【連載】Vol.018「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」
平成29年度MBS最優秀外国音楽映画賞『約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー~』!!ポールも推薦!?
もうたまらなく素晴らしい、ソウルフルでファンキーな、鑑賞中に“ライド・オン”“ハヴ・マーシー”と何度も何度もシャウトしてしまう音楽映画『約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー~』が公開された。
1960年代中期から後半、そして70年代にかけて、ローリング・ストーンズのファン・クラブの会長をしながらも、メンフィスから届けられてくるソウル・ミュージックをストーンズ以上に聴きまくっていた。新宿the other、立川や福生の米軍クラブ、そして赤坂MUGENではよく踊った、ソウル・シスターとチークも…。LPやシングルも日本盤だけでは飽き足らず、池袋ヤマハにオーダーして半年近く待っていたり、仲良しだったハウス・ロッカーズのギルに頼んで米軍基地内PXでNO TAX裏ルートでLARKやジョニ黒と一緒にお願いしたり(とんでもない高校生だった)。メンフィス・ソウルのあのグルーヴに魅せられ、70近くなってもやはりオーティス・レディングは毎日のようにターン・テーブルに置いてしまうのだ。
▲LP『OTIS REDDING/Pain In My Heart』 from Mike’s Collection
そんなメンフィス・ソウル、メンフィス・サウンドの魅力を教えてくれたのはストーンズだった。ルーファス・トーマスの「ウォーキング・ザ・ドッグ」、オーティス・レディングの「ペイン・イン・マイ・ハート」、「恋をしすぎた」、O.V.ライトのオリジナルでオーティスでも知られる「ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラヴ・イズ」。ストーンズがカバーしたR&B/ブルース作品のオリジナルを探求することに燃えていて、そこからアメリカ南部のサウンドのディープな雰囲気にのみ込まれてしまった。そして、メンフィスの街の素晴らしさはザ・キング、エルヴィス・プレスリーが教えてくれたのだった。
一昨年夏、21年ぶりにエルヴィス墓参にメンフィスを訪れた。8月のエルヴィス・ウィーク中で世界各国、全米各地から多くのエルヴィス・フリークがグレースランドに集結。もちろん日本からも60年代初頭からエルヴィスを追いかけている女性軍を中心に100人以上と思われる熱心なファンがメンフィスに向かった。
▲サン・スタジオ
ミシシッピ州テュペロも含めもう一度エルヴィス縁の地を回ったが、僕としてはメンフィスでもう数か所、表敬訪問したいところがあった。それがスタックス・ミュージアムとロイヤル・スタジオだ。STAX、60年代メンフィス・ソウルのヒット作の数々を生み出したスタジオは現在博物館として一般公開されている。
▲スタックス
▲ロイヤル・スタジオ
一方Royals、ここもメンフィス・ソウルの聖地だ。アメリカR&B史上忘れることのできない伝説のプロデューサー、ウィリー・ミッチェルのスタジオである。アル・グリーンはじめハイ・レコードのアーティストの多くのヒット・チューン、名作アルバムがここから誕生していった。ロイヤル・スタジオは現在もスタジオとして機能、ウィリー亡き後はプロデューサーとして敏腕ぶりを発揮している息子のローレンス“ブー”ミッチェルが運営している。キース・リチャーズも大のお気に入りで、何度か使っていて、映画にも登場する同スタジオ・モニュメントの最後には“Keith Richards”と記されている。
▲ウィリー・ミッチェル
▲モニュメント:ロイヤル・スタジオ
そのロイヤル・スタジオで2015年8月ブーから素晴らしい映画が完成した。ぜひとも日本で公開して欲しい、自信作だと紹介されたのが『約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー~』だ。
