【連載】Vol.017「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」
もうすぐ来日ブルース・ブラザーズ・バンド!Make it Funky!!BBBリーダー、伝説のスティーヴ・クロッパーに公演直前インタビュー敢行!!!
▲Photo by Great The Kabukicho
いよいよ6月17日から日本公開される映画『約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー』!1960年代後半から70年代にかけて大きくエクスプロージョンしたソウル・ミュージック/R&B/ディスコティック~ディスコの台頭期をリアル・タイムで味わった僕らの世代は勿論、ヒップホップや現代のR&Bをこよなく愛する若い世代、これから音楽を目指そうとしているビギナーまで、とにかく幅広い音楽ファンに絶対的に観てほしい一作だ。
つい先ごろ素晴らしいライヴを披露したメンフィス・ソウル伝説のオルガン奏者ブッカー・T.ジョーンズも出演している。そして彼が60年代にスタックスのハウス・バンドとし結成したのがブッカー・T.&ザ・MG`s。オーティス・レディングほか60年代のスタックス音源の多くのバックを務め、ライヴでも主役を盛り上げた。そしてご存じのようにMG`sは「グリーン・オニオン」をはじめとして何曲ものチャート・イン・ナンバーも放ちヒット・メーカーとしても脚光を浴びた。そしてMG`sのもう一人メンバー、伝説のギタリスト、スティーヴ・クロッパー。彼はブッカーとともにMG`sを牽引、そしてメンフィス・サウンド発展にも大きく貢献した。スティーヴは白人。『約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー』でも触れられているが、あの時代は黒人&白人が同じグループで活動することは稀だった。だが音楽はあの時代から人種の壁を超えていたのだ。
▲ブッカー・T.&ザ・MG`s 映画『約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー』より 提供:CURIOUSCOPE
ソングライターとしても敏腕ぶりを発揮していたスティーヴは、26歳という若さで飛行機事故のため逝去したキング・オブ・ソウル、オーティス・レディングからも大きな信頼を得ていた。「ミスター・ピティフル」「ファ・ファ・ファ」(サックスを吹いたときの♪ファ♪ ♪ファ♪という音からヒントを得て楽曲が完成したとのこと)「ドック・オブ・ベイ」にはスティーヴの名が作者としてクレジットされている。正直に告白する。60年代後半、僕はストーンズよりもオーティスを何倍も聴きまくっていた…。
▲from Mike's Collection
個人的にも良き友であるスティーヴのステージを味わったのはもう40年も前。その後何度も何度もインタビュー(勿論ジョークなんだけど、今までのをつなぎ合わせて文章作っておいてよ、呑みに行こう!実はとっても真面目な人物だ)。シカゴ・ブルース・フェスティバルでも偶然出会って、スコティ・ムーアを紹介してくれた。以前のインタビューで、オーティス・レディングのファースト・ヒットについてこう語っていた。
「オーティス・レディングはジョニー・ジェンキンズ&パイントッパーズのドライバー兼シンガーだった。62年のある日、ジョニーたちと一緒にスタジオに入っていた時、たいした成果もなくもう切り上げようっていうところでアル・ジャクソンがちょっとだけでいいからオーティスの歌を聴いてやってくれっていうんで、じゃあということで、彼が“ジーズ・アームズ・オブ・マイン”を歌いはじめたんだ。素晴らしかった。僕はジム・スチュアートをつかまえてきてその曲を聴かせた。すぐ演ろうということで、ベースを車に積んで帰るところだったドナルド・ダック・ダンにスタジオに戻るように言ってレコーディング。こうして“ジーズ・アームズ・オブ・マイン”が出来上がったんだ」。
