【2017年グラミー特集】時代の変化に乗って大ヒットした『クローサー』、ザ・チェインスモーカーズ

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ザ・チェインスモーカーズは、アメリカのニューヨーク州を拠点して活動するアンドリュー・タガートとアレックス・ポールの二人からなるDJ兼プロデューサー・デュオユニットだ。インディーズのバンドのリミックスを作成すると、ストリーミングで人気を博し、音楽業界に名が知られるようになった。

◆ザ・チェインスモーカーズ画像

2014年、デビューシングル『#セルフィー』をリリースすると、全世界でヒットを記録。全米ビルボードのダンスチャートで首位を獲得し、1000万枚以上を売り上げた。同曲の動画は1億回以上も再生された。その後精力的にシングル・リリースを重ね、2015年にリリースした『ローゼズ』は全米シングル・チャート6位を記録。同曲に続くシングル『ドント・レット・ミー・ダウン』は全世界のストリーミング再生回数3000万回を超え、チャート5位を記録するなど、順調にヒットを飛ばし続けた。世界中のダンス・ュージック・フェスティバルにも出演し、圧巻のDJパフォーマンスを披露している。

最新シングル『クローサー』は全米シングル・チャート1位に輝いた。同曲を含む5曲入りの最新EP『コラージュ』を発売し、2017年グラミー賞の『最優秀新人賞』にノミネートされている。10週以上にわたって首位を独走したエレクトロ・ダンス・ミュージック(EDM)である『クローサー』。なぜこれほどまで人気となったのだろうか?


一つは、曲の中でフューチャーされたホールジーの歌声がある。ホールジーは曲の中でタガートとデュエットを披露し、その歌声は曲に深みを与えている。どこかノスタルジックな曲に、彼女の歌声が花を添える。

『クローサー』でフューチャーされたホールジーは、ポップスターの要素をすべて持ち合わせていると期待される新人歌手。多くのティーンエージャーにSNSでフォローされている彼女が歌うことで、『クローサー』は爆発的にファンを増やした。7月の終わりにリリースされ、8月の終わりにチャートを上っていったが、ちょうど学生たちが学校に戻っていく時期であり、『クローサー』が描くひと夏のロマンスの物語が、若い世代の生活とシンクロしていたことにヒットの要因があると分析できる。

しかし、期待の新人歌手とリリースのタイミングが良かっただけで、チャートの1位を何週にもわたって独占することは難しい。『クローサー』はダウンテンポのEDMであり、曲に合わせてダンスすることは難しく、あくまでも“聴く音楽”である。ダンス・ミュージックは過去数十年、クラブで踊り疲れた聴衆のために、ゆっくりとしたテンポのEDMの曲を重宝してきた。リスナーは激しいダンス・ミュージックではなく、『クローサー』のようなダウンテンポの曲を好んできているのかもしれない。

『クローサー』はクラブの夜の終わりにかけられるEDMではなく、ダンス・ミュージックからEDMへと変遷する、時代の始まりをも告げている。

第59回グラミー賞 ノミネート 3部門
・最優秀新人
・最優秀ポップデュオ/グループ パフォーマンス
・最優秀ダンス・レコーディング

写真:Getty images

WOWOW番組

●「現地よりお届け!まもなく第59回グラミー賞授賞式」【無料放送】
放送日:2月13日(月)午前9:00[WOWOWプライム]
●「生中継!第59回グラミー賞授賞式」
放送日:2017年2月13日(月)午前9:45[WOWOWプライム]※二カ国語版(同時通訳)
●「第59回グラミー賞授賞式」
放送日:2017年2月13日(月)夜10:00 [WOWOWライブ]※字幕版

◆グラミー賞授賞式特設サイト
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