▲向かって左側前がローレンス“ブー”ミッチェル
つのだ☆ひろさん、永井“ホトケ”隆さん、甲本ヒロトさんら多くのミュージシャンの皆さんから大絶賛。音楽評論家の湯川れい子さんからも“感動!”というメッセージをいただいた。先日のポール・マッカートニー来日時、バックステージで本作プロモDVDが湯川さんからポールへ手渡された。今頃ポールも♪Take Me To The River♪楽しんでいることだろう。B4&ウィングス・ファンならお分かりですよね、ポールはメンフィス・ソウルが大好きなのだ。
マーティン・ショア監督、そしてプロデュースはマーティン・ショア、コーディ・ディキンソン、ローレンス“ブー”ミッチェル。音楽の都テネシー州メンフィスから誕生し世界中のファンから愛され続けている伝統のサウンド、グルーヴを本作ではしっかりと伝授してくれる。
▲メンフィスの音楽街 ビール・ストリート
マーティン・ショアは、キース・リチャーズと懇意にしていた故ジム・ディキンソンのスタジオに友人であるジムのふたりの息子のうちの一人のコーディ(兄のルーサーとノース・ミシシッピ・オールスターズで活動)と一緒にいるときこう閃いた。メンフィス音楽を生み出していった伝説のアーティストに集まってもらい、その素晴らしさをもう一度世界に発信しよう。でもノスタルジーに浸るだけでなく、足跡をドキュメントするだけでなく、大ベテランたちをリスペクトしその歴史を受け継ぎながらも斬新なムーブメントの中で活動している“若いミュージシャン”と“伝統”との“競演”をひとつの“世界”に作り上げよう。それが映画として完成したのだ。
その競演は9つのセッションで展開される。
【Session 1】
ブッカー・T.ジョーンズ with ノース・ミシシッピ・オールスターズ feat アル・カポネ
▲ブッカー・T.ジョーンズ
▲ルーサー・ディキンソン(ノース・ミシシッピ・オールスターズ)
▲コディ・ディキンソン(ノース・ミシシッピ・オールスターズ)
ブッカーは1962年に「Green Onions」を大ヒットさせたブッカー・T.&ザ・MG’sのリーダーを務めた伝説のオルガン奏者。44年メンフィス生まれ。スティーヴ・クロッパーたちとザ・MG’s結成。スタックスのハウス・バンドとしてフル稼働しながら多くのヒット・チューンも放つ。70年代はスワンプ・ロック作品も発表。ソロとして様々な活動の中で若いアーティストと積極的に交流。
ノース・ミシシッピ・オールスターズは伝説のプロデューサー&アーティストのジム・ディキンソン(1941-2009)の息子、ルーサー&コーディによって66年に結成されたブルースを得意とするグループ。5月にリリースされたばかりの8枚目のアルバム『プレーヤー・フォー・ピース』数曲はローレンス“ブー”ミッチェルがプロデュース、レコーディングもロイヤル・スタジオで行われた。
アル・カポネはメンフィス生まれのラッパー、本名アルフォンソ・ベイリー。90年代から同地のヒップホップ・シーンで活躍。テレンス・ハワード主演の05年の映画『ハッスル&フロウ」(メンフィスが舞台の作品でアイザック・ヘイズも出演していた)では彼の作品が使用されソングライターとしてもその才能を認められた。多くのミュージシャンともコラボ。自らのアルバムも10数枚発表、メンフィスをこよなく愛するアーティストとしてよく知られている。
▲アル・カポネ
【Session 2】
オーティス・クレイ feat リル・ピーナッツ
▲オーティス・クレイ
▲リル・ピーナッツ
オーティス・クレイは1942年ミシシッピ生まれ。50年代後半シカゴに移る。65年にゴスペルからR&B歌手に転向。リック・ホール、ウィリー・ミッチェルというR&B史にその名を残すプロデューサーとの出会いの中で名作を生んでいく。この作品でも披露されるウィリーのハイ・レコードから72年に発表した「愛なき世界で」はR&BチャートBest30内に入るヒットとなり、わが国でもソウル・ミュージック・フリークから注目を集めた。78年の来日公演ライヴ・レコーディング・アルバムは日本だけでなく海外でも高い評価を得た。その後何度か来日、99年のジャパン・ツアーではギターを菊田俊介が務めた。2016年には来日公演が予定されていたがその矢先の1月73歳で逝去。
