【連載】Vol.015「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」

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4月はまるでメンフィスに遊びに行っているような気分でメンフィス・ソウルを満喫!

6月17日からいよいよ映画『約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥ・ザ・リバー』が公開される。そんなメンフィス・ソウルへの熱き想いが募る中で、4月は素晴らしい伝統のメンフィス・サウンドをしっかり味わった。それもふたりの伝説の人物の素晴らしきステージ。感動である。


▲from Mike's Collection

◆ブッカー・T.ジョーンズ 究極のオルガン・ソウル


▲Photo : Great The Kabukicho

20世紀のアメリカン・スタンダード・インスト楽曲「Green Onions」。ブッカー・T.&ザ・MG'sの1962年の大ヒット・ナンバー。当時、わが国でもシングル・リリースされた。そんなファンキーでタイトでソウルフルな名作は、ブルース・ブラザーズ・バンドはもちろん多くのアーティストにカバーされている。ジョージー・フェイムやベンチャーズ、エイス・キャノンも良い味を出している。彼らは60年代にスタックス・レコードのハウス・バンドとしても活動していたことは周知の事実。そんなグループの創始者ブッカー・T.ジョーンズのステージを4月12日に味わった。


▲今回の来日時にサインしていただいた From Mike's Collection

御大はオルガンのほかギター&ヴォーカルでも卓越した演奏を披露。そんなパフォーマンスをサポートするのは前回来日時同様ベースのメルヴィン・ブラノン、ドラムスはダリアン・グレイ。そして今回からギターは息子のテッド・ジョーンズが新たに加わった。


▲Photo : Great The Kabukicho

オープニングはクリント・イーストウッド主演の映画『奴らを高く吊るせ!』のタイトル・ソング、MG's68~69年の大ヒット「Hang ‘Em High」。ソロ・アルバムのタイトル・チューン「Potato Hole」実にファンキー。そしてアルバート・キングがスタックス時代の67年にヒットさせた「Born Under A Bad Sigh」。オリジナル・レコーディングでバックを務めたのはMG'sだった。ブッカー・T.はここでとてもソウルフルなヴォーカルを聴かせてくれた。

そして「Green Onions」!もうこの1曲を生で味わえただけで幸せいっぱい。これでもかと言わんばかりのオルガンのフィーチャーに大拍手。続いてはブッカー・T.がギターを持ちしっとりとした雰囲気のヴォーカルでシカゴ・ブルース「Manish Boy」。そして70年代、御大はビル・ウィザースをスターに押し上げた。そんなビル71年のヒット「Grandma's Hands」。息子のテッドがヴォーカル。彼の歌声がすっごく良い。じっくり育てて歌手デビュー、期待したい。途中MCでアイズレー・ブラザーズのバック・ギタリストはジミ・ヘンドリックスだったというエピソードを…、「Hey Joe」。親子ギター・バトルにうっとりさせられる。


▲Photo : Great The Kabukicho

ボブ・ディランやクリス・クリストファーソンの話しをしながらの「Knockin'On Heaven's Door」に続き再びMG'sの名作、67年の大ヒット「Hip Hug-Her」。the otherでダンスしたby このナンバー。68年のこれまた大ヒット「Soul Limbo」。リンボー・ダンス、十分に屈伸運動してよく踊ったもんだ?!


▲Photo : Great The Kabukicho

ブッカー・T.は『約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥ・ザ・リバー』でも証明しているように若手アーティストと積極的に交流を図り伝統文化を後世に伝えている。「Everything Is Everything」は御大がMC説明してくれた通りフィラデルフィアのヒップ・ホップ・グループ、ザ・ルーツと年に共演した楽曲。ローリン・ヒルのカバーだ。
ラスト・ソングは「Time Is Tight」。ファンキーなサウンド展開の中にブッカー・T.の素晴らしい人物像がそのまま演奏に表現されているかのような感動的作品。改めてその見事なオルガン演奏に涙…。MG'sの69年のヒット作、68年公開の映画「Uptight」(日本未公開)の挿入歌である。


▲Photo : Great The Kabukicho

そしてアンコールはプリンスの「Purple Rain」。親子でギター&ヴォーカル。優雅な世界へ聴衆を誘う。プリンスは生前ブッカー・T.ジョーンズをリスペクトしていると語っていたのだ…。


