【2017年グラミー特集】「カントリー」というジャンルを超え、次世代への扉を開くスタージル・シンプソン

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スタージル・シンプソンは、1978年生まれのアメリカのケンタッキー州出身。アメリカン・カントリー・ミュージックのシンガー・ソングライターである。これまでソロアーティストとして3枚のアルバムをリリースし、カントリー・ミュージックの革新者として幅広い世代から人気を博している。

◆スタージル・シンプソン画像

2枚目のアルバム『Metamodern Sounds in Country Music』は、2014年グラミー賞の『最優秀アルバム』にノミネートされ、ローリング・ストーン誌の『2014年ベスト50アルバム』に選出された。2016年にリリースされた3枚目のアルバム『A Sailor's Guide to Earth』は、カントリーの枠に留まらないスケールの大きな作品で、2017年グラミー賞の『最優秀アルバム』にノミネートされた。

『A Sailor's Guide to Earth』は、ハーレム、ベルリン、ロンドンなど、歌詞もメロディも世界中を旅しているような気分にさせてくれる。様々なジャンルの音を吸収し、多様性を秘めた音楽は、一つのスタイルから他のスタイルへと次々と移っていく。このアルバムはシンプソンにとって、最も野心的なアルバムであり、同時に個人的なアルバムでもある。

野心的という点では、『A Sailor's Guide to Earth』は、過去の音楽の遺産を引き継ぎながらも、新しい音楽を創造している。70年代のモータウン、ダップ・キングスのR&B、ストーンズやクラッシュの荒々しさ、そしてオウエン・ブラッドリーのカントリー・ポリタンさえも融合している。

「このアルバムで、自分の好きな様々な音楽を探求してみたかった」とシンプソンは述べている。

『A Sailor's Guide to Earth』は、再び家に戻って来ることができるかどうかわからない航海士がテーマとなっている。「海に出る航海士が、再び家に戻って来られるかどうかわからないという状況をアルバムにしてみたかった」

また、個人的という点では、アルバムのテーマが、シンプソンの家族に由来することに触れたい。「祖父は第二次世界大戦中、軍人として太平洋に配属されていて、戦死すると考えていた。幸い、5年後に家に戻ることができたけれど、家族にさよならの意味を込めた手紙を書いていたんだ。そのことがこのアルバムのコンセプトにつながっている」

シンプソンはマーヴィン・ゲイやビル・ウィザースを好んで聴き、ジョージ・ハリスンの歌い方も好きという。いろいろな音楽を聴くことで、音楽を制作する糧にしている。しかし、彼の作る音楽はあくまでもカントリーであると述べる。

「カントリーから逃げようとしているんじゃないかって言われることがあるけれど、カントリー以外の音楽を作る気はない」

シンプソンにとって、カントリー・ミュージックは、音楽を作る土台となっている。彼はカントリーというジャンルの敷居を超えようとし、変化をもたらすよう働きかけ、新しい世代のために扉を開いてきた。

デビューアルバムの『High Top Mountain』はカントリーの革新者としてのシンプソンを確立し、2枚目のアルバム『Metamodern Sounds in Country Music』は国際的なヒットを記録し、カントリー・ミュージックの新たなファンを獲得した。3枚目のアルバム『A Sailor's Guide to Earth』でグラミー賞にノミネートされ、今後のジャンル横断的で国際的な活躍がますます期待されている。

第59回グラミー賞 ノミネート2部門
・最優秀アルバム
・最優秀カントリー・アルバム

写真:Getty images

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