リル・ピーナッツは2002年メンフィス生まれのラッパー&俳優。本名はベンジャミン・フローレス・ジュニア。10年に音楽シーンに登場、7歳ラッパーのパフォーマンスぶりは全米で大きく報じられた。俳優としても活躍、11年以降TVドラマや映画に出演して脚光を浴びている。14年にはTV『The Haunted Hathaways』でImagen Awards/ファイヴァリット・ヤング・TVアクター賞を受賞。
▲オーティス・クレイ&リル・ピーナッツ
【Session 3】
ボビー・ラッシュ feat フレイザー・ボーズ
1933年生まれの伝説の現役アーティスト,ボビー・ラッシュ。R&Bチャート・イン・ナンバーは「Chicken Heads」「I Wanna Do The Do」と少ないが60年以上にもわたる活動はわが国でもよく知られている。チトリン・サーキットのキング、ブルース・ハープの名手としても名高い。来日公演も素晴らしかった。早くからギターとハーモニカをはじめ第二次世界大戦後、エルモア・ジェームスのバックを務める。50年代にシカゴに移りマディ・ウォーターズ、ジミー・リード、エタ・ジェームスらとの交流の中で活動の幅を広げ、60年代からはチェッカー、ギャラクシー、フィラデルフィア・インターナショナル、ジュエルほか多くのレーベルからレコード・リリースしている。ここ30年あまり、ますます精力的な活動を続けアメリカ南部だけでなく多くの国々でも公演を行っている。最新作は『Porcupine Meat』も力作。そのアルバムは今年のグラミー賞ベスト・トラディショナル・ブルース・アルバムを獲得した。
フレイザー・ボーイは76年メンフィス生まれ、本名はセドリック・コールマン。ここ20年近く、アルバム・リリース、プロジェクトへのジョインなどラッパーとして精力的に活動。映画、テレンス・ハワード主演『ハッスル&フロウ」のテーマ、スリー・シックス・マフィアの「イッツ・ハード・アウト・ヒア・フォア・ア・ピンプ」は大きな話題を呼び、第78回アカデミー賞“Best Original Song”を受賞。このナンバーはスリー・シックス・マフィアのDJポール、ジューシーJ、それにフレイザー・ボーイの共作。
【Session 4】
チャーリー・マッセルホワイト with ザ・シティ・チャンプス
▲チャーリー・マッセルホワイト
チャーリー・マッセルホワイトは1944年生まれ、現在も精力的に活動する白人ミュージシャン。10代の頃からメンフィス・ブルース・シーンでハーピストとして活動。60年代前半にシカゴに活動場所を移す。多くのブルースマンと共演しながら60年代後半には自らのアルバムを発表。ウエスト・コーストでも注目される。70年代からはメジャー・レーベル、ブルース・レーベルなどで秀作を発表。93年に初来日、その素晴らしいステージは多くのファンを魅了した。
ザ・シティ・チャンプスはメンフィスのソウル/ジャズを得意とするトリオ。ニューヨークでジャズ・ギターを学んだジョー・レスティヴォー(ギター)。マッスル・ショールズ出のアル・ギャンブル(オルガン)はルーファス・トーマス、ウィリアム・ベル、シル・ジョンソンほか多くのアーティストのライヴやレコーディングを務めた。メンフィス生まれのジョージ・スラップ(ドラムス)はこれまたアルバート・キングほか多くのアーティストをサポートしている。
▲右がザ・シティ・チャンプスのジョー・レスティヴォー。左はフェイム・スタジオ、マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオで活躍した敏腕ベース奏者のデヴィッド・フッド。パーシー・スレッジ、エタ・ジェームスほか多くのアーティストの作品にクレジットされている。
【Session 5】
ヒューバート・サムリン feat エリック・ゲイルズ&イアン・シーゲル
▲右からヒューバート・サムリン、エリック・ゲイルズ、イアン・シーゲル。
