終わったらセカンド・アルバムに取り組む。ジャマイカのミュージシャンと一緒に演奏したい(残念ながら実現しなかった)。


▲日本盤LPにサインしてもらった

以来、国内はもちろん海外でもニューオーリンズ、ロンドン、シカゴほかいろんなところでカンパーイ。もちろん彼の50年代からの貴重なロックンロール体験を機会あるごとに教えてもらった。いつだったか深夜、都内を車で移動中模型屋さんの前を通りかかるとSTOP!、彼は大の模型フリークだったのだ。


▲プログラム「VOODOO LOUNGE WORLD TOUR 1994/95」から


▲プログラム「LICKS WORLD TOUR 2002/03」から

そんな彼と最後に会ったのは14年3月4日。14 On Fireツアー、日本最終公演後に宿泊先HTLのバーで飲んだ。だいぶ酩酊していて込み入った話しはしなかったけど、とっても楽しいひと時だった。

1950年代ロックンロール誕生期から活動、60年代にはプロとして頭角を現し、同年代後半にキースと再会。その後70年代からはストーンズのレコーディングやライヴでも活躍。ロックンロールをダイレクトに感じさせるボビーのサックスはまさに“本物”。グルーヴ感あふれるその世界にはR&R魂がしっかりと構築されているのだ。スチューに代わり6人目のストーンズとキースに称賛されたボビー・キーズの素晴らしき映像作品『“6人目のストーンズ”と呼ばれた男 ~ ボビー・キーズ・ストーリー』(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス/YMBA-10683)。じっくりとご覧あれ。


ロックンロールの歴史も教えてくれるBK物語なのだ。キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ、ロ二ー・ウッド、ミック・テイラー、ジム・プライス、イアン・マクレガン、ジム・ケルトナー、ドクター・ジョン、ビリー・ギボンズ、バナード・ファーラー、リサ・フィッシャー、ダリル・ジョーンズ…、多くの証言者がボビー伝説を語る。BROWN SUGARRRRR!!!

そしてボビー・キーズのことをより知りたい方は書籍『EVER NIGHT’S A SATURDAY NIGHT/THE ROCK’N’ROLL LIFE OF LEGENDARY SAX MAN/BOBBY KEYS』をじっくりお読みあれ。序文はキースが寄稿している(直筆ヴァージョン)。最近はペーパーバック版も発売されたらしい。


▲書籍 フロント・カバー


▲書籍 バック・カバー

写真提供
*ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
*ワーナーミュージック・ジャパン
and Mike’s Collection & Library

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