【インタビュー】XERO FICTION、PIZZA OF DEATH内レーベルより2ndアルバム発表「ハードコアもポップも同列」
■せっかち過ぎて、曲が未完成のうちから
■ドラムを録り始めてましたからね
──バンドの舵取りしてるのはコウイチロウさんとハルカさんなんでしょうけど、唐突な急ハンドルにしっかり合わせてくれるメンバーのみなさんに感謝しなければ(笑)。曲作りもコウイチロウさんを中心に?
コウイチロウ:比重としては、俺が“7”でハルカが“3”くらいかな。今回の2ndフルアルバム『I Feel Satisfaction』もそう。ただ、曲がよければ何でもOKだから、今回のアルバムには1曲キョウヘイの曲も入ってるし、今はメンバー全員が個々に次作の曲作りを始めてますね。
──ツインギターひとつ取り出してみてもアンサンブルが凝ってますよね。となると楽曲制作もジャムセッションからというわけでなく、原曲制作者がある程度、完成形のデモをつくる感じですか?
ハルカ: 2人で始めた頃は、ホントに2人であーだこーだ言いながら。
コウイチロウ:それこそ、つくり方がわからなかったというか。“ギターリフがあって、ハードに歌う”みたいなことしかそれまでやってなかったわけだからさ。だから、最初は2人でやりながら、徐々に個別につくれるようになっていったんですよね。
──当時、何もない状態から2人で積み上げていくことで、現在のXERO FICTIONサウンドの基礎みたいなものが出来上がったわけですね。
コウイチロウ:そうかもしれない。でも俺、せっかちなんで、どんどん新しい曲をつくりたいんですよ。だから、作曲も一番早い方法を採りたくてひとりでつくるようになって。
ドランキー:今回のアルバム『I Feel Satisfaction』もそうなんですけど、せっかち過ぎて、曲が未完成のうちからドラムを録り始めてましたからね。ははは…。
──はははって、いや、意味がわからないですよ(笑)。楽器隊のレコーディングまでに歌詞が間に合わないっていう話はよく聞きますけど、未完成の曲を他のメンバーが手探り状態でレコーディングするってこと?
コウイチロウ:もちろん俺の頭の中に完成形のイメージがあるんですけど、それをコイツらが知る必要はない。
──ははははははは!
ハルカ:コード進行とリズムパターンだけがあるみたいな。歌詞はもちろん、メロディーもついてない状態でリズムのレコーディングすることもあります。
コウイチロウ:そうやって録ってくれたほうが、家でそれに合わせて上モノのアレンジを考えられるからっていうことが、理由としては大きいんだけど。
──1990年代の著名J-POPプロデューサーの作品に参加したスタジオミュージシャンが、「自分のパートの譜面とBPMだけ渡されてレコーディングした」と言ってましたけど、そのつくり方に近いものがあるかもですね。敏腕プロデューサーと凄腕ミュージシャンならではの仕事というか。
ハルカ:そういうレコーディング方法になったのは、今回からかな。
コウイチロウ:もちろん、おおかたの楽曲イメージは共有してレコーディングに入ってもらうんだけど、実際に完成した音源を聴いて、他のメンバーは“あの曲、こんな風になったの?”と思ったんじゃないかな(笑)。
ドランキー:ベースやギターも一緒に弾いてもらいながらドラムを録るんですけど、それはあくまでもガイドで、あとでガラリと変わる。ほぼ各パート個別に録っていくし。
コウイチロウ:だから時間もスタジオ代も膨大に掛かるっていう。だけど、お金にいとめはつけない(笑)。
ハルカ:大物か(笑)!?
──うーん、コウイチロウさんの“直感”なのか“計算づく”なのかわからない部分が楽曲制作面でもみえます。
コウイチロウ:たとえばギターのレコーディングは、フレーズを構築してスタジオに入るから、直感とかアドリブではない。スタジオで煮詰まるということはないんですよ。お金にいとめはつけないけど、ムダなお金は使わない(笑)。
──今回のアルバムのレコーディングスケジュール自体は計画的に?