1931年ミシシッピ生まれのヒューバート・サムリンは、50年代初頭にメンフィスのサン・レコードでレコーディング。54年にアーカンソー州ウエスト・メンフィスでハウリン・ウルフと出会い御大のギタリストとしてシカゴに移る。ほんの数年を除き、以後ハウリンが亡くなる76年まで右腕として活動。その後自らの作品も発表。ビリー・ブランチ、パイントップ・パーキンスとの共演も味わえる秀作ほかアルバムを発表。中でもキース・リチャーズが「I Love The Life I Live」「This Is The End, Little Girl」「Still A Fool」の3曲でジョインしている2005年のアルバム『About Them Shoes』 はロック・ファンからも注目された。ミック・ジャガーとキースお気に入りのブルースマン。
エリック・ゲイルズもミック&キースがもう20年以上前だけど注目していた。74年メンフィス生まれ。ふたりの兄の影響で4歳からギターをはじめ、ジミ・ヘンドリックスのリフをすぐに覚え、小学校に入る頃にはジェフ・ベック楽曲を得意になって弾いていた。11歳で本格的な音楽活動に入り。15歳でメジャーと契約、16歳天才ギタリストとしてセンセーショナル・デビューを飾っている。96年には兄たちとハウス・オブ・ザ・ブルース・レーベルからアルバム『Left Hand Brand/The Gales Bros. Memphis』を発表(ライナーノーツを担当してそのギターの凄さにぶっ飛んだ、3人ともサウスポー)。2000年代に入ってからも次々に秀作アルバムを発表。最新作は今年リリースの『Middle Of The Road』。
イアン・シーガルは71年生まれのイギリスのブルース・ギタリスト。05年にアルバムを発表し本格的な活動に入る。11年にはコーディ・ディキンソンのプロデュース&参加でアルバム『The Skinny』を発表。アメリカで注目を集めブルース・ファウンデーションのブルース・ミュージック・アワード2012“ベスト・コンテンポラリー・ブルース・アルバム”にノミネートされた。その後もより精力的にレコーディング、ツアーを重ねている。16年にはジンボ・メイサスとの力作『Wayward Sons』を発表。シュガー・ブルー、フィル・ガイ、エディ・カークランドらと共演。
【Session 6】
テレンス・ハワード with ハイ・リズム・セクション
▲テレンス・ハワード
テレンス・ハワードは1969年生まれの映画俳優。95年から『陽のあたる教室』『ザ・コーチ/勝利のダンク』『モハメド・アリ KING OF THE WORLD』『サボタージュ』ほか多くの作品に出演。レイ・チャールズを描いた『Ray/レイ』ではベース奏者を演じ音楽に精通しているところを発揮。彼は本作でもその腕前を披露しているギター、そしてピアノが得意だ。メンフィスが舞台の『ハッスル&フロウ』では怪しい仕事をしていたDジェイがラッパーを目指すというストーリーでその好演ぶりが高く評価されオスカー主演男優賞にノミネートされた。TVシリーズ『エンパイア 成功の代償』でも注目を集める。本作プロデューサーのローレンス“ブー”ミッチェルもテレンスのミュージシャンぶりを絶賛している。
ハイ・リズム・セクションはその名の通り多くのハイ・レコード・アーティストのバッキングを担当したメンフィス・ソウルのリズム隊。アル・グリーンとは特に親交の深かったメイボン“ティーニー”(ギター)、ティーニーの兄リロイ(ベース)、同弟チャールズ(オルガン)のホッジス兄弟を中心としたハイ、ロイヤル・スタジオのハウス・バンド。ウィリー・ミッチェルが結成させた。グループにはブッカー・T.&MG’sのアル・ジャクソンも在籍していたこともある。ハイ・リズムとしてアルバムも発表。ティーニーは2014年6月、68歳で逝去。今年4月にBillboard Live TOKYOでのスペンサー・ウィギンス大盛況ライヴでのキーボード&ベースはホッジス兄弟が務め大きな拍手を浴びた。
▲メイボン“ティーニー”ホッジス
▲チャールズ・ホッジス
【Session 7】
ボビー“ブルー”ブランド feat ヨー・ガッティ
▲ボビー“ブルー”ブランド
