【連載】Vol.011「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」
ストーンズ・サウンドを20年以上にわたって支え続けるベース奏者、ダリル・ジョーンズに来日直前インタビュー!マイルス Electric Band!!
ローリング・ストーンズのサポーティング・ベーシストとして20年以上にわたって活躍しているダリル・ジョーンズ。ビル・ワイマン脱退後、厳しいオーディションの関門を見事に突破した。「最終的にチャーリ・ワッツがダリル採用を決定した」と、キース・リチャーズに聞いた。その素晴らしい演奏ぶりはわが国でも多くのファンに評価されている。彼のジャジーでファンキーなプレイは多くのアーティストとの共演でも見事に発揮されている。
そして4月、ダリル・ジョーンズのリスペクトする、ジャズ界の帝王と称されたマイルス・デイヴィスのトリビュート・ライヴがBillboard Live TOKYO、Billboard Live OSAKAで開催される。マイルス Electric Bandだ。『ビッチェス・ブリュー』から『TUTU』までのエレクトリック・マイルスの世界へと僕らを誘う。マイルスの甥でアルバム『デコイ』『ユア・アンダー・アレスト』『オーラ』などでその名を発見できるヴィンス・ウィルバーン・Jr.。マイルスとのコラボレーターとして知られたシンセサイザー奏者のロバート・アーヴィング3世。Pファンク・ファンにはおなじみブラックバード・マックナイト…。錚々たる敏腕ミュージシャンが勢ぞろい。ベースは勿論マイルスと共演もしているダリル・ジョーンズ。ジャズ・ファンからストーンズ・フリークまで、期待のマイルス・エレクトリック・ワールドがもうすぐ日本で体現できる。
そんな来日直前のダリル・ジョーンズにじっくりとインタビューした。
Q : 4月のマイルス Electric Band、とっても楽しみです!ストーンズとの来日も含めるともう10回以上?すっかり日本通。
A : 実際のところこの33年間で20回以上は来てる。1984年に、偉大なるハイラム・ブロックと来たのが初めてだったかな。たしかに、日本の人々や文化、芸術、食べ物にすごく親しみがあるし、一生に渡る友好関係を築いてきた。もっといろいろ学びたいと思ってるよ。
Q : 日本のどんなところがお好き。そして名古屋のHITSUMABUSHI!
A : そうだよ!マイクが名古屋で連れてってくれたメシ屋はよく憶えているよ。ありがとう。
日本の人々の礼儀正しくて、優しいところが好きだ。あと、細かいところにも注意を払って、すごく良い仕事をしているね。それはきっと、仕事だからというだけでなく、物事をちゃんとやって満足感を得たい、というのもあるんじゃないかな。もちろん寿司や日本酒以外の日本食も大好きだよ。蕎麦とか、懐石料理、ラーメン、炉端焼き…などなど。
Q : 斉藤和義とレコーディング。
A :日本に対する好奇心というのは、もちろん日本の音楽やミュージシャンにもむけられているんだ。何年か前にチャーリー・ドレイトンが斉藤和義の曲を紹介してくれて以来、斉藤和義のファン。実際にあってレコーディングした時はすごく嬉しかった。彼はリアル・ロックンロールを奏でる素晴らしいアーティスト。彼や日本の素晴らしいアーティストとツアーしてみたいし、曲も一緒に書いてみたい。日本にももっと長く滞在出来るし。そして文化や言葉ももっと知ることが…。
Q : さてさて今回のマイルス Electric Band、どういった経緯で実現したの。
A : このバンドはヴィンスのアイディアさ。マイルスと一緒にやってたいろんなミュージシャンと相談しながら作り上げたんだ。この特異なスタイルの音楽やパフォーマンスがマイルスのファンに届き続け、彼亡きいまの世代にも届くことを信じている。僕にとっては、エレクトリック・マイルスの楽曲を演奏するチャンスだし、もうマイルスとは一緒に出来ないんだから、この素晴らしいミュージシャン達と一緒に演奏することは、マイルスと彼の素晴らしい遺産に対する僕なりの敬意なんだ。
Q : ヴィンス・ウィルバーン・Jr.との出会いは。アルバム『ユア・アンダー・アレスト』でも一緒に演奏してるよね。
A : ヴィンスとは、10代の時に共通の知り合いの家の地下で会ったんだ。シカゴでは、みんな自分の実家の寝室や地下室でどうやって演奏するかを知っていたんだ。何年かして僕が本格的に音楽活動をするようになってからも色んなギグで会ったよ。
Q : ロバート・アーヴィング3世とはアルバム『デコイ』のレコーディングが最初だったの。
A : いや、Baabe(ロバート)は、僕が14歳か15歳の時にリトル・オスカーっていうブルースのアーティストのレコーディングで初めて雇ってくれたんだ。もうひとつはポップス・ステイプルズだったな。あとBaabeは僕を初めてシカゴのライヴ・シーンに送り込んでくれた人物。彼は素晴らしいミュージシャンであり、コンポーザーであり、プロデューサー。彼とヴィンスとは、ずっと長く一緒にやってたから、友達というより家族に近い。
