【ライブレポート】the GazettE、特別な記憶を焼き付けた<BURST INTO A BLAZE 3>

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2017年8月19日。15周年を迎えたthe GazettEが、9年ぶりの大型野外ライヴ<the GazettE LIVE IN SUMMER 17「BURST INTO A BLAZE 3」>を開催した。

◆<the GazettE LIVE IN SUMMER 17「BURST INTO A BLAZE 3」>ライヴ写真

2006年の夏に東京ビッグサイトで行なわれた<GAZEROCK FESTIVAL IN SUMMER 06 [BURST INTO A BLAZE]>、そして、2008年の夏に富士急ハイランド・コニファーフォレストで行われた<GAZEROCK FESTIVAL IN SUMMER 08[BURST INTO A BLAZE]>に続き3回目となる今回、彼らが遊び場として選んだ場所は、富士急ハイランド・コニファーフォレストだった。当日は、メンバーがプロデュースしたフードの販売をはじめ、今年3月10日に国立代々木競技場第一体育館で行なわれた<the GazettE 十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」>のライヴ映像などもヴィジョントラックでオンエアされるなど、野外ライヴならではの催しもあり、集まったファンたちは夏と、彼らがくれた“特別”を大いに楽しんでいた様子だった。

また、この日のセットリストは、4月末から6月中旬にかけて、この公演で聴きたい楽曲のリクエストを募った結果から組み上げられたものとあり、ファンたちにとっては、一緒にライヴを作り上げていると実感させられるセットリストであり、聴きたい楽曲が聴ける満足度の極めて高いライヴとなっていたのである。

メインステージにはスピーカーがいくつも重ねられたような造形のオブジェがそびえ立ち、中央からは客席に長く伸びた花道が設置されていた。野外ならではのダイナミックさは、彼らの遊び心を伺わせるものだった。

ステージに登場した5人は、ドラム台の前に集まり円陣を組むと、1曲目に「Nausea & Shudder」を届けた。オーディエンスは、待ちわびた始まりとその音に大きな歓声と拳を上げて応えた。ドラマティックに幕を開ける常のライヴとは異なり、助走を付けることなく1曲目から全力で疾走していった始まりであったことと、そこから「INSIDE BEAST」「Filth in the beauty」と繋げられていった流れと、全体的に “躍れる曲”が多かったと感じたこの日のセットリストに、“この日ならでは”の“特別”を感じた。リクエストを元に構成されたセットリストであると聞いていたことから、旧曲が多くなるであろうと予測していたのだが、3月に<暴動区 愚鈍の桜>があったこともあり、この日はファンにとって純粋に“自分たちが今聴きたいthe GazettEのベストナンバー”が集結していたように思った。


RUKIもそんなセットリストを受け、早くも「INSIDE BEAST」から、ハンドクラップを先導する戒の叩き出すリズムに盛り上がるフロアの中央へと伸びる花道へと出向き、オーディエンスを煽っていったのだった。「Filth in the beauty」も、いつものライヴでは、艶っぽいベールを纏ったかのような始まりでもあることから、激しいながらも“魅せる曲”という印象が強いのだが、この日は、いつも以上の激しさを放っていたと感じた。これも野外だからこそ宿る勢いであったに違いない。

「オマエ等久しぶりだな! めちゃくちゃ会いたかったぜ! おい、オマエ等、今日さぁ、雨降ると思った奴」(RUKI)

RUKIの問いかけにほぼ全員が挙手。その光景に笑みを浮かべながらRUKIはMCを続けた。

「だよな。実際さ、昨日のリハはめっちゃ雨降ってたから。“あ〜、明日終わったな”って思ったからね。でも、オマエ等の願いとオレ等の願いがまさにこの天気を呼んだよね!」(RUKI)