ボビー“ブルー”ブランドは1930年生まれ、40年代後半から活動していた。57年から70年代初頭までデューク・レコードで「Farther Up The Road」はじめ多くのヒットを放った。その後もマラコ・レコード他で素晴らしい作品を発表。Billboard誌R&Bチャート・イン・ナンバーは60を超す。57年の「Farther Up~」ほか61年の「I Pity The Fool」63年の「That’s The Way Love Is」はR&Bチャート、ナンバー・ワン・ソング。わが国でも多くのファンを魅了したステージを披露、ブランド夫人とご一緒させていただいたBlue Note TOKYOのライヴは特に印象深い。エリック・クラプトンのフェイヴァリット・アーティストでもある。2013年6月、83歳で逝去。
▲ヨー・ガッティ
ヨー・ガッティは81年メンフィス生まれ、本名はマリオ・ミムス。ラッパーとして96年から活動、インディーズ・レーベルから作品集を発表してきた。12年にメジャーからのファースト・アルバム『Live from the Kitchen』(スタジオ・レコーディング)をリリース。Billboardアルバム・チャートのベスト20内にランキングされる。その後の『I Am』『The Art of Hustle』も人気を呼びベスト10入りしている。
【Session 8】
ウィリアム・ベル with スタックス・ミュージック・アカデミー学生 feat スヌープ・ドッグ
▲ウィリアム・ベル(右)&スヌープ・ドッグ
今年で78歳を迎えるウィリアム・ベル、元気に活躍している。1939年メンフィス生まれ。Billboard Live TOKYOでの一昨年の初来日公演は感動的だった。昨年のアルバム『This Is Where I Live』も素晴らしい出来栄え。1950年代から活動。62年にスタックス・レコードから「You Don’t Miss Your Water」のヒットを放つ。その後も多くのチャート・イン・ナンバーを発表。68年には「Tribute To A King」(邦題:オーティスに捧げる歌)がR&BチャートのBest20内にランキング。まさに伝説のソウル・シンガーだ。
ラッパーとして多くのヒット作、ベスト・セラー・アルバムを発表しているスヌープ・ドッグは、俳優としても多くの映画に出演している。71年生まれ。本名はカルヴァン・ブロータス。90年にグループ結成、2年後にソロとして本格的に活動。93年のファースト・アルバム『Doggystyle』がBillboardアルバム・チャート1位を記録。以後、次々にヒット作品を発表しているスーパースター。
▲ウィリアム・ベル(中央)&スタックス・アカデミーの学生。そして右はこの映画撮影直後に65歳という若さで逝去したワウ・ギター名手のチャールズ“スキップ”ピッツ。
▲ウィリアム・ベル
【Session 9】
メイヴィス・ステイプルズ with ノース・ミシシッピ・オールスターズ
▲メイヴィス・ステイプルズ
ローバック"ポップス"ステイプルズは1940年代末に家族とともにゴスペル・グループ、ザ・ステイプル・シンガーズを結成。メンバーの一人が39年生まれの娘メイヴィス。グループは50年代にはレコード・リリースするようになる。60年代後半の公民権運動がビッグ・ウェイヴしていく中で多くのブラザーズ&シスターズに注目される。68年にスタックスと契約、70年代にはいると「Respect Yourself」「I’ll Take You There」「Let's Do It Again」といったベスト・セラーほか多くのナンバーをチャートに送り込みヒット・グループとして人気を呼んだ。わが国でもこの時代、ディスコでもヘヴィー・ローテーション。2000年にポップスが亡くなるまで活動。その後、既に60年代末からソロ・アクティヴィティしていたメイヴィスが本格的にソロとして活動。本作登場のイヴォンヌは70年代からグループに参加した一つ年上の姉。
以上の9つのセッションをフィーチャーしての音楽映画。単なる歴史物語には止まらず、未来への希望を大きくスクリーンに映し出す夢見る大作。じっくりと楽しんで、ダンスして、涙して…。感動作!
