【インタビュー】J、20周年記念ベスト盤を語る「走り続けてきた理由」
■終幕から復活までの間はどんな時でも
■LUNA SEAという十字架を背負っていた
──はは(笑)。ですよね。それと、この月日の中でいろいろな若手バンドをオープニングアクトに迎えたりとフェスを含め多くの人たちと共演してきましたよね。そのなかで刺激を受けることもあると思うんですが、極端に言えば“俺もデスボイスやってみよう”みたいな影響のされ方はしないですよね。そこがブレないと映る1つの理由でもあるのかなと。
J:不思議とそのあたりは意識したことないんですよね。LUNA SEAの幼年期から“いかに自分たちであるか”が求められた時代だったからね。いろいろな先輩やシーンから“どこにもかぶらない存在であることが自分たちの未来を切り拓く”っていうことを教わったし。
──確かに昔は誰かとかぶってたら出ていけなかったですからね。
J:出ていけないし、居ちゃいけない場所だった。だって、ほかにカッコいい人たちがいっぱいいるんだもん。そういうシーンだったし、そんななかでの戦いだった。今はなんか逆なとこもあるよね。似てないと居場所がない、のかもしれないね。
──そうかも。そういう音楽シーンのなかで鍛えられたことが今のJの立ち位置を作ったと言えるのかな。
J:そのなかで自分としてどういうふうに立つか、だよね。まぁ、昔も今もそうなんだけど、同じ音を鳴らし続けてるバンドが好きだなんだ。
──例えば?
J:エアロスミスとかブラックサバス、AC/DCもそうだし。俺が聴き始めた頃は彼らがオールドスクール的な扱いを受けてて「まだやってんの?」って感じだったけど、今は「ロッククラシックだよね」「最高だよね」って言われる時代になった。俺は昔から古いとか1回も思ったことはなかったから、そういうロックが好きだっていう性格的なものもあるのかもしれないね。
──そういう趣向性が自分もそういうアーティストになっていきたいという展望に繋がったのかな。
J:うん。ただ、もちろん時代に影響は受けてると思うよ。受けたいとも思うし。よく話すんだけど、1997年に有効だった8ビートと2017年に有効な8ビートは同じビートでも違うと思うんだよね。それは時代、ひいては世界の持っている呼吸感だと思うんだ。そのなかで俺自身、息をしてるわけだから、いつだっていちばんホットで熱いビートを生み出していきたいと思う。
──その熱さの追求の歴史が2枚組ベストでもある?
J:ずっとそういうことを願い続けてきたからね。そうなったら最高だなって。実際、1stアルバムのリクエスト1位が「ACROSS THE NIGHT」になったのを見て「もしかしたら自分の理想に少し近づけたのかな」って。
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J:『RED ROOM』(2004年発表)を作り終わったあとぐらいかな。何となく1つの章が区切りを迎えて次の扉を開けた時期だね。あとはLUNA SEAが再始動した2007年以降はよりフォーカスが合ってきたと思う。
──自分のやりたいことのフォーカス?
J:というよりはソロとLUNA SEAで自分がやってきたことの置き場所っていうのかな。終幕以降から復活までの間はどんな場所でもどんな時でもLUNA SEAという十字架をどこかで背負っていた気がするし。
──自分につきまとって離れないものみたいな?
J:いいことも悪いことも含めて、そういうバンドをやってきたことへの評価だったりね。自分で自身をヘンに縛っていた部分も多少はあったと思うし、過去が逆に力になることもあったし。今思うと全てが俺に必要だったと思うんだ。じゃなければ、こんなに遠くまで来られなかった気がする。不思議ですね。自分としては1つのアルバムから見えた世界をどんどん歩いていって。ふと後ろを振り返るとつながっていた感覚なんですよ。明確な答えがあったわけでもなく、その時に感じるものを形にしてきたので、いつも綱渡りをしているような感覚だったけど。ただ、1997年の『PYROMANIA』のソロとしての決意と自覚があったから、この場所まで来られたって思っているんですけどね。
──さっき2007年以降という話が出ましたけど、ミドルチューン/バラードが中心のDISC2を聴いていくと前半は孤独感が強いというか、例えると“ステージに立っていない時の焦がれる想い”を歌った曲が多い気がするんです。でも後半の曲は包容力が増しているというか、“キミが目の前にいなくても存在を感じとっている”力強い曲が多いなと思ったんです。
J:そうですね。自分を取り巻く状況がそういう想いに導いていったっていうのはあったのかもしれない。孤独だ孤独だって思っていたけど、気がつくと実はそうじゃなかったり。うまく言えないけど人って全部つながっているような気がするんですよね。それに気づけたのは、孤独の理由を知るために、どん底までいったからなのかもしれないし。
──なにかスケール感とか優しさが違うんですよね。
J:自分自身のロック観ですけど、ハードでヘヴィなものだけがパワーじゃないじゃんっていうのはありますね。何かを包み込む壮大さや器の広さも絶対的なパワーだよねって。自分の中からそういうものを表現したいと思ったのかもしれないし、自然と出せるようになったのかもしれないですけど。
──それでいて原点の熱さやヒリヒリした衝動性を失わずにいるのが今のJかなと。
J:そうですね。力っていろいろなところにベクトルがあるから、できるなら、その全てを手に入れて、自分の力として表現できたらと思います。
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