【インタビュー】XERO FICTION、PIZZA OF DEATH内レーベルより2ndアルバム発表「ハードコアもポップも同列」
■ベースとドラムは全体の3%
■対してミックスに27%掛けてる
──では、アルバム『I Feel Satisfaction』の話に戻りますが、全12曲が収録されていますけど、リリースが決まる前から楽曲を録り溜めていたということは、アルバム全体を通したテーマがあって、それに向かって制作したということではないと思うんですね。でも、結果、それがバンドの現在形を象徴したり、バリエーションの豊かさを生んでいるなと。
コウイチロウ:そうかもしれないね。ここに収録した以外にも、断片的なものも含めて楽曲はたくさんあったんだけど、その制作過程も、“こういう曲があったら、こういう曲もあったほうがいいんじゃない”っていうことの繰り返しで。そういう経緯から出来たアルバムだから、制作期間は決して短くはないし、たしかにいろんな曲が入っていると思う。
──選曲は、Junさんのリクエストも加味して?
コウイチロウ:そういう話自体は、前のアルバム(『The Very Best of XERO FICTION』)を聴いたJun Grayがアドバイスをくれてて、それを踏まえて曲づくりをしてたんだよね。で、出来た12曲をJun Grayに渡して、「曲順は決めてよ」っていう感じ。ミュージックビデオの曲も、「どれでもいいから選んで」って。それは、どれが選ばれても説明がつくからで。第三者の客観的な視線で映える曲を選んでもらったほうがいいだろうし。
──なるほど。サウンドとしては、ポップパンクチューン「No meaning, if you don’t change」「it’s party」、ニューウェイブ的な「Dreams」や「Across the universe」、バラード「My place」と実にカラフル。リズム隊を土台として、2本のギターとキーボードが、メロディアスなボーカルの主旋律をあの手この手で彩っているなという印象を持ったんですが?
コウイチロウ:ギターに関しては、ツインになるっていう想定のもとにレコーディングを進めて。実は、まだフートンが加入する前に録り終えていたからね。理想は、L chとR chできっちり分けて、ライブでそれぞれが弾くっていうカタチ。
──レコーディングした当時は、人格の異なるもうひとりのギタリストが自分の中にいるような?
コウイチロウ:ひとり二役でしたよね、レコーディングのときは。2本の異なるギターが鳴っていたほうが自分好みだから。
ハルカ:キーボードは歌の次に前に出たいって考えつつ、その押し引きはギターとの兼ね合いでつくってますね。
──主旋律を歌いながら、キーボードのカウンターメロディが入っているような曲もありますから、ボーカルがリズムと音程を取るためだけに弾くような、添え物としてのプレイではないですよね。
ハルカ:レコーディングのときは、歌いながら弾くということを想定しながら録っているわけではないから、あとで後悔することもあるんですけど(笑)。
──ボーカルにエフェクトを掛けているような部分も随所にありますし。音源は作品としての完成度を求める意識が強いということ?
ハルカ:そうかもしれませんね。レコーディングではギターより先にキーボードを録ることも多いんですね。ギターとキーボードはそれぞれがフレーズを考えるようなオブリガードもあって、結果、録ったあとで、ギターと音色とかメロディがぶつかってることもあるんですけど。
──ギターの音色とキーボードの音色が似ている曲も結構あると思うんですけど、2本のギターとキーボードのフレーズがミックスされてトリッキーに聞こえるところもあって。音の分離をよくするだけがアンサンブルじゃないというか。
コウイチロウ:そう。ギターはキーボードフレーズにあえて絡めたりすることもあるんですよ。まさに、そう作用させるためにね。この上モノ3つを考えるのが、実は一番大変。思い出したくないくらい(笑)。だからすごく時間がかかる。
ハルカ:うちら(ハルカとコウイチロウ)の作業がすごく時間がかかる(笑)。
──それに対して、リズム隊のレコーディングはどうでした?
ドランキー:「Dreams」は最後のほうにつくったんですけど、さっき話した完成形が見えてない状態で録った曲の代表例が、それで(笑)。
──この曲はキョウヘイさんの作詞作曲ナンバーですが、やはり上モノが決まってなかったという?
ドランキー:アレンジを含めてですね。この曲はキメとかブレイクが多いので、特に難しかったんです。でも、ほかの曲に関して言えば、基本的にリズムはシンプルでストレートなものが多いので、特に気負ったところはなく録ることができましたね。
キョウヘイ:ベースもあんまり印象に残ってる曲がないくらいレコーディングはスムーズで(笑)。
ハルカ:2人の録りはすごく早かったんですよ。
コウイチロウ:1日とか2日で全部録っちゃう……もう覚えてないんですよね、録ったのいつだ?
フートン:俺が入る前だから1年以上前かも(笑)。
キョウヘイ:レコーディングはそのときの自分が一番いいと思ったフレーズを録ってるんですけど、1年以上も前となると、自分の好きなベースラインにも変化があって。それを現在のライブで試してみたりとか。
──リズム隊としてそういうやりとりも多いんですか?
ドランキー:特に僕からリクエストしたりっていうことはないんですけど、いろいろフレーズを変化させてくれてるんだなっていうことは、スタジオで感じてます(笑)。
──全体像が見えてない状態でレコーディングするし、そのレコーディングは早いし、日々楽曲を進化させようとしてるし、リズム隊はプロ中のプロって感じですね。
コウイチロウ:うん。こういう進め方になるとは思ってなかったんだけど、今のやり方が一番みんなのペースが乱れないんですよね………グラフ見ます?
──……ん? このグラフなんです?
コウイチロウ:バンド全体のレコーディング時間を100として、個々のレコーディング時間を円グラフ化したデータ。時間割合を分析してみたんです。スタジオ料金とかも含めてデータ化してます……こういう作業が好きなんですよ。これを見てから取材してもらったら、インタビューの内容も変わりました(笑)?
──変わったかもしれないけど、メンバー募集告知とかレコーディング方法とか、ギターレコーディングを含めた上モノの考え方とか、要所要所でコウイチロウさんの理路整然とした性質は出てますからね。それにしても、ベースとドラムは全体の3%なのね(笑)。
コウイチロウ:そう。対して、ミックスに27%掛けてるんですよ。
──XERO FICTIONは音数が多いから、録り終わったあとも各パートの音量バランスとか定位決めのミックスには時間が掛かりますよね。
コウイチロウ:そうそう。「次はこの部分の時間を見直せば、もっと早く出来る」とか、データに残しておくと考えることができるんです。
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