▲Photo:Yukie Koga

◆サザン・ソウルの真髄 スペンサー・ウィギンス初来日!これぞメンフィス・サウンド!!ライド・オン×100なのだ。


▲Photo:Masanori Naruse 提供:Billboard Live TOKYO

メンフィス・ソウルのレアなステージがついに東京で実現した。スペンサー・ウィギンス!サザン・ソウル・ファンが夢のまた夢、本当に信じられないという表情で会場へ…。4公演が完全ソールド・アウトだった。


▲Photo:Masanori Naruse 提供:Billboard Live TOKYO

まずはスペンサーの弟のパーシー・ウィギンスの登場だ。バックも敏腕ミュージシャン。特に注目はチャールズkbd&リロイbsのホッジズ兄弟。ふたりは2014年に亡くなったメイボン・ティーニー・ホッジズgtrとともにメンフィス・ソウル史にその名を残す。アル・グリーンやアン・ピーブルスなどの名門レーベル”ハイ”の創始者ウィリー・ミッチェルの秘蔵っ子の3人は、ハイのロイヤル・スタジオ(キース・リチャーズやロッド・スチュワートお気に入りのスタジオでもある)のハウス・バンドとして活動、ハイ・リズムとしても知られている。スタックスのMG'sと同じような存在だ。3人は『約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥ・ザ・リバー』にも出演している。


▲Photo:Masanori Naruse 提供:Billboard Live TOKYO


▲Photo:Masanori Naruse 提供:Billboard Live TOKYO

1960年代から活躍しているパーシー・ウィギンス。彼の説得力あるソウルフルなヴォーカルは日本のファンにもよく知られている。オープニング・チューン「Love And Happiness」はアル・グリーンの77年作品、もちろんウィリー・ミッチェルのプロデュースでアル&ティーニーの共作。続いてはパーシーが67年ナンバーと紹介する「Can't Find Nobody To Take Your Place」。アトコ・レーベルから同年リリースのシングルBサイド・ナンバー。ブラス・セクションの運びといい全体のムードはまさに60年代後半のR&B。
「Look What I've Done To My Baby」はゆったりとした展開のスロー・バラード。パーシーの歌の上手さをしっかり立証。69年A-BETからのシングル・チューンだ。「It Didn't Take Much」も本人が69年レコーディングと紹介。ポップな味わいのメロディアスなナンバー。
続いては2曲目のAサイド・ナンバー。67年のアトコ・シングル「Book Of Memories」。素晴らしいソウル・バラード!南部!!そしてパーシー・コーナーのラストはキャッチーなムードの「Never Never Found A Girl」。コール&レスポンスで場内を盛り上げ、そのムードが高潮したところでヤング・ラスカルズの「Groovin'」も登場したりでまさに60年台後半へタイム・トリップ。なぜかジェームス・カーのLPをヤマハにオーダーしたことを思い出してしまった。そんな時、下手側にスペンサー・ウィギンスの姿も発見。

ジェフ・ウィーナー(アトランタ在住のグッド・ガイだ)のMCでスペンサー・ウィギンスが威風堂々と登場。67年にゴールドワックス・レコードからリリースのシングルBサイド・ナンバー「Lonely Man」。直立不動で歌いあげる。ストロングなまさにダウン・トゥ・アースな雰囲気をフィーチャーしてのR&B。弟が兄をサポートする。「Uptight Good Woman」は同じくゴールドワックス(J・カーもこのレーベル所属だった)67年リリースのシングルAサイド・ナンバー。エンディングがもう完全なるソウル・レビューなのだ!


