【連載】Vol.006「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」
ポール・マッカートニー来日公演決定!ジョンの「 One To One 」からポールの「 One On One 」へ
ポール・マッカートニーが2016年大晦日のNHK紅白歌合戦にビデオ出演という形でサプライズ登場。新ツアーでの2017年来日公演が電撃発表された。大拍手だ!
「One On One」このツアー・タイトルにすぐにピンとくればかなりのディープなビートルズ・ファンだ。何せ故ジョン・レノンのソロ・キャリア唯一のコンサート・タイトルが「One To One」なのだから…。特別な思いを込めてつけたであろうツアー・タイトルからして興味津々なところ。まさかこれが最後のワールド・ツアーになるとは誰もが思ってないし、思いたくはないが、例え最後になっても悔いはない特別な想いがツアー・タイトルに込められているのは間違いない。それだけに今度の来日は見逃せない。
これまでも新旧織り交ぜたバラエティ豊かなセットリストで楽しませてくれたポールだが、今回のツアーではさらにサプライズな選曲でファンを喜ばせてくれている。花道を駆け回ってドーム会場を沸かせるローリング・ストーンズのノリとは全く異なり、ポールは珠玉の名曲オン・パレードでファンを楽しませてくれる。熱いファンの為に特別公開されるサウンド・チェック・ショーとあわせて、毎回50曲以上もの楽曲を惜しげもなく披露してくれるのだ。内外問わずポールの公演前のサウンド・チェックではこんな曲をやったんですよ、と友人が興奮気味に教えてくれる。いつも肩慣らしとして50'sのロック・ナンバーに始まり、「ドライヴ・マイ・カー」「カミング・アップ」「ラム・オン」「ブルーバード」等の数万人のオーディエンスが歓喜する主力級の楽曲がサウンド・チェックのみで、本編には使用されず温存される。我々は今か今かと期待しながら次の機会を待っている。
さて、16年4月から開始した今回のツアーの目玉といえるメイン・ステージでの新レパートリーをピックアップしてみる。まずはオープニングの「ハード・デイズ・ナイト」(僕らにはやっぱり旧邦題『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』のほうが…)。ビートルズの公演で披露されて以来のライヴ・バージョン。
ワイルドなギターサウンドがカッコいいウイングスの「ワインカラーの少女」。ファンに人気のテクノ・サウンドをフィーチャーした「テンポラリー・セクレタリー」。日本のファンにとっては曰く付きのアルバム『マッカートニーⅡ 』から。
「アイヴ・ガッタ・フィーリング」ではポールのギター・ソロに注目。映画 『レット・イット・ビー』でのルーフトップ・ライヴやポールとジョージの重苦しい場面を思い出す。終焉に突き進む4人を克明に記録した名作ドキュメンタリーのリマスター上映を期待したい。
「ヒア・ゼア・・アンド・エヴリホエア」はポールがピアノをプレイ。アルバム『リボルバー』からで、同作品集はここ10年間で最も高く再評価されたアルバムだ。
アコースティック・コーナーではビートルズの前身バンド、クオリーメンのデモ楽曲 「イン・スパイト・オブ・オール・ザ・デンジャー」。ザ・キング、エルヴィス・プレスリーを彷彿とさせるヴォーカル&決めポーズに(生エルヴィス3回体験者としては)大々拍手!!
「ユー・ウォント・シー・ミー」(日替わりの可能性あり)に続いて、オリジナル・バージョンで初披露のB4デビュー曲「ラヴ・ミー・ドゥ」は昨年に亡くなったサー・ジョージ・マーティンへのトリビュート。この60年代初期の楽曲は是非とも日本でも披露して欲しいところだ。
最近作の「フォー・ファイヴ・セカンズ」ではスクリーンに歌詞が写し出され、観客との合唱をポールが求める。日本のファンも歌詞を覚えて大合唱でポールを喜ばせたいところだ。16年レグの最終公演となった今や伝説のフェス、デザート・トリップWEEKEND TWOではリアーナが登場し、花を添えた。
ポールのコンサート会場には多くの親子連れ(3世代も少なくない!デザート・トリップWEEKEND ONEを一緒に楽しんだ中学同期のN氏は娘さん、高校1年のお孫さん3人とポール・コンサートを楽しむと今から大張りきりだ)が参加しているが、若い音楽ファンにとってはこのリアーナ、カニエ・ウエストとの共作楽曲やスクリーンに映し出されるジョニー・デップやナタリー・ポートマン、ケイト・モス(ちょっとセクシーなダンスを披露してくれる)のオリジナル映像は興味深いに違いない。
ポールのツアーは、ビートルズからウイングス、ソロ、現在とあらゆる世代を楽しませてくれる。お馴染みの演奏曲でもスクリーン演出による視覚効果が加わり、加えてツアー毎に色々とアップグレードされている。ここでのネタばらしは遠慮しておこう。
僕が堪能した昨年10月のデザート・トリップWEEKEND ONEではニール・ヤングとの共演やストーンズとのエール交換という超サプライズがあった訳だが、そんな特別演出がなくても充分に楽しめるコンサートになる事は間違いない。
ジョンの「One To One」からポールの「One On One」へ、これは見逃せない。
ポール・マッカートニー
ワン・オン・ワン ジャパン・ツアー2017
*4月27日(木)開場16:30 開演18:30(予定) @東京ドーム
*4月29日(土) 同
*4月30日(日) 同
http://oneonone-japantour.jp/