Q : ブラックバード・マックナイトやDJロジックがジョインしているのもMEBの注目点。
A : そうさ。ブラックバードは自身の音楽はもちろん、パーラメント/ファンカデリックやハービー・ハンコックの『ヘッド・ハンターズ』での活躍も高く評価されているよね。ハービーとの信じられないくらいファンキーなセッションを聴いて、Pファンクのエッジの効いたハード・ロックな側面を聴いたら、なぜ彼がマイルスの中期にバンドに存在していたのかがよく分かると思うよ。マイルスはブラックバードのどちらの面もすごく気に入っていたから、彼をバンドに起用した理由は明確だったんだ。だからこそ、ブラックバードと一緒に演奏できるのは素晴らしいことなんだ。
マイルスはキャリアの終盤にはヒップホップの要素を取り込もうとして、ヴィンスはMEBにもその要素を取り入れたらいいんじゃないかって考えたんだ。DJロジックは、パーフェクトな候補だった。多様な経歴を持っていたし、なにより結局、ヒップホップが生まれた地、ブロンクス出身だったからね。
Q : 『ビッチェス・ブリュー』から『TUTU』までのまさにエレクトリックなマイルス・ワールドをトリビュート。多くのファンはそこに2017年の新たなる形でマイルスの素晴らしさを継承していく貴方たちの演奏、ライヴを期待している。
A : これまでも『ビッチェス・ブリュー』『イン・ア・サイレント・ウェイ』『ネフェルティティ』あたりの曲を演奏してきた。もちろん素晴らしい曲は他にもあるんだけど、今はこの時代の曲をやっているんだ。
Q : 貴方はマイルスのアルバム『デコイ』『ユア・アンダー・アレスト』でも演奏しています。マイルスと一緒に演奏するきっかけは?!
A : そこもやっぱり、ヴィンスが中心にいるんだ。1983年の5月、ヴィンスが「マイルスがシカゴでバンドにフィットするような奴はいないかって聞いてきた」と僕に言ってきたんだ。多分ぼくは最初の一人目ではなく、フェルトン・クリューズは家にいなくて、リチャード・パターソンもつながらなかったんだろうね。ヴィンスが僕に電話をしてきて、そして僕が電話に出た。それは運命だったと思う。次の日オーディションを受けて、そして雇ってもらったのさ。ついでに言うと、フェルトンもリチャードも僕がバンドを離れた後もマイルスと一緒にプレイしていたんだよ。
Q : マイルスとの思い出を…。
A : マイルスと一緒にやってて一番印象に残っているのは、彼の音楽に対する献身的な態度だね。よく使われている「天才」という言葉はマイルスを表す的確な言葉だと思う。彼は何度も何度も曲を聞き、マイナーに変えたり、メジャーに変えたりしたんだ。もうひとつ言うと、マイルスは誰よりも音楽を愛している。もちろん、実際にはマイルスくらい音楽を愛している人もいると思うけど、言葉や行動を通して、マイルス以上に音楽への愛情を見せた人間を僕は知らない。
Q : 日本のファンにメッセージをヨロシク。
A : 日本のオーディエンスにはいつも感心させられているんだ。しっかりと音楽を聴いて、音楽に参加してくれる。一見、マジメ過ぎる感じに見えるけど、最後にはミュージシャンや音楽への愛情を見せてくれるんだ。それはすごく特別なことだよ。
Q : デザート・トリップでのストーンズ、とっても良かったです!そうそうWEEKEND1前夜にHTLで会ったネ。最後にローリング・ストーンズの魅力を…。
A : ザ・ローリング・ストーンズはブルース音楽を熱心に学ぶ生徒みたいなものさ。学生が修士号をとっていくようにね。それと同時に、とても象徴的なロックンロールも作るんだ。彼らの歴史の一部を共有できてとても光栄さ。
*インタビュー・ショット=Pic. by Mitsuko Todoroki
(このショットは2010年に筆者がBillboard Live TOKYOバックステージでインタビューした時のもの)
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【マイルス Electric Band 日本公演】
*2017年4月7日 Billboard Live TOKYO
ファースト・ステージ 開場17:30 開演19:00
セカンド・ステージ 開場20:45 開演21:30
*2017年4月8日 Billboard Live TOKYO
ファースト・ステージ 開場17:00 開演18:00
セカンド・ステージ 開場20:00 開演21:00
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=10386&shop=1
*2017年4月10日 Billboard Live OSAKA
ファースト・ステージ 開場17:30 開演18:30
セカンド・ステージ 開場20:30 開演21:30
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=10387&shop=2
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