【インタビュー】Tak Matsumoto & Daniel Ho、松本孝弘が語る「このユニットじゃないとこういう音にはならない」

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■ハードなリフにアコースティックが
■重なると独特なものになる

──今回のコラボレーションで、最も刺激だったこと/学んだことは何ですか?

松本:ダニエルさんのアプローチは僕とは全然違うので、「こういうこともやれるんだなあ」とかね。新鮮ですよ。タイトル通り『Electric Island, Acoustic Sea』という名にぴったりな作品ができたと思います。

──このタイトルの命名は?

松本:ダニエルさんです。ふたりで「タイトルどうしようか…」って言ってたんだけど、『Electric Island, Acoustic Sea』はばっちりだなあって思って。

──松本さんのギタープレイも、ここ数年のジャジーなテイストよりもハードな側面がよく出ていますよね。

松本:そうですね。最初は、そういうところはちょっと抑えておいたほうがいいかなとも思ったんだけど、どうも曲が増えていくにしたがって、「あれ、ダニエルさんはもうちょっとロックっぽいことをやりたいのかな」って思える節もあって、それで後半は「Wander Blues」みたいな曲を足していったんです。

──ハードなサウンドがカッコいい。逆にダニエル・ホーひとりだと、ああいうハードサウンドは出てこないのかも。

松本:そういうリフにダニエルさんのアコースティックが重なると、独特なものになる。やっぱり「このユニットじゃないとこういう音にはならない」というものができたことは非常に大きいですよね。「演る意味があったな」って思う。

──ジャーニー「Faithfully」のカバーがありますが、これは?

松本:これはね、ダニエルさんが「歌詞の内容が、すごく僕のことを思い出す」んだって。

──え、どんな歌詞ですっけ?

松本:家族と離れてツアーに出ているミュージシャンの話だったと思うんだけど、僕がそういう生活をしているから、「すごくTakさんっぽいんだよ」って。良い曲だし、何より彼の声が非常に合っているよね。

──素敵な曲だからやろう、と?

松本:ダニエルさん、そう言ってたね。歌ものをやるのもいいと思った。1曲でいいけどね(笑)。

──松本孝弘ソロ作品から2曲セルフカバーしているのも、彼のアイディアですか?

松本:そうです。ダニエルさんが「Island of peace」と「Rain」をやろうと。

──なぜこの2曲だったんでしょう。

松本:多分彼の中にアイディアがあるんだろうなって思った。「Rain」なんかすごく変わったし…良かったですよね。

──インストの場合、歌詞がないわけですが、曲タイトルはどのようにして付けるんですか?

松本:基本は、曲ができてから後で付けているものが多いかな。

──「Fujiyama Highway」は、なぜ“フジヤマ”?

松本:やっぱりダニエルさんの三線のソロが入ったりして、“フジヤマ”っていう言葉が出てきたんだよね。「Fujiyama Highway」と「Fujiyama Freeway」どっちがいいかなって。で、ハイウェイかと。

──「Omotesando」は表参道ですよね?

松本:「Omotesando」はね、この曲を聴いてると、まだ僕がセッション・ミュージシャンだった頃を思い出すんだよね。この世界に入るとき一番最初の仕事をしたのも、ビーイングのスタッフに会ったのも表参道だった。仕事が終わってから、バンドのメンバーと一緒にカフェバーに行ってね。あの頃、カフェバーってすごく多かったでしょう?

──“カフェバー”って言わなくなりましたね。“ハウスマヌカン”もいなくなった(笑)。

松本:そうだね(笑)。あの頃は朝まで遊んでてね…だから朝方の感じをすごく思い出すんだよ。

──肩の力が抜けたリラックスした状態で作品作りができたようですね。

松本:全体的に時間もあったし、わりとゆっくりできましたよ。

──そういうリラックスしたムードが音に出ている気がします。

松本:あ、そうですか。ダニエルさんも、ほんとに穏やかな柔らかい方だから。音楽の話をしているときは目が鋭くなるけどね。

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