そんなRUKIの言葉にフロアからは大きな拍手が起こった。通常快晴の場合、この場所ではステージ正面、つまり客席の後ろに大きく富士山を臨むことが出来るのだが、残念ながら雨は降らずとも、この日の空は厚い雲に覆われていたため、いわゆる“最高の夏フェス日和”とはいかなかった。しかしRUKIも直後のMCで「もう少し曇っててもいいくらい」と言っていたように、オドロオドロしい雲に覆われた空も、少し肌寒く感じる風が時おり頬を撫でていたのも、the GazettEのライヴにはとても似合っていた。



MC明けに届けられた「ATTITUDE」では、イントロから竿隊である麗、葵、REITAが激しいフレーズとヘッドバンギングでオーディエンスを煽ったのに対し、オーディエンスも大きく振りかぶったヘッドバンギングで応えた。

「一つになろうぜ! 頭、頭、頭!」(RUKI)

RUKIの挑発にオーディエンスはさらに熱を上げていく。メンバー全員が声を重ねて叫んだコーラスが印象的だった「VORTEX」では、ラストにRUKIが中指を立てて悩ましく舐めた行為がオーディエンスをさらに欲情させた。また、葵の艶やかでクリーンなギターフレーズに、戒のリズミックなドラムフレーズが絡み付いていった「GENTLE LIE」への流れは実に美しく、灰色の空に反射した紫色の照明が、刹那的なメロディを聴き手の記憶により深く刻み込んでいった。「REGRET」「FADELESS」と繋げられていった歌モノゾーンは、匂いが記憶を誘発する現象があるように、後にこの日を振り返った時、5人とオーディエンスの記憶の中に、ハッキリとこの景色が蘇るに違いないと感じた時間となった。

畳み掛けられるドラムにオーディエンスはクラップを重ね、REITAが中央のお立ち台に立って力強く弦を弾くと、麗は上手へ、葵は下手へと走り客席を煽っていった。届けられたのは、人気の高い曲「赤いワンピース」だ。「やっちゃって!」というRUKIの叫びにオーディエンスは揃いの振りで楽曲を盛り上げていった。



RUKIの「躍ろうか!」という言葉から始まったのは「Psychedelic Heroine」。曲の中盤で腰を振るパフォーマンスを魅せるRUKIに会場からは大きな歓声が上がった。いなたいメロを持つこの曲も、the GazettEという強い毒を持つ1曲だ。そこから間髪入れずに届けられた麗のライトハンドが曲の肝となるハイスピードナンバー「SLUDGY CULT」では、REITAのベースが低音をしっかりと支え、うねるようなベースラインでサウンドにグルーヴ感を与えていたのだった。とにかく、休ませる隙を与えようとしない5人に、オーディエンスは必死で食らいついていった。“これでもか!”と言わんばかりに振り回す5人の挑発に、振り落とされることなく挑んでいくオーディエンスのタフさは、彼らの音とライヴに鍛え上げられた、紛れもないthe GazettEのファンたる証でもあるのだろう。

「今日はオマエ等の声を聴きに来たと言っても過言ではないんですよ。だから、オマエ等のイカレタ声をくれよ! いいかい!?」(RUKI)

本編ラストブロック前に叫ばれたRUKIの言葉にオーディエンスは高く拳を掲げながら声を返した。「VERMIN」「UGLY」「HEADACHE MAN」といったテッパン曲を受け、狂喜乱舞した客席は、境界線を崩壊させた。本編ラストに置かれていた「関東土下座組合」はまさしく地獄絵図である。進化と成長を続けながらも、共に歩んできた歴史を確かめ合え、一つになれる過去曲を持っている彼らとオーディエンスとの強い絆を感じさせた彼ららしい締めくくりは、そこに最高の景色を残してくれたのだった。

ちょうどこの頃、都内では、雹が降る大荒れの天候になってしまったため、予定されていた多摩川の花火大会が急遽中止になったという情報がスタッフ間で流れていたのだが、この日、この場に雨が堕ちることは無かった。