ハルカ:収録曲はアルバム用にレコーディングしたっていうカタチとは違って。こういう曲達が出来たから録っていっちゃおうっていうところでレコーディングしていたものなんです、実は。
コウイチロウ:今まで俺らは、自主リリースしてきたので。7インチレコードでもアルバムにするでも、まずは録って。それをどういうカタチでリリースするかは後で考えるという順番。だから、Jun Grayからアルバムの話があったときは、もう収録曲はほとんど出来てたというか、リズム隊のレコーディングは終わってる状態だったんですよ。
──なるほど。Junさんとの馴れ初めについても訊かせてください。BARKSでは、Jun Gray Recordsのコンピ第二弾『And Your Birds Can Sing II』リリース時にJunさんにインタビューをしているんですけど、コンピ盤参加アーティストを1組ずつ紹介してもらったときのXERO FICTIONの話が、なかなか“らしい”もので。曰く、「初対面のときのコウイチロウの印象が最悪で(笑)。すげえ酔っ払ってるうえにKen Bandの楽屋に我が物顔で居るし、“なんだこいつ?”っていう第一印象だったんですよ(笑)。これ以上うちらをカチンとさせたらぶん殴るぞ、ぐらいなクソ生意気な感じだったんですよね(笑)」と言ってたんです。
ハルカ:お酒が入らないと大丈夫なんだけど、ちょっと行儀が悪いんです、コウイチロウは(笑)。
──ははは。最初は、NOT REBOUNDの片桐さんとコウイチロウさんとで、Ken Bandの楽屋を訪ねてきたということでしたが?
コウイチロウ:その前に、FRONTIER BACKYARDのTGMXくんが、昔から俺らによくしてくれていて。「女の子ボーカルのバンドをやってるなら、Junさんに言ったほうがいいよ」って勧めてくれてたんですよね。で、Ken Bandが名古屋に来たとき、片桐くんも「行ったほうがいいよ」って言うので。そのときにCDを渡したのか、その後でYouTubeを観たよって連絡をくれたのか、ちょっと記憶があいまいで……(笑)。
──酔っ払ってたからね(笑)。
コウイチロウ:そう、覚えてない(笑)。Jun Grayは仙台ハードコアシーンの責任転嫁のベーシストだったじゃないですか。俺は1980年代のジャパコアがすごく好きで、KENZI & THE TRIPSとかBAD MESSIAHのメンバーだったこともよく知ってるんですよ。Jun Grayと会ったとき、そういう話ばっかりしたのは覚えてるんだよね。Jun Grayには“そういう音楽をやってるんだろうな”って思われてたんだろうけど、XERO FICTIONの音を聴いて、「こういうバンドをやってるんだ!」って連絡くれたんだと思う。そこからつながりが密になっていくというか。
ハルカ:それに、Junさんの人柄が親しみやすい(笑)。
コウイチロウ:Ken Bandサイドにいる人たちとはちょっと違って、どちらかというとこっち(ハードコア)側みたいな感じがして。だから、女性ボーカルのバンドをやってなかったとしても、どこかで会ったら仲良くなったんだろうなって。
──だから、コンピ盤『And Your Birds Can Sing II』に誘われたときも、すんなりと受け入れられたという?
コウイチロウ:「コンピ、どう?」って電話が掛かってきたんだけど、そのときにミックス前まで完成してる曲が5〜6曲あったから、「いいよ、すぐ出せる曲があるよ」みたいな感じで、そのなかから選んでもらって。誘ってくれたことに対しては、あんまり感動とかなくてね。自然の流れというか、音楽好きで仲のいい街のおじさんが声かけてくれたみたいな感触(笑)。
──はははは! Jun Grayですよ。PIZZA OF DEATHですよ。
コウイチロウ:まあ、そうなんだけど。ハードコアの人たちから誘われたような、近い人たちに誘ってもらった感覚と一緒っていう意味(笑)。“自分達でリリースできる”って言っても限界があるので、手伝ってもらえるところがあったら嬉しいなとは思っていたし。
フートン:そのレコ発ライブで、収録されていた他のバンドと対バンしたときは、リハ観て、みんな上手いなーって、ゾクゾクはしたけど(笑)。
コウイチロウ:違うシーンでライブをしたこともなかったし、社会見学に行ったみたいな感じだったよね(笑)。
◆インタビュー(4)へ
◆インタビュー(2)へ戻る
この記事の関連情報
新井英樹、宮本浩次と横山健、Jun Gray、Jah-Rahの4人を描く
Bray me、ミニアルバム特設サイト開設+リード曲先行配信スタート
Jun Gray Recordsの新人Bray me、全22公演のレコ発ツアー開催決定
Jun Gray Records、レーベルタイトル10作品目に4ピースロックバンドBray me
「最強のロックがなっている」宮本浩次と横山健、『宮本から君へ』主題歌でコラボ実現
【舞台裏トーク】<SATANIC CARNIVAL>Jun Gray [Ken Band]、「いつものようにやるだけ。変な気負いは全くないよ」
【インタビュー】XERO FICTION、Jun Gray Recordsより2年ぶりアルバム発表「耳にこびりつくポップ」
XERO FICTION、第二弾MV「Round and round」が描く続編ストーリーにメッセージ
XERO FICTION、ドラマ仕立てのMV公開+ツアーファイナルは名古屋QUATTROワンマン