【速レポ】<京都大作戦2017>、竹原ピストル「ここ数年でいちばん、機嫌がいいんですよね」
サウンドチェックから、ビートたけしの「浅草キッド」を情感たっぷりに歌い、かと思えば「じゃあ、今の心境を」と「マスター、ポーグスかけてくれ」を、これは本番か?という力で歌いきった、竹原ピストル。
◆竹原ピストル 画像
バンドばかりの出演者のなかで、アコースティックギターを相棒にひとりステージに立つ姿は、時に侍のように凛として勇ましく、時にすぐ隣で腹を割って話をしているかのように親密で、あけすけに弱い部分も見せてくれる。この30分ほどのステージでも、そんな魅力ある“人間”竹原ピストルを存分に感じさせた。
本番がスタートし、アコギを持って小走りでステージ中央へとやってきた、竹原。そして、何も言わずにギターをかきむしりながら、「ドサ回り数え歌」を歌い出す。気持ちよくそよぐ風に溶けるようなヴォーカルで、観客はじっとその歌を噛み締めながら、彼のブレスに合わせて歓声をあげる。一期一会のライブ、諸行無常なライブを重ねて、ここまでやってきたことが伝わってくる、イントロダクションとしてもしみじみといい歌だ。かと思うと、パーカッシヴにギターを奏で、足で大きくリズムをとりながら、あたたかな言霊がこもった「LIVE IN 和歌山」でぶっ飛ばし、さらにギターのボディでビートをとりながら「RAIN」を歌う。ハスキーだが力強いヴォーカルが、その姿を大きく見せる。
「景気いいやついきます。ライブの楽しみはお客さんそれぞれだと思いますが、この曲に関しては、手拍子に統一してもらっていいですか」。「みんな~、やってるか!」では、グルーヴィに奏でられるギターにアッパーな手拍子が重なって、会場の熱気がグンと跳ね上がった。
「今日も黄色い声援がゼロの、5曲目です……もう諦めたんだそれは」なんて自虐気味に言って、笑いと歓声を巻き起こしながら、後半はその歌のエピソードを聞かせ、語りかけるような距離で歌を伝える。学生時代を過ごし、歌をはじめた北海道での、数々の恩人を思い浮かべながら書いたという「ママさんそう言った ~Hokkaido days~」、CM曲としてもお馴染みとなった「よー、そこの若いの」では、「一か八かの賭けで、サビの前にカウントを入れてみたら、まんまと歌ってくれましたね」とお茶目に笑い、「ちぇっく!」では息継ぎなしでまくし立てる切迫した歌が、サウンドのスピードを加速させる。野外の会場が、ライブハウスに凝縮されたような空気の濃さに痺れ、観客が一体化していく。
「わりと淡々とライブを進めているように見えるかもしれないですけど、今日、京都駅でスタッフと待ち合わせをしていたら、通りがかりの5、6人に“ピストルさんですよね”“握手してください”“サインしてください”とちやほやされて、正直ここ数年でいちばん、機嫌がいいんですよね。最高ですね」。こんなMCのあとに、鬼気迫るヴォーカルと饒舌なハーモニカで「Amazing Grace」を歌い上げる。強烈に心を掴んで揺さぶる歌に、会場はグッと息を飲んだ。客席を見て、「お兄ちゃんそんないかつい声で泣くな。元気でやれよ」とあたたかい言葉を投げかける、竹原ピストル。さりげないその言葉にも、もう一度心を揺さぶられた。
感動の余韻のなかで、静かに熱く「Forever Young」を歌い上げた竹原は、このステージに出させてくれた10-FEETへと感謝の気持ちを伝え、ラストに「狼煙」のポエトリーリーディングで、言葉を確実に深く刻み込んでいった。
「アンダーグラウンドから狼煙が上がるぞ アンダーグラウンドからのし上がるぞ チェックしろ 竹原ピストルでした」。地面から湧き上がるような拍手と歓声が、源氏ノ舞台を包む。圧巻のステージだった。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎HayachiN/みやざきまゆみ
【竹原ピストル セットリスト】
2.LIVE IN 和歌山
3.RAIN
4.みんな~、やってるか!
5.ママさんそういった ~Hokkaido days~
6.よー、そこの若いの
7.ちぇっく!
8.Amazing Grace
9.Forever Young
10.狼煙
■<京都大作戦2017 ~心の10電!10執念!10横無尽にはしゃぎな祭!~>
2017年7月8日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
2017年7月9日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
▼開場
7月7日 開場:11:30 / 7月8日, 9日 開場:9:30
▼開演
7月7日 開演:13:00 / 7月8日, 9日 開演:11:00
【出演アーティスト ※50音順】
▼7月7日(金)
【源氏ノ舞台】サンボマスター、SiM、竹原ピストル、10-FEET、Nothing's Carved In Stone、My Hair is Bad
【牛若ノ舞台】打首獄門同好会、Creepy Nuts、四星球、ヤバイTシャツ屋さん、夜の本気ダンス
▼7月8日(土)
【源氏ノ舞台】Ken Yokoyama、The BONEZ、湘南乃風、10-FEET、東京スカパラダイスオーケストラ、Dragon Ash、FIRE BALL with HOME GROWN、RADWIMPS
【牛若ノ舞台】藍坊主、Age Factory、GOOD4NOTHING、Crystal Lake、NAMBA69、NUBO、yonige
▼7月9日(日)
【源氏ノ舞台】氣志團、SUPER BEAVER、dustbox、10-FEET、マキシマム ザ ホルモン、MAN WITH A MISSION、ROTTENGRAFFTY、WANIMA
【牛若ノ舞台】ENTH、OVER ARM THROW、ガガガSP、SIX LOUNGE、SHANK、G-FREAK FACTORY、Dizzy Sunfist
【鞍馬ノ間】
7月7日(金):大阪籠球会、京都ハンナリーズとのバスケットボール体験やエキシビションマッチ
7月8日(土)、9日(日):下記8チームによるバスケットボールのトーナメント戦「京都大作戦杯2017」を開催
AKT LOCA、UNDER DOG、OSAKA YOUNG GUNS、大阪籠球会、SOMECITY OSAKA選抜、TEAM-S、東京籠球会、HIGH WEST BALLERS
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