▲Photo:Masanori Naruse 提供:Billboard Live TOKYO

「What Do You Think About My Baby」はミディアム・アップの65年レコーディング・チューン。コール&レスポンスで再び僕ら観客はヒートアップ。「Old Friend(You Asked Me If I Miss Her)」は66年12月リリースのゴールドワックス・シングルAサイド・ナンバー。涙が出てくるほど感激させられた絶品のソウル・バラード。

「He's Too Old」は68年のゴールドワックス・レコーディングのアップ・テンポ・チューン。パーシーもジョイン。「The Kind Of Woman That's Got No Heart」
もゴールドワックス・ナンバーで66年に発表されている。


▲Photo:Masanori Naruse 提供:Billboard Live TOKYO

今度は70年代の楽曲が登場、スロー・バラード「I Can't Be Saisfied(With A Piece Of Your Love)」。73年にMGMサウンド・オブ・メンフィスでシングル・リリースされた隠れた名作だ。
スペンサーは69年にゴールワックスからフェイム・レコードへ移籍しているが、その時代のレコーディングされたのが「I'm At The Breaking Point」。CD『フィード・ザ・フレイム:ザ・フェイム・アンドXLレコーディングス』の1曲目に収められている。


▲from Mike's Collection

そしてラストは会場につめかけた全員がよ~く知っている「Double Lovin'」!スペンサーの唯一のチャート・イン・シングル(Fame1470、B面は「I'd Rather Go Blind」)。70年作品で、Billboard誌Best Selling Soul Singlesで44位を記録している。
もちろんアンコール!「Bring It On Home To You」。ソウル・クラシック、R&Bスタンダード。サム・クックで知られる名作をスペンサー&パーシーが歌いあげる。途中、チャールズのkbdが大きくフィーチャーされる。パーシーのMCで彼とリロイのホッジズ兄弟を紹介。♪O.V.ライトやオーティス・クレイとも共演した素晴らしいミュージシャン!♪。
素晴らしいスペンサー・ウィギンスのステージだった。“マーシー・マーシー”“ライド・オン”と叫びながら大きな拍手。感動!!!

▲Photo:Yukie Koga


▲Photo:Yukie Koga

【Live Info】
*ブルース・ブラザーズ・バンド


1960年代後半はアメリカでも、そしてわが国でもR&Bが大きくエクスプロージョン。そんな時代を通過したファンにとってブルース・ブラザーズ・バンドの来日公演は毎回、必ずジョイン。音楽ファンのバイブルとなっている映画『ブルース・ブラザーズ』からの楽曲が次々に登場。まさしくソウル・レビュー!バンドを率いるのは映画にも出演、ブッカー・T.&MG'sのギタリスト、オーティス・レディングと名作を作り上げたスティーヴ・クロッパー。そしてサックスはルー“ブルー・ルー・”マリー二。サァ皆で思いっきりファンキー・ブロードウェイをダンスしながらオーティス、ダブル・ダイナマイト、キング・ソロモン…らのソウル・クラシックスでパーティー・タイム!!

ブルース・ブラザーズ・バンド Blue Note TOKYO公演
2017年6月2日、5日、6日
ファースト・ステージ 開場17:30  開演18:30
セカンド・ステージ  開場20:20  開演21:00
2017年6月3日
ファースト・ステージ 開場16:00  開演17:00
セカンド・ステージ  開場19:00  開演20:00
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/blues-brothers-band/

*テイク6


もう何回目の来日公演になるだろうか…。日本のソウル・ミュージック、ゴスペル・ミュージックを愛するファンから熱い声援を送り続けられているテイク6。彼らの見事なアカペラ・コーラスは、まるでオーケストラを味わっているかのような気分にもさせてくれる。ある時はジャジーに、そしてクラシック音楽を奏でていると錯覚してしまうこともある。レパートリーもオリジナルからゴスペル・スタンダード、60年代R&B、ジャズ…と幅広い。クロード・マックナイトを中心とした6人組が今回はどんなパフォーマスを披露してくれるのか、とても楽しみだ。

テイク6日本公演
*2017年8月29日 Billboard Live TOKYO
ファースト・ステージ 開場17:30  開演19:00
セカンド・ステージ  開場20:45  開演21:30
*2017年9月3日 Billboard Live TOKYO
ファースト・ステージ 開場15:30  開演16:30
セカンド・ステージ  開場18:30  開演19:30
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=10464&shop=1
*2017年8月30日 Billboard Live OSAKA
*2017年8月31日 Billboard Live OSAKA
ファースト・ステージ 開場17:30  開演18:30
セカンド・ステージ  開場20:30  開演21:30
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=10466&shop=2

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