▲Photo by Great The Kabukicho
「ジーズ・アームズ・オブ・マイン」、63年のオーティスのファースト・シングル、バラードの名作だ。いつのインタビューだったか、日本酒を呑みながら、ほんのさわりだったけどスティーヴと一緒に歌わせてもらったことがある(冷や汗)。
▲Photo by Great The Kabukicho
そんな御大スティーヴはこの30数年、ご存じのようにBBB、ブルース・ブラザーズ・バンドのボスとして精力的に活動。世界各国でファンキー&ソウルフルなレビューを披露。エンタテインメントをフィーチャーしながらもまさにリアルなソウル・ミュージックの醍醐味をダイレクトにオーディアンスに伝える。そんなブルース・ブラザーズ・バンドが1年振りに来日公演!ライド・オン!ファンキー・ブロードウェイでダンス・ダンス・ダンスなのだ。
今回は初めて試み、スティーヴ・クロッパーに“来日直前”Eメール・インタビューなのだ。
*質問作成協力:甲本ヒロトさん
▲Photo by Great The Kabukicho
Q:先月ブッカー・T.ジョーンズにインタビューした際こう語っていました。少年時代、新聞配達をしていてそのうちの一軒がクロッパー家だったそうです。憶えていますか。
A:そのことについてはよく憶えていないけど…。スタジオで仕事をする前、僕はサテライト・レコード・ショップで働いていた。そこにブッカーがよく来ていたんだ。彼の好きなレコードをいろいろ聴かせてあげた。すると彼はそれをしっかり頭の中にたたき込み、自宅に戻るとショップで覚えたいろいろな楽曲をピアノやギターで習得していたんだ。
Q:その時代のメンフィスの音楽シーンはどんなでしたか。
A:50年代、60年代前半のメンフィス・ミュージック・シーンは世界で最高だった。僕たちのような、勉強中のミュージシャン達はファイヴ・ロイヤルズ、ハンク・バラード&ザ・ミッドナイターズ、レイ・チャールズ、リトル・リチャード、チャック・ベリー、B.B.キングといった音楽を聴いて育った。今考えても凄いことだったと思う。そこから始まり、僕らは自分の音楽を作っていったんだ。それがメンフィス・ソウル。
▲Photo by Great The Kabukicho
Q:メンフィスの音楽シーンは黒人と白人が分け隔てなく和気あいあいに演奏していたそうですが,その起因はどんなところに。実際、ブッカー・T.&ザ・MG`sはそんな典型的グループだったわけですが。
A:そうだね、人種が入り組んだグループとしてはオリジナルであると思う。そして同じくブルース・ブラザーズ・バンドもそうだった。2000年代になった今となっては普通のことだけどね。僕が今までに在籍したバンドには、肌の色という概念はない。もちろんスタックスにも人種の壁なんて存在しなかった。ファミリーとして一緒に音楽を作り上げていったんだ。
Q:これまで会ったソウルマン、ブルースマンの、ヘンテコなエピソードはありますか?
A:本に書けるようなエピソードはもちろん沢山あるけど、その人たちに許可を取らないとね。
▲Photo by Great The Kabukicho
Q:実はオレ、こんなヘンテコな仕事もやってるんだぜ、えへへへ。とか、ありますか?
A:僕は牧場で育ったんだけど、それはリアルな仕事だったよ。6歳の頃、父親と祖父が梱包乾草している間にトラクターの引率をしたり。8歳でハイウェイをトラックで運転していたよ。牧草運搬作業。仕事がある限りなんでもやった。庭の草刈りをして、それを大きなトラックへ積み込んだり。グローサリー・ストアで働いて、ボーリングのピンをセットして、そしてついにサテライト・レコード・ショップで販売スタッフをやることになったんだ。そこで人生が大きく変わった。
Q:次世代を担う若いギタリストで注目株は?