○写真:ライヴ・ショット2点:MPL Communications/MJ Kim
○One On One USコンサート・プログラム: FOTR-Nakai
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
インタビュー アンディ・フェアウェザー・ロウ Pt.2
英国ロックの屋台骨を支えるアンディは長年にわたる音楽活動の中で多くのミュージシャンと交流。その腕前は高く評価されている。そんな数多い音楽仲間の中から代表的存在のアーティストについて語ってもらった。
◆エリック・クラプトン
今年4月(注:2016年)にエリックの武道館ライヴ。その前年10月にアルバム『アイ・スティル・ドゥ』を制作。とっても大変だった。彼は手だけじゃなくて身体全体が水膨れのようになった。アイスパックを両膝にあてて座っていなくちゃならなかった。いつもスタジオに到着すると決まってそうしていた。でもしばらくして立ち上がってプレイしていたのは凄かった。ホントに凄かったよ。4月の武道館ではだいぶ良くなっていた。今では彼はずいぶんと良くなってる。ローリング・ストーンズのブルース・アルバムにもジョイン。『アイ・スティル・ドゥ』制作中に彼は別部屋でストーンズとも演奏していた。2017年は別バンドを起用。そう俺たちではなく、スティーヴ・ガッドとネイザン・イーストと奏る。
エリックと一緒に演奏している時は最高だ。パーフェクト・フィット!彼がリード・ギター、俺はリズム・ギターと分業するのが良いみたいだ。時々、「ソロはどう」って言うんだけど、恐れ多くて遠慮させてもらったよ。ただしデレク・トラックスやアルバート・リーは別だ。俺はリズム・プレーヤーだから奏らないよ。
◆ビル・ワイマン
先日ビルの80歳バースデー・ライヴで演奏した。ホスト・バンドでギターを担当。いろんなミュージシャンがやって来ていた。アルバート・リー、クリス・ファーロウ、ロバート・プラント、マーク・ノップラー…。ビルは前立腺癌を患ったけど、治療に専念して回復したようだ。俺はビルのリズム・キングスやその前のウィリー&ザ・プアボーイズのメンバーだった。彼のバンドには、ジョージ・フェイム、ゲイリー・ブルッカーもいるしマーティン・テイラーもいる。マーティンは、ジョー・サトリアーニやアルバート・リーのレベル、驚異的なギタリストだ。
◆ロイ・ウッド
12月10日にバーミンガムのシンフォニー・ホールで開催されたロイのクリスマス・パーティーで演奏。ザ・ムーブのメンバーだった。エーメン・コーナーととザ・ムーヴは同時代を過ごした仲間だ。
◆ザ・フー
グリン・ジョンズを通じて知り合った。彼らがアルバム『フー・アー・ユー』に録音していた時に電話があって、バック・ヴォーカルをやらないかっていうから、5~6トラック参加した。それと1トラックでギターも弾いたよ。ピート・タウンゼントがアルコール依存症かドラッグ中毒かでアメリカですってんてんになっちゃってたから。だから俺がザ・フーと一緒にスタジオで3週間ほど演奏したんだ。でもピートは驚異的な存在なんだ。93年に一緒にUSツアーも行った。サイコデリリクト・ツアー、それと同年のピートのアルバム。その時はギターを壊したり、ツバを吐いたりだったが、ショッキングだったね。
◆ジョー・サトリアーニ
ジョーのライヴはすざましい。いろんな意味で生まれて初めての体験だった。グリン・ジョンズの推薦さ。本当に驚異的なギタリストだ。もう一緒にやることはないだろうけど・・・。
◆リンダ・ロンシュタット&エミルー・ハリス
2枚のリンダのアルバムに参加。1枚はエミルーも一緒だった。これもグリン・ジョンズのプロデュース、USレコーディングだった。
◆ロジャー・ウォーターズ
ロジャーとは25年来の仲間だ。アルバム『ヒッチハイクの賛否両論』から。彼と一緒に仕事をすのは俺自身が選択したんだよ。良き友人だけど、最近はゴブサタ。彼のアルバムなどではベースを弾いていたんだ。他にギタリストがふたりいたからね。デザート・トリップも素晴らしかったみたいだね。しっかり稼いだようだし。彼はまたツアーに出るよ。5月に新しいアルバムをリリース、一大ツアーの計画があると聞いたよ。
◆ビリー・プレストン
彼とはエリックの2枚のアルバムで一緒だった。エリックのツアーの時にも会ったよ。そしてジョージ・ハリスンのコンサートの時にもいたんだ。ビリーのオルガンはワン・アンド・オンリー!
◆ジョー・コッカー
ARMSのUSツアーのメンバーだった。スティービー・ウィンウッドがイギリスで歌って、ジョー・コッカーとポール・ロジャースがアメリカで歌ったんだ。ジョーとも楽しい時間を過ごした。素晴らしいステージを披露してくれた。俺の曲「Hymn 4 My Soul」をカバーしている。彼のアルバムも『Hymn for My Soul』というんだ。
◆スティーヴ・ガッド
サイコーの友人!俺たちは3枚のアルバムを一緒に作った。エディー・ブリッケルも協力してくれた。そのうち2枚はスティーヴ、ピノ・パラティノ、エディー、そして俺。エディーはポール・サイモンの奥さん。楽しかったね。エリックと日本で演奏した時、スティーヴと俺は、毎朝起きて皇居の周りを走って、それからコーヒーを飲みに行ったもんだ。スティーヴに会いたいな。彼のスタッフも良かったね。リチャード・ティーとか。リチャード・ティーとは一緒にやったことないんだけど…。
写真:佐藤和弘(ロックンロール・コレクション・ボックス)
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