そして。彼らは、オーディエンスの鳴り止まぬコールに応え、再びステージに姿を現した5人は、「LAST HEAVEN」や「ガンジスに紅い薔薇」、お馴染みの「LINDA ~candydive Pinky heaven~」などを届け、さらに、ダブルアンコールとして「TOMORROW NEVER DIES」を届けたのだった。「TOMORROW NEVER DIES」では、メインステージと上手後方にかなりの数の打ち上げ花火が上げられ、ライヴに花を添えた。

オーディエンスのために用意した最高のおもてなしを、最高のライヴと共に届けられた彼らは、土砂降りの雨の中でのライヴとなった前回の<GAZEROCK FESTIVAL IN SUMMER 08[BURST INTO A BLAZE]>を、しっかりとリベンジした形となった。目と心へ確実に焼き付けたであろうこの日のライヴと、漂う火薬の匂いは、メンバー5人にとっても、集まったオーディエンスにとっても、決して忘れえぬ夏の思い出となったことだろう。

終演後、ヴィジョンにて来春に『DOGMA』以来9枚目となるニューアルバムのリリースが決定したことと、今秋『アビス』と『LUCY』という2タイトルの異なる企画ライヴ<HALLOWEEN NIGHT 17 SPOOKY BOX2 THE DARK HORROR SHOW アビス/LUCY>を東阪全4公演にて行なうことを発表した彼ら。まだまだ続く15周年イヤーの後半戦にも、新たに幕を開けることになるthe GazettEの歴史にも、大いに期待出来そうである。

取材・文◎武市尚子


セットリスト<the GazettE LIVE IN SUMMER 17「BURST INTO A BLAZE 3」>

SE
M1. Nausea&Shudder
M2. INSIDE BEAST
M3. Filth in the beauty
M4. ATTITUDE
M5. GABRIEL ON THE GALLOWS
M6. VORTEX
M7. GENTLE LIE
M8. REGRET
M9. FADELESS
M10. 赤いワンピース
M11. Psychedelic Heroine
M12. SLUDGY CULT
M13. IN THE MIDDLE OF CHAOS
M14. VERMIN
M15. UGLY
M16. HEADACHE MAN
M17. 関東土下座組合

EN1. LAST HEAVEN
EN2. ガンジスに紅い薔薇
EN3. BLEMISH
EN4. Ruder
EN5. LINDA ~candydive Pinky heaven~

W-EN. TOMORROW NEVER DIES


<HALLOWEEN NIGHT 17 SPOOKY BOX2 THE DARK HORROR SHOW アビス/LUCY>

■2017年10月25日(水) なんばHatch -アビス-
[OPEN / START] 17:30 / 18:30
[INFORMATION] キョードーインフォメーション TEL:0570-200-888

■2017年10月26日(木) なんばHatch -LUCY-
[OPEN / START] 17:30 / 18:30
[INFORMATION] キョードーインフォメーション TEL:0570-200-888

■2017年10月30日(月) 豊洲PIT -アビス-
[OPEN / START] 17:30 / 18:30
[INFORMATION] DISK GARAGE TEL:050-5533-0888

■2017年10月31日(火) 豊洲PIT -LUCY-
[OPEN / START] 17:30 / 18:30
[INFORMATION] DISK GARAGE TEL:050-5533-0888

[TICKET] 全公演 前売¥6,800 (tax-in)
※3歳以上有料、ドリンク代別、サービス手数料¥600/枚別  

《HERESY最速先行受付》
お申込み期間:8月19日(土)22:00~9月4日(月)18:00
抽選結果確認期間:9月9日(土)13:00~9月14日(木)18:00
入金期間:9月9日(土)13:00~9月15日(金)21:00
http://fc-heresy.com/

《チケット一般発売》
2017年10月7日(土)~

[SPECIAL SITE]
http://the-gazette.com/spooky-box2/


■ニューアルバム『タイトル未定』
2018年春 リリース予定

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