A:僕が注目していたすべての若手は成長したよ。もちろん他にもたくさんいると思うけど、最近は以前みたいに頻繁に外出しないので…。きっと日本滞在中に新しい若いアーティストを出会う機会があると思う。日本には素晴らしいギタリストがいるからね。
Q:貴方をリスペクトしている次のギタリスト、どんな印象をお持ちですか…。
*キース・リチャーズ
*ジェフ・ベック
*エリック・クラプトン
A幸運なことに僕はジェフ・べックを早い段階でプロデュースした。彼はどんどん成長している。キースとエリックに関しても、彼らの初期の時代の中で同じことがいえる。そして私はどんな時もジミー・ペイジが大好きだ。僕は彼らのような演奏はしないけれど、僕たちは確実に同じギタリストやミュージシャンを聴いて育ったと思う。
最後に一年前にBlue Note TOKYOのバックステージでインタビューした際の亡くなった仲間たちについて
の語りを再現させていただく。
●アル・ジャクソン
アルとはほとんどのレコーディングで一緒だった。ブッカー・T.&ザ・MG`sではその時々でいろんな人間がいろんなパートをやっていた。ブッカーが大学に行っている間はアイザック・ヘイズが参加し、戻ってからは二人で一緒にやったり、交代でやったり。アルとアイザック、ふたりとも素晴らしいミュージシャンだ。
●ドナルド・ダック・ダン
ハイスクール・バンドを一緒にやっていた幼なじみ。マーキーズでも一緒だった。僕が離れてからもマーキーズにいたけど、彼がツアーから戻った時、僕はスタジオで仕事をしていて、自然な流れでまたまた一緒にやることになった。スウィート・ガイ。
●ジョン・ベルーシ
良い友達、スタジオ以外でも彼とはよく出歩いた。スーパースターで、街を歩けばすぐに人が集まってきたけど、彼はファンを避けるようなことはなくて、フレンドリーに対応していた。ダンと同じくすっごいスウィート・ガイ。
●忌野清志郎
今でも彼のことをよく思い出す。特に日本に来るとね。僕は彼の全てを知ってるわけじゃないけど、この4人の中では彼が最も身近に感じている。日本でも何度かセッションをやった。ブルース・ブラザーズで日本に来た時も一緒に過ごし、セッション、テレビ出演、インタビュー。いろんなこと…、よく憶えている。
▲2007年4月2日のBBBライヴ@Blue Note TOKYOにサプライズ登場した忌野清志郎 提供:ベイビィズ
【ブルース・ブラザーズ・バンド Blue Note TOKYO公演】
2017年6月2日、5日、6日
各日 ファースト・ステージ 開場17:30 開演18:30
各日 セカンド・ステージ 開場20:20 開演21:00
6月3日
ファースト・ステージ 開場16:00 開演17:00
セカンド・ステージ 開場19:00 開演20:00
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/blues-brothers-band/
【Live Info】
マイク・スターン/ビル・エヴァンス・バンド
featuring ダリル・ジョーンズ&サイモン・フィリップス
1981年、現東京都庁所在地の西新宿で観たマイルス・デイヴィス。彼のカムバック・バンドでプレイしていたのがgtrマイク・スターン&saxビル・エヴァンス。この二人がトゥゲザー・アゲイン!日本公演が決まった。このところ僕らよりひと世代若いロック・ファンとマイルスの話しをよくする。彼らはマイルスが自由でロックな世界に突入してくれたことによってジャズが好きになったという。僕らがラムゼイ・ルイス・トリオやジミー・スミス、キャノン・ボール・アダレーからジョン・コルトレーンも聴くようになったのと同じなのかな…。閑話休題。マイク・スターン&ビル・エヴァンスということでセトリは勿論マイルス作品!?4月のマイルス Electric Bandのライヴに続いてまた帝王の世界が味わえるのだ。ふたりをサポートするのはbsがマイルスの『デコイ』『ユア・アンダー・アレスト』にジョイン、マイルス Electric Bandでも来日したダリル・ジョーンズ(9月から始まるローリング・ストーンズ欧州ツアーでも大張りきりなのだ)。dsはTOTOや上原ひろみでお馴染みのサイモン・フィリップス。僕らストーンズ・フリークにとってサイモンといえばミック・ジャガーの87年ソロ・アルバム『プリミティヴ・クール』ドラマーなのだ。翌年春のミック初来日、ソロ・ツアー時のドラムスは勿論サイモンだった(ストーンズの初来日はその2年後)。ということでこの凄腕メンバー4人だと話がどんどん広がりそうなのでもうこの辺で…。とにかく凄いステージになるのは十分すぎるくらい期待できる。お盆明けはこのエキサイティングなLIVE、ご堪能あれ!!
*2017年8月18日 NAGOYA Blue Note
ファースト・ステージ 開場17:30 開演18:30
セカンド・ステージ 開場20:30 開演21:15
http://secure.nagoya-bluenote.com/ticket/rsvpub/seatsel.aspx?eventdatefrom=17/08/18&eventdateto=17/08/18
*2017年8月19日 20日 Blue Note TOKYO
ファースト・ステージ 開場16:00 開演17:00
セカンド・ステージ 開場19:00 開演20:00
*2017年8月21日 Blue Note TOKYO
ファースト・ステージ 開場17:30 開演18:30
セカンド・ステージ 開場20:20 開演21:00
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/mike-stern/
*2017年8月22日 23日 COOTON CLUB
ファースト・ステージ 開場17:00 開演18:30
セカンド・ステージ 開場20:00 開演21:00
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/mike-stern/
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