●写真はLPを除き映画『約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー~』から 提供:CURIOUSCOPE
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【Live Info】
ネリー“タイガー”トラヴィス & マイク・ウィーラー with 菊田俊介 率いる Blues Company
▲ネリー“タイガー”トラヴィス
▲マイク・ウィーラー
今年15回目を迎える“Japan Blues Festival 2017”。ヘッドライナーはシカゴ・ブルース・シーンばかりでなく世界各国でも精力的なライヴを行っているネリー“タイガー”トラヴィス。ウェルカム・バック!7年ぶりの来日だ。そのソウルフルな歌いっぷりはR&Bファンも注目。ミシシッピの出身。
そのタイガーに楽曲提供もしているマイク・ウィーラー。シンガー/ギタリストとしてシカゴではその名を知られている実力派ブルースマン。初来日なのだ。
この二人のバッキングを務めるのが日本最高のブルース・ギタリスト、菊田俊介が率いるBlues Company。彼ら自身のスペシャルなステージももちろんプログラミングされている。2年前に青森のこのブルース・フェスのために特別編成された4人組。15年夏オンリー予定が、意気投合120%。その後も機会があるたびに僕らに強烈なインパクトを与えてくれるライヴを披露している。ギター&ヴォーカルはShun Kikuta。ドラムスはマーティ・ブレイシー。シカゴ出身で、ジャッキー・ウィルソン、ザ・シャイライツ、タイロン・デイヴィスら伝説のソウル・アーティストのドラマーを務めた。70年代から日本で活動。80年にもんた&ブラザーズの一員となり、その名を多くのファンに知られるようになる。ドライヴするエキサイティングなドラミングには定評がある。そしてキーボードも凄い、Rie“Lee”Kanehira。福岡で活動している頃に菊田と知り合い、08年以降、シカゴを何度も訪れ多くのミュージシャンと共演。13年から関東を中心に活躍。我が国ブルース界の重鎮、元ウエスト・ロード・ブルース・バンドの永井ホトケ隆からも絶大なる信頼を得ている。アルバム『THE UNION EETIN’』はシカゴ・レコーディング。そして、菊田とは同郷(宇都宮)ということもあって以前から交流のある片野篤がベース。ニューヨークでの活動経験もあり、ジャズやゴスペルも得意だ。
そしてもちろんフェスということでヘッドライナー以外にも多くの精鋭たちがライン・アップなのだ。
*2017年7月21日 17:00~21:00
22日 12:00~21:00
青森市 青い海公園特設会場
http://aomori-jbf.com/
そして青森のブルース・フェスのスピンオフ企画“Japan Blues Festival Aomori” in 横浜も今年は実現だ。ゆったりとした雰囲気の中であつぎ豚プレートw/ワインを味わいながらのブルース。ネリー、マイク、Blues Company、酔わせてもらいます。
*2017年7月24日 開場 18:00 開演 19:30
*Motion Blue YOKOHAMA
http://www.motionblue.co.jp/artists/nellie_mike_bluescompany/index.html
◆「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」まとめページ
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【連載】Vol.137「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」
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【連載】Vol.135「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」
【連載】Vol.134「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」
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